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農薬の自家混合及び住宅地周辺の農薬散布についての質問と要望
及び農水省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室長からの回答
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農薬対策室 御中 2003年10月8日
反農薬東京グループ
わたしたちは、受動農薬による健康被害をなくすために、本年4月に、要望書
をだし、また、貴省との話合いの場ももちました。その結果、貴省が、関係省庁
との調整に尽力された上、「住宅地等における農薬使用について」の通知がださ
れたことに対し、謝意を表します。
つい先日も、神戸市において、阪急電鉄が線路脇の樹木に、何の通知もなく夜
間に殺虫剤ディプテレックスを散布するということがおこっており、私たちは、
今後とも通知内容が末端まで浸透するよう、関係省庁へも厳しく要請するつもり
でおります。
ところで、先の要望書の中の一項にある「複数農薬の自家混合散布を禁止し、
夜間や降雨が予想される時の散布を禁止する」が、貴省通知に盛り込まれなかっ
たことについて、再考願いたく、ここに、あらためて要望することにしました。
7月に千葉県夷隅町で起こった、通学児童の空中散布農薬被曝事件において
は、登録混合剤があるにも拘わらず、自家混合が行なわれました。
すでに、貴省は『農薬の混用は省力化の面で有利であっても、効果・薬害・作
業者の安全性が把握されておりません。製剤となっている混合剤を使用するよう
指導してまいります。』としておられますが、農薬使用現場では、自家混合が日
常化しています。その原因のひとつは、登録混合剤が少ないことにあります。登
録するには、経費がかかり、メーカーは、積極的に混合剤の登録をすすめませ
ん。貴省が、単に、自家混合を止めて混合剤を使用するよう指導しても、問題は
解決しないと思います。
そこで、以下の点について、貴省のお考えをお聞きするとともに、私たちの要
望を述べますので、回答のほど、よろしくお願いします。
【質問】
@貴省は、自家混合をお認めになりますか。
A認めるとすれば、登録を必要とする混合剤との違いを、どこにおきますか。
B認めないとすれば、今後、どのような対処をなさいますか。
【回答】
@B:農薬の自家混合に関しては、従来から危害防止の観点から指導を行って
きたところであるが、先般、別紙のとおり都道府県等関係機関に指導し
たところである。
A:1 混合剤としての需要が高く農薬製造者による自主的な登録が可能な場
合は混合剤として登録することが基本と考えている。
2 しかしながら、複数の病害虫の同時防除等が必要な場合にあって、か
つ、混合剤がない場合には、農薬使用時の安全を確保の上、必要に応じ
現地混用を行うことはやむ得ないと考える。
【要望】
@自家混合ができることを、農薬販売の宣伝に使用しない。
【理由】製剤メーカーが、自ら混合製剤を登録せず、混合できることを宣伝材
料にしているのは、農水省の指導に反する。
【回答】
@: 農薬製造者及び販売者に対しては、現地混用を推奨しないよう指導し、
特に、農薬製造者に対しては、混合剤の開発・登録を推進するよう指導
してまいりたい。
A現在、全農や都道府県の農政関連部署が公表している混用適否表について、
農薬取締法違反がないよう総点検する。
【理由】適否表により、農薬取締法違反が起こらないよう、きちんと指導すべ
きである。
【回答】
A: 混用事例集や混用適否表は、農薬使用者が混用する際の目安となるよう
に農業団体や都道府県の判断で作成しているものである。
農薬取締法に基づき遵守しなければならい農薬使用基準は、農薬に表示
されている使用方法を遵守すること等を内容としており、混用適否表や混
用事例集の誤りがもとで農薬使用基準に違反したとしても、一義的な責任
は農薬の表示を確認しなかった農薬使用者にあると考えている。
なお、全国農業協同組合連合会が発行している混用事例集については、
現地混用を行う際に有効な資料として広く使用されるものであるため、そ
の誤りにより農薬使用基準の違反の一因とならないように十分正確を期す
