速報:第6回農業資材審議会農薬分科会メモより  1月30日に開催された農業資材審議会農薬分科会では、  次の議題がとりあげられました。     (1)特定農薬について(答申)     (2)農薬使用基準について(答申)     (3)水産動植物に対する毒性に係る登録保留基準の変更について(答申)  農業資材審議会からの農水大臣・環境大臣への(1)(2)についての答申文面は次の通りです。     ((3)については省略) 『 平成14年12月20日付け14生産第7287号をもって諮問のあったことについ  ては、下記の内容とするのが、適当である。    1.農薬取締法の一部を改正する法律による改正後の農薬取締法(以下「新法」とい      う。)第2条第1項に規定する特定農薬として「食酢」、「重曹」、「使用され      る場所の周辺で採取された天敵」を指定する。    2.新法第12条第1項の規定による基準は、農業資材審議会農薬分科会農薬使用基      準小委員会及び中央環境審議会土壌農薬部会農薬専門委員会合同会合から提出さ      れた「農薬使用基準の考え方」により策定する。』  以下に当日の傍聴メモから主な話題を報告します。正式議事録が公開されるまでの参考  資料としてお読みください。  お断り:当日は、資料も配布されており、メモだけで、内容不明のところ      があるかも知れませんがご容赦を。      また、内容に記載漏れやミスがあるかも知れません。お気づきの      方は、御連絡ください。       *********************** 農業資材審議会農薬分科会(第6回)メモ 2003年1月30日 ★特定農薬について 【会長】これまでに会議を2回、メール会議を頻繁にして慎重に審議した。意見はない     か。 【委員】「特定農薬」という名称を変える可能性があるか。 【農水省】名前が悪いと言われている。有機農業の人が急に農薬にされるのは抵抗があ     ると言っている。作物保護剤とか、病害防除剤とか特定防除資材などが出た。     趣旨が分かればいいので特定農薬に固執しない。そういう名でやってもいい。 【委員】効果をどう評価するのか。 【農水省】既存のデータがあれば利用する。必要なら簡単な試験をする。 【委員】天敵は病害虫だけをあげているが、雑草もある。雑草の敵も天敵ではないか。     天敵でないものは農薬ではないという理由に雑食性をあげているが考え方の整     理が必要。薬効のデータを取るのは大変だ。特定農薬に指定された「使用され     る周辺」とはどこをさすのか。周辺以外で採取され大規模なものは登録が必要     とあるが、大規模とはどのくらいかも明確にすべきだ。 【会長】雑草が入っていないのは農薬取締法の定義の中に入っていないという説明を受     けている。天敵については、外国から導入されるものは生態系への影響がある。     国産でも工場で大量に生産され全国にばらまかれるケースがある。そういうも     のは生物農薬として登録する必要がある。ただし、農家が周辺にいるものを採     取して使用するのまでは規制しないということだ。周辺の定義は事務局から説     明してほしい。 【農水省】まだ詰め切れていない。行政区域でやるのもおかしいし、どうしたらいいか     知恵をほしい。 【会長】薬効については、農取法が農薬のまがい物の被害を避けるということから生ま     れた経緯もあり、効果を問わないのは農取法の原点から外れる。集まった情報     では効果について客観性がなかったので判定を保留した。 【委員】情報を寄せられた地域の範囲はどこか。絞り込みはどこがしたのか。     Ap21の今後の運用で1,2があいまいだ。     いつまでにやるのか、準備、プロセスを教えてほしい。 【農水省】都道府県によってまちまち。200件以上も情報を寄せたところもあった。     農業生産の高いところが多かった。2400件を分類して整理したものを検討     会に報告した。保留のものはできるだけ早くやるつもりだ。情報をくれたとこ     ろに再質問したりインターネットなどで探していきたい。 【会長】効果について、情報は個人的な思いこみが多かった。シャーレで虫が死んだな     どというのは採用できなかった。コントロールもなかった。登録農薬は2年間     で6箇所で試験をするようになっている。これから効力の評価をどうするか事     務局で検討してもらいたい。 