******************************************** 「パブコメPOPs(件名)」(2007/10/09提出) ******************************************** 環境省水・大気環境局土壌環境課農薬環境管理室  御中  標記の件で、意見と参考資料を送りますので、ご査収ください。 氏名  反農薬東京グループ 代表 辻 万千子 住所  〒202-0021東京都西東京市東伏見 2−2−28−B 電話/ファックス 042-463-3027 E-mail  mtsuji@jcom.home.ne.jp 【意見1】p1<1.本マニュアルの趣旨・目的>に 林野庁の指示で、1971-72年に、埋設された2,4,5−T系除草剤についても処理対象で あることを明記する。 【理由】 1)2,4,5−Tはダイオキシンを含有するため使用規制され、POPs系農薬と時を 同じくして土中埋設された。 2)林野庁の84年調査では、全国54個所に約27トンが、そのままになっていた。 3)林野庁は毎年、目視調査を実施しているが、埋設個所のある市町村の多くは、その結 果を知らされていない。 4)北海道清水町と標茶町、岩手県と同県岩泉町と野田村、広島県庄原市、熊本県宇土市、 鹿児島県湧水町などは、恒久対策や善処を担当部署に求めている。  以上、【資料1】参照。 【意見2】p3<2.1.1 対象となる農薬>に、  当該農薬で処理されたものの有害性についても言及する(たとえば、BHC処理畳、デ ィルドリンやクロルデン処理した木材) 【理由】 1)埋設農薬そのものではないが、POPs系農薬で処理された畳や木材に廃棄物にも注 意を払うべきである。 【意見3】p4<2.2 責任者の設置>に  元文では、関係住民との調整となっているが、地権者も追加する 【理由】関係住民だけでは、あいまいなので、地元住民や埋設個所の所有者=地権者も調 整の対象にすべきである。 【意見4】p7<3.2 資料等調査>に  過去に掘削除去された埋設個所跡地の点検も必要であることに言及する 【理由】長野県では、道路工事のため当初の埋設個所から農薬は発掘・除去されていたが、その後、発掘跡地での汚染が判明している。 【意見5】p8、p14、p24、p27ほか<土壌汚染対策法について>  土壌汚染対策法の特定有害物質に、POPs系物質やダイオキシン含有物質を追加し、 農薬の原体や製剤製造工場及びその排出物・廃棄物の最終処分場等の跡地利用についても、 環境調査を義務づけるよう、法改定をすべきである。 【理由】 1)現行の土壌汚染対策法が適用される25種の特定有害物質には、POPs系ではPCB が含まれるだけである。 2)ダイオキシン類対策特別措置法における特定施設にダイオキシン含有農薬の製造・使用工場がはいっていない。 3)ダイオキシンだけでなく、ダイオキシンを不純物として含有する物質自体の環境調査も必要である。 【意見6】p13<4. 掘削時期の決定>に、  地元住民や地権者等の意見を聞くことを追加 【理由】 1)地域の実情に応じて適切に判定するとなっているが、地元住民や地権者、建造物の所 有者の意見を聞く必要がある。 【意見7】p22<図5.3 土壌等調査・環境水調査の結果を用いた掘削等対象範囲の確定の 流れ>に  埋設農薬そのものの掘削・除去 と、掘削・除去後の環境調査の実施をいれる。 【理由】 1)埋設農薬は周辺土壌等の汚染がなくとも掘削・除去する必要がある。 2)元図のままでは、埋設農薬そのものの掘削やその後の環境調査の実施があいまいにな る。 【意見8】p25の<ケース1>の対応1を以下のようにする  埋設農薬そのものの掘削・除去を行う。汚染土壌ではないと判断し、土壌の掘削・除 去・処理の対象外としてもよい。埋設農薬の掘削・除去後、環境調査を実施する。 【理由】 1)埋設農薬は周辺土壌等の汚染がなくとも掘削・除去する必要がある。 2)元文のままでは、埋設農薬の掘削やその後の環境調査の実施があいまいになる。 【意見9】p-52<10.3 掘削時までの管理>に以下を追加する ・環境調査、埋設個所の管理、掘削、運搬、掘削後の保管、無害化処理は関係住民の監視 の下に行うこと。 ・早期に処理しない場合は、当該土地への立入を禁止し、その旨を看板等で表示をすると もに 関係自治体は、情報を記録した台帳を作成、その内容を公開すること。 ・実施された環境調査結果はすべて公表すること。