******************************* 農林水産省の業務への意見、提案 ******************************* 2009年8月8日 農林水産省大臣官房情報評価課情報分析・評価室 あて https://www.contact.maff.go.jp/maff/form/f5c2.html フォームより投稿 氏名 反農薬東京グループ 性別 年代 都道府県 東京都 住所 西東京市東伏見2−2−28−B 職業 その他 電話 0424633027 メールアドレス mtsuji@jcom.home.ne.jp 農薬に関する業務提案1〜4(全21のうち) ---------------------- ■件名 農薬に関する業務提案1:農薬の公定規格について 【意見】  農薬製剤に含有されるダイオキシン、その他の有害物質の含有量を公定規格化すべきで ある。  説明:農薬取締法第一条の三(公定規格)に、  『農林水産大臣は、農薬につき、その種類ごとに、含有すべき有効成分の量、含有を許 される有害成分の最大量その他必要な事項についての規格(以下「公定規格」という。) を定めることができる。』とあるが、現在、「公定規格」はない。  農薬登録申請に関する通知「「農薬の登録申請書等に添付する資料等について」の運用 について 」(13生産第3988号農林水産省生産局生産資材課長通知)第4、第5項で、 ダイオキシン類、DDT類、HCB、ベンゾ[a]ピレン、イソマラソン、ヒドラジン、 β−ナフトール、1、2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン、 テトラクロロエチレン、エチレンチオウレア(ETU)、 重金属類(セレン、カドミウム、クロム、鉛、水銀及び砒素)について、含有量を報告す るよう求められている。 ■件名 農薬に関する業務提案2:農薬の残留性試験と毒性試験成績について 【意見1】  当該農薬が現在登録されているか、登録失効しているかに拘わらず、すべての農薬の残 留性試験と毒性試験成績をインターネットで公開すべきである。  説明:農薬取締法第二条(農薬の登録)の第2項で、農薬登録申請に際しては、当該農 薬の毒性及び残留性に関する試験成績を記載した書類の提出が義務づけられている。  農薬登録申請に関する通知「農薬の登録申請に係る試験成績について」(12農産第8147 号農林水産省農産園芸局長通知)第8項で、農水省は、登録申請者にこれらデータを公開 するよう求めている。  内閣府食品安全委員会は、ADIを設定する場合、農薬評価書を公開している。  独立行政法人農林水産消費安全技術センターは、そのホームページに、農薬抄録を公開 しているが、09年8月5日現在 68件にすぎない。 【意見2】  農薬の登録申請に際して、提出が免除されている試験項目について、農薬ごとのデータ ベースを作成し、公開すべきである。  説明:農薬登録申請に関する通知「農薬の登録申請に係る試験成績について 」(12農 産第8147号農林水産省農産園芸局長通知)の別表2に試験成績の提出を要しない場合の条 件が記載されている。 どの農薬について、どのような試験項目の提出が免除されているか不明である。 【意見3】  発達神経毒性、環境ホルモン作用など新たな毒性試験を導入すべきである。  説明:有機リン剤の脳・神経系への影響が懸念されている。  微量で作用し、被曝時期によっては、生殖系、神経系、免疫系などに回復不可能な影響 をおよぼす恐れのある物質の評価方法が開発されていない。   【意見4】個々の水生・土壌生物・昆虫ほかに対して、急性毒性だけでなく、生態系に対 する影響を調査すべきである。  説明:現在は、水産動植物や有用生物などへの影響評価では、試験生物のみを対象した 急性毒性試験しか要求されていない。  致死量よりも低い濃度での投与で、当該生物の生涯にわたる影響を調べる必要がある。  当該生物の餌となる他の生物への影響や土壌殺菌による土中の生物相への影響を調べる 必要がある。 ■件名 農薬に関する業務提案3:農薬の補助成分について 【意見】  農薬製剤ごとに、含有されている補助成分名をデーターベース化し、インターネットで 公表すべきである。  説明:農薬登録申請に関する通知「「農薬の登録申請書等に添付する資料等について」 の運用について 」(13生産第3988号農林水産省生産局生産資材課長通知)第3項で、補 助成分の種類と含有量を報告することになっている。  