松枯れ・空中散布にもどる    2018年の松枯れなど空中散布状況
n00404#松くい虫空中散布反対運動:2018年長野県の場合#18-07

【関連記事】記事t31906記事n00202
【参考サイト】松本の松枯れを考える住民の会のフェイスブック

 長野県での松くい虫対策の農薬空中散布については。各地で、ネオニコチノイド系の殺虫剤の散布が実施されており、特に、松本市では、市民グループが、無人ヘリコプターによるマツグリーン液剤2(アセタミプリド)の空散主体である松本市を原告すとする空中散布差止訴訟や長野県への公害調停を求めた運動が展開されていました(記事t31807記事t31906n00202参照)。今年の状況を報告します。

★安曇野市の有人ヘリ散布は中止に
【参考サイト】長野県;森林病害虫被害の防除対策について森林病害虫等防除事業補助金交付要綱実施要領
           長野県松くい虫防除対策協議会
        安曇野市:松くい虫被害対策薬剤空中散布の実施について
        松本市:松くい虫被害を防ぐために松くい虫被害防除事業補助金について

 長野県全体での今年の散布予定は、有人ヘリ特別防除が8市町村で213ha(エコワン3フロアブル)、無人ヘリ空中散布が4市町村で98.5ha(マツグリーン液剤2又はエコワン3フロアブル)でした。

【安曇野市】@明科地域と潮沢地区(岩州公園付近)で、エコワン3フロアブルの有人ヘリ散布5haが6月21日。A豊科地域と大口沢地区で、マツグリーン液剤2の無人ヘリ散布25haが、6月23日と7月21日の2回実施される予定になっていました。
 しかし、市は6月19日、『岩州公園周辺の環境影響調査において、希少野生動植物が確認されたため、長野県防除実施基準により薬剤散布を中止致します。』とのお知らせを行いました。希少野生動植物がなにかは、あきらかにされていませんが、2011年に、飯島町が、健康への影響と絶滅危惧種の貴重な鳥であるブッポウソウへの影響を配慮して、MEP空中散布をやめた事例につぐものです。

【松本市】今年も昨年と同様な散布計画がたてられました。@四賀地区(藤池、穴沢、反町、反町・刈谷原町)マツグリーン液剤2の無人ヘリ散布33.1haが6月20日-22日と7月12日-13日の2回、A里山辺地区(上金井、林)同上12.4haヘクタールが、6月23日と7月の2回でしたが、@は実施されたものの、Aは『里山辺地区の無人ヘリによる薬剤散布は、実施業者の調整がつかなかったため中止します』とのお知らせがありました。
 里山辺で空中散布ができなかったのは、市民らによる粘り強い空中散布反対運動の結果です。いくつかの運動体の活動を紹介します。

★長野県空中散布廃止連絡協議会
 4月22日。長野県空中散布廃止連絡協議会(愛称コウノトリの会)が四賀地区で、学習会を開き、反農薬東京グループの植村振作さんが講演で、農薬空中散布の効果が科学的に実証されていないことを訴えました(記事t31906)。
 四賀地区で一回目の無人ヘリ空中散布が実施された後の7月6日には、長野県庁へ松枯れ対策のための農薬空中散布中止に関する「申し入れ行動」を行いました(FBの6/30)。