同時に、地元住民や地権者への通知す ること。 ・前記台帳に記載された汚染地の売買や土地利用変更の場合、その旨の届け出を行政担当 部署に提出させ、地元住民、地権者も含めて協議すること。 【理由】 1)情報は公開し、関係住民の意見を聞き、その監視下で処理することが肝要である。 【意見10】p53< 10.4 環境汚染拡大防止対策>に以下を追加する ・埋設個所で、水害・地震・火災などが生じた場合、環境調査を実施した上、汚染拡大を 防止するための対策をとること。 1)災害により、埋設個所の撹乱が懸念される。 【意見11】<農薬に関する環境管理指針値一覧>に  食用農作物の栽培禁止が必要な環境指針値等を設定する 【理由】ディルドリン、ヘプタクロルの残留した農地で、キュウリやカボチャへの移行が 判明している。 【意見12】すでに明らかになっている埋設個所以外に、農家手持ちのPOPs系農薬や小 規模埋設個所が存在する恐れがあるため、徹底した全国的な調査を実施すべきである。 【理由】 1)佐藤衆議院議員の質問主意書(03年6 月10 日提出)に対する政府答弁書では 埋設 農薬以外に、1998〜02 年度の5年間にPOPs 系農薬(BHCは含まれず)が約2トン、 ダイオキシン含有農薬 が約97トン回収されている。  http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b156097.htm 2)99年のTBSテレビの番組「噂の東京マガジン」の取材調査では、300kg以下の小 規模埋設数量は5300トンで、農水省の発表の1521トンと食い違う。 【意見13】POPs条約による農薬(BHCを含む)だけでなく、下記の農薬取締法によ る販売禁止農薬、化審法による第一種特定化学物質を埋設農薬処理の対象とすべきである。  (a)POPs系農薬:ジコホール*  * 化審法による第一種特定化学物質指定  (b)ダイオキシン含有農薬:2,4,5−T、PCP、CNP、PCNB  (c)有機リン系農薬:TEPP、メチルパラチオン、パラチオン  (d)重金属系農薬:水銀およびその化合物、砒酸鉛、シヘキサチン(水酸化トリシクロヘ   キシルスズ)  (e)その他:ダイホルタン(カプタホール)   【理由】 1)ダイオキシンはPOPs条約で、非意図的汚染物質として排出削減の対象になってい る。 2)農薬取締法の販売禁止農薬や化審法第一種特定化学物質は人の健康や野生生物への影 響が明らかになっている。 3)上記の農薬は登録失効しており、農家が保管していたり、回収・保管された農薬が存 在する(たとえばCNPは約8400トン)。 【意見14】HCBを不純物として含有する下記農薬を埋設農薬の対象とすべきである。  PCP、PCNB、TCTP、TPN、フサライド、 【理由】 1)HCBはPOPs条約で、非意図的汚染物質として排出削減の対象になっている。 2)HCBは第一種特定化学物質である。 3)HCBを不純物として含有する化学物質の規制が、化審法でなされている。 【意見15】POPs系農薬などにより汚染された土壌の処理については、 曝露管理、曝露経路遮断よりも、土壌の無害化、汚染土壌の除去に重点を置くべきである。 【理由】 1)当該汚染物質が消滅するには、長期間を要するため、曝露管理、曝露経路遮断は恒久 対策とはならない。 2)現場での無害化処理には、バイオレメディエーション技術の利用を検討すべきである。 【意見16】ダイオキシン含有農薬、POPs系農薬、HCB含有農薬の製造及び使用工場 やその跡地及びその産業廃棄物処分場やその跡地を台帳化し、環境汚染の有無の総点検を 実施し、その結果を公表する(資料2も参照)。 【理由】 1)すでに操業を停止している工場跡地などで、汚染が明らかになっている。 2)廃PCBや含有製品の保管場所については台帳化されている。 3)旧日本軍の化学兵器の埋設については、全国調査が実施された。 @@@@@@ 参考資料 @@@@@@ ****** 資料1 ****** 2,4,5−T除草剤について  (当グループ機関誌「てんとう虫情報」192号及び193号より) ★★埋設2,4,5-T系除草剤の行方〜林野庁は現状維持の方針(192号)★★  林野庁の指示で、1971-72年に、山中に埋設された2,4,5-T系除草剤について、岩手県の 調査報告を本誌181号で紹介しました。