個々の農薬製剤中に添加されている補助成分は企業秘密とされて、公表されていないが、 どのような補助成分が含まれているかは、販売されている製品を分析すれば、判明するこ とで、秘密とはいいがたい。また、企業利益を保護するためには、特許法がある。  農薬の補助成分は、その物質の環境汚染につながる。  農薬の補助成分は、農薬の毒性に影響をあたえる。仮に、中毒になった場合、補助成分 が不明だと、的確な治療ができない。 ■件名 農薬に関する業務提案4:農薬登録票について 【意見】  現在登録されているか、登録失効しているかに拘わらず、すべての農薬登録票を公開し、 その記載事項をデーターベース化し、インターネットで公開すべきである。  説明:農薬取締法第二条(農薬の登録)の第3項により、農林水産大臣は、登録票を交 付することになっている。  現在は、登録票記載事項のうち、適用作物や使用方法は、農林水産消費安全技術セン ターのデータベースで調べることができるが、含有成分と含有量、製造場所などについて のデータはみられない。 ■件名 農薬に関する業務提案5:農薬の販売者について 【意見】  農薬販売者の届出情報をインターネットで公表すべきである。  説明:農薬取締法第八条(販売者の届出)で、販売者は、都道府県知事に販売所の所在 等の届出を義務付けられているが、無届けの販売者が後を絶たない。 ■件名 農薬に関する業務提案6:農薬の製造、出荷、輸出入の統計資料について 【意見】  農薬の製造・出荷。輸出入等に関する統計資料の詳細をインターネットで無料公開すべ きである。  説明:農薬取締法第十条(帳簿)に、  『製造者、輸入者は、帳簿を備え付け、これに農薬の種類別に、製造者及び輸入者にあ つてはその製造又は輸入数量及び譲渡先別譲渡数量を、真実かつ完全に記載し、少なくと も三年間その帳簿を保存しなければならない。』とあり、 農薬取締法施行規則第十条 (生産及び輸入数量等の報告義務)で、農薬年度ごとに報告 すべき内容の書式が定められている。  生産統計は、毎年、日本植物防疫協会が発行する「農薬要覧」で公表されているが、1 冊9450円と高価である。   PRTR法のPRTR届出外排出量の推計資料  (http://www.env.go.jp/chemi/prtr/result/todokedegai_siryo.html )や  国立環境研究所の農薬データベース  ( http://db-out.nies.go.jp/kis-plus/index_3.html )には、農薬要覧記載の統計 が利用されている。  また、水源周辺での農薬の使用情報を水道事業者へ提供することが求められている。  インターネットで公開すれば、統計データを誰でも有効に使用できる。 ■件名 農薬に関する業務提案7:販売禁止農薬について 【意見】  販売禁止農薬による環境汚染を防止するため、過去において当該農薬の原体や製剤を製 造していた工場跡地やその廃棄物処分場などをリストアップし、台帳を作成、環境汚染状 況の調査を実施し、データベース化したものインターネットで公表すべきである。  説明:農薬取締法第九条 (販売者についての農薬の販売の制限又は禁止等)に基づく 農薬の販売の禁止を定める省令では、POPs系農薬、ダイオキシン含有農薬、重金属系農薬 ら21種の農薬が挙げられている。  POPs系農薬や2,4,5-T系農薬が、農水省の指示により埋設されている個所は判明してい る。  ストックホルム条約にもとづき、POPs系の埋設個所の処理は実施されつつあるが、販売 禁止農薬を製造していた工場やその廃棄物処分場の所在場所やそれらの周辺での土壌や地 下水の農薬等汚染状況は系統的に調べられたことはない。  旧農薬工場跡地からPOPsやダイオキシン以外に、PCPやCNP、砒素などが検出され た事例がある。 ■件名 農薬に関する業務提案8:農薬でない除草剤について 【意見】  市販されている農薬でない除草剤について、表示等に違法性がないかどうかを調査し、 結果を公表すべきである。  説明:農薬取締法第十条の三(除草剤を農薬として使用することができない旨の表示) 及び第十条の四(勧告及び命令)で、 小売業者の店頭や、銘柄ごとの容器ラベルに農薬 として使用出来ない旨の表示が義務づけられている。  しかし、「農薬でない」と記しながら花や樹木などの周辺での使用をすすめている例が 後を絶たない。特に、インターネットや通信販売に目立つ。