********************************** 団地での農薬散布についての申し入れ **********************************                              2008年8月11日 日本総合住生活株式会社 代表取締役 荒田 建 殿                       反農薬東京グループ                            代表 辻 万千子                       団地の農薬散布を考える横浜市民の会                            代表 柳原 眞理子             私たちは、農薬をはじめとする化学物質による環境汚染・健康被害を出来るだけ減らそう と運動している市民団体「反農薬東京グループ」です(下記ホームページを参照くださ い)。 http://home.e06.itscom.net/chemiweb/ladybugs/  さて、8月1日、この申し入れに名を連ねています横浜市にある洋光台南第一団地の住 民、柳原眞理子氏が、団地内での草の立ち枯れの様子を見て、農薬散布が行われたのかど うかの確認を求めるため、団地内にある日本総合住生活株式会社(以下、JSとする)の 委託管理の洋光台南第一住宅管理組合事務所に赴き、常駐のJS職員に、農薬散布の有無 を尋ねたところ、その職員の対応は、「分からない、知らない、教えられない」との態度 に終始し、同職員が受付窓口ガラスを急に閉めたため、柳原氏が右手に打撲傷を負うとい う事実がありました。  8月4日、同管理事務所で、JS首都圏事業本部マンションサポート部神奈川営業所副 長及び同主任と面談し、負傷した経緯を説明し謝罪を求めました。また、その際に、本年 4月9日に団地内で農薬が散布された状況について、「その日は強風が吹いて、農薬飛散 の恐れがあったため、散布中止を管理事務所に申し入れたが、無視された」ことについて、 『住宅地等における農薬使用について』(農林水産省消費・安全局長/環境省水・大気環境 局長 平成19年1月31日)−(以下、ここでは「通知」と呼ぶ)が、「全く守られて いない」との柳原氏の発言に対して、お二人は、「通知とはどんなものですか」と知らな いようでした。 JSのホームページをみますと、会社案内に「団地生活の安全・安心・快適をサポート」と あります。JSは、日本全国の団地で大規模に農薬散布を実施していますが、この「通 知」を知らずして農薬散布を行っているとしたら、「安全・安心・快適」とは程遠いと言わ なければなりません。 また、今年の5月30日に、環境省より、「公園・街路樹等病害虫・雑草管理暫定マニュ アル 〜農薬飛散によるリスク軽減に向けて」 (http://www.env.go.jp/water/noyaku/hisan_risk/manual1.html)が出されています。 (以下、「マニュアル」と呼ぶ) このマニュアルには、出来るだけ農薬を使用しない、総合的病害虫・雑草管理(IPM: Integrated Pest Management)の考え方を基本とした植栽法が具体的に紹介されています。 さらに、『既に植栽されている植物であっても、毎年のように病害虫の発生が問題となる 植物は伐採し、病害虫の発生があまり見られない植物に切り替える。特に、人への健康被 害の発生が懸念される害虫が発生しやすい植物は極力植栽しない。』とされてもいます。 そこで、以下、いくつかの質問をさせていただきますので、下記あてに、9月10日まで に文書でお答え下さるようお願いいたします。 (なお、この申入れ書は、国土交通省住宅局長宛にも送っていることを申し添えます) 1.「通知」「マニュアル」について、JS本社は知っていましたか。知っているとした ら、それはいつ、どこから周知要請・指導が来ましたか。 2.「通知」「マニュアル」について、JS各支社、現場、下請け業者には、どのように 周知していますか。(「通知」に基づいて、JS作成の「散布の注意」等のマニュアルな どありましたら、ご提供ください)。 3.以下、「通知」の内容に沿っていくつか質問させていただきます。  @「通知」では、まず、農薬使用前にすべきこととして、「病害虫の発生しにくい樹木 の選定」「害虫の物理的防除」などをうたっています、JSが、植栽管理を含めてすべて 委託されている場合、これにどのように取り組んでおられますか。  A「通知」では、事前に周辺住民への周知として、「事前に農薬使用の目的、散布日時、 農薬名などを十分に周知する」とありますが、どのように周知していますか。(団地内で 「散布のお知らせ」○月○日〜○日というJSの貼紙をよく見かけますが、これでは、日 時が特定できません)。  B「通知」には、「特に、農薬散布区域の近隣に学校、通学路等がある場合には、当該 学校や子どもの保護者等への周知を図り、散布の時間帯に最大限配慮すること」とありま すが、具体的にはどのような措置をとられていますか。  C「通知」には「農薬散布は、無風または風が弱いときに行うなど、近隣に影響が少な い天候の日や時間帯を選ぶ」とありますが、具体的には、どこが、どのような基準で判断 し、散布の実施、中止を決めていますか。 D「通知」には「公園等における病害虫防除においては、さらに、散布時に、立て看板の 表示等により、散布区域内に農薬使用者及び農薬使用委託者以外のものが入らないよう最 大限の配慮を行うこと」とありますが、具体的にはどのような措置をとられていますか。  E「農薬使用者は、農薬を使用した年月日、場所及び対象植物、使用した農薬の種類ま たは、名称ならびに使用した農薬の単位面積当たりの使用量または希釈倍数について記帳 し、一定期間保管すること」とありますが、具体的にはどのような措置をとられています か。 4.JSが、全国で使用している農薬名(除草剤、殺虫剤、殺菌剤)と、使用量を教えて 下さい。   また、農薬を現地混用している場合には、それも合わせて教えてください。 5.グリーン購入法では、国、地方自治体、事業体、国民の責務として、「環境物品等を 選択するよう努めなければならない」とあります。物品等には、役務も含まれ、「環境物 品等の調達の推進に関する基本方針」の「植栽管理」の項では、『総合的病害虫・雑草管 理を行う体制が確保されていること』が挙げられていますが、この方針について、貴社は どのようにお考えですか。 6.洋光台団地JS管理事務所でJS職員により、柳原氏が打撲傷を負った件についての 謝罪と責任の所在を明確にしてください。 以 上