**************************************************************     食品事業者等が実施すべき管理運営基準に関する指針についての要望     **************************************************************                                 2004年9月22日 都道府県知事 指定都市市長   様 中核都市市長            反農薬東京グループ     代表:  辻 万千子               〒202-0021東京都西東京市東伏見2-2-28-B       電話/ファックス:042-463-3027        E-mail:mtsujiアトマークjcom.home.ne.jp URL http://home.e06.itscom.net/chemiweb/ladybugs/   食品事業者等が実施すべき管理運営基準に関する指針についての要望   いつも、県民・市民の健康のための活動ありがとうございます。   私たちは、農薬をはじめとする化学物質による環境汚染・健康被害を出来るだけ減ら   そうと運動している市民団体「反農薬東京グループ」です(活動については上記ホー   ムページを参照して下さい)。   さて、食品衛生法第50条の2項「都道府県は施設の内外の清潔保持、ねずみ、昆虫等   の駆除その他公衆衛生上講ずべき措置に関し、条例で必要な基準を定めることができ   る」の規定に基づき、それぞれ、食品衛生法施行条例を定めていることと思います。   ねずみ・昆虫の防除に関しては、2002年に「建築物における衛生的環境の確保に関す   る法律(建築物衛生法)」が改正され、室内における殺虫剤散布による健康への悪影   響をなくすために、6か月に一回、定期的統一的に駆除するというのが、まず、生息   調査をした上で、必要な場合に適切な措置を取るというふうに変わっています。   (参考資料1)   ところで、平成16年2月27日付けの厚生労働省医薬食品局食品安全部長名で出さ   れた通知「食品事業者等が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)に   ついて」(食安発第0227012号)の別添の4の(2)には「年2回以上、そ族及び昆   虫の駆除作業を実施し、その実施記録を1年間保管すること。また、そ族又は昆虫の   発生を認めたときには、食品に影響を及ぼさないように直ちに駆除すること」と書か   れています。   この項目は、殺虫剤散布を義務づけていると誤解される可能性があります。私たちは   この点について、9月16日に、厚労省の担当課(食品安全部監視安全課)と話し合   いました。その結果、@この文言は殺虫剤散布義務づけを意味していない。Aこの通   知はあくまでもガイドラインであり、都道府県への技術的助言にすぎないので、都道   府県は独自に条例を作ることができるとの回答を得ました。   また、通知の前文でコーデックス委員会の食品衛生の一般原則の内容を参考に、この   ガイドラインを作成したと書かれていますが、この一般原則には年2回以上害虫を駆   除するようになどとは書かれておらず、むしろ、総合防除の手法を取り入れる方法を   示しています。(参考資料2)   さらに、労働安全衛生法に基づく労働安全衛生規則にも、建築物衛生法との整合を図   り、平成16年6月21日付けで厚生労働省労働基準局長通知が出されています。   (参考資料3)   現在、この通知に基づいてそれぞれ条例改定作業が進んでいることと思います。以下   の点を質問・要望いたしますのでよろしくご検討下さい。回答は、10月25日までにお   願いいたします。     ******************************     【質問】       1,貴県・市では食品衛生法施行条例を作っていますか。          (はい     いいえ)       2,「はい」と回答した自治体にお聞きします。         条例改定作業はどの辺まで進んでいますか。       3,そ族昆虫対策についてどのような改定をする予定ですか。     ******************************     【要望】      貴県・市における食品衛生法施行条例に、次の内容を折りこむようお願い      します。      1,そ族昆虫対策は、最低、建築物衛生法の規定のように、侵入防止、        生息調査を義務づけ、可能な限り物理的防除で行う。      2,やむをえず、殺そ剤・殺虫剤を使用する場合には、食品を汚染しな        いのはもちろん、その場所を利用する人の健康に悪影響を与えない        よう、事前周知や参考資料1にあるような具体的な措置を明示する。      ****************************** 【参考資料1】   建築物における衛生的環境の確保に関する法律(建築物衛生法)   (建築物環境衛生管理基準)   第四条 特定建築物の所有者、占有者その他の者で当該特定建築物の維持管理につい      て権限を有するものは、政令で定める基準(以下「建築物環境衛生管理基準」      という。)に従つて当該特定建築物の維持管理をしなければならない。    2 建築物環境衛生管理基準は、空気環境の調整、給水及び排水の管理、清掃、ね     ずみ、昆虫等の防除その他環境衛生上良好な状態を維持するのに必要な措置につ     いて定めるものとする。    3 特定建築物以外の建築物で多数の者が使用し、又は利用するものの所有者、占      有者その他の者で当該建築物の維持管理について権原を有するものは、建築物     環境衛生管理基準に従つて当該建築物の維持管理をするように努めなければなら     ない。(平一五法一〇二・一部改正)   ○建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令   (建築物環境衛生管理基準)   第二条 法第四条第一項の政令で定める基準は、次のとおりとする。     三 清掃及びねずみその他の厚生労働省令で定める動物(ロにおいて「ねず等」       という。)の防除は、次に掲げるところによること。     イ 厚生労働省令で定めるところにより、掃除を行い、廃棄物を処理すること。     ロ 厚生労働省令で定めるところにより、ねずみ等の発生及び侵入の防止並びに       駆除を行うこと。     (昭五三政一二三・平一二政三〇九・平一四政三〇九・一部改正)   ○建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則   (昭和四十六年一月二十一日)   (厚生省令第二号)   (防除を行う動物)   第四条の四 令第二条第三号の厚生労働省令で定める動物は、ねずみ、昆虫その他の     人の健康を損なう事態を生じさせるおそれのある動物(以下「ねずみ等」とう。)     とする。(平一四厚労令一五六・追加)   (清掃等及びねずみ等の防除)   第四条の五 令第二条第三号イに規定する掃除は、日常行うもののほか、大掃除を、         六月以内ごとに一回、定期に、統一的に行うものとする。     2 令第二条第三号ロに規定するねずみ等の発生及び侵入の防止並びに駆除は、       次の各号の定めるところによる。一 ねずみ等の発生場所、生息場所及び侵       入経路並びにねずみ等による被害の状況について、六月以内ごとに一回、定       期に、統一的に調査を実施し、当該調査の結果に基づき、ねずみ等の発生を       防止するため必要な措置を講ずること。      二 ねずみ等の防除のため殺そ剤又は殺虫剤を使用する場合は、薬事法(昭和       三十五年法律第百四十五号)第十四条又は第十九条の二の規定による承認を       受けた      医薬品又は医薬部外品を用いること。     3 令第二条第三号イ及びロの規定により掃除、廃棄物の処理、ねずみ等の発生       及び侵入の防止並びに駆除を行う場合は、厚生労働大臣が別に定める技術上       の基準に従い、掃除及びねずみ等の防除並びに掃除用機器等及び廃棄物処理       設備の維持管理に努めなければならない。(平一四厚労令一五六・追加)   ○厚生労働省告示第119号 (平成15年3月25日)    建築物における衛生的環境に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第2号)、    第3条、第4条第2項、第4条の32項及び第4条の5第3項の規定に基づき、中    央管理方式の空気調和設備等の管理及び清掃等に係わる技術上の基準(昭和57年    厚生省告示第194号)の全部を改正する告示を次のように定め、平成15年4月    1日から適用する。    第6 ねずみ等の防除は、次に定める基準に従い行うものとする。    1,ねずみ等の発生場所、生息場所及び侵入経路並びにこれらによる被害の状況を      調査し、当該調査の結果に基づき、建物全体について効果的な作業計画を策定      し、適切な方法により、防除作業を行うこと。    2,食料を取り扱う区域並びに排水槽、阻集器及び廃棄物の保管設備の周辺等特に      ねずみ等が発生しやすい箇所について、2か月以内ごとに1回、その生息状況      等を調査し、必要に応じ、発生を防止するための措置を講ずること。    3,防そ防虫網その他の防そ防虫設備の機能を点検し、必要に応じ、補修等を行う      ほか、ねずみ等の侵入を防止するための措置を講ずること。    