http://www.sumitomo-chem.co.jp/japanese/toiawase.html
住友化学株式会社社長　廣瀨　博　様

　反農薬東京グループです。農薬や殺虫剤のことで、いろいろお世話になっています。

　貴社が開発された有機リン剤トルクロホスメチルとスミパインＭＣ剤について
　以下のお尋ねと要望をしますので、５月２５日まで、下記に回答くださるよう
　お願いします。

***　お尋ねとお願い　***
1、トルクロホスメチルについて
　5月14日、宮崎市内で販売されたほうれんそうに、残留基準を上回るトルクロホスメチ
ルが検出され、食品衛生法違反で回収命令がだされたとの報道がありました。
　農薬使用者のほうれんそうへの適用違反があり、県の分析ではトルクロホスメチル2．7
～4．5ppmppmとのことです。
　宮崎市保健所は、においが気になる場合はたべないよう呼びかけています。
そこで、同剤についてお尋ねします。

(1)ほうれんそうの残留基準は2ppmですが、この数値で臭いはしますか。
(2)かりに5ppm残留していたとすれば、臭いがしますか。
(3)臭いの原因は何とお考えですか
　トルクロホスメチルそのものですか。
　その代謝物ですか。代謝物とすれば、その物質は何とお考えですか。
　フェノール類やクレゾール類が生成し、その臭いがすることはありませんか。
(4)トルクロホスメチルから臭い物質が生成する条件についてどうお考えですか。
(5)散布後、残留していたトルクロホスメチルはどのように変化しますか
   トルクロホスメチル及びその分解物について経時変化を示すデータがあれば、
　　お示しください。
(6)水洗いにより、残留したトルクロホスメチルは除去できますか。試験データが
　あれば、お示しください。
(7)調理により、残留したトルクロホスメチルはどのように変化しますか。
(8)かりに１度に100ｇたべると何ppmの残留で下痢や嘔吐の症状がでるとお考えですか。

(9)宮崎市保健所は、においなどが気になる場合は食べないよう呼びかけているとのこと
ですが、このことについて、貴社はどうお考えですか。


２、スミパインMC剤について
　昨年、出雲市で松枯れ対策のスミパインMC剤の空中散布が原因で1200人を超える健康被
害がでましたが、同市の健康被害原因調査委員会で、貴社が配布された「スミパイン乳剤
及びスミパインＭＣに関する技術レポート」ついて『技術レポートの記載は正確性に欠け
る記載となっております。弊社といたしましては、このような文章を作成・配布したこと
を真摯に反省するとともに、早急に技術レポートの改訂版を配布する予定としておりま
す。』(H20年9月1日第6回委員会議事録より)との表明がありました。
そこで、以下のお尋ねと要望をします。

(1)技術資料の改訂版はいつ発行され、どこに配布されましたか。
(2)資料の改訂版を送ってください。

■回答
１．トルクロホスメチル
臭いについては、原体および製剤どちらも臭います。従いまして残留量が多いと臭いがすることは容易に想像できますが、登録内容に従い適正に使用された場合、収穫された作物はほとんど臭うことはないと考えております。なお、本剤はほうれんそうの種をまく時に種子に処理或いは土壌に処理して使用する殺菌剤であるのに対し、今回の事例は収穫前のほうれんそうに直接散布されており適用外使用であったと理解しております。

トルクロホスメチルの植物体での代謝等については、国連機関が評価している「ＲＥＳＩＤＵＥ　ＡＮＤ　ＡＮＡＬＹＴＩＣＬＡＬ　ＡＳＰＥＣＴＳ　tolclofos-methyl」 (p191-p200)Report 1994 Pesticide residues in food-1994 Report sponsored jointly by FAO and WHO)に記載があり、ご参考のため別途送付致します。

トルクロホスメチルは浸透移行性がないため、水洗いをすると付着したものはある程度取り除くことが可能と考えております。また、水分があるような条件で加熱調理するとトルクロホスメチルは加水分解によって減衰すると考えられます。

本剤による人の嘔吐や下痢の報告はこれまでありません。動物実験の結果については以下の報告があります。
・ラットやマウスを用いた急性経口毒性試験では、体重1kgあたり1000mgの投与量でも毒性徴候はみられていない。（農薬登録申請資料）
・慢性毒性においてはマウスに本剤を50ｐｐｍ含む餌を104週間、毎日与え続けても毒性影響はない。
（先に紹介のＦＡＯ/WHO資料）

２．スミパインMC剤
「スミパイン乳剤およびスミパインＭＣに関する技術レポート」は、2009年3月に改訂版を発行しました。
この改訂版技術レポートは、農林水産省、林野庁、島根県、出雲市など松くい虫防除にたずさわっている関係部署に配布致しました。
当技術レポートは、一般の方には配布しておりませんが、ご希望ということで一部別途送付いたしますので、ご査収ください。
なお、貴お問合せの文面に、「出雲市で松枯れ対策のスミパインＭＣ剤の空中散布が原因で1200人を超える健康被害がでました・・・」と書かれておりますが、空中散布が原因との結論は出ていないと理解しております。

ＨＰお問い合わせ総合窓口　担当　水嶋

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