松枯れ対策農薬散布に反対する要望                              2008年10月30日 都府県知事各位 殿  日頃、環境行政の推進ご苦労様です。  私たちは松枯れ農薬空中散布に反対している反農薬東京グループ(農薬空中散布反対全 国ネットワーク事務局)です。  この件に関しては、今までも何度も質問、要望をさせていただいております。  さて、ご存じのように今年6月、島根県出雲市で松枯れ農薬空散によって1200人以上の 健康被害がでました。出雲市では直ちに「農薬空中散布の健康被害原因調査委員会」を設 置し、11名の専門家によって8回の検討委員会が開かれました。  その報告書は9月24日にだされましたが、9名の委員が農薬空中散布との関連を認めると いう内容になっています。やはり農薬空中散布は健康被害を引き起こしていたわけです。  委員会の中で、スミパインMCが目に刺激性があるのに、メーカーの住友化学が刺激性 はないとする資料を配付し、委員に指摘されて委員会で陳謝しました。スミパインMCも 決して安全な農薬ではないことが、証明されたわけです。  また、林野庁の無人ヘリによる松くい虫防除に関する運用基準作成のための検討会の配 布資料(平成14年10月4日配布資料4のp4)によれば、スミパイン乳剤の場合、散布液の 希釈濃度を比べると、地上散布を1とすると、有人ヘリコプターは5倍、無人ヘリコプ ターは10倍の高濃度で実施されています。水田でのスミチオンの地上散布濃度と比べる と、空中散布は100倍以上の高濃度で実施されています。このように、空中散布で、高 濃度の農薬を広範囲で、微粒子散布すると、風速や風向きによっては、人の生活環境が汚 染される危険はきわめて高いことは、いうまでもありません。  地上散布に関して言えば、動力噴霧機や大型のスパウターは、下部からの散布のため、 松の梢端部に届きにくく、散布量が多くなることは、林野庁も認めている事実です。  松枯れの原因をマツノザイセンチュウとし、その運び屋であるマツノマダラカミキリを 駆除するとして、農薬空中散布を実施する一方で、マツノザイセンチュウが生息している 松苗を他場所に移植するといった事件もありましたが、この際、松林維持に拘泥した森林 行政は改めるべきではないでしょうか。  空中散布推進派の森林総合研究所の吉田成章氏は、空中散布一辺倒では、松枯れ防止は 困難であるとし、伐採焼却が確実にできる地形で、守るべき松林を決めることが肝要だと の防除戦略を示しています。(日本緑化センター、松林保護シンポジウム記録集:平成17 年8月発行) 農薬空中散布だけでは松枯れは防げないという推進派からの提案です。  貴県は、平成20年度も松枯れ防止対策として、有人ヘリコプター、無人ヘリコプターに よる農薬空中散布や地上散布を実施されています。県民に健康被害をもたらし、環境を破 壊し、しかも効果の期待できない農薬空中散布、及び、同じ理屈で実施されている農薬地 上散布は中止するべき時期です。  以下、要望いたしますので、11月30日までに文書で、下記にご回答ください。     =================================================       ★★★反農薬東京グループ★★★ 代表:  辻 万千子       〒202-0021東京都西東京市東伏見 2−2−28−B        電話/ファックス:042-463-3027        E-mail:mtsuji@jcom.home.ne.jp URL http://home.e06.itscom.net/chemiweb/ladybugs/      ==================================================     *****  要 望  ***** 1、松枯れ対策として実施されている農薬空中散布(無人ヘリも含む)、地上散布は   来年度から中止してください。 2、万が一、実施される場合には周辺住民の健康被害調査をしてください。