***************************** 岐阜県農薬安全使用に係る指針 *****************************        岐阜県農林水産局  第1 趣旨   農薬の安全かつ適正な使用及び適切な保管管理の徹底は、農業生産の安定のみならず、   県民の健康の保護及び生活環境の保全の観点からも極めて重要である。   従って、農薬を使用するにあたって、農作物の安全・安心の確保及び生活環境の保全   を確保するのに必要な指針を策定する。  第2 指針の対象者  この指針では、農家、防除を業とする者(委託する者も含む)、その他家庭菜園、芝   等の農作物に農薬を使用するすべての者を対象とする。  第3 定義  1 この指針において「農薬」とは、農薬取締法第1条の2第1項、2項で定義される    ものをいう。  2 この指針において「農作物」とは、人が栽培する植物の総称を指し、その栽培目的、    肥培管理の状況を問わない。一般の稲、野菜、果樹の他、観賞の目的で栽培してい    る樹木、盆栽、草花、ゴルフ場や公園の芝、街路樹も含むほか、肥培管理がほとん    ど行われていない山林樹木もこれに該当する。  第4 農薬使用者の責務   農薬を使用する者(以下「農薬使用者」という。)は、農薬の使用に関し、次に掲げ   る責務を有することを常に自覚し、農薬の使用を行うものとする。  1 農作物及び人畜に危害や被害を及ぼさないようにすること。  2 農作物に汚染を生じさせないこと。また、その汚染された農作物の利用が原因とな    って人畜に被害が生じないようにすること。  3 農用地の土壌の汚染を生じさせないこと。また、その汚染された土壌が原因となり    農作物が汚染され、その農作物の利用が原因となって人畜に被害が生じないように    すること。  4 水産動植物の被害が発生しないようにすること。  5 環境(大気、水質、土壌)に汚濁を生じさせないこと。また、その汚濁が原因とな    って人畜に被害が生じないようにすること。  第5 農薬使用に係る安全確保のための基本的事項   農薬使用者は「農薬取締法」等関係法令を遵守するとともに、以下の事項の遵守に努   めるものとする。なお、これに関する具体的事項については別に記載する。  1 一般的な留意事項  @登録のある農薬を使用すること。   A県の病害虫雑草防除基準に基づき防除に努めること。   B定期的な防除は廃し、病害虫の発生状況を踏まえて防除を行うこと。  C農薬安全使用に関して最新の知識、技術を身につけるよう、県等が実施する研修会    等に積極的に参加すること。   D生物的防除や耕種的防除などを組み合わせ、化学農薬の散布回数や量の削減に努め    ること。  E不慮の事故や事件を防止するために農薬の適正な保管管理を行うこと。  2 安全・安心な農産物確保のための留意事項  @食用、非食用農作物にかかわらず定められた農薬の使用方法(適用農作物、使用回    数、使用量、希釈率、使用時期等)を遵守すること。   A最終有効年月を過ぎた農薬を使用しないよう努めること。   B農薬の使用状況等が把握できるよう、次の事項について帳簿に記載すること。     (ア) 農薬を使用した年月日     (イ) 農薬を使用した場所     (ウ) 農薬を使用した農作物等       (エ) 使用した農薬の種類又は名称     (オ) 使用した農薬の単位当たりの使用量又は希釈倍数     C内分泌攪乱作用を有すると疑われる化学物質(環境省の環境ホルモン戦略計画SP    EED98に掲載された物質 別表第1)として指摘された農薬や毒性の強い農薬    については可能な限り使用しないよう努めること。  3 生活環境保全のための留意事項   @居住区域と近接した地域において農薬を散布する場合、周辺住民の健康及び生活環    境の保全に留意し、農薬の適正な使用方法を厳守するとともに、周辺住民等に対し    ても事前に必要な情報を十分に提供すること。   A住宅地周辺等において農薬を使用するときは、農薬が飛散することを防止するため、    必要な措置を講じること。   B水田において止水を要する農薬(別表第2)を使用するときは、当該農薬が流出す    ることを防止するために必要な措置を講ずること。  C土壌において被覆を要する農薬(クロルピクリンを含有する製剤及び臭化メチルを    含有する製剤)を使用するときは、農薬を使用した土壌から当該農薬が揮散するこ    とを防止するために必要な措置を講ずること。   D航空機(航空法第2条第1項に規定する航空機をいう。)