1984年の同庁の調査では、全国54個所に約27.2ト ンの製剤(原体換算約1.6トン)が埋設されていることが判明していましたが、その後、営 林署の統廃合や市町村の合併などで、埋設個所の管理がどのようになっているかを知るた め、林野庁と関係市町村に問い合わせを行いました。今号では、林野庁からの回答(含む 再質問への回答)をまとめてみました。 【質問1】1984年の調査後、各森林管理署等に備え付けた点検記録簿で管理をしていると 聞いていますが、現在、それぞれの場所を管理しているのはどこの部署か、教えてくださ い。埋設個所の都道府県・市町村・地名/埋設数量/管理部署名を一覧でお願いします。 【回答】埋設個所等の一覧は別紙1(表参照)のとおりです。なお、 具体的な箇所につい ては、公にすることにより、犯罪の予防等の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそ れがあることから、明らかにすることができないことについてご理解願います。 【再質問への回答】回答した森林管理局と森林管理署等は、現在、埋設個所の点検を実施 し、記録簿をおいている部署と理解していただいて結構です。なお、愛知県豊田市、長崎 県五島市、大分県玖珠町は土地所有権移転等が行なわれた関係で、現在、点検の対象とし ておりません。 【質問2】埋設個所ごとに、直近の現況について、目視点検調査の結果等を教えてくださ い。  ・目視点検のチェック項目はなんですか。  ・埋設個所の都道府県・市町村・地名/点検年月日/点検部署/点検結果/地元自治体   との連携、でお願いします。  ・異常があった場合は、その内容を記載してください。  ・地元自治体と共同点検した個所は自治体名を記載してください。  ・貴庁のみの点検の場合は、結果を自治体に連絡しているかどうかを記載してください。 【回答】  原則として年2回、現地の状況等の点検を実施しており、現地に異常があった場合には、 森林管理局署等において、地元自治体に速やかに連絡することとしております。平成18年 度の点検では、異常のあった個所はありませんでした。  平成18年度に地元自治体と共同で点検した個所は、岩手県内各箇所及び熊本県宇土市で す。 【再質問への回答】直近の目視調査の実施年月日は、別紙(表の最右欄)通りです。  立入禁止の標識、囲い(損傷がないか)、覆土の状況(土壌のかく乱がないか)を確認して おります。 表 2,4,5-T埋設個所別の管理部署と所在、数量、直近の目視調査年月日 森林 管理署等 都道府県 市町村(旧名) 乳剤   粒剤 目視調査 管理局                     L    Kg   年月日 北海道 空知 北海道 夕張市真谷地炭鉱 600 2006/10/6 北海道 網走西部 北海道  遠軽町社名淵 90 2006/10/25 北海道 十勝西部 北海道 広尾町中楽古 20 2006/10/31 北海道 十勝西部 北海道 音更町     0.5 2006/10/27 北海道 十勝西部 北海道 清水町     0.5 2006/10/27 北海道 根釧西部 北海道 標茶町ルルラン 9 2006/11/8 北海道 十勝東部 北海道 本別町     0.5 2006/9/28 東北 <金木> 青森県 中泊町(小泊村) 1220 2006/10/18 東北 <久慈> 岩手県 久慈市     200 2006/11/2 東北 <久慈> 岩手県 野田村     440 2006/11/2 東北 盛岡  岩手県 雫石町         3940 2006/11/8 東北 三陸北部 岩手県 岩泉町      1095 2006/10/6 東北 三陸北部 岩手県 川井村      375 2006/10/10 東北 三陸南部 岩手県 西和賀町▼1    20 2006/10/27 関東 会津  福島県 会津坂下町      455 2006/12/19 関東 吾妻  群馬県 東吾妻町(吾妻町) 1080 2007/2/9 関東 利根沼田 群馬県 昭和村      45 2006/10/10 関東 (山梨) 山梨県 甲府市善光寺町 30 2006/10/13 中部 (愛知) 愛知県 設楽町段戸 1095 2006/12/11 中部 (愛知) 愛知県 豊田市(小原村舟ケ沢) 150 - 中部 岐阜  岐阜県 下呂市(下呂町小川長洞) 45 2006/10/19 中部 岐阜  岐阜県 下呂市(小坂町落合) 2 2006/10/30 近畿中国広島北部 