4,殺そ剤又は殺虫剤を用いる場合は、使用及び管理を適切に行い、これらによる      作業者並びに建築物の使用者及び利用者の事故の防止に努めること。    5,ねずみ等の防除作業終了後は、必要に応じ、強制換気や清掃等を行うこと。 【参考資料2】   コーデックス委員会(CODEX Alimentarius Commission)が示している食品衛生の一   般原則   (General Principles of Food Hygiene CAC/RCP 1-1969, Rev.3-1999, Amd.1999)   VI.3 害虫防除システム(仮訳)   VI.3.1 一般    害虫は、たべものの安全と適合性に主要な脅威となる。   害虫蔓延は、繁殖場所や食べ物の供給で起こり得る。   良い衛生実施基準は、害虫に役立つ環境を作ることを避けるのに用いられるべきであ   る。   良き衛生管理、受け入れ材料の検査、良き監視が、蔓延の可能性を最小にでき、   それによって、殺虫剤の必要性を抑制する。   VI.3.2 侵入防止     害虫の侵入を避け、可能な繁殖場所を除去するため、建物はよき補修と状態に保た   れるべきである。穴、害虫が入って来がちな下水溝や他の場所は、封鎖を保たれるべ   きである。   例えば、開放窓やドア、換気設備の金網のスクリーンは、害虫の侵入を減らすであろ   う。動物は、可能なかぎり、工場や食品加工装置の場から、排除すべきである。   VI.3.3 隠れ場と繁殖    たべものや水の供給は害虫の隠れ場と繁殖を助長する。たべものの供給となりうる   ものは害虫侵入防止容器に貯蔵したり、床より上や壁から離して、保管すべきである。   室内外のたべもの施設の場所は、清潔に保っておくべきであるで。必要に応じて、ゴ   ミは、ふたのついた害虫侵入防止容器に保存すべきである。   VI.3.4 監視と検出    事業所や周辺エリアは繁殖の証拠のため定期的検査されるべきであろう。   VI.3.5 撲滅    害虫の蔓延は、たべものの安全性と適合性に悪い影響を与えることのなく、ただち    に処理されるべきである。化学的、物理的、生物学的なものによる処理は、食べも    のの安全性や適合性に脅威をあたえないよう実施されるべきである。 【参考資料3】   ○事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について    改正履歴                               基発第0621004号                               平成16年6月21日   都道府県労働局長 殿                            厚生労働省労働基準局長   事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について   事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成16年厚生労働   省令第70号。以下「改正省令」という。)については、平成16年3月30日に公布され、   一部を除き公布日から施行されたところである。    今回の改正は、事務所におけるホルムアルデヒドによる労働者の健康リスクの低減   等の課題に対応するため、建築物における衛生的環境の確保に関する法律(昭和45年   法律第20号)に係る法令の改正との整合性を図る観点からなされたものである。    ついては、下記の事項に留意の上、今回の改正の趣旨を十分に理解するとともに、   関係者への周知を図り、その運用に遺漏のないよう期されたい。                    記   第1 改正の要点     1 事務所衛生基準規則(昭和47年労衝省令第43号)の一部改正      (5) ねずみ、昆虫等の防除のための調査等を定期的に行わなければならないこ        ととするとともに、殺そ剤又は殺虫剤は、医薬品又は医薬部外品を用いな        ければならないこととしたこと。     2 労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)の一部改正       1の(5)と同様の規定を整備することとした。   第2 細部事項      (6) 第15条関係        今回の改正は、ねずみ、昆虫等の生息の有無に関わらず防除を行うのでは       なく、その生息状況等を調査した上で、その結果に基づき、適切な防除を実       施する等合理的な防除を行うことができることを明確にしたものであり、従       来の考え方を変更したものではないこと。       また、防除のため、殺そ剤又は殺虫剤を使用する場合には、薬事法(昭和35       年法律第145号)上の承認を受けた医薬品又は医薬部外品を用いなければなら       ないことについても併せて明確にしたものであること。