【農水省】登録農薬ほどでなくもう少し簡単に判定できるものを考える。 【農水省】こちらからもう少し説明したい。NHKで放映されたり、関心が高まってい     る。いろいろな意見が出ている。食品を農薬にするのはおかしいという意見が     あるが、情報は防除するものということで広めに取っている。その結果、食品     を抽出しているものがかなりあった。食品だから農薬でないとは一概に言えな     い。薬剤とは化学的作用を持つ物質だ。食品であっても安全とは言えない。     たとえば牛乳が腐ったものはどうか。防除に使えるとなると畑に大量に投棄す     ればどうなのかなどの意見だ。有機農業家等の意見は、長く使ってきたものを     農薬と言われたくないというのがある。われわれは名前にこだわっていない。     過剰規制にならないためにこの制度を作ったという説明をしている。 【委員】土壌改良材、作物を元気にするものは有機農業の基本的部分で、農薬とは別の     ものだ。有機で使えるような技術ははずし、自由に使えるようにすべきではな     いか。植物抽出を規制するとしたほうがいい。 【委員】天敵についてだが。周辺で採取した天敵を実際農家が自分の畑に放すことは考     えられる。指定するのに販売行為は規制する意味があるが、農家が自分でつか     まえ、放すものまで指定する根拠は何か。 【農水省】「業者」を「者」にした。農薬を安全に使ってもらう観点で個人と販売者は     別にしている。販売者は立ち入り、表示規制などができる。 【委員】天敵を指定するのは販売行為がかなりあるという理解か。 【農水省】そうだ。 【委員】指定された農薬を「登録されている」というと虚偽か。指定と登録を厳密に使     うべきだ。法律ではっきりしているか。 【農水省】特定農薬は登録から除外するものだ。製品ではなく成分の材料を指定する。     ニンニクと唐辛子が指定されればそれを混合したものはOKだ。 【委員】p21の5。農薬資材と農薬的資材はどう違うのか。両方使っているので末端     は困るだろう。 【農水省】議論されたことを大急ぎでまとめたので不十分なところはある。「的」を入     れたのは、使っている人は効果があると信じているからだ。客観的に見れば農     薬は農薬であるべきだが主観的には効果があると思われているので。 【会長】特定農薬に指定されれば製造、輸入、販売は自由になる。業者が製造販売する     場合には規制が必要だ。個人がやっても環境に影響を与える場合はどうか。     周辺住民や生態系に悪影響を与える場合もある。たとえば、ニンニクを大量に     まけば悪臭がすごい。 【委員】一般に農薬といえば化学合成農薬をイメージする。消費者は農薬に対して抵抗     感がある。農薬の定義を改めて見直すべきではないか。 【農水省】農薬も種類がある。有機農業に使える農薬も登録されたものだ。農薬がすべ     て化学合成で危ないとは言えない。 【委員】情報が生活者に届いていない。無登録農薬の場合もなぜ失効したのか明らかで     なかった。情報開示に取り組むべきだ。 【会長】天然も合成も安全を確認しないといけない。化学合成が農薬だというのは誤解     である。     どういう理由で失効したか、今まで明らかでなかった。毒性学的に問題が見つ     かった場合はメーカーにすぐ役所に届けるようにするシステムが必要だ。アメ     リカではやっている。役所はそれを公表するべきだ。 【農水省】農薬の情報はできるだけオープンにしたい。失効理由を聞いて調査したい。     毒性関係のデータも公表するよう指示しているが集めてインターネットでやっ     てもいいが、簡単な情報がいいのか、元データまでほしいという人もいる。     今のところ中程度で考えている。情報のルールを作っていく。2月は県末端ま     で広報しなければならない。「農薬の基礎知識」というパンフを作って広報す     るつもりだ。 【委員】特定農薬は材料で指定すると言うが、ミックスした場合の安全性のチェックは     どうなっているか。 【会長】ワサビの抽出液をハウスで撒くと危険だ。急性毒性はMEPの3倍ある。 【委員】特定農薬は材料を指定すると言ったが、その他成分としての指定が必要ではな     いか。アメリカのミニマムリスクもそうなっているが。 【農水省】イメージとしてはアメリカのようにしたいと思っている。 