************************************** 水質管理目標設定項目の一部改正について ************************************** 厚生労働省健康局水道課水道水質管理室 御中  表記について、農薬等に関連する意見を述べますので、ご査収ください。 [氏名]反農薬東京グループ [住所]西東京市東伏見2−2−28−B [電話番号]042-463-3027 [FAX番号]042-463-3027 【意見1】EPNとクロルピリホスのADIが再評価された結果、目標値が変更されたのは、  当然であるが、両成分はいずれも有機リン剤であり、総有機リン剤としての目標値も  設定することが望まれる。 【理由】体内で、同じような機構で作用する有機リン剤はひとまとめにして規制すべきで  ある。 【意見2】水源周辺で使用される農薬の種類と使用時期、数量について、農薬の使用者・  販売者に対し、水道事業体へ、農薬成分ごとの使用計画の提供を義務づけるべきである。 【理由】  1、県や農協が作成している防除基準や防除暦の提供だけでは、農薬毎の使用時期、使   用量が不明である。  2、農水省は、地方部局や全農等へ、水道事業体が行なう農薬使用に関する情報収集に   協力するよう依頼(16消安第3967号、H16年10月26日発出)を出しているが、これで   は不十分であり、協力のみでは、正確な情報が把握できない。  3、水源近くの桜並木に殺虫剤が散布されていたり、河川敷の不快害虫駆除に農薬の殺   虫剤が使用されていた。このような事例は水道事業体に通報されていない。 【意見3】有機リン系やピレスロイド系殺虫剤が衛生害虫・不快害虫用殺虫剤・シロアリ  防除剤として、多用されている。さらに、農薬と同じ成分を含有する非農物用除草剤が、  量販店やホームセンターで販売されている。これらの使用は、前記の農薬取締法でいう  農薬でないため農水省の通知対象に該当しない。農薬でない、殺虫剤や除草剤について  の水源汚染実態も調査すべきである。 【理由】  1、残効性のあるピレスロイド系殺虫剤は大気を通じ、水系汚染につながる恐れがある。  2、DDVPなど有機リン剤の中には大気や雨水中に検出されるものもある。  3、非農作物用除草剤の農作物への使用は禁止されているが、非農耕地での使用を規制   する法律がない。 【意見4】建築物衛生法にもとづき、薬事法で承認された衛生害虫用殺虫剤が使用される  が、ビルやマンションに設置される貯水槽等の殺虫剤汚染実態を調査すべきである。 【理由】H20年6月5日、大阪市内のビルの貯水層に殺虫剤が誤まって混入された。 【意見5】河川水や地下水の農薬汚染実態調査を実施し、水質管理目標値設定の対象農薬  選定の参考にすべきである。 【理由】環境省による「農薬残留対策総合調査」(H15〜H18年度)    http://www.env.go.jp/water/dojo/noyaku/report2/index.html  によれば、以下のようである(*印は水道目標値が設定されていない農薬成分)。  水田用農薬が、表に示すように、河川水に検出されている。さらに、埼玉県の元荒川と  中川で、04年度と05年度に実施された河川水の長期モニター調査では、チオベンカルブ  が50日間検出(0.11-0.88ppb)、CATが全期間検出(0.04-0.15ppb)、イソキサチオンの  オキソン体が30日間検出(0.78-1.30ppb)、イプロベンホスが75日間(0.03-0.22ppb)、ブ  ロモブチドが9月以外の全期間検出(0.4-3.40ppb)されている。このうち夕張川の水質に  目標値3μg/Lを超えたMEPが検出された。  非水田用農薬の調査でも、04と05年度には、テンサイとコムギが栽培されている北海道  の売買川流域で、5月中旬-9月下旬に調査が行なわれ、アトラジン0.5、フルトラニル2.  8、プロシミドン0.12、ペンシクロン0.3、メトラクロール*0.9、レナシル0.77、NAC  2.37、TPN0.02各ppb(いずれも最大値)が検出されている。  表 河川水に検出された水田用農薬(単位:ppb=μg/L) 農薬名 用途 最大値 採取場所 採取年月日 BPMC 虫 0.07 北海道夕張川 03/05/29 MEP  虫 3.94 北海道夕張川 03/07/29 イソプロチオラン 菌 0.42 神奈川県渋田川 05/06/13 エスプロカルブ 草 0.92 北海道夕張川 03/06/02 オキサジクロルホン 草  0.3 埼玉県越辺川 05/06/13 カフェンストロール 草 3.19 兵庫県杉原川 05/ カルボフラン 草  0.7 大阪府大乗川 03/ クロメプロップ *   草 1 青森県岩木川 04/ クロメプロップ酸*   代謝物 2 青森県岩木川 04/ シメトリン 草 3.2 埼玉県大谷川 04/ ダイムロン 草 4.24 兵庫県杉原川 05/ チオベンカルブ  草  3.96 神奈川県渋田川 05/06/15 テニルクロール 草 1.07 北海道夕張川 03/06/02 ピラゾスルフロンエチル* 草 0.65 茨城県久慈川 05/05/19 ピリミノパックメチル* 草 0.8 兵庫県杉原川 05/ ピロキロン 菌 7.1 兵庫県杉原川 05/ フィプロニル 虫 0.2 大阪府大乗川 03/ フェリムゾン* 菌 0.86 北海道夕張川 03/07/29 フサライド 菌 1.43 北海道夕張川 03/07/29 フルトラニル 菌 0.47 兵庫県杉原川 05/ ブタクロール* 草 5.05 北海道夕張川 03/06/02 ブプロフェンジン 虫 0.35 兵庫県杉原川 05/ プレチラクロール 草  3.46  茨城県久慈川 03/05/12 プロベナゾール 菌 1.9 秋田県岩見川 05/06/20 ブロモブチド 草 6.01 北海道夕張川 03/06/02 ベンスルフロンメチル 草 6.9 兵庫県杉原川 05/ ベンタゾン 草 1.22 北海道夕張川 03/07/29 ベンフレセート * 草 3 北海道夕張川 04/ ペントキサゾン * 草 0.59 兵庫県杉原川 05/ メタラキシル 菌 0.06 北海道夕張川 03/06/02 メトミノストロビン * 菌 0.22 兵庫県杉原川 05/ メフェナセット 草 4.8 埼玉県元荒川 03/06/10 メプロニル 菌  0.39 兵庫県杉原川 05/ 【意見6】アトラジン、シマジン、ジメトエート、トリフルラリン、ペンディメトリンの  目標値は、食品衛生法におけるミネラルウオーターの暫定残留基準に比べて1.5〜8.3倍  高値であり、再考を要する。  農薬名       ミネラル水  水質目標値   (b)/(a)            基準(ppm)=(a)   =(b)  アトラジン        0.002    0.01      5  シマジン         0.002   0.003 1.5  ジメトエート       0.006   0.05      8.3  トリフルラリン      0.02   0.06      3  ペンディメタリン     0.02     0.1       5 【意見7】目標値が設定されている農薬成分について、H19年度の全国水道事業体での水  道原水・浄水・給水栓水等における検出状況を教えられたい。農薬成分ごとの検体数、  検出数、検出範囲、目標値を超えた検体数、検出率の一覧表で示されれば幸いである。