広島県 庄原市(総領町) 374 2007/3/30 四国 愛媛  愛媛県 西条市大谷山    108 2007/1/15 四国 愛媛  愛媛県 久万高原町     18 2007/1/31 四国 愛媛  愛媛県 宇和島市 252 2007/3/6 四国 愛媛  愛媛県 松野町目黒山 72 2007/3/5 四国 四万十  高知県 四万十市(西土佐村) 126 2007/1/31 四国 四万十  高知県 四万十市(窪川町) 648 2007/1/31 四国 嶺北  高知県 いの町(本川村) 72 840 2006/9/19 ▼  高知県 北川村影地山 98 →埋設の事実がなかった 四国 嶺北  高知県 大豊町仁尾ケ内山 360 180 2006/9/15 四国 安芸  高知県 安芸市中ノ川 126 2006/12/7 四国 四万十  高知県 土佐清水市 調査中     2007/1/26 ▼  高知県 津野町(東津野村) 調査中→埋設の事実がなかった ▼  高知県 宿毛市奥下藤山 198   →埋設の事実がなかった 九州 佐賀  佐賀県  吉野ヶ里町(東背振村) 945 2007/3/22 九州 長崎  長崎県  五島市(福江市) 116 - 九州 熊本  熊本県  熊本市(北部町小萩) 1295 2006/10/25 九州 熊本  熊本県  宇土市尾坂 2055 2006/10/10 九州 熊本南部 熊本県  芦北町国見      180 2006/10/30 九州 大分西部 大分県  玖珠町     10 - 九州 大分西部 大分県  別府市十文字原 75 2006/11/9 九州 宮崎北部 宮崎県  日之影町     300 2006/10/4 九州 宮崎児湯 宮崎県  西都市吹山      2 2006/10/24 九州 宮崎  宮崎県  宮崎市(田野町本田野) 990 2006/10/23 ▼  宮崎県  えびの市 100→88年防衛施設庁移管 九州 宮崎  宮崎県  宮崎市(高岡町) 270 2006/10/16 九州 宮崎   宮崎県  小林市(須木村) 120 2006/10/26 九州 宮崎  宮崎県  小林市(須木村) 45 2006/10/2 九州 <都城> 宮崎県  都城市(高崎町)     86 2006/10/23 九州 宮崎南部 宮崎県  串間市     20 2006/11/30 九州 大隈  鹿児島県 肝付町(内之浦町牧) 30 2006/10/18 九州 鹿児島  鹿児島県 湧水町(吉松町川添) 1200 2006/10/23 九州 北薩  鹿児島県 大口市鬼神     345 2006/10/30 九州 北薩  鹿児島県 大口市間根ケ平 375 2006/10/25 九州 鹿児島  鹿児島県 川辺町鎌塚     445 2006/10/16 九州 屋久島  鹿児島県 上尾久町    3825 2006/10/30 合計 1835.5 24982 総合計26817.5kg 1984年の合計         2132 25062    27194 kg 管理署等の欄にある< > は支署、( )は管理事務所 ▼1:84年報告にはなく、新たに判明した個所 ▼は1984年の報告にあったが、今回の回答になかった個所 【質問3】埋設個所ごとに、2,4,5-T及びダイオキシン類の環境汚染調査結果があれば、 直近のデータを教えてください。埋設個所の都道府県・市町村・地名/検体の種類/採取 年月日/分析結果の一覧でお願いします。 【回答】林野庁による直近の調査は、平成11年度に、四万十森林管理署(旧窪川署)管内で 実施しており、23検体のうち2,4,5-Tが3個所で検出され(1個所で2ppb、他の2個所で1ppb、 検出限界1ppb)、2,3,7,8-TCDD(四塩化ダイオキシン)については、1個所で0.004ppb検出 (検出限界0.0001ppb)されました。 【再質問への回答】 ・旧窪川署埋設箇所では、平成11年度の調査結果をもとに、専門家による検討の結果−省 略−、平成16年度については、調査を実施しておりません。 ・屋久島については、平成元年度(89年)に調査した結果、9検体のすべてで2,3,7,8−T CDDは検出されず、専門家による検討の結果−省略−、平成元年度を最後に調査を行なっ ておりません。 ★84年度調査との違い  今回の回答と、84年の調査結果に違いがあった個所(表▼)について再質問しましたが、 それぞれについて、以下のような回答でした。  