***  出雲中央広場(仮称)の植栽計画について  *** 2008/07/29提出 toshi@city.izumo.shimane.jp 出雲市役所 都市計画課「パブリック・コメント担当」 御中  表記について、下記意見を述べますので、ご査収ください。 [氏名]反農薬東京グループ [住所]西東京市東伏見2−2−28−B [電話番号]042-463-3027 [FAX番号]042-463-3027 【意見1】中央広場の樹木、花木、芝生などの栽培においては、農薬を使用しないことを 前提とした植栽管理をすべきである。 【意見2】中央広場の水回り、下水路などが蚊などの発生源とならないよう設計すべきで ある。 【理由】 1、06年夏、国営公園讃岐まんのう公園で、開園中に農薬散布が行なわれ問題となりまし  た。08年3月、福岡県大牟田市の諏訪公園で、開園時に芝生除草剤が散布され、遠足に  きた児童が遊具で遊べませんでした。   金沢市の兼六園や、高松市の栗林公園では、松枯れ対策の農薬が散布され、周辺住民  が問題にしてきました。本年5月の貴市での松枯れ対策の農薬空中散布により、児童・  生徒を中心に1000人を超える健康被害を受けたことを教訓に、農薬等の不使用を宣言し  た公園づくりをすべきです。 2、農水省と環境省は、住宅地等での農薬使用による住民や子ども等の健康被害を防止す  るため、農薬使用をできるだけ減らすよう2007年1月31日付で農水省・環境省二局長連  名通知「住宅地等における農薬使用について」(以下、住宅地通知という)を出してい  ます。   さらに環境省は、2008年5月30日、「公園・街路樹等病害虫・雑草管理暫定マニュア  ル」を出しました。このマニュアルは、総合的病害虫・雑草管理(IPM)の考え方を  基本とし、各自治体等がそれぞれの環境等に適した管理体系を確立していく上での参考  情報を提供し、農薬によるリスクを減らすことを目的としています。特に行政が委託者  となる公園や街路樹、学校などの樹木管理における農薬使用削減の具体的な方法を示し  ています。 3、「住宅地通知」は、農薬取締法第十二条(農薬の使用の規制)に関連した「農薬を使  用する者が遵守すべき基準を定める省令」の第六条「農薬使用者は、住宅の用に供する  土地及びこれに近接する土地において農薬を使用するときは、農薬が飛散することを防  止するために必要な措置を講じるよう努めなければならない。」に基づき、発出された  ものです。公園については、以下のように特記されています。  『特に公園等における病害虫防除に当たっては、被害を受けた部分のせん定や捕殺等を  優先的に行うこととし、これらによる防除が困難なため農薬を使用する場合(森林病害  虫等防除法(昭和25年法律第53号)に基づき周辺の被害状況から見て松くい虫等の防除  のための予防散布を行わざるを得ない場合を含む。)には、誘殺、塗布、樹幹注入等散  布以外の方法を活用するとともに、やむを得ず散布する場合には、最小限の区域におけ  る農薬散布に留めること。』  『公園等における病害虫防除においては、さらに、散布時に、立て看板の表示等により、  散布区域内に農薬使用者及び農薬使用委託者以外の者が入らないよう最大限の配慮を行  うこと。』 4、環境省のマニュアルは、植栽管理における農薬使用を減らすため、病害虫の発生しや  すい植物の植栽は行わないと明記されています。また、『既に植栽されている植物であ  っても、毎年のように病害虫の発生が問題となる植物は伐採し、病害虫の発生があまり  見られない植物に切り替える。特に、人への健康被害の発生が懸念される害虫が発生し  やすい植物は極力植栽しない』とあります。これはチャドクガが発生しやすいツバキや  サザンカなどを指しています。  また、「病害虫に対する理解の増進」の項では、   ○市町村や関係団体の広報誌等へ病害虫の発生時期に具体的な説明を掲載。   ○町内会の回覧への掲載   ○都道府県、市町村等のHPへの掲載   ○自然体験学習や学校での授業を通して害虫等の生き物としての正しい理解を普及等  が、挙げられています。 5、グリーン購入法は、国、地方公共団体、事業者や国民の責務として「環境物品等を選  択するよう努めるものとする」とあります。  同法の「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」には、役務として、2008年2月の  改訂で、下記のような「植栽管理」の項が追加され、植栽管理に際しては、まず、農薬  以外の病害虫防除手段をとり、農薬の回数や量の削減が謳われています。  ■植栽管理  【判断の基準】   @植栽管理において使用する物品が特定調達品目に該当する場合は、判断の基準を満    たしている物品が使用されていること。   A病害虫予防として、適切な剪定や刈込みを行って通風をよくし、日照等を確保する    とともに、適切な防除手段を用いて、害虫や雑草の密度を低いレベルに維持する総    合的病害虫・雑草管理を行う体制が確保されていること。   B農薬の使用の回数及び量の削減に努めているとともに、農薬取締法に基づいて登録    された適正な農薬を、ラベルに記載されている使用方法(使用回数、使用量、使用    濃度等)及び使用上の注意事項を守って、適正かつ効果的に使用されるものである    こと。  