@@@@@ メタミドホスの残留基準についての質問と要望 (2008年2月4日) @@@@@                                 厚生労働省大臣,食品安全委員会宛 現在、中国製餃子に検出され問題となっているメタミドホスについて、中毒者が食べた 製品には130ppm含有されていたと報道されている。 食品衛生法によるメタミドホスの残留基準で、その他の野菜(英語版ではOther vegetables)は、30ppmとなっている。 メタミドホスの残留基準の最終案では0.7ppmであった。 私たちは、二次案のパブコメで、0.05ppmとするよう求めたが採用されなかった。 そこで、以下の質問と要望を行うので、2月10日までに回答されたい。           ***** 質問・要望事項 ***** 1、その他の野菜の残留基準が0.7から30ppmに変更された理由は何か。 2、30ppmのメタミドホスが残留したその他の野菜を食べて、人の健康に影響はないか。 3、暫定基準とはいえ、このような高い値は許されない。その他の野菜の残留基準以外で、 1ppmを超える農作物は以下のようである。早急な基準の見直しを求めたい。 (→は二次案への当グループの意見) 小豆類:2  → 0.01 だいこん類(ラディッシュを含む)の葉:1 → 0.01 かぶ類の葉: 5  →0.01 西洋わさび:3 →0.01 はくさい:2  →0.01 キャベツ: 1.0 →0.01 芽キャベツ:1.0  →0.01 きような:2 →0.01 カリフラワー:1.0  →0.01 ブロッコリー :1.0 →0.01 その他のあぶらな科野菜:3  →0.01 レタス(サラダ菜及びちしやを含む):1.0 にんにく:1 セロリ:5  →0.01 トマト:2.0 ピーマン:2.0 なす:1.0 その他のなす科野菜:2.0 きゆうり(ガーキンを含む):1.0 たけのこ:2 みかん:1 →0.2 なつみかんの果実全体:1 →0.2 レモン:1 →0.2 オレンジ(ネーブルオレンジを含む):1 →0.2 グレープフルーツ:1 →0.2 ライム:1 →0.2 その他のかんきつ類果実:1 →0.2 もも:1.0  → 0.1 ぶどう:3 → 0.01 かき:1   → 0.01 茶:5 ホップ: 5.0 ***** 厚生労働省の回答(2/14) ***** > 反農薬東京グループ > 辻 万千子 様 > > 御質問いただき有り難うございます。 > 御質問いただいた内容につきまして以下のとおり回答いたします。 > 当初、ご指摘のとおり海外基準を参考にその他の野菜に0.7ppmを設定しておりましたが、 > 平成17年(2005年)にCodexにおきまして、 > メタミドホスのてんさいの葉に対する残留基準値として30ppmが了承されたことを踏まえ、 > メタミドホスの「その他の野菜」に30ppmを設定したものです。 > Codexの資料につきましては、 > 下記HPのCodex Committee on Pesticide Residuesに基準値案が、 > Codex Alimentarius Commissionに基準値が了承された旨の記載がなされております。 > http://www.codexalimentarius.net/web/archives.jsp?year=05 > > メタミドホスについては、 > 今般ポジティブリスト制度導入時に新たな基準を設定した > 根拠となった各国の評価書が準備できたことから、 > 2月12日付けで食品安全委員会に対して食品健康影響評価を依頼いたしました(別添参照)。 > 今後、食品安全委員会での食品健康影響評価の結果を踏まえ、 > 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会において、 > 基準値の見直しの検討を行うこととしております。 > > 厚生労働省食品安全部基準審査課 > > > <<メタミドホス諮問文(写).pdf>> @@@@@ 食品の残留基準に関する再質問と要望 (2008年2月18日) @@@@@ 【1】厚労省へ                        厚生労働省大臣 舛添要一様 厚生労働省食品安全部基準審査課  メタミドホスに関する質問への回答ありがとうございました。 (なお、添付いただいた食品安全委員会への諮問文書はアセタミプリドのもの  でした。226回食品安全委員会の資料にメタミドホス関連の文書があり、  確認しました。)  その他の野菜の残留基準について、お示しいただいた資料を見ましたが、  http://www.codexalimentarius.net/download/report/641/al28_24e.pdf  の60頁  Methamidophos には以下のような基準がありました。 