よう同連合会に対して依頼を行っているところである。また、都道府県が
作成する混用事例集や混用適否表は、農林水産省からの通知等を踏まえ、
防除基準の総点検等により農薬適用農作物等に関する厳密な確認がなされ
ている。
B自家混合をしてはならない薬剤の組み合わせを周知徹底させる。
【理由】混合により薬害が発生するもの、効果が減少するもの、残留性が増す
もの、有害物質が生成したり、単剤より毒性が強くなるものについて
は、使用者に対し、損害や健康被害を与えたり、農薬取締法違反にな
らないよう、注意を喚起する。
【回答】
B: 農薬の登録時に混用すべきでない組合せが明らかとなっている場合には、
既にラベルに表示させているところであり、また別紙の通知文書により知
見がない組合せで現地混用を行うことは避けるよう指導しているところで
ある。なお、今後されに新しい情報が得られた場合には、関係団体とも連
携し情報提供に努めてまいりたい。
C以下のケースについて、自家混合を禁止する。
(a)住宅地等周辺での農薬使用については、自家混合を禁止する。
(b)無人及び有人ヘリによる散布では、自家混合を禁止する。高濃度少量散布
用の薬剤についても、自家混合を禁止する。
(c)以下の薬剤の自家混合も禁止する。
・毒劇指定のある農薬
・有機リン系とカーバメート系農薬のそれぞれと相互。
・乳化剤を含む農薬
【理由】(a)単剤よりも総農薬濃度は高くなり、受動農薬による被害が起こりや
すい。
(b)全農の適否表においても、以下の注意があるが、これは、作業者に
対するものにすぎない。
『有機リン剤どうしの混用は急性毒性が増加する場合があるので注意
が必要である。』
『単剤で皮膚かぶれを起こしやすい農薬と乳剤の混用は皮膚かぶれを
さらに助長することがあるので注意する』
【回答】
C: 住宅地等周辺での農薬使用や航空防除の際の農薬使用については、これま
でも指導通知等により農薬の飛散を防止するよう指導してきているところで
あり、今後とも、このような指導の徹底を図ってまいりたい。
D夜間散布を禁止する。
【理由】夜間散布は、人通りが少ない時間帯として、農薬散布される場合があ
るが、以下の問題がある。
(a)害虫の居場所が不明で、的確な散布ができない。
(b)夜間は、風向きや周囲の状況が確認できないため、薬剤が散布対象以
外に飛散しても、わからない。自動車・自転車・水道などに飛散防止の
カバーかけをする場合も、確認しがたい。
(c)空気が停留しやすく、地表付近に薬剤は滞りやすい。
(d)通行人は、散布の状況をみて、避けることができない。
(e)洗濯物を干していたり、窓を空けている場合もある。
【回答】
D: 地域によっては、農薬を近隣に影響の少ない時間である夜間に散布せざる
を得ない場合があるが、このような場合は、「住宅地等における農薬使用に
ついて」(平成15年9月16日付け農林水産省消費・安全局長通知)により、
これまでも、@周辺住民に対して農薬の使用日時等について事前の周知に努
めること、A農薬散布は無風又は風が弱いときに行う等周辺への飛散を防止
するよう指導してきているところであり、今後とも指導の徹底を図ってまい
りたい。
E降雨中または降雨が予想された時の散布禁止する。
【理由】特に、防除業者がスケジュールの基づいて、散布する場合、効果がな
いだけでなく、水系流入や散布対象以外の汚染もおこる。
【回答】
E: 従来から、河川等への農薬流出による水質及び水生生物への影響や、周
辺への飛散等による被害等の防止のため、地形や散布時の気象に十分配慮
した農薬の使用を指導してきているところであり、今後とも、こうした指
導の徹底を図ってまいりたい。
F自家混合に関する農水省の見解を早急に通知等の文書で示す。
【理由】農水省の方針は知っていても、文書で出ていないので守る必要はない
と千葉県は言っている。他の都道府県では方針すら知らないのではないか。
【回答】
F: 別紙のとおり、地方農政局や関係団体等に対して文書を発出していると
ころである。なお、都道府県に対しては地方農政局から周知されていると
ころである。
【別紙】事務連絡
この記事の出典:反農薬東京グループホームページ。転載希望・機関誌購入はメールフォームで。
作成:2003-10-28、更新:2004-03-12