松枯れ・空中散布にもどる      2018年度 松枯れ対策等の農薬空中散布予定

n00202#長野県松枯れ防除空散は「松くい虫防除の実施に関する運用基準」に反して策定 (植村振作)#18-05

 全国各地で、松くい虫防除対策の農薬散布がはじまっています。
 地元住民による散布反対運動が行われている長野県松本市では、アセタミプリドを含むマツグリーンの無人ヘリコプター空中散布が、昨年の四賀地区に加え、里山辺地区でも計画されています。一方、上田市で実施されていた地上散布は、文化財・保存樹への限定散布に縮小され、鹿児島市の桜島地区では、有人ヘリコプターによる有機リン剤スミパインMCの空中散布が続いていましたが、本年は中止になったそうです。
 本稿では、長野県の散布実施計画が、林野庁の運用基準に反していることを指摘した植村さんの意見をを掲載します。

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【参考サイト】松本の松枯れを考える住民の会のFB

1 長野県の2018年度有人ヘリ空散(特別防除)計画は林野庁「特別防除の実施に関する運用基準」に反して策定

 A)林野庁長官通知「松くい虫被害対策の実施について」(初出:平成9年4月7日、最終改正:平成28年4月1日。以下「通知」。現在、林野庁HPにはH16年5月改定版がアップされている。反農薬東京グループのHP資料を参照のこと)の別紙2「特別防除の実施に関する運用基準」が詳細に記載されている。

 B)2018年2月19日に「平成29年度長野県松くい虫防除対策協議会」が開催された。
 同協議会は、森林病害虫等防除法により発出された「森林病害虫等防除に係る連絡協議会等の設置要領例について」(平成9年4月7日付林野造第107号)に基づいて設定された「長野県松くい虫防除対策協議会設置要領」によって設置された協議会であることから、名称は森林病害虫等防除連絡協議会ではないが、上記「通知」が求める森林病害虫等防除連絡協議会に相当する。

 C)上記「通知」別紙2「特別防除の実施に関する運用基準」の第2-1「連絡協議会の開催」において、「特別防除の実施に当たっては、事前に連絡協議会又は地区連絡協議会を開催することにより、特別防除の事業計画の概要(対象区域を明記した図面を含む。)、
  防除実施基準の1のアの(エ)、イ、ウ及びエの松林の範囲(筆者注:これらの範囲については長文になるので本メモでは省略。詳細は4頁以下参照)等について連絡協議し、地域住民等関係者の意向が反映されるよう努めるものとする。」と定められている。

 D)しかしながら、上記「通知」が開催を求める森林病害虫等防除連絡協議会に相当する「平成29年度長野県松くい虫防除対策協議会」において「対象区域を明記した図面」は提示されていない。林斑区分記載の一覧表のみが提示された。

 E)したがって、長野県の2018年度有人ヘリ空散(特別防除)計画は、森林病害虫等防除連絡協議会において、上記「通知」別紙2「特別防除の実施に関する運用基準」に基づく審議を経て居らず、「特別防除の実施に関する運用基準」に反して策定されたものである。

2 長野県の2018年度無人ヘリ空散計画は林野庁「無人航空機による松くい虫防除の実施に関する運用基準」に反して策定
 A)林野庁長官通知「松くい虫被害対策の実施について」(初出:平成9年4月7日、改正:平成28年4月1日)(以下「通知」。現在、林野庁HPにはH16年5月改定版がアップされている。反農薬東京グループURLを参照のこと)
 別紙4「無人航空機による松くい虫防除の実施に関する運用基準」の第4「無人航空機散布の実施体制の整備等」において、連絡協議会等の開催が求められ、第4−1「連絡協議会等の開催」において、連絡協議会等で「無人航空機*)散布の事業計画の概要(対象区域を明記した図面を含む。)、防除対象となる松林の範囲等について連絡協議」することが求められている。
    *)航空法の改正により無人ヘリは無人航空機に呼称が改定された。
 B)2018年2月20日に開催された平成29年度長野県松くい虫防除対策協議会での傍聴者の一人が、県担当職員に対して協議会終了後、無人ヘリの計画が当日の協議事項に挙がっていなかったが、なぜかと質問したところ、無人ヘリによる空散については森林病害虫等防除法に基づく協議会には掛けなくてもかまわない、との主旨の回答をしたとのことである。

 C)「平成29年度長野県松くい虫防除対策協議会 議事録」によれば、「無人ヘリによる散布は必要に応じて、被害の実情に応じて行うことがある」のかとの委員からの質問に対して、県事務局が「はい」と回答している。このことから、「平成29年度長野県松くい虫防除対策協議会」において具体的に無人ヘリ(無人航空機)についての連絡協議がなされていないことは明らかである。