【会長】ラベルが付くのかつかないのか。アメリカのミニマムは正直に全部記載するこ     とになっている。虚偽の表示、EPAが認定していると言ってはいけないなど     ある。指定してもいいものが増えてきたときに事務方で検討してほしい。 【委員】ミニマムリスク制度はわかりやすい。最後に「当面はこれ以上指定しない予定     」とある。日本でも将来いろいろなものが出てくる可能性がある。末端の受け     取り方は指定も登録も同じだ。悪用されるおそれがある。ルーズにならないよ     うにしてほしい。 【委員】特定農薬とはどういうものか知らせるべき。環境に対する影響はどうなのか。 【会長】新しい制度なのでいろいろな意見を聞きたい。農薬関係の資材を評価できない     か、食の安全のツールとして使えないか考えている。 【委員】有効性安全性が簡略化された評価だが、環境に対する評価も簡略化するのか。 【農水省】登録制度は厳しい。抽出物、発酵物などは第一次スクリーニングで登録すべ     きかどうかの判定をする仕組みが必要。 【委員】効果不明に漢方植物があるが、漢方植物の効果が不明なのか。評価する優先順     位はあるのか。すでに売られているものもあるが。 【会長】微生物資材、抽出液、有機に出まわっている中に農薬が含まれている。品質、     中身、安全性を確認しないと認められない。微生物資材は菌株によって毒性が     強いものがある。 【委員】売られているものについてだが、ラベルに書かなければいいのか。セールスト     ークは許されるのか。木酢液は品質が不安定だが信じて使うのはいいのか。 【農水省】従来から取締りをしている。ラベルは証拠として必要。セールストークは証     言を取るなど証拠がないと取り締まれない。木酢液についてはいろんな品質が     あるので一概に言えない。全部問題だとは言えない。よくしようという人を評     価していきたい。 ★農薬使用基準について 【農水省】努力義務を入れることについては他に例もある。一般的な指導だけでなくそ     の上を狙っている。 【委員】責務について 【環境省】登録の際、登録保留の条件がある。それをベースにして責務とした。 【委員】著しい被害とは何か。 【環境省】魚類の被害だ。 【委員】責務の中の使用者は「なに人も」か。 【農水省】すべてだ。 【委員】罰則を科す基準の適用作物のところで多品目作っている場合、共通の適用がな     いといけないのか。ラベルの表示の字が小さすぎる。汚れて読めない場合もあ     る。食用に登録のあるものは非食用に使えるのか。 【農水省】適用作物は守ってもらう。書いてない作物には撒いてはいけない。残留農薬     基準が作物ごとに決まっている。表示やラベルは見やすくするよう、施行省令     で指示する。食用は厳しくやるが、非食用はたとえば花の種類が多いので花だ     けで一本にできないか検討している。花の薬害については使用者に責任をもっ     てもらう。 【委員】航空機に無人ヘリは入るのか。ゴルフ場の農薬使用者は誰か。帳簿は現場では     ばらばらにやっている。統一すべきではないか。記帳したものは、第三者のチ     ェックの仕組みが必要ではないか。マイナー作物の経過措置だが、都道府県知     事の承認はある県でやれば全国で可能か。既に申請はあるのか。 【農水省】無人ヘリは入らない。ゴルフ場の使用者は実態を聞いて教えていただきたい。     今、調査中だ。記帳のフォームを統一した方がいいと思うので、情報を集めた     い。チェック機関だが、まず指導にはいる、適正使用アドバイザーを作ってい     く。使用者の免許制の提案もあったが、日本では難しい。知事が認定を受けた     県だけが使えるようにする。まだ申請はない。 【委員】p26 3−5 止水。流す前に残留のチェックをするのか。 【環境省】公共用水域の水質汚濁について、水田では150日間の平均濃度がADIの     10%と決めている。クリアーするために川に出るのを止める。農薬ごとに止     水期間は何日と決まっている。 【委員】p25 2−4 化学物質過敏症が多いが住民への情報公開はどう考えている     か。業者は計画を届けるが使う場合の周辺住民への周知はどうなっているか。 【農水省】住民への周知は指導していく。立て札を立てるとか。 【委員】樹木への散布もするのか。 【農水省】指導していく。 【会長】多くの消費者が関心を持っている。