岩手県西和賀町の個所は、その後新たに埋設が判明した。  高知県の東津野村、北川村、宿毛市の個所は、その後の調査により、埋設の事実そのも のがなかった。  宮崎県えびの市については、88年に防衛施設庁に所管換したため、現在の埋設箇所一覧 に含めていないが、熊本防衛施設支局において、適切に管理されていると聞いている。  以上のことから、表に示したように合計埋設数量も、84年調査結果より、若干減ってい ます。 【質問4】埋設された2,4,5-T系除草剤の処理計画はどうなっているか、教えてください。 【回答】今後の考え方については、別紙2のとおりです。  として、2,4,5-T剤埋設処理箇所の土壌及び水質調査結果に関する検討委員会が示した9 9年11月の見解が添付されていました。掘削や無害化処理などせず、引き続きいままで通 り監視していく意向のようです。 ★★埋設2,4,5-T 市町村はどう対処しているか〜アンケート調査まとめ(193号)★★  前号で、埋設2,4,5-T系除草剤について、林野庁にその現状を問い合わせた結果をまと めました。今号では、埋設個所として林野庁の報告にあがっている52市町村に対して、7、 8月に実施した10の設問によるアンケート調査の結果を紹介します。 ★25市町村が回答  回答があったのは 以下の25市町村、回答率48%でした(別に岩手県にも問い合わせを 行いました。)このうち、広尾町(北海道)と五島市(長崎県)は所管の森林局に回答を ふり、個々の設問に答えてくれませんでしたので、以下の回答内容のまとめから除外しま した。 【回答あり】25市町村:北海道標茶町/北海道本別町/北海道遠軽町/北海道広尾町*/北海 道清水町/青森県中泊町/岩手県岩泉町/岩手県野田村/群馬県東吾妻町/山梨県甲府市/愛知 県豊田市/広島県庄原市/愛媛県宇和島市/愛媛県松野町/高知県宿毛市/高知県津野町/長崎 県五島市*/大分県別府市/熊本県芦北町/宮崎県都城市/宮崎県えびの市/宮崎県串間市/宮 崎県小林市/鹿児島県大口市/鹿児島県湧水町  (* 個々の設問に回答しなかった市町) 【問1:埋設されている場所を知っているか】  19市町村(82.6%)が「知っている」と答えました。甲府市と別府市が「知らない」と答 えています。「知っている」のうち、豊田市は85年、林野庁の立会いで、完全撤去し製造 業者へ返却との回答でした。また、津野町は「知らない」を選択していますが、84年6月 に発掘調査し、2000年2月15日に製造業者に引取ってもらったとのことなので埋設はない ということでしょう。宿毛市は調査の結果「埋設されていたのは2,4,5-Tでなかった」と の回答でした。  現況については(複数回答あり)、  ・埋設表示の看板あり:15   ・フェンスや鉄条網囲われている:14  ・草が生い茂っている:7   ・異常ない:12   ・その他 [トラロープの囲みあり:3]                     【問2:埋設個所を管理する林野庁所管部署を知っているか】  19市町村(82.6%)が「知っている」と答えました。「知らない」のは、中泊町、甲府市、 えびの市の3市町でした。えびの市は管轄が林野庁から防衛施設庁にかわったのを知らな いのでしょうか。 【問3:地元住民への広報】  「広報している」と答えたのは4市町村で、野田村、大口市が埋設が発覚した84年に、 庄原市が98年に広報していました。本別町は広報した年月が不明です。 17市町村(73.9%)が広報していませんでした。その理由として、豊田市は撤去されている ため/岩泉町は埋設個所の撹乱防止のため/芦北町は埋設方法及び管理状況が適切なため /都城市は林野庁の業務のため/串間市は付近に民家がなく、厳重に綱で管理されている ため/標茶町と湧水町は水質検査等の結果異常がないため、を挙げています。 【問4:目視調査しているか】  調査をしていない市町村は16(70%)でした。調査をしたことがあるのは、6市町で、本 別町*、岩泉町*、野田村*、庄原市、大口市*、湧水町*でした(このうち林野庁と共同で実 施しているのが、*印)。  本別町の調査は98年に実施されただけでした。岩手県の岩泉町と野田村は年2回定期調 査で、直近はいずれも07年6月の実施でした。同県では、回答のなかった他の市町村も含 む協議会が設置され、目視調査や環境調査結果の検討をしています。  