******************************************************* 「今後の土壌汚染対策の在り方について(案)に対する意見」 *******************************************************         2008年12月12日 環境省水・大気環境局土壌環境課 パブリックコメント担当 御中  標記の件で、主に農薬を対象として意見を述べます。ご査収ください。 [氏名]反農薬東京グループ [住所]西東京市東伏見2−2−28−B [電話番号] 042-463-3027 [FAX番号] 042-463-3027 【意見1】土壌汚染対策法で指定されている特定有害物質として、以下のものを追加する。  @化審法の「第一種特定化学物質」及び製造工程で、同物質を副生し、不純物として含   有している化学物質   1)かって国内で登録され、製造・販売・使用されていた農薬:    POPs系のジコホール(=ケルセン)、γ-BHC、DDT*、アルドリン*、          エンドリン*、 ディルドリン*、クロルデン*、ヘプタクロル*    及びビス(トリブチルスズ)=オキシド 、   2)HCB*を不純物として含有する農薬:    PCP、PCNB、TCTP、TPN、フサライド、  A農薬取締法による販売禁止農薬   1)上記@-1のPOPs系農薬に加え、マイレックス*、トキサフェン*   2)ダイオキシン含有農薬:2,4,5−T、PCP、CNP、PCNB、   3)有機リン系農薬:TEPP、メチルパラチオン、パラチオン、   4)重金属系農薬:水銀およびその化合物、砒酸鉛、           シヘキサチン(水酸化トリシクロヘキシルスズ)   5)その他:ダイホルタン(=カプタホール)  BPOPs条約に挙げられている化学物質   1)上記@及びAに*印をつけたもの   2)PCB、ダイオキシン類 【理由】  1)現在、土壌汚染対策法で、特定有害物質に指定されている農薬やその関連物質は   シマジン、チオベンカルブ、D-D,チウラム、4種の有機リン剤(パラチオン、   メチルパラチオン、メチルジメトン、EPN)、重金属系化合物(水銀、鉛、砒素)、   PCBしかない。  2)ダイオキシン類対策特別措置法における特定施設にダイオキシン含有農薬の製造・   使用工場がはいっていない。  3)ダイオキシンだけでなく、ダイオキシンを不純物として含有する化学物質自体の   環境調査も必要である。 【意見2】かって、特定有害物質vを製造・使用又は取扱ってい  た工場等(自治体の農業試験場や農協倉庫などを含む)の敷地、その工程廃棄物処理施設、  廃棄物最終処分場などの所在をリスト化し、元従業員や関係者、地元住民などから、操  業実態、埋設や投棄についての情報を聞き取り調査した上、その結果及び現況等を記載  した台帳を作成し、閲覧に供するだけでなく、その内容をインターネットで公開する。 【理由】  1)環境省は、旧日本軍が投棄・埋設した化学兵器について全国調査した。  2)廃PCBや含有製品の保管場所については台帳化されている。  3)すでに操業を停止している工場跡地などで、汚染が明らかになった事例に、以下のよ   うなものがある。  ・長野県長野市富竹では、埋設POPsを掘り起こした跡地で、BHC汚染が発覚した。  ・福岡県宗像郡福間町の中外製薬九州工場(旧永光化成の工場跡地)でBHC汚染が   発覚した。  ・クニミネ工業(旧国峯礦化工業)の山形工場(山形県大江町左沢)や太田工場(茨城   県常陸太田市)では、PCPやダイオキシン汚染が問題となった。  ・POPs埋設個所であるクミアイ化学小牛田工場(宮城県小牛田町)、協友アグリ   (旧三笠化学=八州化学)甘木工場(福岡県甘木市)などでは、工場敷地の汚染が   みられた。  ・砒素鉛を製造していたクミアイ化学(旧東亜農薬)横浜工場跡地(横浜市都筑区   川和町)で、地下鉄車両基地建設中に、砒素汚染が発覚した。  ・BHC、PCPやCNPほかを製造していた福岡県久留米市荒木町の三西化学跡地で   は、農薬自体のほか、副生した不純物のダイオキシン類による環境汚染がみられた。  ・熊本県荒尾市で、PCP、BHCによる井戸水汚染が発覚したが、かっての農薬メー   カー三光化学が汚染源となっている可能性が大である。  ・三共株式会社の滋賀県野洲川工場敷地でエンドリン、砒素、水銀汚染が判明した。  ・秋田県男鹿市と秋田市のBHC埋設個所で地下水のBHC汚染が判明した。  ・千葉県香取市のJA佐原市の敷地で、埋設したBHCが漏洩していた。  ・東京都北区にある日産化学王子工場跡地の豊島5丁目団地では、広範なダイオキシン   汚染が問題となっている。  ・共同化学工業の平塚市神奈川工場の跡地で、道路工事中にBHC袋の埋設が判明した。  ・静岡市清水区で、クミアイ化学の産業廃棄物投棄場でアルドリン、シマジン、   チオベンカルブ、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレンらが検出された。 【意見3】上記のような個所の汚染原因者に、特定有害物質について環境調査を実施し、  その結果を周辺住民や地権者に知らせるだけでなく、インターネットで公表することを  義務づける。。 【理由】汚染状況の実態がよくわかり、原因者の責任が明確になる。 【意見4】特定有害物質の汚染原因者には、環境汚染の拡大防止や土壌の掘削や浄化の実  施を義務付ける。 【理由】  1)福岡県久留米市の三西化学農薬工場跡地では、原因者の三井化学が浄化対策の実施を   表明している。  2)静岡県清水区で、クミアイ化学が農薬を埋設個所では、同社が浄化計画を実施してい   る。 【意見5】農水省や林野庁の指示で、土中埋設されたPOPs系農薬や2,4,5-T系農薬の  所在場所については、国の責任で環境調査を実施し、その結果を公表するとともに、  掘削,無害化処理を推進すべきである。 【理由】  1)埋設されたPOPs系農薬約2140トンが未処理のまま残っている  2)埋設された2,4,5-T系農薬製剤約27トンが全国54個所に未処理のまま残っている。   このうち、北海道清水町と標茶町、岩手県と同県岩泉町と野田村、広島県庄原市、   熊本県宇土市、鹿児島県湧水町などは、恒久対策や善処を林野庁に求めている。  3)2,4,5-T埋設個所について、林野庁は毎年、目視調査を実施しているが、埋設個所の   ある市町村の多くは、その結果を知らされていない。 【意見6】上述のPOPs系農薬や重金属系化学物質の中には農薬以外にシロアリ防除剤、  皮革処理剤、木材処理剤、防疫用薬剤等に利用されたものがある。  なかでも、ディルドリンやクロルデン、PCP、クロム-銅-砒素剤などで木材を処理し  た工場、PCPやクロム化合物で皮革を処理した工場、及びその廃棄物の取り扱う施設  などの跡地も汚染源としてリストアップすることを忘れてはならない。  また、BHCなどで処理された畳が廃棄される場合の対策も必要である。 【意見7】汚染個所の環境調査やその管理、汚染土壌の掘削、保管、運搬、無害化処理は、 関係住民や地権者の監視下で、実施する。  ・汚染が発覚し、早期に処理しない場合は、当該土地への立入を禁止し、その旨を看   板等で表示をするともに 関係自治体は、情報を記録した台帳を作成、その内容を公   開すること。  ・実施された環境調査結果はすべて公表すると同時に、地元住民や地権者への通知する。  ・前記台帳に記載された汚染地の売買や土地利用変更の場合、その旨の届け出を行政担   当部署に提出させ、地元住民、地権者も含めて協議すること。 【理由】  1)情報は公開し、関係住民や地権者の意見を聞き、その監視下で処理することが肝要で   ある。 【意見8】汚染土壌の処理前の環境調査だけでなく、掘削・除去後の環境調査に実施する。 【意見9】土壌汚染個所で、水害・地震・火災などが生じた場合、環境調査を実施した上、  汚染拡大を防止するための対策をとること。 【理由】災害により、埋設個所の撹乱が懸念される。 【意見10】POPs系農薬の掘削等の際には、<農薬に関する環境管理指針値一覧>の遵  守するとともに、汚染個所が農地として利用され、農作物への移行汚染がないような環  境指針値等を設定する 【理由】ディルドリン、ヘプタクロルの残留した農地で、キュウリやカボチャへの移行が  判明している。 【意見11】POPs系農薬などにより汚染された土壌の処理については、曝露管理、  曝露経路遮断よりも、土壌の無害化、汚染土壌の除去に重点を置くべきである。 【理由】  1)当該汚染物質が消滅するには、長期間を要するため、曝露管理、曝露経路遮断は恒久   対策とはならない。  2)汚染現場での無害化処理には、バイオレメディエーション技術の利用を検討すべきで   ある。