■ 反農薬東京グループからの要望                          2005年10月7日 岐阜県知事 古田 肇 様 農林水産局水田営農振興室 御中  日頃、県政へのご尽力ご苦労様です。  私たちは、農薬を初めとする有害化学物質の乱用に反対して運動している市民団体で す。詳しくはホームページをご覧下さい。  さて、貴県のホームページに載っている「ふれあいくらしと県政」10月号の「マンガ なるほど県政 家庭菜園などにおける病害虫防除の巻」に関して、要望をしたいと思い ます。  農薬の問題をマンガで県民に知らせるという試みは評価するものですが、内容に関し て非常に疑問に思います。おそらくこのマンガは、改定農薬取締法に基づき、2003年9 月に出された農水省消費・安全局長通知「住宅地等における農薬使用について」 (以下「通知」http://www.maff.go.jp/www/press/cont/20030916press_2b.htm ) に関連し、身の回りでの農薬使用について注意を喚起するために出されたものと思われ ます。  通知の冒頭に「農薬は飛散することで人畜に危害を及ぼすおそれがあり、近年、学校、 保育所、病院、公園、街路樹、住宅地周辺の農作物栽培地等において使用された農薬の 飛散を原因とする住民、子ども等の健康被害の訴えの事例が多く聞かれるようになって いる」とあり、この通知は農薬による人の健康被害を防ぐために出されたものであるこ とが明記されています。  しかし、マンガでは、農薬に頼らない方法の一コマがあるものの、肝心のなぜ農薬を 使用しないようにすべきかの説明が不足しています。また、環境への配慮の観点から、 農薬使用上の注意が喚起されていますが、散布の事前通知が必要な理由が、人の健康被 害防止のためであることには、触れられていません。貴県にも、近隣での農薬散布によ る受動被曝で非常に苦しんでいる人たちがいることに思いをはせ、食用作物を身の回り で栽培する家庭菜園では、出来るだけ、農薬を使わないことがめざされるべきです。  農薬散布によってどのような健康被害が出るのか、実態を知らせたうえ、家庭菜園で は、農薬は使わないようにというメッセージがあってこそ、「なるほど県政」と言える のではないでしょうか。  いずれにしても、貴県が農薬に対して、このマンガで表現されたような認識しか持た れていないことに危惧を感じます。  農水省通知の内容については、岐阜市の広報ぎふ9月1日号に掲載されているものが、 (http://www.city.gifu.gifu.jp/kouhougifu/050901/0509014.pdf) 正しくその主旨を つたえていると思います。せめて、貴県もそれくらいの内容で周知していただきたいと 思います。  そこで、下記の要望をしますので、お手数ですが、10月20日までに回答下さるよ うお願いします。        **************** 要望事項 **************** 1,家庭菜園における病害虫防除の巻に、農薬による人の健康被害例を追加する。 2,農水省通知にあるように、住宅地等での農薬使用を出来る限り止めるよう指導する。 3,岐阜市なみに農水省通知の内容を正しく広報する。 4,殺虫剤、殺菌剤の代替方法だけでなく、除草剤の代替として、手抜き除草などを勧   める。 ■ 岐阜県農政部からの回答 反農薬東京グループ 代 表  辻 万千子 様  10月7日付け電子メールで要望のありました事項について、次のとおり回答します。  農林水産省通知「住宅地等における農薬使用について」(平成15年9月16日付け消費・安 全局長通知、以下「農水省通知」という。)の趣旨及び内容については、住民や子どもの 健康被害等を防止する上で大変重要なことであると考えおります。  このため、県では農水省通知の周知を図る文書を市町村へ発出するとともに、研修会 など各種機会をとらえて指導を行っているところであります。  今般、岐阜県広報誌「くらしと県政(10月号)」に農水省通知をマンガでわかりやすく掲 載したことも、県民への周知を図る一環であります。  しかしながら、マンガを用いかつ掲載スペースが限られていることから、内容につい ては県民に取り組んでいただきたい農薬に頼らない病害虫及び雑草防除方法が中心とな り、結果として、健康被害について十分に理解されないことは本意ではありません。  県としては、農水省通知の趣旨及び内容については、繰り返し周知を図ることが重要 と考えており、貴殿のご意見については、今後の指導に活かしていきたいと考えており ます。  また、県では、このような農薬に関する健康被害を未然に防ぐ観点からも、農業生産 現場においては、慣行栽培と比較し化学合成農薬及び肥料を30%以上削減する「ぎふ クリーン農業」を推進しているところでありますので、ご理解いただきたいと思います。  平成17年10月19日                         岐阜県農政部                           農業技術課長  加藤 正