【配慮事項】   @灌水の雨水利用に配慮されていること。   A剪定・除草において発生した、小枝・落葉等の処分について、堆肥化等の環境負荷    低減が図られていること。   B施肥に当たっては、植栽管理において発生した落葉等からできた堆肥(土壌改良    材)が使用されていること。   C植替え等が生じた場合、既存の植栽を考慮し、病害虫の発生しにくい樹種の選定等    について、施設管理者への提案が行われること。   D植栽管理に当たり、使用する機材・器具等については、可能な限り環境負荷低減策    が講じられていること。  (備考)  ・本項の判断の基準の対象とする「植栽管理」とは、庁舎周辺等の植栽地及び屋上緑化   等の管理とする。  ・植栽管理に係る判断の基準Aの「総合的病害虫・雑草管理を行う体制」とは、発生状   況等の調査、被害の早期発見、剪定や捕殺などの物理的防除も含めた防除方法の選択   等、経済性を考慮しつつ健康と環境への負荷の軽減を総合的に講じる体制をいう。  ・植栽管理に係る判断の基準A及びBについては、農薬の使用に係る施設管理者や周辺   地域への情報提供、農薬の飛散防止、適正使用の記録の保持等、「住宅地等における   農薬使用について」に準拠したものであること。 6、「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」には、役務として、2008年2月の改訂  で、下記のような「害虫防除」の項が追加され、まず、生息調査を実施し殺そ剤や殺虫  剤の乱用を避けて、IPM法をとることが謳われています。  ■害虫防除  【判断の基準】   @害虫防除において使用する物品が特定調達品目に該当する場合は、判断の基準を満    たしている物品が使用されていること。   A殺そ剤及び殺虫剤の乱用を避け、生息状況等の調査を重視した総合的な防除措置が    講じられていること。   B害虫等の発生・侵入を防止するための措置が講じられていること。   C防除作業にあたり、事前計画や目標が設定されていること。また、防除作業後に、    効果判定(確認調査、防除の有効性評価等)が行われていること。   D殺そ剤又は殺虫剤の使用に当たっては、薬事法上の製造販売の承認を得た医薬品又    は医薬部外品を使用し、使用回数・使用量・使用濃度等、適正かつ効果的に行われ    ていること。  【配慮事項】   ○生息状況等に応じた適切な害虫防除方法等を提案するよう努めていること。  (備考)  ・本項の判断の基準と対象とする「害虫防除」は、建築物における衛生的環境の確保に   関する法律を基本に、庁舎等のねずみ・昆虫、外来生物等その他人の健康を損なう事   態を生じさせるおそれのある動物等の防除とする。 7、東京都は、04年3月、「化学物質の子どもガイドライン(殺虫剤樹木散布編)」を  策定し、子どもの身近な環境における樹木散布用殺虫剤の影響を減らすために、子ども  が多く利用する施設(学校、幼稚園、保育園、児童遊園など)の管理者や害虫防除事業  者が自主的に取り組む具体的内容を提案しました。   都は、学校芝生化を推進していますが、都議会での答弁で、環境局長は、学校芝生化  において農薬を使用しないことを表明しています。 8、名古屋市は、市有施設における薬剤散布状況を把握し適正な使用を促進するために、  05年度の薬剤散布状況に関する調査し、その詳細を07年6月に公表しました。この結果  を踏まえ、平成20年1月、『市が率先して薬剤の適正使用を推進することにより、環境  への負荷の低減を図り、人の健康と安全を確保するため』として「名古屋市の施設等に  おける農薬・殺虫剤等薬剤の適正使用に係る基本指針」と適正使用マニュアルを策定し  ました。その中では、「病害虫等の生息状況に関らず、一律に薬剤を使用することは、  原則として行わないこととする。」されています。 9、愛知県は、06年度県有施設における害虫等防除の状況についての調査結果を08年3月  に公表し、同時に「県有施設における農薬・殺虫剤等適正使用ガイドライン」を策定し  ました。ここでも『病害虫、ねずみ・昆虫等の防除を実施するに当たっては、物理的防  除などを優先し、定期的に薬剤を使用することはしません。』とされています。  また、『県有施設における農薬、殺虫剤等の薬剤の適正使用を図るため、施設の管理者、  病害虫等防除の責任者、薬剤使用者等を対象に、研修会等を実施し、このガイドライン  の周知徹底をはかります。 また、県内市町村等へもこのガイドラインの普及・啓発に  努めます。』 10、岐阜県は、08年4月、県有施設における害虫駆除や植栽管理などの病害虫等防除時に、  できる限り薬剤を使用しない方法を推進することにより、環境への負荷の低減を図り、  人の健康と環境に配慮した公共施設とするため、「県有施設における病害虫等防除に関  する基本方針」を定めています。 11、厚労省が、本年1月25日に出した建築物衛生法維持管理要領とマニュアルでは、ねず  み、ゴキブリ、カ、その他(ハエ、ダニ)について具体的なIPM手法が示されていま  す。  公園においても、IPM手法で、衛生害虫の発生・繁殖をたつ必要があります。害虫等  の駆除を薬剤に頼らないよう、設計の段階から配慮すべきです。