ゴルフ場は周辺住民に掲示はしていない。     街路樹について規定はあるのか。 【農水省】ゴルフ場はしていない。街路樹は指導していく。 【会長】文書が出ているのか。 【農水省】指導文書は別にある。 【委員】経過措置 当分の間とあるが、残留試験はメーカーがやるのか、県か、国か。 【農水省】データを整備していくときメーカーにやらせると大変なので県に割り振りを     して短期間に整備したい。 【委員】毒性情報を含めて国が関与すべきと思っている。 【農水省】当分の間とは厚労省が残留基準を整備するまでが期限と考えている。3年位    後でポジティブリストにするというので3年がリミット。大体2年程度と考えて    いる。手続きは国がやる。 【委員】マイナーの中で「その他」が残るのか。 【農水省】個別からグループ化していく。 【委員】グループ化はいいことだ。 【委員】p25 U 使用基準の考え方、責務をみると「人畜に無害であればいい」と     なっている。もうそろそろ人畜の被害だけでは納まらない。生態系への影響も     入れるべきではないか。この表現でめいっぱいなのか。 【環境省】重要な指摘だが、使用基準に書き込むのは法律上難しい。 【会長】p27の知事が申請する件 【農水省】作物残留は出荷する作物についての検査がある。これは出荷する複数の県で     やる。一方、残留試験については分担してやる。 【委員】p27 5 2 データ等に薬害試験も入っているのか。安全性確保からとく     に薬害試験が必要だ。 【農水省】適用拡大は薬効、薬害、残留と必要になる。 【委員】一地域のデータだけでは不十分だ。 【農水省】今までもすべての地域でやってない。それほど多くなくてもいい。 【委員】最終有効期限は農薬年度か。 【農水省】登録の時に品質保持のできる年限を決めている。製造者がラベルに記載して     いる。 【委員】実情の把握があまい。今の数字が正しいのか。 【農水省】しきりがないと指導できない。 【委員】罰則の3,4は計画さえ出せばいいとされるが、松枯れの処理は前もって計画     を出せない。運用面で考えてもらいたい。厳密に適用すると大変なことになる。 【会長】この内容でいいか。答申したい。 ★水産動植物に対する毒性に係る登録保留基準の変更について 【環境省】説明。登録保留基準を厳しくすることについて諮問した。 【委員】水産動植物は淡水だけだ。海産生物に対する影響をチェックしてほしい。     平成12年に水産庁から出ているのを参考にしたらどうか。 【環境省】農薬は直接水にす触れないので海産生物に影響を与えるとは思えない。将来の     課題とする。 【委員】p25 急性毒性を3つの生物でやるというのは一歩前進だが、考え方の基本     的なところで急性毒性だけでは不十分だ。せめて慢性毒性はやるべきでその先     も考えるべき。 【環境省】まず急性毒性でやりたい。 【会長】現在の農薬のなかで、新基準になったら保留になるのはどのくらいか。 【環境省】農薬工業会からの試算がある。これは条件付きで考えてほしい。一つは16     社の剤のみ、何の改善もなく今のままやった場合である。     水田農薬の殺虫剤29のうち15剤(52%)、殺菌剤、除草剤はゼロ。畑の     場合は殺虫剤56のうち4剤が保留になる。 【会長】水槽と実環境は影響が違う。航空防除の場合実環境への影響は100倍低い。     登録保留されれば問題なので2年間で緩めるべきだ。 【委員】水田では何がひっかかるのか。 【環境省】ミジンコだ。 【委員】ミジンコはすぐ復活する。実環境の中ではほとんど影響がない。 【環境省】ミジンコそのものを保護するわけではなく、生態系保全の弱いものの代表種     として選んでいる。 −(いくつか質問あるが略)− 【会長】それではそろそろ 【委員】今回、農薬取締法に大きな問題が投げかけられた。昭和23年にできた法律で     あり、現在の状況に合わない。小手先の手直しでなく抜本的な改正をしていた     だきたい。 【農水省】前回取り残した問題で、アミトロールとダミノジットの販売禁止するかどう     かがある。アミトロールは昭和50年3月に失効している。残留基準がNDに     なったのは平成3年。最近、コーデックスの評価ではADIは0.002mg/kg     となっているのですぐ禁止しなくてもいい。ダミノジットは非食用に登録がある。     食用に使ってはいけないとなっているので販売禁止しなくてもいい。