 D)更に、無人ヘリ (無人航空機) 散布に関する情報は、当日の配布資料2に予算額等が記載されているのみで、上記通知が求める具体的な散布域を示す図面等はない。

 E)長野県の2018年度計画の松くい虫防除に関する協議会は、2018年2月20日開催の「平成29年度長野県松くい虫防除対策協議会」のみである。当該協議会は、名称は森林病害虫等防除連絡協議会ではないが、森林病害虫等防除法により発出された「森林病害虫等防除に係る連絡協議会等の設置要領例について」(平成9年4月7日付林野造第107号)に基づいて設定された「長野県松くい虫防除対策協議会設置要領」によって設置された協議会であることから、上記「通知」が求める森林病害虫等防除連絡協議会に相当する。

 F)これらのことから、長野県では、森林病害虫等防除法に基づいて設置されるべき森林病害虫等防除連絡協議会が「平成29年度長野県松くい虫防除対策協議会」の名称で開催されており、当該協議会で、上記「通知」別紙4「無人航空機による松くい虫防除の実施に関する運用基準」第4-1において要請されている「無人航空機散布の事業計画の概要(対象区域を明記した図面を含む。)、防除対象となる松林の範囲等について連絡協議」が行われるべきであるが、それが行われていない。

 G)以上の事実から、長野県の今年度の無人ヘリ空散計画は、2016年4月1日発出林野庁長官通知「松くい虫被害対策の実施について」で定められている「無人航空機による松くい虫防除の実施に関する運用基準」に反して策定されたものであると判断される。

3 松本市の今年度無人ヘリ散布計画は林野庁「無人航空機による松くい虫防除の実施に関する運用基準」に反して策定
 A)松枯れ防除実施主体では、林野庁長官通知「松くい虫被害対策の実施について」(初出:平成9年4月7日、改正:平成28年4月1日)1)(以下「通知」。現在、林野庁HPにはH16年5月改定版がアップされている。反農薬東京グループのHP資料を参照のこと)別紙4「無人航空機による松くい虫防除の実施に関する運用基準」第4「無人航空機散布の実施体制の整備等」第4−1「連絡協議会等の開催」において、実施主体は地区連絡協議会を設置し、対象区域を明記した図面を含む事業計画の概要、防除対象となる松林の範囲等について連絡協議することが求められている。

 B)しかしながら、実施主体である松本市は、筆者が行った情報開示請求結果によれば、森林病害虫防除法による上記「通知」及びにより求められている地区連絡協議会を開催して居ない。地区での説明会が開催されているだけである。
 C)長野県同様に松本市の無人ヘリ (無人航空機)散布計画は、上記「通知」において定められている「無人航空機による松くい虫防除の実施に関する運用基準」を反して、地区連絡協議会を開催することもなく策定されたものである。


【参考サイト】
 【資料1】農水省や林野庁資料
  (1−1) 森林病害虫等防除に係る連絡協議会等の設置要領例について

  (1−2) 有人ヘリコプター関係
   ・農林水産航空事業の実施について
   ・農林水産航空事業実施ガイドライン

  (1−3)無人航空機関係
   ・空中散布における無人航空機利用技術指導指針
   ・空中散布等を目的とした無人航空機の飛行 に関する許可・承認の取扱いについて

  (1−4)農水省省令「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」
  (1―5)農水省・環境省通知「住宅地等における農薬使用について」 
   (1−6)H30年度農薬危害防止運動の実施要綱
  (1−7)林野庁:平成30年度における松くい虫特別防除等の適切な実施について

 【資料2】長野県資料
  (2−1)長野県松くい虫防除対策協議会設置要領
   (2−2)平成30年度松くい虫防除薬剤散布計画
   (2−3)長野県防除実施基準の変更(案)について
   (2−4)長野県防除実施基準の変更概要(更新日:2018年5月11日)
   (2−5)長野県防除実施基準(別表)新旧対照表(改正前H28,改正案H29となっている)
    (2−6)長野県防除実施基準 
   (2−7)平成29年度長野県松くい虫防除対策協議会 議事録


 【資料3】松本市資料
  (3−1)松本市松くい虫被害対策基本方針
  (3−2)同上別表
  (3−3)松くい虫被害状況位置図
  (3−4)松くい虫の被害予防・無人ヘリによる薬剤散布を行います(5/21)
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作成:2018-05-31