*********************************************************************** キャプタン、有機リン剤などの農薬・殺虫剤散布の使用中止について(お願い) *********************************************************************** 2008.11.27 千葉市教育委員会 教育長 飯森幸弘様 生涯学習部 部長 河野正行様 生涯学習振興課 課長 本庄賢一様 有害化学物質から健康と暮らしを守る会・千葉 代表 木村優子 有害化学物質から子どもの健康を守る千葉県ネットワーク 代表 藤原寿和 反農薬東京グループ 代表 辻万千子 日頃より市民のためにご尽力いただきありがとうございます。 さて、先般開示された、平成19年度の千葉市での農薬・殺虫剤等の室内外での使用実績を みましたが、千葉市中央図書館・生涯学習センターで使用されている薬剤に有害なものが あることがわかりました。 なかでも、オーソサイド(商品名)=キャプタン(農薬名)は、数ある農薬の中でも非常 に危険性の高い農薬です。キャプタンは殺菌剤で、フィンランドでは1972年から使用 禁止、ドイツでは1986年より使用禁止、アメリカ科学アカデミーは、発ガンの危険度 の高い農薬として挙げており、EPA(アメリカ環境保護庁)もヒトに対して発ガンの恐 れがあるとし、種子消毒に限るよう提言しているほどです。また、国際化学物質安全性 カードには、「粉塵の拡散を防ぐ!あらゆる接触を避ける!青少年、小児への暴露を避け る!」との注意があります。 そのキャプタンを貴施設では、平成19年度だけでも下記のように5回も散布しています。 4月23日 アトリウムガーデン(室内)   6月4日  第一駐車場、テラス、屋上 6月25日 アトリウムガーデン(室内) 9月25日 第一駐車場 1月28日 アトリウムガーデン(室内) ● 非常に危険であると思う点 @ 諸外国ではとうの昔に禁止されている猛毒キャプタンを使用している。 A さらに、キャプタンを室内でも散布している。 B キャプタンを含め、多種類の農薬を現地混用している。 C 欧米では神経毒があるとして、使用規制(禁止)になっている有機リン系農薬を 使用している。 室内での散布は揮発しにくく分解されにくいため、残留期間が長く、ヒトに対して影響を 与える度合いも期間も長くなるため、なおいっそうの注意が必要です。発ガン性が高く危 険だとして諸外国で何十年も前に規制されているこのような農薬を、室内で使うなどもっ ての他です。図書館には胎児も子どもも滞在します。胎児や子どもは、身体も脳も成長が 著しく、化学物質への感受性が高く影響を受けやすいとされます。取り返しの付かない事 にならないよう、すぐさまキャプタンの使用を中止するべきです。 散布がキャプタンの単剤使用ではなく下記のように様々な農薬の現地混用で、更にも増し て危険性が倍増されている可能性があります。登録農薬は、単剤だけでなく、複合剤も毒 性試験の実施が義務付けられていますが、2種類以上の成分の現地混用については、毒性 試験はされてはおらず、複合汚染の安全性は全くの未知数です。農水省と環境省の連名通 知「住宅地等における農薬使用について」の中でも、「これまでに知見のない農薬の組合 せで現地混用を行うことは避けること。特に有機リン系農薬同士の混用は、混用による相 加的な作用を示唆する知見もあることから、これを厳に控えること」と記載があります。 以下、昨年、キャプタンと混用された農薬をあげます。これらは、樹木や観葉植物など非 食用作物へ散布されましたが、キャプタン剤の混用事例の知見はありません。 散布日  混用農薬 4月23日 ネオニコチノイド系のモスピラン(アセタミプリド) 劇薬指定  (ネオニコチノイド系のイミダクロプリド、クロチアニジンなどは、フランス、イタリア、 スロベニア、ドイツで使用禁止) 6月4日 有機リン系農薬のスミチオン(フェニトロチオン)とカルホス(イソキサチオン)  (有機リン系の農薬は、欧米で使用禁止) @国からの通知に、有機リン系農薬同士の混合は厳に慎むよう記載されているのですが、 守られていないようです。 6月25日 有機リン系のスプラサイト(DMTP=メチダチオン)劇薬指定 PRTR 第1種指定 (欧米では使用禁止の有機リン系) EPAがヒトに対して発ガンの恐れあ りと挙げている。 9月 5日 有機リン系農薬のスミチオンとカルホス (欧米で使用禁止) 9月25日 有機リン系農薬のスミチオンとカルホス (欧米で使用禁止) 1月28日 有機リン系農薬のスプラサイト  (欧米で使用禁止) 平成15年発出の通知「住宅地等における農薬散布について」では、農薬散布は最後の手 段であり、散布する場合には周辺住民に事前通知をするようにと記載されておりますが、 通知に沿った管理がされているとは思えません。 更に、上記以外にも生涯学習センターでは衛生害虫駆除のため、室内散布が6月と12月 に行われています。 6月18日 ダイアジノンMC剤 有機リン系農薬 PRTR第一種指定  (アメリカでは、2002年室内使用禁止・2004年屋外使用禁止、 EUでも使用禁止)       ザーテル乳剤=クロルピリホスメチル 有機リン系農薬 PRTR第一種指 定 (欧米で使用禁止) 12月17日 スミチオン乳剤=MEP(フェニトロチオン) 有機リン系農薬 PRT R第一種指定 (欧米で使用禁止) 生涯学習センターは、特定建築物ですので厚労省「建築物における衛生的環境の確保に関 する法律」に基づく管理がなされなければなりません。散布前には、生息調査が行われて いるようですが、果たしてその結果を十分に反映した管理がなされているのか疑問です。 2008年1月に出された厚労省の「建築物における衛生的環境の維持管理要領」と「建築物 における維持管理マニュアル」を遵守するよう要望いたします。 下記は、農薬や殺虫剤等に関係する通知や法律などです。 ● 農水省・環境省 連名発出の通知 「住宅地等における農薬散布について」 ● 環境省「公園・街路樹等病害虫・雑草管理暫定マニュアル」 ● 厚労省「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」 ● 厚労省「建築物環境衛生維持管理要領」 「建築物における維持管理マニュア ル」 厚労省の研究班(2003年〜2005年 微量化学物によるシックハウス症候群の病態 解明、診断、治療対策に関する研究)も、報告書の中で有機リン系農薬およびカーバメイ ト系農薬については、明らかに神経毒があるとし「脳機能の発育段階にある幼児、子ども、 思春期男女の将来を考えると、早急に規制すべき」と提言しています。また、千葉大の森 千里先生は、化学物質がアレルギーを悪化させるとおっしゃっています。 まずは早急にキャプタンの使用を中止するよう要望いたします。また、市民の健康と安全 を第一に優先するために、樹木や衛生害虫等に対する有機リン剤やネオニコチノイド系農 薬の室内外の薬剤散布をやめ、IPM防除の考え方を取り入れた農薬や殺虫剤に頼らない 管理をお願いいたします。 ご多用中お手数をおかけしますが、文書での回答を12月末までにいただければ幸いです。 また、回答後に私たちと面談の機会を設営くださるようお願いいたします。