及び無人ヘリコプターを    用いて農薬を使用するときは、農薬を使用する区域における、風速及び風向を観測    し、対象区域外に農薬が飛散することを防止するために必要な措置を講ずること。  4 その他留意事項  @家畜・家禽、有用昆虫(蚕、ミツバチなど)及び魚介類などに配慮して農薬散布す    ること。   A防除の対象としていない周辺の作物に対して危被害が及ばないよう十分に配慮する    こと。特に「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」や「ぎふクリ    ーン農業表示制度」に基づき有機農産物・ぎふクリーン農産物の生産を希望する農    家の生産ほ場周辺で作業する場合には、農薬の適正な使用を徹底するとともに飛散    の防止を講ずること。   B土壌くん蒸剤の臭化メチルについては、特定物質の規制等によるオゾン層の保護に    配慮し、その使用量の削減並びに代替薬剤や代替技術の円滑な導入に努めること。    附則    この指針は、平成15年10月27日から施行する。         平成15年11月 5日  【別記】    農薬使用に係る安全確保のための具体的事項   <使用前>    @農薬の使用に当たっては、容器の表示事項等をよく読んで、安全かつ適正に使用     すること。また、使用に関し不明な点がある場合は、農薬販売店や病害虫防除所、     農業改良普及センター等県関係機関等に相談すること。    A散布に当たっては、事前に防除機等の十分な点検整備を行うこと。    B事故や事件等を防止するために、毒物又は劇物に該当する農薬のみならず、全て     の農薬について、安全な場所に鍵をかけて保管する等農薬の保管管理には十分注     意すること。また、農薬を他の容器(清涼飲料水の容器等)へ移し替えないこと。    C学校、病院、公園等の公共施設内の植物、街路樹等の防除においては、病害虫の     発生や被害に関わらず定期的に散布することは廃止し、被害が発生した場合に被     害をうけた部分の剪定や捕殺などにより病害虫防除を行うよう努めること。また、     農薬を使用する場合は、誘殺、塗布、樹幹注入等散布以外の方法を検討し、やむ     を得ず散布する場合は、最小限の散布に留めること。    D農薬を散布するときは、事前に周辺住民などに対して農薬使用の目的、散布日時、     使用農薬の種類等について、回覧物、ポスター、有線放送、広報車などを利用し     て十分周知すること。    E子供や通行人が近寄る恐れがある区域での防除では散布作業時には立札を立てる     ことなどにより、散布区域内に子供その他の散布に関係のない者が作業現場に近     づかないよう最大限の配慮をすること。特に、農薬散布区域の近隣に学校や通学     路等があり、農薬の散布時に子供の通行が予想される場合には、当該学校や子供     の保護者等に対する周知及び子供の健康被害防止について徹底すること。   <使用中>    F隣接住宅の窓が開いていないか、洗濯物や布団が干していないかに注意すること。   G農薬散布地域周辺に車がないか十分注意すること。    H農薬散布は無風又は風の弱いときに行うなど、近隣に影響が少ない時間を選ぶこと。    I天候や風向き、地形等に十分注意し、居住者、通行人、家畜等に被害を及ぼさな     いようにすること。    J農薬の飛散が少なくなるように、散布ノズルの向きに注意すること。    K住宅等が隣接した地区では粒剤やDL(ドリフトレス)粉剤などできるだけ飛散     が少ない形状の農薬を使用すること。    L水田において止水を要する農薬(別表第2)を使用するときは、決められた止水     日数を守り、水位などに注意を払う等水系への流出を防ぐことに最大限努めること。     また、水田周辺の養魚池における淡水魚等の被害及び河川、水道水源等の汚染の     防止等環境の保全に万全を期すること。    Mクロルピクリン剤等土壌くん蒸剤の取扱いについては、表示された使用上の注意     事項を遵守すること。また、薬剤が揮散し周辺に影響を与えないよう風向きなど     に十分注意し、被覆を完全に行うこと。   <使用後>    N使用残りの農薬を不注意に廃棄したり、不要になった農薬を放置したりすると、     思わぬ事故を引き起こすことがあるので、その処理に当たっては関係法令を遵守     して適正に行うこと。また、散布に使用した器具及び容器を洗浄した水は、河川     等に流さず、散布むらの調整等に使用すること。