「輸入加工食品の自主管理に関する指針(ガイドライン)(案)」に関する意見                         ( 2008年4月28日提出) 厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課輸入食品安全対策室 御中 【意見1】 海外から加工食品を輸入する場合、その安全性の確保をすべて輸入者の責務 とすることには反対である。ガイド案の趣旨には『輸入加工食品の輸出国での原材料、製 造・加工、保管、輸送等の各段階における日本国内と同等の安全性の確保とその確認が求 められている。』との国の認識が示されているからには、輸出国における法規制やその実 施状況を調べ、国民にその結果を公表すること及び日本における法規制やその実施状況を 輸出国に知らせ、国内と同等の安全性を求めることは、国の責務である。  特に、有害化学物質の食品への残留・混入防止のために、国に次のことを求める。 1、国は、輸出国内での食品原材料や加工食品の製造・保管・輸送に係る化学物質(農薬、 動物医薬品、肥料、飼料添加物、食品添加物などをいう)及び一般の有害化学物質(難分 解性物質、急性毒性の強い物質、発ガン性物質、重金属類などをいう)の製造・輸出入・ 販売・使用がどのような法規制のもとに行われており、その運用や遵守状況がどのような ものであるかを調査し、結果を公表する。 2、国は、輸出国内における食品の加工・輸送・保管・販売等の過程における食品衛生管 理のための法規制(鼠族及び昆虫、病原菌対策用の殺虫剤や殺菌剤、殺鼠剤の用法等を含 む)とその運用や遵守状況を調査し、結果を公表する。 3、国は、国内では製造・販売・使用されないため、法規制の対象外である有害化学物質 (毒劇法、化審法、農薬取締法、薬事法、食品衛生法等の対象外となっているものをい う)についても輸出国内での製造・販売・使用状況を調査し、結果を公表する。とくに、 国内の判定基準等に抵触する化学物質については、その旨を公表する。 4、国は、輸出国内における食品に係わる汚染、中毒事件・事故(犯罪を含む)の実態を 調査し、結果を公表する。 5、国は、輸出国内において食品を汚染する恐れのある化学物質の環境汚染状況に関する 情報調べ、結果を公表する。 6、国は、日本国内における化学物質に係る法規制と運用実態に関する情報をを輸出国に 知らせ、国内と同等の内容の実施を輸出国に求める。  たとえば、農薬においては、使用基準の遵守、栽培履歴・農薬使用履歴の記帳など。  毒劇物の販売においては、製造・販売・使用管理が日本と同等に行われていることなど。  衛生害虫対策においては、生息調査の実施やIPMの導入。 7、以上の国の調査結果等で、有害化学物質の製造・販売・使用・管理等が、国内のレベ ル以下である海外諸国からは、できるだけ食品類を輸入しないよう、食品加工業者を指導 する。 8、国は自ら得た情報だけでなく、ガイドライン対象者から得た情報を迅速に公表する。 【意見2】p2 第二対象の節にある 『本指針に示す事項を製造者に確認するよう努める こととする。』の『確認するよう努めることとする。』を『確認しなければならない。』 とする。 【意見3】p3 2 原材料の受け入れ段階の節にある 『原材料たる農畜水産物の採取にあたっては、じん埃又は汚水による汚染防止対策及び有 毒物質、廃棄物等を適切に管理することにより、農薬、動物用医薬品、飼料、肥料、糞便 等からの汚染防止対策が講じられていること。』 『原材料たる農畜水産物の採取、保管及び輸送にあたっては、そ族、昆虫、化学物質、異 物、微生物等による汚染防止対策が講じられていること。』に、『なお、汚染防止対策と して、IPM管理がなされていること。毒劇物など有害化学物質の使用が規制されている こと。』を追加する。 【意見4】p4  A 農産物及びその加工品 にある 『我が国の法に基づく農薬の残留基準に適合していること』の『残留基準』を『残留基 準・一律基準(含む暫定基準)』とする。 【意見5】p4  A 農産物及びその加工品 にある 『収穫時及び輸送・保管時におけるカビの発生防止対策が講じられていること』に『なお、 防止対策には、照射処理や食品汚染につながる化学物質の使用がなされていないこと』を 追加する。 【意見6】p4 A 農産物及びその加工品 の節に以下を追加する。 『・原材料である農産物等の栽培履歴、農薬使用履歴等が正しく記帳されていること。  ・農薬の使用に際しては、他作物へのドリフト防止対策がとられていること。  ・農薬の水系汚染や土壌汚染による魚介類、家畜、後作物等への汚染防止対策がとられ ていること。』 【意見7】p5 『残留農薬等については、対象農産物に対する使用薬剤、散布記録等の使 用状況、土壌・水質検査の結果等を考慮した検査が実施されていることが望ましい。』の 『実施されていることが望ましい。』を『実施されておらねばならない。』とする。 【意見8】p6 @ 施設・設備等の衛生管理の項の 『洗浄剤、殺菌剤、消毒剤その他化学物質については、その容器に明確な表示がなされる とともに、使用管理記録、保管設備が整備されているなど、食品への混入防止措置が講じ られていること。』に以下を追加する。 『なお、他の容器での小分けや別途分包が禁止されていること。 また、ラベル表示に用法・用量、適用範囲、使用方法、使用上の注意等が表示されており、 ラベル表示事項が遵守されていること。』 【意見9】p6 A そ族及び昆虫対策の項に以下を追加する  1、ねずみ・害虫等の生息調査を実施すること  2、有害で難分解性のPOPs系化学物質や急性毒性の強い化学物質、発ガン性や神経 毒性のある化学物質を使用しないこと(日本の薬事法で、毒薬、劇薬に指定されている化 学物質だけでなく、国内で使用されていない毒劇物相当の化学物質も含む) 【意見10】p10  第6 その他の節で 『国内外における同様食品の違反事例等を随時情報提供し』を『国内外における同様食品 の違反事例や食品関連の犯罪事例等を随時情報提供し』とする。 【意見11】p11 3 記録の作成及び保存の節で 『輸入時の記録、販売時の記録等の適正な作成及び保存に努めること。』を『輸入時の記 録、販売時の記録等の適正な作成及び保存しなければならない。』とする。