******************************************************************** 「飼料の有害物質の指導基準の制定についての一部改正案」についての意見 ******************************************************************** 2009年1月9日 消費・安全局畜水産安全管理課 御中 「飼料の有害物質の指導基準の制定についての一部改正案」について、下記の意見を述べ ます。ご査収ください。 【意見1】国内産の稲わら飼料で、水稲に適用のある農薬の基準案は、農業資材審議会飼 料分科会安全性部会家畜飼料委員会で了承を得たとされているが、その数値の根拠が明確 でない。以下について、科学的知見を公表した上で、基準を決めるべきである。 1、稲わら飼料等に残留した農薬が家畜の生育状態等に影響を与えないか。    無作用量はいくらか。  2、当該農薬が残留した稲わら飼料等を食べた家畜の排泄物中に移行した農薬やその    代謝物が自然環境に影響を与えないか。  3、当該農薬が残留した稲わら飼料等を食べた家畜について、当該農薬やその代謝物が    蓄積しやすい部位はどこか。    また、食肉や食用部位、乳・乳製品などに当該農薬がどの程度移行・残留するか。    飼料の残留基準がクリアされれば、家畜由来の食品の残留基準はクリアされるか。  4、当該農薬が残留した稲わら飼料を食べた家畜の糞を堆肥原料にした場合、農作物に   薬害を与えないか。   たとえば、海外から輸入される牧草飼料に残留していたクロピラリドが、牛糞等から   製造した堆肥に移行し、マメ科の作物等に薬害を引き起こしている。   アミノピラリドでも同様な事例が報告されている。   【意見2】基準が提案されている除草剤の中には、グリホサート、グルホシネート、ジク ワット、パラコートのような選択性のないものが含まれる。これらは、水田で耕起前や畦 畔で使用されるが、稲わらの乾燥促進のため、適用外使用されないよう監視を強化すべき である。 【意見3】以下の個別基準について、原案から意見のように変更する。 なお、理由欄に 「省令規格」としたのは「飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する 省令」 http://www.famic.go.jp/ffis/feed/hourei/sub1_seibunkikaku.html にある別表1の(1) 飼料一般の成分規格 の セ 又は ソ をいう。  また、稲発酵飼料の基準意見は原案の稲わら基準/稲発酵飼料基準比と同じにした。   農薬名      原案        意見   理由  2,4-D      稲わら  1ppm → 0.05ppm  省令規格のとうもろこしが0.05ppm  アゾキシストロビン稲わら 5   → 1 農薬評価書によると残留値が1ppm          稲発酵飼料1     0.2    以下の場合もある  イミダクロプリド稲わら  10   → 0.05 省令規格のえん麦が0.05ppm          稲発酵飼料3     0.015  エディフェンホス稲わら  10   → 注2適用 稲わらへの残留データ不明          稲発酵飼料1      グルホシネート 稲わら   0.2 → 0.1    省令規格のとうもろこしが0.1ppm クロロタロニル 稲わら   0.2 → 注2適用   化審法の第1種特定化学物質HCBを          稲発酵飼料 0.1  含む  ジクワット   稲わら   0.05 → 0.03    省令規格のらい麦が0.03ppm ダイアジノン   稲わら   2  → 0.02    省令規格のとうもろこしが0.02ppm          稲発酵飼料 1  → 0.01  テブフェノジド 稲わら  20  → 2     農薬評価書によると水稲の茎葉          稲発酵飼料10  → 1     での残留値は一般的に高いが2ppm                          以下の場合もある。  パラコート   稲わら  0.3  → 0.05    省令規格の大麦、小麦、らい麦                          が0.05ppm ハロスルフロンメチル稲わら 2  → 0.1 農薬評価書によると残留値が0.1 稲発酵飼料1  → 0.05 ppm以下の例がある フィプロニル   稲わら  0.2  → 0.02    省令規格で、牛ほかの飼料で0.02          稲発酵飼料0.1  → 0.01 ppmを超えてはならないとある           フェントエート 稲わら   2  → 0.4    省令規格のえん麦ほかが          稲発酵飼料 1  → 0.2    0.4ppmである  フサライド   稲わら  130  → 注2適用  化審法の第1種特定化学物質HCBを 含む ブプロフェジン 稲わら 25  → 1 農薬評価書によると残留値がippm 稲発酵飼料 15  → 0.6 以下の例がある フルトラニル 稲わら 20 → 2 農薬評価書によると残留値が2ppm 稲発酵飼料 5  → 0.5    以下の例がある メトキシフェノジド稲わら 5 → 1     農薬評価書によると残留値がippm 稲発酵飼料 2  → 0.4    以下の例がある 【意見4】注2の原案にエディフェンホス、クロロタロニル、フサライドを追加し、以下 のようにする。    エトフェンプロックス又はトリシクラゾール、エディフェンホス、クロロタロニル、 フサライドは、当分の間、稲わらを飼料として利用する予定の稲、稲発酵粗飼料用稲等、 飼料として利用する(副産物を飼料として利用する場合を含む。)農作物に使用しないこ ととし、稲わら及び稲発酵粗飼料の基準を設定しない。