************************************ 土壌処理農薬による事故防止等について ************************************ http://www.pref.kanagawa.jp/teian/teian.htm                             2009年5月8日 神奈川県知事 松沢成文 様  3月末に、本年度の農薬危害防止運動に関連して、農水省と厚労省に提出した要望と質 問を紹介して、貴県でも実効性のある運動を展開するようお願いしていた反農薬東京グ ループです。  この要望を出して、間もない4月9日夜、相模原市で農地に施用された土壌処理剤テロ ン92により、周辺に異臭が漂い、住民が眼の痛みなどを訴えるという事故が起こりました。  そこで、以下の質問と要望をいたしますので、5月29日まで、下記に回答をください。     =================================================       ★★★反農薬東京グループ★★★ 代表:  辻 万千子       〒202-0021東京都西東京市東伏見 2−2−28−B        電話/ファックス:042-463-3027        E-mail:mtsuji@jcom.home.ne.jp URL http://home.e06.itscom.net/chemiweb/ladybugs/      ==================================================   *** 質問と要望 *** 1、貴県の農薬安全使用指導指針第4項「住宅地等における農薬使用について 」で、 『(1)病害虫の早期発見に努め、病害虫の発生や被害の有無に関わらず定期的に農薬を 散布しないこと。 (2)被害を受けた部分のせん定や捕殺等を優先的に行い、農薬使用の回数及び量を削減 すること。 (3)やむを得ず農薬を使用する場合は、最小限の区域における農薬散布に留めること。 (4)近隣に影響が少ない天候の日や時間帯を選び、風向きやノズルの向き注意し、農薬 の飛散が少なくなるように散布すること。 (5)事前に周辺住民に対して農薬使用の目的、散布日時、農薬の種類を周知すること。 (6)農薬を使用した年月日、場所、使用した農薬の種類又は名称、使用量又は希釈倍率 について記帳すること。』 を挙げておられます。  それぞれの項目について、貴県での実施状況はどうなっているか教えてください。 2、同指針第6項「その他特別の留意を要する農薬について」の(2)で、  クロルピクリン剤について、 『劇物であり、常温でガス化しやすく、そのガスは人体の粘膜を強く刺激するとともに植 物に対しても薬害を及ぼすので、次のことに留意すること。  ア 住宅密集地では絶対に使用しないこと。  イ 人家及び畜舎から十分(100m以上)離れていることを確認すること。ただし、育 苗用土の消毒で全面をポリエチレンフィルムで被覆する場合、マルチ畦内処理を行う場合、 または、水封後にポリエチレンフィルムで被覆する場合を除くこと。  ウ 処理後は必ずポリエチレンフィルムで被覆すること。  エ 一斉広域処理は避け、1回10a以下とすること。』 などの指示があります。    4月の相模原市での異臭事故に鑑み、土壌処理農薬テロン92に含有されるD-Dについ ても同様の注意が必要と思います。  テロン92の使用上の注意には、『使用中及びくん蒸中の圃場へ小児等作業に関係ないも のや家畜、家禽が立ち入らないよう十分に注意してください。』とあるだけです。  揮発性で刺激性のD−D剤についても、クロルピクリン剤と同様の指導をしてください。 ■回答 1 「県の農薬安全使用指導指針に掲げる項目の実施状況を教えて欲しい」とのお尋 ねについては、次のとおりです。   「神奈川県農薬安全使用指導指針」は、農薬使用者に対し、県が指導する内容を 定めたものであり、実施状況を把握することを目的としてはおりません。 農薬の適正使用については、本県では、「住宅地等における農薬使用について」通 知、及び「農薬危害防止運動取組方針」、「神奈川県農薬安全使用指導指針」等に基 づき、指導をしています。 農業技術センターでは、農薬販売者及び防除関係者を対象とした研修会を年2回ずつ 開催し、特に平成20年度は「住宅地等における農薬使用について」を重点化した内容 の研修を行っています。 農業者に対しては、普及指導員による講習会や研修会の中で農薬の適正使用に関する 指導を必要に応じて実施しています。 今般、相模原市内でD−D剤による健康被害が発生したことから、より一層、住宅地 等における農薬の適正使用に向け、農薬危害防止運動等により指導の徹底を図ってま いります。 2 「農薬テロン92に含有されるD−Dについても、クロルピクリン剤と同様の指 導をして欲しい」との要望については、次のとおりです。 D−D剤とクロルピクリン剤は、毒性や薬剤の特性が異なるので同一の取扱いはでき ません。 D−D剤の使用に当たっては、神奈川県農薬安全使用指導指針に基づき指導をしてい るところです。 今回発生した健康被害の原因と考えられる「一斉広域処理」や「土壌が乾燥していて ガス化が促進されたこと」については、神奈川県農薬安全使用指導指針の1 基本的 留意事項について(3)「農薬容器及び包装に表示されている事項を遵守するこ と」、2 本県における安全使用に関する留意事項の(6)「農薬散布が広範囲にわ たる場合は、周辺住民に対しての十分な配慮を行うこと」に定めていますので、当該 事項の遵守について今後一層の周知・指導の徹底を図ってまいります。   平成21年5月15日   反農薬東京グループ 代表 辻 万千子 様 環境農政部農業振興課長 露木 洋一