これらは農薬取締法違反にな るのできちんと調査し、規制すべきである。  また、農政事務所の業務に「非農耕地除草剤を販売するホームセンターの点検」がある が、点検結果を公表すべきである。さらに、ホームセンターだけでなく通信販売、ホーム ページなどの点検もすべきである。 ■件名 農薬に関する業務提案9:農薬製造者、輸入者、販売者、使用者への立入り検査 について 【意見】  農水省や都道府県、独立行政法人農林水産消費安全技術センター等による立入り検査の 実施状況とその結果の詳細をインターネットで公開すべきである。  説明:農薬取締法第十三条(報告及び検査)と第十三条の二(センターによる検査)で、 農薬の製造、加工、輸入、販売、使用に関する報告を命じたり、立入り検査が実施されて いる。  独立行政法人農林水産消費安全技術センターは、農薬検査所時代から農薬取締法第十三 条の二に基づき、『製造者、輸入者、販売者若しくは農薬使用者から検査のため必要な数 量の農薬若しくはその原料を集取させ、又は必要な場所に立ち入り、農薬の製造、加工、 輸入、販売若しくは使用の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることが できる』となっており、その検査結果は、大臣に報告せねばならない。  検査の概要は、毎年発行されている農薬検査所報告に記載されて来たが、その詳細は不 明であった上、同報告は平成19年の47号で終刊となっており、その後、センターからの業 務報告はない。 ■件名 農薬に関する業務提案10:「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省 令」について 【意見】   省令にある努力規定を義務規定とし、監視・指導を強化すべきである。  説明:農薬取締法第十二条(農薬の使用の規制)に基づいた省令であるが、遵守といい ながら、罰則が伴う義務規定と伴わない努力規定にわかれている。  非食用農作物への農薬使用、有効期限切れの農薬、使用者の帳簿記載などについての規 制は、努力規定で、罰則がないため、指導が十分に実施されない。  くん蒸剤の被覆、水田使用農薬での流出防止、住宅地近接地での飛散防止についても努 力規定にすぎない。(住宅地については次の業務提案参照。) ■件名 農薬に関する業務提案11:通知「住宅地等における農薬使用について」につい て 【意見】住宅地通知の記載内容(定期散布をしない/剪定や捕殺の実施/農薬使用の場合、 散布以外の方法/ラベル記載事項の遵守/飛散を減らす手段/住民への農薬散布の周知ほ か)について、その実施状況(農耕地と非農耕地を含む)を調査し、その結果を公表した 上、指導を強化すべきである。  説明:標記通知は、農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令第六条(住宅地等 における農薬の使用)に基づいて発出された農水省・環境省の二局長連名通知であるが、 省令条文自体が努力規定であるため、 記載内容が十分実施されているとはいい難い。 ■件名 農薬に関する業務提案12:くん蒸による農薬使用について 【意見1】   農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令第三条 (くん蒸による農薬の使用)に 該当するくん蒸剤の使用計画の詳細をインターネットで公表すべきである。  説明:使用者は、使用計画書を農林水産大臣に提出するとされているが、内容は公表さ れていない。 【意見2】  揮散防止のため被覆を要するクロルピクリンや不可欠用途の臭化メチルについては、対 象作物毎の数量を公表し、これら薬剤を使用しない代替方法を開発・普及すべきである。  説明:農薬で、最も健康被害の多いクロルピクリンは、年間約6200トン(07年度)が生 産・輸入されている。  地球温暖化ガスとして規制対象になっている臭化メチルは不可欠用途で年間約500トン (07年度)が出荷されている。 ■件名 農薬に関する業務提案13:航空機による農薬使用について 【意見】  航空機による農薬使用計画及び散布実績の地域別の詳細をインターネットで公表すべき である。  説明:農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令第四条(航空機を用いた農薬の 使用)使用計画書が農林水産大臣に提出されている。