2003年7月1日 都道府県知事   各位 政令指定都市市長 各位 中核市市長    各位 保健所設置市市長 各位 西ナイル熱媒介蚊対策についての要望書  私たちは、化学物質過敏症の患者や、患者の支援団体、または、化学物質による健康被害 や環境汚染をなくすことを目指して活動している団体です。  平素より、住民の健康増進のためご尽力いただき、ありがとうございます。  このたび厚生労働省より「厚生労働科学研究で取りまとめられたウエストナイル熱の媒介 蚊対策に関する参考図書の配布について」(健感発第0618002号 平成15年6月18日)という 厚生労働省結核感染症課課長通知と「ウエストナイル熱媒介蚊対策に関するガイドライン」 が送付されたことと思います。  厚労省によると、西ナイル熱はウイルスを持った鳥などを刺した蚊に刺されることにより 人へ感染するとされています。感染した人の80%は発症せず、発症者の1%が重症化して脳炎 などになり、重症患者の3〜15%が死亡に至るとのことです。発症率、死亡率は高くはありま せんが、ワクチンや治療方法がないため、十分な対策を講じる必要があるとされています。  しかし、本ガイドラインが主な対策として示した殺虫剤散布は極めて限られた効果しかな く、過剰・不適切な散布は健康被害を発生させるだけで、西ナイル熱の対策にはなりません。 アメリカでは徹底的な殺虫剤散布を行いましたが、3年で全米に拡大したとのことです。  にもかかわらず、本ガイドラインは、西ナイル熱媒介蚊対策として、殺虫剤使用を強調し ています。毒性が高い有機リン系殺虫剤などを使用することとし、中には空中散布まで検討 するという記述があります。  本ガイドラインを作成した研究班のメンバーは感染症研究者やPCO(害虫防除業者)関係者 が多い半面、化学物質による健康被害に詳しい専門家がおりません。このため、PCOの考え方 が色濃く反映されているのに対し、 殺虫剤による健康被害の恐れについて触れられていません。  殺虫剤等の安易な散布により健康被害を受ける人々は確実に増加しています。私たちは、 そのような人々への配慮のない通知は出すべきでないと厚労省に要望し、国会でも取り上げ られました。  その結果、厚労省は、「厚労省の文書として扱わず、厚生労働科学研究の報告書という形 で参考として配布する。課長通知で、過剰な殺虫剤散布を戒める」として、都道府県等に配 布してしまいました。このような対応は、研究班に責任を押しつけ、厚生労働省自らの責任 をあいまいにするものとも言えます。  厚労省は、国会答弁で、また、私たちへの説明の中で、「本ガイドラインは殺虫剤の使用 を推奨するものではない」旨、述べています。  また、課長通知には、平素からの蚊対策として、蚊のサーベイランスや、蚊の幼虫の発生 源をなくすことが重要であり、ウイルスナイル熱の流行拡大が懸念される場合であっても、 安易な化学物質の空中散布等では十分な効果が期待できず過剰な化学物質の使用になると、 明記されています。  厚労省によるこれらの補足説明があってもなお、本ガイドライン自体が殺虫剤の使用を奨 励していることに変わりはありません。  すでに殺虫剤等の農薬による健康影響の恐れについて研究され、対策を講じておられる自 治体もございますが、これまでの国内の状況は総じて、O157、新型肺炎など、新たな感染症 発生などのたびに、過剰・不適切な殺虫剤散布が行われ、健康影響が引き起こされてきたパ ターンが多いように見受けられます。  私たちが厚生労働省に提出した要望書をお送りいたしますので、その趣旨をご理解いただ き、西ナイル熱対策名目などによる過剰・不適切な殺虫剤散布が行われないよう、そして、 殺虫剤散布による住民への健康被害が発生しないよう、十分にご配慮くださいますよう、お 願い申し上げます。 添付資料:厚労省への要望書 ■要望者・団体(五十音順。