*****  樹木等のマニュアルについての環境省への意見 *****                              2008年2月14日 環境省農薬環境管理室 御中                          反農薬東京グループ                          辻 万千子  先日は、マニュアル案ありがとうございました。意見を聞いていただけるとのことでし たので、お知らせいたします。今までになく具体的で、会員からも好意的なコメントがき ています。特に、害虫の写真と人体への影響で、アメリカシロヒトリは害がないとはっき り書かれていて、評判がいいです。(はっきり言って緑の安全推進協会の「樹木等の病害 虫防除に関する手引き」よりずっとわかりやすいです)  しかし、7の農薬による防除に関しては問題があると思います。出来る限り、有機リン のような合成化学農薬を使用しないという姿勢はわかりますが、なお、問題があります。 以下、気のついたところを指摘しますので、直していただければ幸いです。 ★マニュアルの内容について 1.7.2.1 適切な農薬の選択に、適用作物、適用病害虫を確認することと、もう一度書 いていただきたい。散布者に対象害虫は何かと聞くと、「毛虫」と答えるところが多く、 実際にどういう害虫がいるのか確認していないところがある。また、チャドクガにMEP を使用しているところも多いが、これも適用がない。 2.7.2.1に「非農耕地用」とあるのは、農薬登録されてないとあるが、登録された農薬 でも非農耕地用はある。登録された除草剤で鉄道や道路で散布され、農作物へ被害を与え た例もある。  非農作物用除草剤は登録する必要がなく、現行法では、何の規制も受けないため、空き 地や道路、鉄道で使用され、ドリフトによる農作物被害が起こっている。生活環境で規制 なく使用され、健康被害を訴える人もいる。このような除草剤は絶対に使用するべきでな いと明示すべきである。(マニュアルの文章はその辺がわかりにくい) 3.7.2.2 散布前に散布地域周辺への周知の項で、最初の○に例があるが、農薬名が明 示されていない。農薬名をきちんと知らせるべき事を書いていただきたい。 4.7.3.3でIGR使用を勧めているが、これらは散布するものであり、飛散や大気中へ の拡散が防げない。特に、ジフルベンズロンは、MSDSに「本剤は水産動物、特に甲殻 類に影響を及ぼすので、養魚池周辺での使用には十分注意すること。本剤はカイコに対し て強い毒性があるので、桑には散布液が飛散してかからないように十分注意して散布する こと」とあり、決して安全ではない。このような農薬の使用を勧めるべきではない。  MSDS  http://www.agrokanesho.co.jp/product/pdf/msds/msds_kanesho_demirin_sui.pdf ジフルベンズロンの代謝物のひとつであるp-クロロアニリンは下記に『実験動物では腫瘍 が見つけられているが、人では不明である』とある。  http://www.nihs.go.jp/ICSC/icssj-c/icss0026c.html 5.7.3.5の樹幹注入剤も問題である。当グループはアセフェート剤についてメーカーに 質問したが(後述)、メーカーは生活環境にどういう影響を与えるかは不明と回答してきている。 アセフェートは今問題になっているメタミドホスに分解するため、懸念は払拭できない。 有機リン系の樹幹注入剤の使用はやめるべきである。農薬名をあげると、これなら使える と誤解されやすいので、入れるべきではない。  私たちがメーカーに問い合わせた内容を以下にまとめた。使用中、使用後の環境への影 響については、データがないとのことであった。 ★参考資料★★  樹幹注入剤「オルトランカプセル」の問題点     (機関誌「てんとう虫情報」158号 の記事(2004年10月)