★市民33名,弁護士11名による住民監査請求
 5月18日、山根二郎弁護士を代表として、下記に示す監査請求書が松本市監査委員宛てに提出されました。また、散布実施予定日前の6月7日には、農薬による健康被害から子どもと市民を守る住民の会(代表 安藤 絵美子)とともに、松本市長に対しても、『(ネオニコチノイドを散布しようとしている)両地区には、幾つもの水道施設(配水地と呼ばれる貯水槽及び加圧所)が存在しています。散布されたネオニコチノイド系殺虫剤は、その各水道施設に設置されている通気口から取り込まれ、貯水槽の中の浄水に混入されるところとなり、その汚染された貯水槽の水が、水道水としてそのまま各家庭に供給されることになります。』として、『里山辺地区及び四賀地区におけるネオニコチノイド系殺虫剤の空中散布を、直ちに中止することをここに要求します。』との要望を提出しています。
【住民監査請求の趣旨】
 菅谷昭松本市長は、松枯れ対策として、平成30年度に、松本市に存在する松林の総面積6212haのうち、
 四賀地区の松林(33.1ha)、里山辺地区の松林(12.34ha)の各土地上に、ネオニコチノイド系殺虫剤を
 空中から散布する必要があるとして、散布業者に松本市の公金1029万円を支出しようとしているが、
  以下で指摘するとおり、その公金支出は全く違法なものであるから、請求人らは、 松本市監査委員に対し、
 上記の公金支出を中止するよう松本市長に勧告することを求める。

【請求の理由】以下の3項目に分けて、詳細な主張がなされました。
 第1 菅谷市長が行ってきたネオニコチノイド系殺虫剤の空中散布は、森林病害虫等防除法の趣旨
   から逸脱しており、それに公金を支出することの違法。
   [主な理由概要]四賀地区には、2013-17年の5年間に3109万余円の公金が空中散布業者等に
    支払われた。市内総面積6212haの一部である47haに散布を行ったが、松枯れ防止効果は
    目的とする「徹底的駆除」及び「まん延防止」には程遠い。

 第2 ネオニコチノイド系殺虫剤の空中散布による健康被害の危険性を隠蔽し、安全であると
   松本市民を欺罔して、同殺虫剤の空中散布に公金を支出することの違法。
   [主な理由概要]
    ネオニコチノイド系殺虫剤については、医学研究者及び研究機関から「人類が初めて経験する
    神経毒、中枢神経に作用する、しかも長期間にわたって作用しつづける可能性がある毒物である」
    と指摘されているにもかかわらず、菅谷市長がネオニコチノイド系殺虫剤について
    「国が基礎実験をしている」から安全であると市民を欺罔して、公金を支出している。

 第3 菅谷松本市長がネオニコチノイド系殺虫剤の空中散布を続けることは、水俣病を生み出すことと
   同じである。
   [主な理由概要]『水銀に関する水俣条約」が発効したのは2017年8月であり、水俣湾周辺地域に
    有機水銀が原因のの中枢神経系疾患の発生が確認されてから64年後あった。
    菅谷市長はこの教訓を学んでいない。
【請求棄却の裁定】  7月13日、市の監査委員は、空中散布は、松林の確実な保護を目的に、地元の合意と要望に基づき、国や県が示す方法で実施されており、重大で明白な違法・不当があったとはいえない、として請求を棄却しました。

 長野県が、農水省の意向に反して、松くい虫対策で、国が認める登録農薬スミパインの散布をやめたのは、ネオニコチノイドに比べ、有機リン系成分MEPがヒトの脳・神経系に悪影響があるという多くの臨床例や疫学調査結果があったからです。
 ちなみに、有機リン剤の多くは、EUでは、再評価の結果、登録が失効し、使用することができなくなっています。しかし、日本では、有機リン系農薬の出荷量が、ネオニコチノイド系の4.5倍もあるのは記事n00304に示したとおりです。長野県でも、有機リン系上位5種の出荷量(2016年:約40トン)が、ネオニコチ上位6種(17トン)よりも2倍以上も多いのです。
 作用形態は異なるものの、有機リンもネオニコもアセチリルコリン作動性の神経伝達系に影響を与える物質であることを考えれば、松くい虫対策で、有機リン剤の使用を止め。ネオニコチノイドに免罪符をあたえる行政の対応には納得できません。安全だというなら、ネオニコチノイドの疫学調査をきちんとすべきです。