カッコ内は団体の場合代表者等、個人の場合住所等) アトピッ子地球の子ネットワーク(事務局長・赤城智美) 天草の海からホルマリンをなくす会(会長・宮下正利) 荒 敏恭(北海道恵庭市) アレルギーを持つ人のひまわりの会(代表・石井淳香) 池下 美晴(北海道千歳市) 石下 直子(横浜市) 今泉 美保(佐賀県、アレルギーの子を持つ二児の母) いもづるねっと(代表・藤原清子) 江別環境広場(代表・長屋貞夫) 江別きれいな風の会(代表・岡崎朱実) 遠州ゴルフ場農薬汚染を監視する会(新村いつ子) 岡山パンプキンコーチ(代表・小野田光子) 沖縄アレルギーを考えるシーサーの会(代表・金城照美) 奥村 和子 化学物質不耐症を考える会(代表・久保美津子) 化学物質問題市民研究会(代表・藤原寿和) 加藤 佳誉子(北海道千歳市) 川ア 陽子(佐賀市) 環境過敏の子供を持つ親の会(代表・林由季子) 環境研究会(代表・益田 京子) 環境の会(代表・笠松希代美) 環境病患者会(代表・山田幸江) 環境ホルモン汚染をなくす会(代表・久保田妙子) 関西eグループ(代表・越智喜美栄) 岐阜市政を考える女性の会(代表・村井はつみ) 岐阜人FORUO(代表・村井はつみ) 岐阜ぜんそく友の会(代表・山田安子) 岐阜・2001年の会(代表・松井英介) 木村 清美(愛知県南知多町) 健康を考える会(代表・福田まちこ) コスモスふぁーむ(代表・山岸謡子) 〜子ども・地球・未来を守りたい〜親たちの声ネットワーク「未来」(代表・森文子) 子供の環境を守る会(代表・池田みどり) 子どもの健康と環境を守る会(代表・黒嶋惠) 埼玉県環境管理ネットワーク(代表・西田隆彦) サイレントスプリング(代表・高木亜希) 栄工場のゴミを考える会(西岡政子) サスティナブル21(代表・小沢祐子) 佐藤 のり子(大阪府箕面市) CS患者会(代表・道本みどり) シグナルキャッチ(代表・鹿児島ひとみ) 自然農を学ぶ会(代表・宮田勝子) 自然を楽しむ会(代表・伴桃実) 下村 幸郎(北海道千歳市) 食政策センタービジョン21(主宰・安田節子) 新海 由美子 杉山 浩子(静岡県藤枝市) 健やかな命のための生活講座 生態系を生かした樹木管理を考える市民の会(代表・西田隆彦) 高橋 小枝子(北海道千歳市) 高橋 真理子(北海道虻田郡) 田口 誠道(長野県丸子町・長野県の農薬空中散布を考える会代表) 津谷 裕子(茨城県土浦市) 鶴田 由紀 電磁波被害者クラブ(代表・阿限猥) 特定非営利活動法人化学物質過敏症支援センター(理事長・横田克巳) 豊橋有機農業を考える会(代表・水谷誠寿) とりのさと農園(橋本裕子) 内藤 雅子(千葉市) ナチュラルクッキングの会(代表・伴美槻) 日本消費者連盟関西グループ(代表・筒井明子) 日本野鳥の会遠江支部(代表・青木正男) 忍頂寺 千恵子 浜松アトピーの会(沢柳京子) 浜松市民ねっと(池田国利) 反農薬東京グループ(代表・辻万千子) 東野 曜子(兵庫県川西市) 曳地 トシ(埼玉県飯能市) 樋口 雄三(福岡県八女郡) VOC-電磁波対策研究会(代表・加藤やすこ) フォー・ザ・チルドレン(代表・田口操) 松田 章子(石川県柳田村) 松本 基督 まどか文庫(代表・渡辺則子) 三上 みちる(横浜市) 無農薬茶の会・消費者(代表・津田恵子) 山西 てるみ(香川県内海町) 横浜・ゴミを考える会連絡会(佐々木美智子) 横浜土を守る会(代表・唐沢とし子) ナギの会(代表・渡辺寛) 野上茂子(神奈川県横須賀市) 野上盛茂(神奈川県横須賀市) わし沢里山の会(大石尚美) ■世話人 特定非営利活動法人化学物質過敏症支援センター 理事長・横田 克巳 〒231-0006 横浜市中区南仲通4-39石橋ビル5F 電話045-222-0685 ファクス045-222-0686 反農薬東京グループ 代表・辻万千子 〒202-0021 東京都西東京市東伏見2-2-28-B 電話兼ファクス0424-63-3027