しかし、インターネットで公表され るのは水稲、ミバエ類、その他などの概数のみであり、市町村別農薬使用のデータの詳細 は農水省や地方農政局へ行かないと閲覧できない。  実績は公表されていない。 ■件名 農薬に関する業務提案14:農林水産航空協会について 【意見】  農水省が管轄する公益法人名(社)農林水産航空協会がその目的に沿った事業を行うよう 指導を強化すべきである。  説明:同協会の定款第二条に『農林水産業における航空機による薬剤、肥料の散布等航 空機を利用する事業の発展を図るため、農林水産航空事業の実施に関する情報の収集・提 供、調査研究、新技術の開発その他農林水産航空事業の振興に関する事業を行うことを目 的とする』とありながら、農水省や環境省が委託した農薬の無人ヘリコプターや地上散布 に関する事業を行っている。 事業の中には、農薬の環境分析調査もあるが、同協会は分析技術はなく、部外の民間分析 機関に丸投げしている。  注)航空機とは有人ヘリコプターを意味し、無人ヘリコプターは航空機の定義に入らな い。 そのため、農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令第四条(航空機を用い た農薬の使用)は適用されない。無人ヘリコプターについては、別途「無人ヘリコプター 利用技術指導指針」がある。 ■件名 農薬に関する業務提案15:無人ヘリコプターによる農薬空中散布について 【意見1】  昨年最終改定された農蚕園芸局長通知「無人ヘリコプター利用技術指導指針」の遵守状 況を調査し、指導を強化すべきである。  説明:最近、有人ヘリコプター散布に替わって、無人ヘリコプター散布が多くなってい る。一度に広範囲に散布すること、地上散布の100倍以上の希釈倍率で散布することの危 険性は、有人ヘリと同じである。  農林水産航空協会が、その定款目的に反して、操作要員教育や機体の検査などを実施し ている。要員1万2000人、機体2300機を超えるのに、農水省による直接指導が行われてい るとはいいがたい。  無人ヘリコプターも有人ヘリコプター空中散布と同等に扱い、国が責任を持ち、指針が 守られないならば、罰則を付けてでも遵守させるべきである。 【意見2】  無人ヘリによる農薬使用計画及び散布実績の地域別の詳細をインターネットで公表すべ きである。  説明:有人ヘリ散布に関しては、毎年度事業開始前に全国の散布計画をとりまとめて公 表することになっている(上記項目13のように公表の仕方は不十分であるが)。無人ヘ リ散布に関しても詳細な散布計画と散布実績の報告を求め、その結果の公表が必要である。 【意見3】年度ごとに、無人ヘリコプターの操作要員数、機種別機体数等に関する詳細な 地域別調査を実施し、その結果をインターネットで公表すべきである。  説明:無人ヘリコプター利用技術指導指針には 『第9 社団法人農林水産航空協会の役割  3 操作要員、機体、事業の実施状況等に関する情報の収集等による実態把握、  5 上記1 から4 までに関する実施計画及び結果については、毎年度、農林水産省消 費・安全局長に報告すること。  第1 0 空中散布等の実績の公表  消費・安全局長は、第9 の5 の報告を受け、全国の無人ヘリコプターによる  空中散布等の実績について取りまとめ、その概要を公表するものとする。』とある。  農水省は、概要だけでなく、詳細を公表すべきである。 【意見4】  無人ヘリ散布散布に係わる事故については、国が調査を行い、その原因や対策について の報告書を作成し、データベース化したものを、インターネットで公開すべきである。  説明:昨年、学校のプールに墜落したり、散布中の無人ヘリが行方不明になるなどの事 故があった。事故の詳細、再発防止対策を明らかにすべきである。  また、無人ヘリ散布の事故発生時、どこに報告するかなどの規定がないのはおかしい。 有人ヘリの場合は事故が起これば国交省が調査するが、無人ヘリは航空機ではないとされ ており、事故調査の責任の所在があいまいである。 ■件名 農薬に関する業務提案16:ゴルフ場における農薬の使用について 【意見1】  ゴルフ場における農薬使用計画をインターネットで公表すべきある。  説明:農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令第五条(ゴルフ場における農薬 の使用)で、ゴルフ場農薬使用者は、毎年散布前に、農薬使用計画書の提出が求められて いる。 