2009年1月13日 特別防除実施県 知事各位 殿                         反農薬東京グループ                         代表 辻 万千子                         〒202-0021                         西東京市東伏見2-2-28-B                         電話・FAX 042-463-3027                         Email mtsuji@jcom.home.ne.jp あけましておめでとうございます。  昨年10月30日に「松枯れ対策農薬散布に反対する要望」を出させていただいた反農薬 東京グループです。その節はご回答くださりありがとうございました。  結果をまとめたものを参考資料として、添付しましたので、ごらんください。  空中散布で健康被害の出た出雲市では、その後、12月4日に、松くい虫防除検討会議が 報告書を出し、守るべき松林について、それぞれの地区の状況に応じた松枯れ対策を提言 しました。その基本は、農薬空中散布を止め、無被害木には樹幹注入、被害木は伐倒し徹 底した処分を行う、抵抗性マツの植栽や樹種転換というものでした。詳しくは、出雲市の HPをご覧ください。  私たちは、林野庁にも農薬散布中止を申し入れましたが、森林保護対策室は、健康被 害が起こったという点については、出雲市の松枯れ農薬空中散布健康被害原因調査委員会 が出した報告書(11人の委員のうち、(1)空散が原因の可能性を否定できない(7人)、 (2)空散が原因(2人)、(3)原因を特定できない(2人))を無視はしないものの、農薬 との因果関係は証明されていないとの見解を示しました。また、林野庁は「農薬を撒いて くださいという指導はしておらず、地元の関係者で協議をしながら、地元の理解を得られ るような場所で適切に撒けばよい」との主張をしましたが、適切の中身については、具体 的な説明は得られませんでした。  ところで、貴県は、来年度も有人ヘリによる松枯れ農薬散布をなさるということです。  すでに、前回の要望で何故、農薬空中散布を止めていただきたいか十分ご説明したと 思いますが、どうしても来年度も散布なさるということでしたら、以下の質問にお答えく ださいますようお願いいたします。県は空中散布に補助金を出している上に、安全対策に ついては県が市町村を指導することになっています。ですから、市町村が実施主体だから 県は回答できないということはないと思います。  お忙しいところ申し訳ありませんが、2月20日までにご回答お願いいたします。 ************ 質問と要望 ************ 【質問1】来年度の有人ヘリ空中散布の予定をお知らせください。出雲市の松枯れ対策を 参考に、空中散布を止め、特別伐倒駆除や樹種転換を主とした他の方法に切り替えてくだ さるよう、再度お願いいたします。 (1)場所 市町村名 (2)市町村別の散布地域数と地域ごとの面積の最小及び最大値、使用農薬をお知らせく ださい。   <例>   場所  散布地域数 総散布面積 散布面積の範囲 使用薬剤   ○○町 3ヶ所    20ha    5〜10ha    スミチオンMC   のうようにお示しください。 【質問2】林野庁は適切に散布すれば、健康被害はないとの見解ですが、私たちは、水田 での地上散布の100倍以上の濃度で実施される空中散布の危険性は、いままでの住民アン ケート調査や出雲市での事故で証明されていると考えております。  空中散布では、農薬が速やかに大気中に均一拡散せず、気流によっては局地的に高い 濃度を示すと考えられ、出雲市のような事故が、いつどこで起こっても不思議ではないと 思われます。貴県が 万一、空中散布を実施する場合、「適切な散布」とはどういうもの と考えるか、以下の質問に各項目ごとにお答えください。 (1)風速について  (a)規制は何m/秒以下とされていますか。  (b)風速はどのように計っていますか。散布区域ごとに風速計を必ず設置していますか。  (c)風速は散布開始時だけでなく、散布中にも測定していますか。   (d)規定の風速を超える場合は、散布中であっても中止していますか。  (2)風向について  空中散布の農薬濃度は、水田での散布濃度の100倍を超える上、1m/秒の風でも、1分 で60m、10分で600m漂流することが考えられます。気流によっては、離れたところでも、 かなり高い濃度の農薬を人が被曝する恐れがあります。  住宅地や生活道路等へ向かう風の場合や、風下の空気がよどみやすい地形などに人家が ある場合は中止すべきと考えますが、貴県での規制はどのようになっていますか。規制が ない場合、今後どうなさいますか。  (3)散布時間帯について  人が戸外で活動する生活時間帯に、空中散布を実施することは、危険性が高いと思いま すが、散布時間帯はどのように設定されていますか。  (4)1個所の散布面積について  個々の散布地域において、空中散布面積が増えると散布する農薬量が増え、人への危険 性が高まると思います。  一個所の散布面積に規制を設けておられますか。設けている場合は、その面積の値を、 設けていない場合、貴県における個々の散布地域で、もっとも散布面積の大な地域とその 数値を教えてください。  (5)散布地域からの緩衝幅について 林野庁は、住宅地等から散布区域までの距離の目安は200mとしながらも、地域によっ て異なるので 一律に決められないと言っております。そこで、おたずねします。   (a)貴県では、住宅地や学校、配慮すべき公衆衛生関係施設、生活道路などからどれ    くらい離すか決めていますか。決めているとすればその距離と理由を、決まってい ない場合は今後どうするつもりかお教えください。   (b)実施予定地域で、当該松林端から道路や人家、公衆衛生関係施設などまでの距離 はどうなっていますか。   市町村別に、距離の最小及び最大値をお示しください。最小値については、地域名 を具体的にあげてください。   <例>     場所  距離幅    最小地区名    ○○町 100〜2000m  ×××  (6)周知について  周辺住民への周知については、県も実施市町村の実態を把握していると思います。 (万一把握してない場合は市町村などの実施主体に問い合わせて実施市町村ごとにご回答 ください。)   (a)散布区域周辺の住民に空中散布のお知らせをどのようにしていますか。 (複数回答可)   ・個別配布チラシ ・回覧板 ・看板 ・放送 ・広報車 ・市(町村)広報誌    ・ホームページ  ・その他(具体的に)   (b)周知する範囲はどのくらいですか。   (c)個別チラシもしくは回覧チラシ等文書の見本をお送りください。  (d)スミチオン剤は、車の塗装を侵しますが、万一自動車にかかった場合洗い流せる よう、付近の給油所等に依頼していますか。またそれらをチラシ等で周知していま すか。  (e)散布区域を通る路線バスの営業所、タクシー営業所には、運転手分のチラシを事前 配布していますか。  (f)散布日に、気象や風速、風向の変化に伴う散布実施情報や健康被害や事故が発生し た場合には、当該地域へその情報を放送や広報車で、提供すべきと思いますが、その 体制はとられていますか  (7)林野庁は毎年事務連絡で医療機関への周知を指示していますが、貴県では受診医療 機関を指定していますか(不明な場合は各実施市町村に問い合わせてください。)  (8)住民から健康被害の訴えがあった場合、どのように対応しますか。因果関係につい ては誰が判断していますか。  (9)散布区域周辺に農薬による健康被害の診断ができる医師がおりますか。  (10)「森林病害虫等防除法第7条の2第1項の規定に基づく防除実施基準」及び「防除実 施基準に関する留意事項」では、本来、特別防除ができない地域でも、地域住民から要望 があるなどの条件をクリアーすると、空散できる場合があることが示されています。その 場合、要望は文書で示されることになっていますが、貴県で昨年、何通の要望書が提出さ れていますか。  (11)森林病害虫等防除連絡協議会の委員に「森林病害虫等の防除に関心を有する団体等 の代表」(空散反対派)をいれることになっていますが、貴県ではどのような団体の代表 が入っていますか。団体名をお知らせください。 【質問3】昨年度、貴県では、飛散及び気中濃度測定をどの地域で、それぞれ何検体実施 されましたか。  万一散布する場合は、出来るだけ多くの地点で飛散及び気中濃度調査を行い、広い地域 で健康被害の調査を実施してください。 【質問4】今まで全国各地で松枯れ空散による健康被害の報告があったことをご存じです か。  その場合、こうした情報を空散実施市町村に知らせていますか。 【要望5】今回の出雲市での健康被害の実態を知ることは重要です。   同市の下記HP URL を空散実施市町村に知らせてください。  (1)健康被害原因調査委員会 議事録の公開について     http://www.city.izumo.shimane.jp/icity/browser?ActionCode=content&ContentID=1217307259448&SiteID=0000000000000&FP=toppage  (2)健康被害原因調査委員会報告書    http://www.city.izumo.shimane.jp/www/contents/1222228281746/files/9-24.pdf  (3)出雲市松くい虫防除検討会議報告書について   http://www.city.izumo.shimane.jp/icity/browser?ActionCode=content&ContentID=1228360507431&SiteID=0000000000000&FP=toppage   報告書全文は   http://www.city.izumo.shimane.jp/www/contents/1228360507431/files/1.pdf 【要望6】この質問・要望を貴県の森林病害虫等防除連絡協議会で審議してくださるよう お願いいたします。 【添付参考資料】てんとう虫情報208号p3-6 【1月22日発信の追加質問】「スミパイン乳剤及びスミパインMCに関する技術レポート」について  出雲市の健康被害原因調査委員会で、松枯れ空中散布に使用されたスミパインMCの有 効成分であるスミチオンの毒性について、軽度の眼刺激性があることを登録時の毒性試験 で確認されているにも拘わらず、メーカーである住友化学が配布した「スミパイン乳剤及 びスミパインMCに関する技術レポート」にスミチオンは眼刺激性がないと記載されてい ました。これについて、同社は、『技術レポートの記載は正確性に欠ける記載となってお ります。弊社といたしましては、このような文章を作成・配布したことを真摯に反省する とともに、早急に技術レポートの改訂版を配布する予定としております。』(H20年9月1日、 第6回委員会議事録より)としていました。  貴県は、住友化学のいう技術レポート改訂版を入手されていますか。入手されたとすれ ば、それは、いつのことですか。