庄原市は「年5回の不定期調査を実施している」と回答し、直近のものは07年5月でした。  鹿児島県では、大口市の直近の調査がアンケート実施中の7月6日で、異常なし。湧水町 の調査も同じく7月18日で、標識の破損状況、囲いの支柱倒状、ロープ等の切断状況、被 覆箇所の表土の状況、植生の進入状況、土石の採取等によるかく乱状況、災害状況を調べ ています。 【問5:環境分析調査をしているか】  「調査をしている」と回答のあったのは、岩泉町(06年9月26日水質底質、検出されず)、 野田村(97、04、05年河川水検出されず)、庄原市(98年6月26日の調査では、土壌・河川 水・地下水で2,4,5-T不検出)、湧水町(04年1月の土壌調査で不検出)の4市町村でした。調 査を実施したことのないのは19市町村(82.6%)でした。 【問6:林野庁担当部署が実施した目視調査の結果の報告を受けているか】  報告を受けていたのは、岩泉町、野田村、湧水町、東吾妻町、津野町の5町村でしたが、 前3町村は、林野庁と共同調査をしていますし、津野町は処理が終わっています。群馬県 の東吾妻町(埋設個所5あり)だけが、年1回報告を受けており、直近のものは07年3月29日 で、各埋設個所の標識、囲い、覆土の点検報告があったとのことです。  報告のないところは18市町村(78.3%)でした。 【問7:地元住民や環境保護団体から埋設2,4,5-Tについてクレームや要請をされたか】  23市町村すべてが、「ない」と答えています。宮崎県では、住民団体からの要請があり ましたが(本誌109号参照)、これは県に対するものです。 【問8:埋設2,4,5-Tについて、議会で論議されたことがあるか】  「ない」とこたえたのは15市町村(65.3%)です。本別町、中泊町、岩泉町、野田村、庄 原市、大口市、湧水町の7市町村で議論されたことがありました。  本別町では、98年6月に町長の行政報告があったとのことです。野田村では、84年9月、 村議会で安全性を問われました。  庄原市では、98年、当時の総領町議会で、安全対策について論議されました。  大口市では、98年年6月24日の定例会で、地元住民への説明及び林野庁、森林管理署へ の撤去要請についての論議がなされました。  湧水町では、84年6月、98年6月と9月、03年6月、04年9月の議会で、2,4,5-Tの環境汚染 対策についての議論がなされました。  また、市町村とは別に、岩手県議会では、98年12月に、内閣総理大臣あての「「2,4,5- T 系除草剤」埋設処分地問題への対応について」の意見書を提出し、撤去を含む恒久的な 安全対策を早期に実現すること。埋設地の保全対策の強化・充実を図るこ除去することを 求めました。その後、県と関係市町村をメンバーによる2,4,5-T 系除草剤埋設地問題連絡 協議会が設置され協議が行われるとともに、例年のように、県議会でもこの問題がとりあ げられ、恒久対策を強く求めるという県の見解が示されています。 【問9:林野庁、農水省など国の機関・その出先機関や道県の担当部署などに、善処を要 請したことがあるか】  13市町村が「ない」と答えています。「ある」としたのは、以下の町村です。  標茶町では、町長より、地域住民や町議会から苦情が出ないよう、適切な対処を要請し、 不安解消に向け、適切な対処をするとの回答を得ました。  清水町では、98年5月12日、帯広営林署長宛に、埋設場所の現状調査と安全性の確認要 求の文書を出しました。  岩泉町は、07年5月に、東北森林管理局青森事務所に 恒久対策の実施について、土 壌・水質測定について、埋設地の保全対策についての要望を出し、保全対策に努めるとの 回答を得ました。  野田村は、99年より毎年1回、同局青森事務所へ岩手県や関係市町村が出向き、水質・ 土壌の定期的測定と早急撤去について、要望していますが、保全対策に努めるとの回答を 得ただけでした。  庄原市(旧総領町)は 98年5月6日、福山営林署長に対し、「当町内の国有林に埋設され た2,4,5-T剤の安全対策について(依頼)」で、水質や土壌調査の実施と埋設物の撤去が強 く申し入れました。営林署は、調査を行う必要はない、町が独自に調査する場合は協力す ると回答をしています。また、同年6月22日には、林野庁長官、大阪営林局長、福山営林 署長あてに「国有林に埋設された2,4,5-T剤の撤去を求める意見書」を出しました。  湧水町では、98年11月に、議会が旧加治木営林署長へ要望書を提出。