**************************** 松枯れ空散に関する質問と要望 ****************************                          2009年12月8日 長野県松枯れ有人空散実施市町村長 様                         反農薬東京グループ                         代表 辻 万千子                         〒202-0021                         西東京市東伏見2-2-28-B                        電話・ファックス 042-463- 3027                      Email mtsuji@jcom.home.ne.jp  私たちは、松枯れ農薬空中散布に反対して運動している市民団体です。  2008年5月、松枯れ空散によって、島根県出雲市で1200人を超える子供を中心 とした健康被害がでたことは、ご存じのことと思います。  また、本年6月25日は、印西市にあるゴルフ場習志野カントリークラブの松林 で、ゴルファーがプレイ中に、無人ヘリコプターによるスミパイン乳剤の空中散 布が実施され、2名の健康被害者がでました。  スミパインMC剤の空中散布で健康被害の出た出雲市では、その後、農薬空中散布を 止め、無被害木には樹幹注入、被害木は伐倒し徹底した処分を行う、抵抗性マツの植栽 や樹種転換に変更しました。詳しくは、出雲市のHPをご覧ください。(出雲市松くい虫防 除検討会議報告書、 http://www.city.izumo.shimane.jp/icity/browser?ActionCode=content&ContentID=1228360507431&SiteID=0000000000000&FP=toppage)。  長野県では佐久総合病院や市民団体の健康調査結果を踏まえ、上田市、青木村、 坂城町が、今年度の空中散布を中止しました。  松枯れ被害が農薬空中散布でなくせないことは、30年にわたる有人ヘリ、無人ヘリに よる散布の歴史が物語っています。最近では、群馬県赤城山周辺での松枯れ対策として、 住民や企業などのグループが、再生プロジェクトを立ち上げ、松に変わる広葉樹を植え ていくなどに取り組んでいます。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091204-00000006-san-l10 (産経新聞12/4)  ところで、貴市町村は、今年度有人ヘリによる松枯れ農薬散布を実施されまし た。  私たちは、空中散布を中止していただきたいと要望していますが、どうしても 来年度も散布なさるということでしたら、以下の質問にお答えくださいますよう お願いいたします。  お忙しいところ申し訳ありませんが、12月22日までにご回答お願いいたします。 質問と要望 【質問1】来年度の有人ヘリ空中散布を計画していますか。出雲市の松枯れ対策 を参考に、空中散布を止め、特別伐倒駆除や樹種転換を主とした他の方法に切り 替えてくださるよう、再度お願いいたします。  (1)有人ヘリ空散予定     ○中止する     ○面積を減らす     ○昨年と同じ面積で実施する     ○昨年より面積を増やす     ○無人ヘリ散布に変える(その場合、(2)以下の質問にお答え下さ い)        (2)地区別の散布地域数と地域ごとの面積の最小及び最大値、使用農薬をお 知らせください。    <例>   場所  散布地域数 総散布面積 散布面積の範囲 使用薬剤   ○○地区 3ヶ所    20ha    5〜10ha    スミチオンMC   のようにお示しください。 【質問2】林野庁は適切に散布すれば、健康被害はないとの見解ですが、私たち は、水田での地上散布の100倍以上の濃度で実施される空中散布の危険性は、上 田市をはじめとする、いままでの住民調査や出雲市や千葉県ゴルフ場での事故で 証明されていると考えております。  空中散布では、農薬が速やかに大気中に均一拡散せず、気流によっては局地的 に高い濃度を示すと考えられ、出雲市のような事故が、いつどこで起こっても不 思議ではないと思われます。貴事務所が 万一、空中散布を実施する場合、「適 切な散布」とはどういうものと考えるか、以下の質問に各項目ごとにお答えくだ さい。 (1)風速について  (A)規制は何m/秒以下とされていますか。  (B)風速はどのように計っていますか。散布区域ごとに風速計を必ず設置して いますか。  (C)風速は散布開始時だけでなく、散布中にも測定していますか。規定の風速 を超える場合は、散布中であっても中止していますか。 (2)風向について  空中散布の農薬濃度は、水田での散布濃度の100倍を超える上、1m/秒の風でも、 1分で60m、10分で600m漂流することが考えられます。気流によっては、離れた ところでも、かなり高い濃度の農薬をヒトが被曝する恐れがあります。  住宅地や生活道路等へ向かう風の場合や、風下の空気がよどみやすい地形など に人家がある場合は中止すべきと考えますが、貴管理署での規制はどのようにな っていますか。規制がない場合、今後どうなさいますか。  (3)人が戸外で活動する生活時間帯に、空中散布を実施することは、危険性が 高いと思いますが、散布時間帯はどのように設定されていますか。  (4)個々の散布地域において、空中散布面積が増えると散布する農薬量が増え、 ヒトへの危険性が高まると思います。  一個所の散布面積に規制を設けておられますか。設けている場合は、その面積 の値を、設けていない場合、貴事務所における個々の散布地域で、もっとも散布 面積の大な地域とその数値を教えてください。 (5)散布地域からの緩衝幅について 林野庁は、住宅地等から散布区域までの距離の目安は200mとしながらも、地 域によって異なるので 一律に決められないと言っております。しかし、2007年 に問題になった福岡県二丈町の国有林への空中散布では、200mどころか個人の 庭に大量の農薬が降り注いでいました。このような防除基準に逸脱した散布が二 度となされないよう、おたずねします。  (A)貴市町村では、住宅地や学校、配慮すべき公衆衛生関係施設、生活道路 などからどれくらい離すか決めていますか。決めているとすればその距離と理由 を、決まっていない場合は今後どうするつもりかお教えください。  (B)また、実施予定地域で、当該松林端から道路や人家、公衆衛生関係施設な どまでの距離はどうなっていますか。  実施区域ごとに距離の最小及び最大値をお示しください。最小値については、 地域名を具体的にあげてください。  例 場所   距離幅    最小地区名    ○○地区 100〜2000m  ××× (6)周知について  周辺住民への周知についてどのようになさっていますか。  (A)散布区域周辺の住民に空中散布のお知らせをどのようにしていますか。 (複数回答可)   ・個別配布チラシ ・回覧板 ・看板 ・放送 ・広報車 ・市(町村)報  ・ホームページ ・その他(具体的に)  (B)周知する範囲はどのくらいですか。  (C)個別チラシもしくは回覧チラシ等文書の見本をお送りください。  (D)フェニトロチオンは、車の塗装を侵しますが、万一自動車にかかった場合 洗い流せるよう、付近の給油所等に依頼していますか。またそれらをチラシ等で 周知していますか。  (E)散布区域を通る路線バスの営業所、タクシー営業所には、運転士分のチラ シを事前配布していますか。  (F)散布日に、気象や風速、風向の変化に伴う散布実施情報や健康被害や事故 が発生した場合には、当該地域へその情報を放送や広報車で、提供すべきと思い ますが、その体制はとられていますか (7)林野庁は毎年事務連絡で医療機関への周知を指示していますが、貴市町村 では受診医療機関を指定していますか。 (8)住民から健康被害の訴えがあった場合、どのように対応しますか。因果関 係については誰が判断していますか。 (9)散布区域周辺に農薬による健康被害の診断ができる医師がおりますか。 (10)「森林病害虫等防除法第7条の2第1項の規定に基づく防除実施基準」及び 「防除実施基準に関する留意事項」では、本来、特別防除ができない地域でも、 地域住民から要望があるなどの条件をクリアーすると、空散できる場合があるこ とが示されています。その場合、要望は文書で示されることになっていますが、 貴市町村では昨年、何通の要望書が提出されていますか。 (11)国有林などと共同で特別防除をしている場合、安全対策はそれぞれどのよ うに行っていますか。県の協議会に参加していますか。 (12)林野庁や県などから特別防除以外の松枯れ対策について、どのような指導 がなされていますか。 【質問3】昨年度、貴市町村では、飛散及び気中濃度測定をどの地域で、それぞ れ何検体実施されましたか。  万一散布する場合は、出来るだけ多くの地点で飛散及び気中濃度調査を行い、 広い地域で健康被害の調査を実施してください。 【質問4】今まで全国各地で松枯れ空散による健康被害の報告があったことをご 存じですか。