MRL (mg/kg) AM 1051Fodder beet 0.02 AV 1051Fodder beet leaves or tops   30 VR 596 Sugar beet 0.02 AV 596 Sugar beet leaves or tops 30 1993のWHOの資料   http://www.inchem.org/documents/hsg/hsg/hsg079.htm では、 sugar beet (leaves or tops) のMRL 1mg/kg=ppm であったのが、上記のように 2005年に30ppmとなった理由は不明でした。  (ちなみに、日本のメタミドホスの残留基準はテンサイ 0.05ppm、 ダイコン類の根 暫定で0.5、ダイコンの葉 暫定で1ppm) その他の野菜に分類されるものは多数あります。日本では、テンサイの葉 よりも、アルファルファ、ウド、桜の葉や花、笹の葉、タラの芽その他が食 品に利用されていますが、果たして30ppmで、人の健康に影響はないか明確 ではありません。この点に関して、貴省からの回答はありませんでした。 なぜ、テンサイの葉にしかないコーデックスの数値をさまざまな種類のある その他の野菜の基準として採用したのか、極めて疑問です。  今後、メタミドホスの健康影響評価がなされ、残留基準の見直しがなされるこ  ととなると思います。そこで、次のお願いをしますので、2月25日までに下記へ  回答ください。        ***** 要望事項 ***** 1、食品の残留基準を設定する場合、コーデックスのような国際基準や外国基準を無   批判・無条件に採用すべきでない。   以下のような場合は、残留基準を設定せず、海外諸国からクレームが出た場合、   科学的データを提出させ、基準を決めればよいと考えるが、貴省はどう思うか。  ・毒性及び残留性試験などから得られる科学的データが明らかになっていない。  ・日本での食習慣を考慮していない。  ・飼料と同程度以上の残留基準を食品に設定する理由が明確でない。   国際基準が異常に高い事例:メタミドホスの「その他の野菜」30ppm                コメヌカのカルバリル170ppm  ・日本の食習慣でいえば、    メタミドホスの場合、桜の葉、桜の花、笹の葉などを食品に用いる。              ウドやタラの芽、アルファルファもやしを食べる    カルバリルの場合、ヌカ漬けに利用する  ・飼料についていえば    メタミドホスの場合 飼料用ビート葉、食用サトウダイコンの葉              のコーデックスはいずれも30ppm    カルバリルの場合  家畜配合飼料  5ppm              食用コメヌカ 170ppm 2、テンサイの葉にしかないコーデックスのメタミドホス残留基準を   その他の野菜全般に適用することは、非科学的であると考えるが、どう思うか。   ちなみに、その他の野菜についての残留基準が10ppm以上の農薬等には下記の   ものがある。このうちカルバリルとピラクロストロビンは劇物指定があり、   メタミドホスは毒物相当である。早急に基準を再検討すべきであると考えるが   貴省はどう思うか。  アゾキシストロビン 50ppm      ノニルフェノールスルホン酸銅 10ppm  アニラジン 10 ピラクロストロビン(劇物) 16  イプロジオン 20 ピリデート 10  オルトフェニルフェノール 20 フェンヘキサミド 30  カルバリル (劇物)10 フルジオキソニル 10  クレソキシムメチル 30 フルフェノクスロン 10  ジクロラン 20 プロパルギット 30  臭素 500 ホセチル 100  セトキシジム 10 マレイン酸ヒドラジド 30  デスメディファム 20 メタミドホス(毒物相当) 30  テブフェノジド 20 メトキシフェノジド 10 3、その他の野菜には、ウドやタラの芽もはいっているが、かりに、メタミドホスが   30ppm残留していても、販売規制しなくてよいということか。 4、メタミドホスの食品健康影響評価について、食品安全委員会に諮問したとのことだが、   残留基準見直しは何時ごろになるか。 >> 厚労省からの回答(2/26) 御質問いただき有り難うございます。 御質問いただいた内容につきまして、以下のとおり回答いたします。 (1)について  残留基準の設定に際して、  諸外国における残留基準を我が国の残留基準として採用する場合、  基本的には、諸外国での残留基準の設定根拠となった  作物残留試験成績等の科学的データを確認した上で基準の設定を行っており、  科学的データがない場合には基準の設定は行っていません。  国際基準であるコーデックス基準については、我が国がWTOに加盟していることから、  原則として我が国の基準として採用しているところです。  また、食品中の農薬の残留基準は、作物残留試験成績の結果及び国民の食品摂取量を  踏まえて設定しており、日本の食習慣を考慮したものと考えております。 (2)について  残留農薬基準に係る食品の分類については、  我が国、コーデックス及び諸外国において必ずしも一致したものではありません。  このため、コーデックス等で設定された残留基準を我が国の残留基準として採用する場  合には、我が国の食品分類に照らして、相当する食品分類に基準値を設定しています。  御指摘のあった「てんさいの葉」については、我が国の食品分類では「その他の野菜」  に分類されることから、「その他の野菜」に対して30ppmとの残留基準の設定を行って  いるところです。  また、その他の野菜に10ppm以上の残留基準値を設定している農薬として御指摘いただ  いているもののうち、アゾキシストロビン、ピラクロストロビン及びフルフェノクスロ  ンについては、食品安全委員会の食品健康影響評価の結果を踏まえ、薬事・食品衛生審  議会食品衛生分科会で審議を行い、科学的な評価に基づき適切に基準設定を行ったもの  です。  その他の農薬についても、今後食品安全委員会で行われる食品健康影響評価の結果を踏  まえ、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会において、必要に応じ見直し  の検討を行うこととしています。 (3)について  御指摘の場合については、  食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)において、  メタミドホスの「その他の野菜」の基準として30ppmとして定められており、  当該規格基準に適合しているものと解されます。 (4)について  農薬メタミドホスについて、  平成20年2月12日付けで内閣府食品安全委員会に、食品健康影響評価を依頼したところ  です。今後、同委員会における食品健康影響評価を踏まえ、厚生労働省の薬事・食品衛  生審議会食品衛生分科会においてメタミドホスに係る残留基準の見直しの検討を行うこ  ととしており、その後、国民からの意見募集、WTO通報等の所要の手続きを経て、  必要に応じ、関係告示を改正することとなります。  現時点においては、改正の時期については未定ですが、  厚生労働省としては、可能な限り迅速に対応していくこととしています。                         厚生労働省食品安全部基準審査課 【2】食品安全委員会へ 食品安全委員会  御中  メタミドホスの残留基準についての要望・質問を厚労省へ転送ありがとう ございました。  同省からは、2月14日に下のような回答を得ました。  回答内容では、その他の野菜の残留基準設定の根拠として、コーデックスが  テンサイの葉30ppmとなっていたのを取り入れたということでした。  厚労省が示された資料を調べると  http://www.codexalimentarius.net/download/report/641/al28_24e.pdf  の60頁  Methamidophos には以下のような基準がありました。 MRL (mg/kg) AM 1051Fodder beet 0.02 AV 1051Fodder beet leaves or tops   30 VR 596 Sugar beet 0.02 AV 596 Sugar beet leaves or tops 30 1993のWHOの資料   http://www.inchem.org/documents/hsg/hsg/hsg079.htm では、 sugar beet (leaves or tops) のMRL 1mg/kg=ppm であったのが、上記のように 2005年に30ppmとなった理由は不明でした。  (ちなみに、日本のメタミドホスの残留基準はテンサイ 0.05ppm、   ダイコン類の根 暫定で0.5、ダイコンの葉 暫定で1ppm)  その他の野菜に分類されるものが多数あります。日本では、テンサイの葉よりも、 アルファルファ、うど、桜の葉や花、笹の葉、タラの芽その他が食品に利用されてい ますが、果たして30ppmで、人の健康に影響はないか明確ではありません。この点に 関して厚労省からの回答はありませんでした。 