厚生労働省健康局結核感染症課 御中       2003年07月07日             特定非営利活動法人化学物質過敏症支援センター                         理事長 横田 克巳             反農薬東京グループ                         代表  辻 万千子         ********************************************         航空機への西ナイル熱媒介蚊対策に関する要望         ********************************************   去る7月1日、貴課より「北米地域から来航する航空機へのウエストナイル熱  媒介蚊対策の指導について」という課長通知が、各地の検疫所長に出されました。   航空機に関しては、貴省研究班の「ウエストナイル熱媒介蚊対策に関するガイ  ドライン」(以下、「ガイドライン」)では、WHOの勧告に準じた処理方法とし  て20頁に具体的な方法が示されていますが、これは、私たちが懸念する殺虫剤  使用によるものであり、それ以外の方法は何も記載されていないため、該当地  区からの航空機について、蚊の有無を確認することなく、すべて殺虫剤処理を  せねばならないと解釈できるものです。   アメリカでは、環境保護団体NCAPが、下記の資料のように航空機内での殺  虫剤散布の危険性を警告しています。     http://www.pesticide.org/AirlineSpray.pdf   (反農薬東京グループの記事:     http://home.catv.ne.jp/kk/chemiweb/ladybugs/kiji/t08906.htm)   わたしたちは、6月10日にウエストナイル熱媒介蚊対策として、生活環境で  のやみくもな殺虫剤散布に反対して要望しましたが、さらに、航空機対策につい  て以下の要望をいたします。お忙しいところを恐縮ですが、7月17日までに文書  で回答をお願いいたします。  【要望】  1,航空機のような気密性の高い居住空間での殺虫剤使用を前提とした蚊対策は    やめ、他の物理的手段を検討する。     例 @ガイドライン資料集にあるトラップ類等。       A機内への蚊侵入を防ぐため、入り口付近に、機内から外に強制送風する        装置を設けるなどの検討を積極的に行う。  2,万一、殺虫剤を使用せざるを得ない状況にあっても以下の点を徹底してくだ    さい。       (1)着席中の客室への散布はやめる       (2)農薬使用情報(薬剤名、その毒性、処理日時、化学物質過敏症患者         への注意等)を乗客や乗務員へ提供する。   また、下記の質問についてもお答えくださるようお願いします。  【質問】  1,機内における蚊の捕集調査結果を明かにされたい。そのうち、人の血を吸う恐    れのある蚊の比率はどの程度か。  2,WHOの1998年の勧告では、昆虫防除のための3つの方法が挙げられているが、    ガイドラインで、搭乗前処理と残留噴霧処理の2方法の実施を求めることにし    たのは何故か。     また、この2方法のいずれかの実施を求めているのか。それとも、2方法を    同時に行うことを求めているのか。  3,ガイドラインでは、ペルメトリン、フェノトリンを含有する殺虫剤スプレーの    使用を求めているが、これらの薬剤の毒性はどのようなもので、人体症状につい    てはどのようなものと認識しているか。  4,ガイドラインに「出発1時間以内、旅客が搭乗する前に、機内空調をとめて、客    席は、1秒1歩の速度で歩行しつつスプレーすること。トイレ・衣服ロッカーは    2秒噴射、乗員休息区域・フライトデッキは3秒間噴射するという処理方法を示    された根拠はなにか。    この時、1機あたりに散布される殺虫剤量はどの程度か。  5,さらに、配膳区域を除き、乗員室、客室、貨物室等を8週間毎に殺虫剤の残留噴霧    処理をするとあるが、1回につき、どのような薬剤がどの程度の量使用されるか。  6,上記のような殺虫剤処理で、機内の空気中の殺虫剤濃度はどの程度になるか。    気中濃度の経時変化を示されたい。使用される薬剤の使用状況(殺虫剤の種類、    使用方法等)に応じた調査結果があれば乗務員室、客室、貨物室別に願いたい。  7,通常、家庭内で殺虫剤スプレーを使用する場合、使用後、一定時間密閉し、そ    の後、換気することが求められるが、航空機内の換気と、殺虫剤気中濃度の関係    はどうなっているか。殺虫剤スプレー後の換気や、乗員・乗客の立ち入り禁止期    間を設けていないのは何故か。  8,殺虫剤処理は、1フライト毎に実施するとすれば、殺虫剤散布は継続的に実施    されることになる。特にペルメトリンは低蒸気圧で、機内の座席や床・壁面など    付着したものが蓄積する恐れがあり、肌に触れたり、乳児がなめたりすることも    考えられるが、座席や壁面の殺虫剤付着量はどう変化しているか。  9,機内での殺虫剤処理による食品の二次汚染はないか。  10,殺虫剤散布により、乗務員や乗客の影響調査や健康被害がでた例があれば、示    されたい。  11,殺虫剤を使用する旨の乗員・乗客への告知、使用する殺虫剤の人体毒性の乗員・    乗客への周知、健康被害がでた場合の対処方法はどうなっているか。  12,離陸前の殺虫剤処理が確認されていない場合の検疫所の対応はどうなるか。    乗客・乗員の居るところでの殺虫剤散布もあるのか。  13,該当殺虫剤が貨物室等の農作物に付着した場合、食品衛生法違反となる場合が、    考えられるが、どのように対処されるか。  14,WNV以外に、日本脳炎、マラリア、その他、蚊が媒介する感染症の発生国から    の航空機の場合も、同じような殺虫剤処理を求めているのか。        特定非営利活動法人化学物質過敏症支援センター 理事長・横田 克巳        〒231-0006 横浜市中区南仲通4-39石橋ビル5F        電話045-222-0685 ファクス045-222-0686        反農薬東京グループ 代表・辻万千子        〒202-0021 東京都西東京市東伏見2-2-28-B        電話兼ファクス0424-63-3027