****「農薬の登録申請に係る試験成績に関する関係通知の改正等について」の意見 **** 【意見1】薬効・薬害・作物残留性試験についての具体的なGLP基準を 以下の項目毎に明らかにされたい。 1)圃場試験のGLP 2)病害虫の飼育・管理・検定等についてのGLP 3)残留分析に関するGLP 【意見2】 1)現在の運用では、農薬登録申請者と利害関係がないことが明らかな者が試験を実施することになって  いる。利害に関係ないというのは具体的にどういうことを意味するのか。また、だれが、どのような基  準で判断しているのかを明らかにされたい。 2)民間機関が薬効・薬害・作物残留性試験を受託する場合、委託企業との利害関係のないことが条件と  なるのか。なるとすれば、そのことを、だれがどのような基準で判断するのかを明らかにされたい。 【理由】農薬メーカーやその関連企業、利害関係のある業界団体から資金が投入されたり、人材が派遣(  天下りや出向、退職者を含む)されていると、データの中立性が疑われる。 【意見3】GLP適合機関は、いくつぐらいできると考えているか。公的機関、それに準ずる機関など、  機関・組織別にわけて、数を挙げられたい。 【理由】懇談会では、『圃場試験機関の現状からみて、都道府県の農業試験場:GLP導入困難、農薬メ  ーカー研究所:実施困難、民間研究所:実施機関がない』などの意見がでており、適合機関の数は多くの  ぞめない。 【意見4】GLP適合機関の適合性チェックは、何年ごとに実施する積もりか。 【理由】いったん適合機関とされた後の再チェックが必要である。 【意見5】GLP適合の可否は、最終的には国民の意見を聞いた上で、行うべきである。 【理由】農水省が、可否判断理由を示した上で、パブリックコメントをもとめるのがよい。 【意見6】 1)マイナー作物での薬効・薬害・作物残留性試験について、なぜ、GLP適合性を不要としたか、説明  されたい。 2)民間開放しないということか。 3)現在実施している機関はどのようなところか。 【理由】マイナー作物だからといって、GLPに適合しない施設で試験をしてもよい とする理由がみつか  らない 【意見7】海外での試験データを認めるべきでない。 【理由】 1)気候風土が異なる海外でのデータを、日本での使用状況に当てはめるのは、 非科学的である。 2)アメリカの残留性試験には、散布0日のデータがあり、その中の最高値を超えてもいい数値を残留基準  として設定している場合がみられる。たとえば、アゾキシストロビンで、だいこん類の葉の残留基準が50  ppmと提案されたが、これは、 散布0日の最高値31.4ppmをもとにしたアメリカ基準であり、日本の作物残  留性試験では、散布後14-28日の最大値が0.14,0.44ppmであった。 【意見8】作物残留性試験の事例は、8例以上としEU並みの16例が望ましい。 【理由】作物残留性試験は食品衛生法の残留基準を設定する根拠となるが、現行では、2例のうちの高い検  出を超えてもいい数値になっている。すくなくとも、平均値や中央値を基準とするようにするため、事例  数をふやすべきである。 【意見9】登録申請に際して、提出された薬効・薬害・作物残留性試験成績を全面公開すべきである。 【理由】 1)農薬抄録や農薬評価書には、一部試験の概要が公開されているにすぎない。 2)申請者は企業の財産として、データの公開を拒否することが多い。 3)公開により、競合他社を利することを防止する手段を講ずればよい。 【意見10】後作物の薬害試験、残留性試験について、GLP適合性及び民間開放はどうするか、明らかにされ  たい。 【理由】 1)現状は薬害については、試験施設の基準はなく、申請者にまかせっぱなしであり、残留性試験については、  公的試験研究施設又はこれに準じた施設となっている。 2)農薬の土壌残留による後作物への薬害や残留が問題となっているケースがある。たとえば、土壌処理剤の  ホスチアゼートや、ハウスでの水稲育苗箱に使用した殺菌剤ジクロシメットが後作物に移行している。