特に、種子消毒剤等農薬の廃液     処理に当たっては、周辺環境に影響を与えないよう十分配慮した処理を行うこと。   【別表第1】 第5の2のCの農薬    (環境省の環境ホルモン戦略計画SPEED98に掲載された物質)   1.2,4ージクロロフェノキシ酢酸を含有する製剤  除草剤   2.アトラジンを含有する製剤             除草剤   3.アラクロールを含有する製剤            除草剤   4.シマジン, CATを含有する製剤            除草剤   5.カルバリル,NAC を含有する製剤          殺虫剤   6.ケルセンを含有する製剤      殺虫剤   7.エンドスルファン(ベンゾエピン)を含有する製剤  殺虫剤   8.マラチオンを含有する製剤    殺虫剤   9.メソミルを含有する製剤        殺虫剤   10.トリフルラリンを含有する製剤     除草剤   11.ベノミルを含有する製剤    殺菌剤   12.マンゼブ(マンコゼブ)を含有する製剤    殺菌剤   13.マンネブを含有する製剤     殺菌剤   14.メトリブジンを含有する製剤      除草剤   15.シペルメトリンを含有する製剤   殺虫剤   16.フェンバレレートを含有する製剤   殺虫剤   17.エスフェンバレレートを含有する製剤  (フェンバレレートの副産物)   18.ペルメトリンを含有する製剤   殺虫剤   19.ジネブを含有する製剤     殺菌剤   20.ジラムを含有する製剤     殺菌剤   【別表第2】 第5の3のBの農薬( 水田において止水を要する農薬)      1 ベンチオカーブ又はチオベンカルブを含有する製剤   2 ACNを含有する製剤   3 プロベナゾールを含有する製剤   4 MIPC又はイソプロカルブを含有する製剤   5 MCPAエチルを含有する製剤   6 MCPAチオエチルを含有する製剤   7 MCPAナトリウム塩を含有する製剤   8 ピラゾスルフロンエチルを含有する製剤   9 ブタミホスを含有する製剤   10 モリネートを含有する製剤   11 シンメチリンを含有する製剤   12 アニロホスを含有する製剤   13 ペントキサゾンを含有する製剤   14 イナベンフィドを含有する製剤   15 インダノファンを含有する製剤   16 フェントラザミドを含有する製剤   17 ウニコナゾールPを含有する製剤   18 パクロブトラゾールを含有する製剤   19 クミルロンを含有する製剤   20 ベンゾビシクロンを含有する製剤   21 MCPBエチルを含有する製剤   22 IBPを含有する製剤   23 カフェンストロールを含有する製剤   24 シクロスルファムロンを含有する製剤   25 エトベンザニドを含有する製剤   26 クロメプロップを含有する製剤   27 ベンゾフェナップを含有する製剤   28 オキサジクロメホンを含有する製剤   29 二・四−PAエチル又は二・四−Dエチルを含有する製剤   30 ピラゾキシフェンを含有する製剤   31 ピラゾレートを含有する製剤   32 ベンフレセートを含有する製剤   33 チフルザミドを含有する製剤   34 アセフェートを含有する製剤   35 ジチオピルを含有する製剤   36 ダイムロンを含有する製剤   37 モノクロトホスを含有する製剤   38 シノスルフロンを含有する製剤   39 エトキシスルフロンを含有する製剤   40 アジムスルフロンを含有する製剤   41 ピロキロンを含有する製剤   42 ナプロアニリドを含有する製剤   43 シメトリンを含有する製剤   44 シハロホップブチルを含有する製剤   45 BPMCを含有する製剤   46 ピリブチカルブを含有する製剤   47 ブタクロールを含有する製剤   48 ブロモブチドを含有する製剤   49 エスプロカルブを含有する製剤   50 SAP又はベンスリドを含有する製剤   51 メフェナセットを含有する製剤   52 ハロスルフロンメチルを含有する製剤   53 ビフェノックスを含有する製剤   54 ピリミノバックメチルを含有する製剤   55 ベンスルフロンメチルを含有する製剤   56 ジメタメトリンを含有する製剤   57 ピペロホスを含有する製剤   58 ジメピペレートを含有する製剤   59 メタラキシルを含有する製剤   60 メトミノストロビンを含有する製剤   61 ピリフタリドを含有する製剤   62 シメコナゾールを含有する製剤   63 チアジニルを含有する製剤   64 オキサジアゾンを含有する製剤