*********************************************************     無人ヘリコプターによる農薬散布についてのお尋ね(前文のみ)     ********************************************************* 農林水産大臣 中川昭一 様              2005年11月28日                 反農薬東京グループ                   代表 辻 万千子      〒202-0021東京都西東京市東伏見2-2-28B        電話/ファックス:0424-63-3027        E-mail:mtsujiアトマークjcom.home.ne.jp  私たちは、農薬をはじめとする化学物質による環境汚染・健康被害を出来るだけ減ら そうと運動している市民団体「反農薬東京グループ」です (ホームページ URL http://home.e06.itscom.net/chemiweb/ladybugs/参照)。  最近、産業用無人ヘリコプター(以下、無人ヘリ)による農薬散布が急増しています。 平成16年には、散布面積は有人ヘリコプターが約50万ヘクタール、無人ヘリが約66万 ヘクタールと逆転しました。無人ヘリの機体は2000余機におよび、300kg級の大型機の 台数も増えつつあります。また、機体を操作するオペレーターは1万人を超えています。  全国で水田をはじめ、畑、果樹園、松林などいたるところで無人ヘリによる農薬散布 が行われています。無人ヘリによる農薬散布は、地上散布の100倍の希釈液を上空から 微量散布するにもかかわらず、従来の有人ヘリによる空中散布に課せられていた規制は 適用されず、機体整備や散布地周辺への飛散防止対策も十分ではありません。そのため、 ヘリコプター事故、周辺住民の健康被害、有機ほ場への農薬飛散による被害などが起こ っております。  貴省は平成3年4月に「無人ヘリコプター利用技術指導指針」を出していますが、そ の中で、航空機を『回転翼航空機(人が乗って航空の用に供することができるヘリコプ ター(有人ヘリコプター)』、無人ヘリコプターを『人が乗って航空の用に供すること ができない遠隔誘導式小型回転翼機航空機』と定義し、両者を区別しています。  また、平成14年度改定農薬取締法第十二条に基づく「農薬を使用する者が遵守すべ き基準を定める省令」の第四条(航空機を用いた農薬の使用)の条文では、『航空機 (航空法(昭和二十七年)法律第二百三十一号)第二条第一項*に規定する航空機をい う。』とされています。  すなはち、無人ヘリは、航空機の範疇に入らないことが明確になっています。  ところで、1962年に設立された(社)農林水産航空協会(以下協会という)は、その 定款第二条(目的)で『協会は、農林水産業における航空機による薬剤、肥料の散布等 航空機を利用する事業の発展を図るため、農林水産航空事業に関する計画の樹立、調査 研究、新技術の開発その他農林水産航空事業の振興に関する事業を行うことを目的とす る。』とあり、目的に添った事業内容を第三条に挙げています。  無人ヘリは、航空機でないにも拘らず、協会は、現在、無人ヘリに関してさまざまな 事業を行っています。  たとえば平成15年度事業報告によると  ・産業用無人ヘリコプターの管理運営事業   機体及び散布装置の性能確認及び定期検査を行ったほか、オペレーター養成施設   及びオペレーター並びに指導員の技能確認を行った。    また、安全対策を推進するための資料を作成配布するとともに、農薬適正使用   のための広報活動、技能向上のための全国飛行技術競技大会を実施した。  ・産業用無人ヘリコプターの利用技術の開発 3課題12試験  があげられています。  貴省の監督下にあり、農林水産航空事業を行うにあたって、国からの補助金を受けて もいる社団法人協会が、定款目的に反する上記のような事業を行っていることは、看過 できません。さらに、貴省は協会に対して、農林水産航空事業への補助金を交付してお り、その使途についての指導・監督の責任があります。  もうひとつ、無人ヘリによる農薬散布については、防除業者が野放しになっていると いう問題があります。  上述の平成14年度改定農薬取締法では、従来の防除業者の事後届出制度が廃止され ましたが、有人ヘリによる防除業者は、第十二条に基づく「農薬を使用する者が遵守す べき基準を定める省令」で住所・氏名、散布計画の届出が義務づけられています。  一方、無人ヘリ防除業者は、家庭菜園での農薬使用者と同等に扱われることになり、 有人ヘリ防除業者のような届出義務が課せられることもなく、防除記録の記載は努力規 程でよいことなりました。  私たちが調べたところでは、以下に示すように、一部の地方自治体の中には、指導要 領や要綱で、無人ヘリ防除業者に防除業者届や散布実施主体に散布計画や実績報告を求 めているところもありました。        防除  散布計画届 実績報告  防除記録        業者届               記帳  農取法                     ○  長野県       実施主体○ 実施主体○  滋賀県    ○              実施主体○  兵庫県    ○                ○  広島県       実施主体○ 実施主体○  そこで、以下の点をお尋ねをいたしますので、12月22日まで、文書で回答くださるよ うお願いします。  注* 航空法 第二条で「航空機」とは、「人が乗つて航空の用に供することができ る飛行機、回転翼航空機、滑空機及び飛行船その他政令で定める航空の用に供すること ができる機器をいう。」