【意見2】  使用計画書が提出されるべき農政事務所・農政局はゴルフ場の農薬使用についてきちん と把握し、ゴルフ場に立入り検査し、計画書通りに実施されているかを調査し、不適切な 場合の指導を強化すべきである。また、検査結果の詳細をインターネットで公表すべきで ある。  説明:都道府県の農政事務所はゴルフ場の農薬使用についてきちんと把握していない。 中には、担当する県についていくつゴルフ場があるのかすら把握していないところがあっ た。この規定は努力義務ではなく遵守義務になっていて違反すると罰則がかけられる。に もかかわらず、農政事務所、農政局、農薬対策室は漫然と届出があるゴルフ場のまとめを するだけで、検証・点検調査をしていない。これは怠慢である。きちんと把握して公表す べきである。 ■件名 農薬に関する業務提案17:無登録農薬、農薬疑義資材について  【意見】  登録農薬、無登録農薬、農薬疑義資材について、農薬目安箱等へ情報提供のあった内容 と調査結果をインターネットで公表すべきである。  説明:登録申請と異なる農薬、無登録農薬、農薬活性成分を含む農薬疑義資材が販売さ れている事例がみられる。  農薬目安箱が農水省のホームページに設けられている。 ■件名 農薬に関する業務提案18:農薬による人の健康被害や環境等の被害について 【意見1】  年度ごとに、農薬による人の健康被害調査を統合一元化して実施し、その結果をデータ ベースにして、インターネットで公表すべきである。  説明:人については、農水省、厚労省(毒劇法、人口動態統計、家庭用品等に係る吸入 事故等に関する報告など)、警察関連の自他殺・変死事例(科学警察研究所資料)などがあ るが、それぞれの数値はバラバラである。 【意見2】  農業者の農薬による健康被害についての大規模調査を実施し、その結果を公表すべきで ある。  説明:農業者の農薬中毒の調査は、1977から78年に実施された全農中央会による2万700 0人規模のアンケート調査があり、約4分の1の使用者が農薬による健康被害を受けていた ことが判明した。しかし、その後、このような調査は実施されていない。  調査においては、一過性の頭痛や下痢、眼のかゆみなども健康被害とみなす必要がある。 【意見3】  有人及び無人ヘリコプター散布地域住民の大規模な健康調査を実施し、その結果を公表 すべきである。  説明:一斉に広範囲に、高濃度の農薬を散布する空中散布において、地域住民を対象と した大規模な健康調査は行われたことがない。  08年、島根県出雲市で実施された松枯れ対策空中散布では、1200人以上が眼の痛み・か ゆみなどを訴えた。一過性の頭痛や下痢、眼のかゆみなども農薬被害とみなした調査が望 まれる。   環境省が、10農薬について、航空防除農薬に係る気中濃度評価値を設定しているが、 ここでは、一過性のものは、健康被害とみなされていない。  無人ヘリ散布は、周知なしに住宅地隣接地でも実施される場合がある。妊婦、乳幼児、 子ども、化学物質過敏症など農薬に弱い人は健康被害を受ける可能性がある。 【意見4】  年度ごとに、農薬による農作物被害や環境被害、物損等の統合一元化した調査を実施し、 その結果の詳細をデータベースにして、インターネットで公表すべきである。  説明:農水省、環境省や地方自治体などから、農作物の被害、魚毒性事件、野鳥等の被 害、小動物の毒殺事件などの情報がバラバラに報告されているにすぎない。  農水省が毎年公表するのは、件数のみで、被害の詳細が不明である。 ■件名 農薬に関する業務提案19:農薬によるドリフトや環境汚染調査について 【意見1】  農薬の大気汚染と健康への影響についての事業を統合一元化して実施し、その結果を公 表すべきである。  説明:現在、農水省は「有機リン系農薬の評価及び試験方法の開発調査事業」を、環境 省は「農薬飛散リスク評価手法等確立調査事業」を別個に実施しており、請負業者はいず れも農林水産航空協会である。 【意見2】  農薬の大気、水、土壌等の汚染調査を統合一元化して実施し、その結果をデータベース にして、インターネットで公表すべきである。  説明:農水省、環境省、地方自治体などが、農薬環境汚染調査を独自に実施している。 ■件名 農薬に関する業務提案20、食品における残留農薬調査について 【意見】 残留農薬調査結果を統合一元化したデータベースとしてインターネットで公表 すべきである。  説明:現状では、農水省、厚労省、環境省、地方自治体がそれぞれ農作物等の残留分析 を実施し、独自に公表している。  