**********************************************                 米流通システム検討会中間とりまとめに対する意見 ********************************************** 2009年1月8日                        反農薬東京グループ                        代表 辻 万千子                        〒202-0021                        西東京市東伏見2-2-28-B 1、事故米穀の不正規流通問題の課題として、中間とりまとめ(以下、「まとめ」とす る)の中で、「この背景として、米の用途別の価格差や外国産米と国産米との価格差があ り」と述べている。流通の不正は価格差がなければ発生しない。そのために、できる限り 価格差が生じないよう手段をとることが必要であるが、「まとめ」では一切触れていない。  消費者目線で考えるなどと口当たりのいいことはよく言われるが、根本的な問題を抜き にして、小手先の取り繕いだけでは、問題は解決しない。価格差の問題をもっと検討すべ きである。 2、価格差は、外国米と国産米との間だけでなく、国産米でも大きな問題がある。特に問 題と思われるのは農産物検査による着色粒である。その他にも混米の問題もあるが、ここ では、特に着色粒の問題をあげる。  農産物検査法は農産物規格規定を定めている。米の場合、主な検査は品質と品位等であ る。品位等検査は、すべて目視によって行われる。すなわち、見た目だけであり、中でも 重要な項目として着色粒があげられている。着色粒の定義は「粒面の全部又は一部が着色 した粒及び赤米をいう」となっている。カメムシが吸汁した痕が残る米を斑点米というが、 斑点米イコール着色粒ではないはずだが、検査では斑点米の有無が重要な項目になってい る。  水稲うるち玄米の場合、着色粒が0.2%以上だと二等米に格落ちされる。その場合、一 等米との価格差が60キロで1000円に近くなるため、生産者は着色粒の原因であるカメムシ 防除の農薬散布をしなければならない。  斑点米によって等級落ちした米は2005年で21.8%、2006年で17.8%、2007年では約16% だと発表されている。約100万トンが斑点米のために毎年1等米から2等米に格落ちしてい るわけである。  水田の殺虫剤使用ではカメムシ防除が一番多い。2006年度のカメムシ発生面積は477,03 7ヘクタールであるのに対し、防除面積は延べで1,601,279ヘクタールである。ちなみに、 二番目に多い穂いもち防除面積は1,469,841ヘクタールである。収穫量に影響を及ぼさず、 毒でもないカメムシ吸汁痕をなくすために、危険な農薬が大量に使用されるわけである。 最近では無人ヘリコプターによる散布が多く、周辺住民の健康被害、環境への悪影響が懸 念される。この原因が農産物規格規定にあることは論を待たない。  また、外国産米の規格規定では、着色粒の最高限度は1%で、国産米の10倍緩く設定さ れている。 3、農産物検査には約1万人の検査員がいるという。これらの人々が、米を安心して食べる ための検査とは言えない斑点米に目を光らせているというのは、非常な無駄である。そし て一等米から三等米までの等級は、消費者にとってメリットはない。店頭に並ぶ前に斑点 米は除去され、しかも、他の米との混米で売られるのが多いからである。生産者は農薬散 布を強いられ、検査に60キロ当たり50円を支払わなければならない。結局、この検査は流 通業者のためのものと言わざるを得ない。 4、見栄えの検査のために1万人も必要はない。消費者が求める検査は残留農薬はないか、 どのような栽培方法で栽培されたものか、味はどうなのか、環境汚染をしていないかなど である。斑点米が1000粒に1粒か2粒かなどという検査は求めていない。米の流通を考える とき、現在の検査制度は抜本的に見直すべきであり、真に消費者目線にたって検討してい ただきたい。