********************************************************************** クロルピリホスに係る食品健康影響評価に関する審議結果(案)についての意見 ********************************************************************** 【意見1】クロルピリホスのADIを0.0003mg/kg/ 日(小児等についての耐容一日摂      取量については0.00003m g/kg/日)とすべきである。 【理由】 1、農薬評価書にあるように、US.EPA は、各種毒性試験で認められた血漿ChE 活性低下等か   ら、各種毒性試験の無毒 性量の最小値を0.03 mg/kg 体重/日とし、安全係数100で除   してcRfD(ADI)を0.0003 mg/kg 体重/日と設定している。 2、2000年9月25日に、厚労省の室内空気汚染問題に関する検討会に提出された文書「室内空   気汚染に係るガイドライン案について−室内濃度に関する指針値」(12月15日に内容の   一部改訂)では、クロルピリホスの室内濃度指針値が1μg/m3(小児については0.1μ   g/m3)と設定された(その後、指針値として確定)。   検討会では、上記EPAの無毒性量0.03 mg/kg体重/日を採用し、不確実係数100分の   1を乗じて、ADIをEPAと同じ0.0003 mg/kg体重/日として、指針値が決定されてい   る。   また、クロルピリホスの毒性評価について、以下のような記述がある。   『なお、本物質については、特に、新生児の脳に形態学的変化を起こす知見から、小児   等弱者を対象とした指針値として、さらに不確実係数10を考慮して、クロルピリホスの   室内濃度指針値(小児等弱者に対して)を0.0001mg/m3と推定した。』   ここでは、小児等の耐容一日摂取量は、0.00003mg/kg/日とされている。 3、シロアリ防除剤・木材処理剤等としてクロルピリホスを使用した場合、室内空気を汚染   し、吸気による曝露量が上記ADIを超える恐れがあるとして、建築基準法が改定され、   2003年7月1日からクロルピリホスを添加した建築材料の使用は禁止された。 【意見2】クロルピリホスの残留基準を設定する際に、従来のADIの配分比率(食品80%、      水10%、その他10%)を機械的に採用するのでなく、大気由来の曝露量の実態を      考慮するよう、厚労省に申し入れられたい。 【理由】 1、クロルピリホスが、シロアリ防除剤や木材処理剤に使用されたことにより、同成分によ   る室内空気やほこり汚染、さらには、食品の二次汚染が、大阪府立公衆衛生研究所の吉   田精作ほかの研究等で明らかになっている。 2、クロルピリホスの空気汚染濃度が指針値を超えない0.1〜1.0μg/m3とすると、体重50   kgの成人が1日15m3の空気を吸うとして、ADIが0.001mg/kgの場合、0.0003mg/kgの   場合の対ADI比率は、それぞれ下のようになる。    空気からの  ADI=0.001mg/kg 0.0003mg/kg    曝露量    の場合  の場合    0.03-0.3μg/kg 3〜30 %  10〜100%