その際、農薬検出率を分析対象農薬×検体数ベースで示すのではなく、検体数ベースで 示すべきである。 ■件名 農薬に関する業務提案21:減農薬・脱農薬による農林業について 【意見1】  農薬使用をできるだけ減らした農業技術の開発とその普及をはかるべきであり、総合的 病害虫・雑草管理(IPM)に係る講習会や研修会の実施を強化すべきである。  説明:農薬の多くは、直接、環境中に散布される殺生物力をもつ合成化学物質であり、 人の健康や環境への悪影響が危惧されることから、農薬取締法の目的には、『国民の生活 環境の保全に寄与すること』と記載されている。  農薬取締法第十二条の四(農林水産大臣及び都道府県知事の援助)で 『 農薬について、その使用に伴うと認められる人畜、農作物等若しくは水産動植物の 被害、水質の汚濁又は土壌の汚染を防止するため必要な知識の普及、その生産、使用等に 関する情報の提供その他その安全かつ適正な使用の確保と品質の適正化に関する助言、指 導その他の援助を行うように努めるものとする。』とあるが、農薬の適正使用には、減農 薬・脱農薬も含めた農林業の推進も該当する。  現在、地方自治体らの行っている一般向けの農業講座などでは、農薬使用を前提とした 慣行農法が多く取り上げられている。  通知「住宅地等における農薬使用について」では、環境省の管理者向け病害虫・雑草管 理マニュアルや、農業者向けの総合的病害虫・雑草管理実践指針などの資料を適宜活用さ れたい、農薬使用の回数及び量を削減すること、となっている。  「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」で、、化学的に合成された農 薬の使用を減少が、「有機農業の推進に関する法律」で、有機農業の推進が謳われている。 【意見2】松枯れ対策としてのマツノマダラカミキリ駆除の農薬散布事業をやめるべきで ある。  説明:30年以上も、農薬の空中散布や地上散布が実施されてきたが、松枯れは根絶され ていない。  農薬空中散布については、各地で健康被害の報告がある。  通知「住宅地等における農薬使用について」で、森林病害虫等防除法に基づき周辺の被 害状況から見て松くい虫等の防除のための予防散布を行わざるを得ない場合に、誘殺、塗 布、樹幹注入等散布以外の方法を活用する、となっている。  耐性松の育種や樹種転換が実施されている地域もある。 ****** ■件名 農産物検査法によるコメの検査について 【意見】  農産物検査法の着色粒の項目を削除し、消費者が望んでいる安全性の検査を取り入れる べきだ。  説明:農産物検査法は昭和26年に「農産物の公正かつ円滑な取引とその品質の改善とを 助長し、あわせて農家経済の発展と農産物消費の合理化とに寄与するため」として制定さ れた。この法律の「農産物」とは、米穀と麦である。つまりこの法律の目的はコメの流通 の合理化のためであり、生産者や消費者には何のメリットもない。  この法律に基づいて「品位等検査」が省令によって定められている。この規定は昭和46 年にできた。その中に着色粒の項目があり、異常に厳しい内容になっている。着色粒は主 にカメムシの吸汁痕とされているが、1000粒に2粒以上着色粒が混入していると二等米に なり玄米60キロで約1000円の価格差がある。着色粒は毒ではないし、1000粒に2粒混じっ ていたとしても、味に変化があるわけではない。全く見かけだけのために等級が落ち、価 格が安くなる。そのため、農家はカメムシ防除のための農薬散布を実施せざるを得ないし、 農水省の関係部局は毎年病害虫発生予報をだし、カメムシに対して農薬による防除をすす めている。  米は余っており、農薬はできる限り減らすのが時代の趨勢である。収量に関係のないカ メムシ防除が水田の殺虫剤使用のトップを占めているというのは、どう考えても改善すべ きである。そのためにはこの規格を削除しなければならない。  二等米でも着色粒を一粒減らせば一等米にでき、消費者が米屋で買う米には二等米はな い。この価格差はどこへ消えたのか。また、農水省は「消費者の要求」というが、消費者 はそのような仕組みについては何も知らない。要求しているのは流通業者である。先日、 消費者と生産者向けに「斑点米アンケート」を実施したが、3200通を超える消費者からの 回答があった。圧倒的多数の消費者は、着色粒の項目を削除すべきと回答している。  消費者は、このような見かけの検査よりも、どのくらい農薬をかけたのかなどの安全に 対する検査を要求している。