なぜ、テンサイの葉にしかないコーデックスの数値をさまざまな種類のある「その他の 野菜」の基準として採用したのか、極めて疑問です。  2月12日、厚労省から貴委員会にメタミドホスの健康影響評価が諮問されており、この 評価に基づいて、残留基準が策定されることとなると思います。  そこで、次のお願いをしますので、、2月25日までに下記へ回答ください。        ***** 要望事項 ***** 1、食品の残留基準を設定する場合、コーデックスのような国際基準や外国基準を無  批判・無条件に採用しないよう、厚生労働省を指導されたい。  以下のような場合は、残留基準を設定せず、海外諸国からクレームが出た場合、  科学的データを提出させ、基準を決めればよいと考えるが、貴委員会はどう思うか。  ・毒性及び残留性試験などから得られる科学的データが明らかになっていない。  ・日本での食習慣を考慮していない。  (たとえば、テンサイの葉にしかない基準をウドやタラの芽を含むその他の野菜全般   に適用している。)  ・飼料と同程度以上の残留基準を食品に設定する理由が明確でない。   国際基準が異常に高い事例:メタミドホスの「その他の野菜」30ppm                コメヌカのカルバリル170ppm  ・日本の食習慣でいえば、    メタミドホスの場合、桜の葉、桜の花、笹の葉などを食品に用いる。              ウドやタラの芽、アルファルファもやしを食べる。    カルバリルの場合、ヌカ漬けに利用する  ・飼料についていえば    メタミドホスの場合 飼料用ビート葉、食用サトウダイコンの葉              のコーデックスはいずれも30ppm    カルバリルの場合  家畜配合飼料  5ppm              食用コメヌカ 170ppm 2、テンサイの葉にしかないコーデックスのメタミドホスの残留基準を   その他の野菜全般に適用することは、非科学的であると考えるが、   貴委員会はどう思うか。   ちなみに、その他の野菜についての残留基準が10ppm以上の農薬等には下記の   ものがある。このうちカルバリルとピラクロストロビンは劇物指定があり、   メタミドホスは毒物相当である。早急に基準を再検討すべきであると考えるが   貴委員会はどう思うか。  アゾキシストロビン 50ppm      ノニルフェノールスルホン酸銅 10ppm  アニラジン 10 ピラクロストロビン 16  イプロジオン 20 ピリデート 10  オルトフェニルフェノール 20 フェンヘキサミド 30  カルバリル 10 フルジオキソニル 10  クレソキシムメチル 30 フルフェノクスロン 10  ジクロラン 20 プロパルギット 30  臭素 500 ホセチル 100  セトキシジム 10 マレイン酸ヒドラジド 30  デスメディファム 20 メタミドホス 30  テブフェノジド 20 メトキシフェノジド 10 3、メタミドホスのADIについて、JMPRは0.004mg/kg体重/日としているが、  EUは0.001mg/kg体重/日を提案しており、今後慎重な審議をお願いしたい。 >> 食品安全委員会からの回答(2/26) このたびは食の安全ダイヤルにお問い合わせくださいましてありがとうございまし た。 お問い合わせにつきまして、下記の通りご連絡いたします。 1、ポジティブリスト制度対象農薬等については、制度の導入時に諸外国の基準等を参  考に厚生労働省において暫定的な残留基準を設定しているところですが、順次、食  品安全委員会において食品健康影響評価を行い、その結果に基づいて残留基準が適  切に見直されているところです。  残留基準の見直しにあたっては、厚生労働省において国内外における作物残留試験  成績等を根拠に適切に検討されているものと理解しております。また、残留基準の  見直しに際しては、厚生労働省から推定摂取量の報告をいただき、食品安全委員会  においてもその内容を確認しているところです。  なお、残留基準の策定に関していただいた御要望については、厚生労働省に連絡さ  せていただきます。 2、残留基準の再検討に関していただいた御要望については、厚生労働省に連絡させて  いただきます。  なお、比較的毒性が強いと考えられる農薬等については、優先的にリスク評価を依  頼するよう、食品安全委員会においても厚生労働省に対して指摘があったところで  す。 3、いただいた御要望のとおり、メタミドホスのADI設定に当たっては、慎重な審議に努  めたいと考えております。                            食の安全ダイヤル 担当