■反農薬東京グループから食品安全委員会への要望■    *****2月7日付け 農薬等の暫定残留基準についての要望と質問 *****   現在、厚生労働省の農薬・動物用医薬品部会で、残留農薬等のポジティブリスト制度  の実施に関連して、暫定残留基準案が審議され、パブリックコメントの募集も実施され  ていますが、次の問題点があると考えます。   (a)ADIとその根拠となる毒性試験データの開示がない   (b)理論最大摂取量が示されないまま、残留基準案が設定されており、従来から安全    性の担保とされてきた「理論最大摂取量をADI の80%以下とする」ことがクリアさ    れているかどうか不明である。   (c)国民の安全よりも、貿易の円滑化が重視され、従来の国内の登録保留基準よりも、    高い数値の国際基準や外国基準が残留基準案に援用されている。    そこで、農薬等の暫定残留基準の設定にあたって、次の質問と要望をします。 【要望1】農薬等のADIとその根拠になるデータを開示するよう厚生労働省に求めてく  ださい。 【要望2】日本でいままで、ADIの評価がなされていない農薬等に暫定残留基準が設定  されようとしていますが、貴委員会での評価はどうなっていますか。早急にADI評価  を実施してください。 【要望3】理論最大摂取量を算出し、従来通り、ADIの80%以下となるよう、残留基準  を設定することを、厚生労働省に求めてください。 【要望4】残留基準設定に際して、国内登録保留基準よりも高い国際又は海外基準を設定  しないよう、厚生労働省に求めてください。 【質問1】新食品衛生法第十一条の3項に関連して、現行法付則(平成一五年五月三〇日  法律第五五号)第十条で、「人の健康を損なうおそれのないことが明らかである物質」  及び「人の健康を損なうおそれのない量」を厚生労働省大臣が定める際に、貴委員会の  意見を聴くことができるとなっていますが、どのように対応されていますか。     ************** 5月5日付け 食安委への要望 ************** 【要望1】厚労省は、「人の健康を損なうおそれのない量」(いわゆる「一律基準」)  をさまざまな毒性学上のデータを勘案して、1.5μg/日・人とし、残留基準が設  定されていない農薬−農作物の組合せについては、一律に0.01ppmを適用しようとして  います。  仮に、残留基準が全く設定されていない農薬を考えれば、1日1kgの食品を摂取する  とした場合は、理論最大摂取量は10μgとなります。   わたしたちは、「一律基準」を0.001ppm以下にすれば、理論最大摂取量は1μg/日・  人となり、厚労省のいう「人の健康を損なうおそれのない量」1.5μg/日・人をク  リアするだけでなく、不適正な農薬使用やドリフト等による非意図的農薬汚染の抑制に  役立つと考えています。  貴委員会におかれましては、厚労省の「一律基準」0.01ppmに再考を求めてください。 【要望2】人や生態系への有害性が明確であり、国内外で、すでに使用規制されている農  薬等については、残留基準(たとえその基準がNDであっても)で規制するのでなく、  使用されておれば、その農作物等の流通を規制するようにすべきだと考え、私たちは、  そのような農薬等のリストを作成する、ネガティブリスト制度との併用を求めています  ので、貴委員会でも同制度を検討してください。 【要望3】厚労省の基準案の中には、加工食品やミネラルウオーターの残留基準案が示さ  れていますが、これらは、日本での農薬等の使用実態を無視し(たとえば、水道法にお  ける水質管理目標設定項目における農薬等の管理目標を考慮していない)、単に、国際  規格を採用したものにすぎません。厚労省に、国際規格が設定された根拠を示すように  求めた上、残留基準案について再考するよう促してください。 【要望4】ポジティブリスト制度では、農薬等の活性成分についてしか、基準値が設定さ  れていません。農薬製剤には、多くの補助成分が含有されていますが、農薬メーカーは、  企業秘密として、使用化学物質名を明らかにしません。貴委員会におかれましては、補  助成分についてもポジティブリスト制度の対象とするよう、厚労省に申し入れてくださ  い。 【要望5】わたしたちは、ポジティブリスト制度を実効あるものするため、農作物等の生  産段階での管理強化が必要だと考えています。そこで、下記のような提案をしておりま  す。貴委員会でも、お力添え願えれば幸いです。  1、農薬使用基準の省令の遵守強化はもちろん、農薬使用者の免許制度、農薬使用履歴    の記帳の義務化などを農水省に求めていますが、これらの実現は、農薬適正使用や    ドリフト防止を促し、残留農薬の低減化につながると思いますので、貴委員会にお    かれましても、法律化の推進にご尽力ください。  2、海外では、国内で適用されない農薬や使用方法で農作物が栽培されており、このこ    とが、残留分析をわずらわしくさせる原因のひとつとなっています。    そこで、海外からの農作物の輸入に際しては、農薬使用履歴の提出を義務づけるこ    と及び海外諸国に、日本の残留基準等を通告するだけでなく、日本での農薬等の使    用状況(たとえば、日本での登録農薬名と適用作物の一覧、日本で使用できない農    薬等のリスト)の情報を周知させ、できるだけ、日本の使用状況に近づける努力を    するよう促すことを、厚生労働省に求めていますので、貴委員会におかれましても、    その実現にご尽力ください。