署から職員が来て、 2,4,5-T除草剤の取扱いの概要、埋設処分の状況等について説明が行なわれました。その 後も年2回の現地確認調査が行なわれ、報告も受けているとのことです。 【問10:今後、林野庁へ望むこと】−複数回答あり− ・現状のままでよい:4 ・林野庁の方針に任せる:14 ・林野庁に掘削除去を求める:3 ・林野庁に埋設個所での無害化処理の実施を求める:2 ・林野庁に埋設個所の管理を今より厳重にするよう求める:0 ・林野庁と共同で目視調査する:2 ・林野庁と共同で環境調査をする:0 ・林野庁に調査をまかせる:1 ・林野庁に毎回調査結果の報告を求める:2 ・埋設個所に異常があった時のみ、林野庁から報告を受ければいい:2 ・地元住民に埋設個所についての現況を広報する:0 ・その他:2 ★埋設2,4,5-Tの今後について  市町村のアンケート調査では、埋設されていることを知っているところが大部分でした が、目視調査や環境調査を実施しているところは少なく、林野庁からの調査報告も受けて いないところが80%近くあるのも問題です。また、16市町村が、現状のままでよい又は林 野庁の方針に任せると回答していますが、撤去・無害化を求めているのは3市町村に過ぎ ません。  このように関心が薄れている現状をみると、2,4,5-Tが埋設されていることが忘れ去ら れる恐れすら感じられます。 @環境調査の実施と住民、自治体ぐるみの監視を  現在、埋設個所の多くは、林野庁による目視調査しか実施されていません。しかし、地 元の市町村議会が問題にすれば、林野庁も共同調査や結果の説明をするようです。 要するに、地元住民に動きがなければ、何もされないままです。  今のところ、岩手県と同県内の市町村(岩泉町、野田村)が、毎年共同調査を実施して、 森林局に善処するよう申し入れをしています。また、アンケート回答はありませんでした が、宇土市も同様です。そのほか、標茶町、清水町、庄原市、湧水町が地元森林局などに アクションをとっています。  2,4,5-T問題を風化させないためには、市町村は、林野庁と共同調査し、現状を把握し、 地元住民に結果をきちんと広報すべきです。林野庁、市町村、地元住民ぐるみの監視体制 が必要です。まず、いままで、明らかになっていない埋設農薬自体のダイオキシン類含有 調査も行うべきです。このデータがなければ、漏洩で環境にどのような影響がでるか予測 がつきません。さらに、何時、漏洩するかわからない現状では、埋設個所の環境調査の実 施を継続的に行うことも求められます。 A掘削・無害化処理をめざすべき  埋設された2,4,5-Tに含有されるダイオキシン類は難分解性で、放置しておいても減少 することはありません。  岩手県や庄原市、宇土市などは、林野庁や地元営林局に早期撤去や恒常的対策を求めて いますが、私たちへの回答で明らかになったように、林野庁は、いまだ99年11月に出した 見解を踏襲し、立入禁止のフェンスと看板で現場を保全していくことしか考えていません。  豊田市の埋設個所では、85年に完全撤去しメーカーが引取っていますし、埋設POPs 系農薬の処理については、すでに、掘削等のマニュアルが示され、いくつかの無害化技術 も開発され、処理も行なわれつつありますから、埋設2,4,5-T系除草剤についても無害化 処理をすすめることは可能です。  風水害や地震などの災害により埋設個所が崩壊する恐れがあることを考えれば、出来る 限り汚染が拡大しないような方策をとった上で、早急な掘削・除去と無害化処理の実施が 望まれます。 ****** 資料2 ****** POPs系及びダイオキシン・HCB含有農薬の生産工場の現況調査についての要望書 --------------------------------- 環境大臣、農林水産大臣、厚生労働省大臣 宛        2007年4月27日  反農薬東京グループです。いつもお世話になっています。  04年5月に発効したストックホルム条約により、POPs系化学物質(BHC、DDT、 ドリン剤、ダイオキシン類ほか)の環境汚染防止対策が求められていますが、近年、農薬 取締法で販売禁止になっているPOPs系農薬による環境汚染が各地で発覚しています。  私たちの調べたところでは、下記のような事例がありました。  ・クニミネ工業山形県左沢工場、同工業茨城県常陸太田工場:PCP  ・永光化成(中外製薬の子会社) 福岡県福間町九州工場:BHC  ・クミアイ化学 宮城県小牛田工場:BHC埋設  ・協友アグリ(旧三笠化学)福岡県甘木工場:BHC埋設  ・滋賀県農業総合センター農業試験場:BHC埋設  ・第一農薬 沖縄県南風原町 BHC埋設 【2006年】  ・三光株式会社熊本県荒尾工場(旧三光化学梶j:BHC、PCP   http://home.e06.itscom.net/chemiweb/ladybugs/kiji/t18105.htm  ・三共株式会社 滋賀県野洲川工場:エンドリン   http://home.e06.itscom.net/chemiweb/ladybugs/kiji/t18100.htm#t18104  ・秋田県男鹿市と秋田市のBHC埋設個所  ・千葉県香取市のJA佐原市:BHC埋設   http://home.e06.itscom.net/chemiweb/ladybugs/kiji/t18205.htm 【2007年】  ・共同化学工業 平塚市神奈川工場:BHC袋埋設   http://home.e06.itscom.net/chemiweb/ladybugs/kiji/t18800.htm#t18802  (追加・三西化学−三井化学関連会社 久留米市荒木町:PCP、BHC、CNP)    http://home.e06.itscom.net/chemiweb/ladybugs/kiji/t19301.htm 上記の多くは、かって、POPs系やPCP製剤を製造した工場でした。  今年になって発覚した平塚市の事例では、BHCの25kg入り空き袋が発見された場所は、  いまは、存在しない共同化学工業という農薬製剤工場の敷地にありました。  これは、たまたま、道路工事でみつかった例で、このように、偶然の発見にたよってい  ては、POPs系の汚染を防止することはできません。  そこで、以下のようなお尋ねをしますので、5月20日までに下記に回答ください。          ***** お尋ねします ***** 1)農薬取締法による販売禁止農薬のうち、下記に挙げたPOPs系及びダイオキシンを  含有する恐れのある農薬原体及びその製剤の製造工場及び当該工場からの廃棄物処分場  の現況調査を実施し、担当部署を決めて、それぞれの場所ごとにそこで取り扱われてい  た農薬名と現況をしるした台帳を作成し、管理・監視を住民公開の下に継続すべきと思  いますが、貴省のお考えをお示しください。   BHC/DDT*1/エンドリン*1/ディルドリン*1/アルドリン*1/   クロルデン*1/ヘプタクロル*1/HCB*1   2,4,5―T*2/PCP*2/CNP*2/PCNB*2     *1 POPs条約対象物質、化審法第一種特定化学物質     *2 ダイオキシン及び・又はHCB含有農薬 2)同上販売禁止農薬を取り扱ったり、保管していた地方自治体の農業試験場や農協関連  施設の現況調査を実施し、担当部署を決めて、それぞれの場所ごとにそこで取り扱われ  ていた農薬名と現況をしるした台帳を作成し、管理・監視を住民公開の下に継続すべき  と思いますが、貴省のお考えをお示しください。 3)同上販売禁止農薬のうち、POPs系埋設農薬については、2001年の農水省の調査があり  ますが、リストアップされた以外に、300kg未満の小規模埋設個所が多々あるといわれ  ています。PCB製品や旧日本軍の化学兵器関連の調査・管理・監視に準じた、きめ細  かい調査等を実施すべき思いますが、貴省はいかがお考えですか。 4)同上販売禁止農薬と同じ成分は、シロアリ防除剤、木材処理剤、防疫用薬剤、その他  化学品として使用されていました。  上記物質を過去において、製造又は使用していた工場及びその廃棄物処分場の現況調査  を実施し、担当部署を決めて、それぞれの場所ごとにそこで取り扱われていた化学物質  名と現況をしるした台帳を作成し、管理・監視を住民公開の下に継続すべきと思います  が、貴省のお考えをお示しください。 5)上記1〜3に該当する場所で、土壌・大気・水などの環境調査を実施し、公表すべき   と思いますが、貴省はいかがお考えですか。 6)土壌汚染対策法で指定されている特定有害物質には、水銀や砒素系農薬は重金属のひ   とつとして分析対象となっていますが、PCB以外のPOPs系化学物質は対象外です。   BHCやその他のPOPs系化学物質、ダイオキシンやHCB含有農薬を特定有害物質とし   て、土壌分析の対象にすべきと思いますが、いかがお考えですか。