2005/01/27 環境大臣 小池百合子 殿 **********             緊急要望書  **********  現在、貴省が、実施されている、「化学物質の内分泌かく乱作用に関する環境省の今後 の対応方針について(案)」に対する意見の募集について の募集期間を1ヵ月延期され たい。 【理由】 1)貴省は、SPEED98見直し案についてのパブリックコメントを、2004年12月28日から2005 年1月28日までの期間募集されています。この案には、環境省調査研究の一部についてそ の概要がまとめられていますが、本文や付属資料に記載されているのは、貴省が実施した さまざまな調査研究の一部であり、内容も概要程度のものが多々あります。  意見を述べるには、調査研究報告の原報を精査検討する必要がありますが、その内容が HPで公開されたのは、パブリックコメント募集締切の3日前の1月25日で、しかも、千 頁に及ぶ大部のものでした。  新たに公開された資料には、見直し案本文に触れられていない報告もあります。 たとえば、H13年度基礎的研究研究報告書にある湯浅らのラットを用いた実験では、10 μg投与群で、成熟後の精子細胞に奇形が生じることが明らかになっています。  著者らは『bisphenol A は人間が毎日摂取しているので、今回の実験のようにラット の精巣に少しでも悪影響が認められたからには、人類に対する影響を無視できない。』 としています。一方、見直し案の表3 ラット改良1世代試験の結果にあるビスフェノール Aの欄には『文献情報等により得られたヒト推定暴露量を考慮した用量(4用量群で実施、 注:0.473〜53.8μg/kg/日)での明かな内分泌かく乱作用は認められなかった』と記載 されているのみです。  原調査研究報告を精査しないとこのような問題点はわかりません。  意見具申のためには、募集期間の延長が必要です。 2)パブリックコメントについての閣議決定は「意見・情報の募集期間については、意見・ 情報の提出に必要と判断される時間等を勘案し、1か月程度を一つの目安として、案等の 公表時に明示する」という内容になっており、調査研究報告は、パブコメ開始時にだすべ きものです。 3)2003年2月に貴省と農水省が実施した「農薬の使用者が遵守すべき基準」のパブコメは 募集期間が2週間と短く、意見に対する見解等を発表する前に、省令を公布したことにつ いて、同年4月11日、総務省行政管理局企画調整課行政手続室は、「規制の設定又は改廃 に係わる意見提出手続き」の運用について(通知)を出し、両省担当官に、パブコメ手続 きの適切な運用を求めました。今回のパブコメもこれに準じて行うべきであり、意見具申 に必要な資料は募集開始日に提示されるべきです。    参照: http://home.e06.itscom.net/chemiweb/ladybugs/kiji/t13903.htm 【経過説明】 @環境省は、平成10年5月に策定した「内分泌攪乱化学物質問題への環境庁の対応方針に ついて-環境ホルモン戦略計画SPEED’98-」(いわゆる環境ホルモンについてのSPEE D98)の見直しを検討してきた。 A2004年12月28日、同省は 『「化学物質の内分泌かく乱作用に関する環境省の今後の対応方針について(案)」に 対する意見の募集について』 として、見直し案を示し、これに対するパブリックコメン ト募集を始め、その締切は2005年1月28日となっている。    参照: http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=5592 B2005年1月25日、同省は、『 内分泌攪乱化学物質影響調査研究報告書を掲載しました』 として、下記の報告書(約1000ページ)が環境省HPにアップした。 参照: http://www.env.go.jp/chemi/index.html 平成13年度内分泌攪乱化学物質等の作用メカニズムの解明等基礎的研究研究報告書 平成13年度内分泌攪乱化学物質のヒトへの健康影響調査研究報告書 平成12年度 内分泌攪乱化学物質等の作用メカニズムの解明等基礎的研究研究報告書 平成12年度 内分泌攪乱化学物質のヒトへの影響調査研究 平成11年度 内分泌攪乱化学物質等の影響等調査研究 平成11年度 内分泌攪乱化学物質のヒトへの影響調査研究 平成10年度 内分泌攪乱化学物質影響調査研究