★こどもの未来と健康を考える会からの要望
 6月18日、上田市の「こどもの未来と健康を考える会」(代表 田口操)らが松本市を訪れ、下記の要望を提出しました。
 【要望書】
 1.今年度7月13日に松本市は、里山辺でマツグリーン2の空中散布を予定しています。
  散布区域内には配水地があり、近くには保育園もあります。ネオニコチノイド農薬は
  水に溶けやすく、水道水に混入の恐れもあり、地域の子ども及び胎児への影響が懸念されます。
  散布に使われる遠隔操縦飛行機の墜落事故によって、薬液が水道水に直接混入する恐れもあります。
  今後の里山辺松林での農薬空中散布をすべて中止するよう要望します。

 2 過去に長野県内で行われた松くい虫対策のための殺虫剤散布により、健康被害が発生しています。
  2008年には、上田市の農薬空中散布(有機リン・ネオニコチノイド)後、近くを通った幼児が
  ADHD(注意欠陥/多動性障害)様症状を発症し、農薬中毒であるとの診断を受けました。
  このことは、平成23年1月から長野県で行われた「農薬の空中散布の今後のあり方検討委員会」の中
  でも問題として取り上げられています。また、化学物質過敏症は国に認められた病気であり、
  長野県防除実施基準の中でも、その対応が求められています。松本市の発言のように「気のせい」
  ではなく、実際怒っている農薬散布による健康被害を認識してください。

    賛同署名 −略−

 【松本市の7月9日の回答】
 1.今年度予定していた里山辺地区の薬剤散布につきましては、入札不調により中止となりました。
  さて、ご指摘のありました配水地につきましては,里山辺地区の薬剤布区域内に
  は水道の配水地はありません。
  また. 当該地区における配水地と散布区域については、30m以上という県の基準 に対して、
  最短でも約120mの距離をとっております。
    更に、当市四賀地区では、安全確認調査を薬剤散布と合わせて実施しており、過去の
  散布地周辺等での気中濃度検査では  基準を超える数値は一切検出されておりません。
   今後とも、 薬剤散布にあたっては、 安全に実施して参りたいと考えております。
  
 2、当市では, 県の「松くい虫防除のための農薬の空中散布の今後のあり方」なども踏まえ
  安全に配慮した実施方法として、生活圏への飛散防止に効果があるとされる無人ヘリによる
  薬剤散布を実施しています。
  また、 一般的に毒性が高いと言われている有機リン系以外の薬剤として, 農薬などでも
  一般的に使用されている fモスピラン」 と同じ有効成分であり、農薬取締法に基づき
  安全性等が確認され、.農集登録されたネオニコチノイド系薬剤の 「マツグリーン液剤2」
  を使用しています。

  なお、化学物質過敏症の方(疑いの方も含む)に対しましては、個別に、当市で実施する
  薬剤散布について、 散布日時などを事前に情報提供するとともに, 避難所をを開設しております。
  化学物質過敏症につきましては、発症原因及び症状等多種多様であるということを踏まえて、
  説明会等で説明しているものであり、 特定の方を念頭に置いたものではありませんので、
  念のため中し添えます。 

 3、薬剤散布は.地区協議会からの要室を受け、地域の実情等を踏まえて実施するものであり、
  市が強制的に実施しているものではありません。
  松が結れることにより、 土砂流出等山地災害の危験性が高まることからも、 被害の防止
  あるいは拡大させないための対策は必要であり、 薬剤散布は有効な対策の一つと考えております。
  松くい虫被害により、先人が築いてきた大切な山の緑が失われてゆくことを
  大変心配きれている方もおられますので、ご理解とご協力をお願いします。

 4、貴会との話し合いにつきましては、出席者の範囲、話し合う内容及び時期等、今後、
  十分な検討が必要と考えておりますのでご承知願います。
★第二次電子署名運動がが7月19日開始されました
 上述のように、松本市は、今年の里山辺での無人ヘリ空中散布をやめたものの、散布実施の方針を固執しています。
 松本の松枯れを考える住民の会は、農薬空中散布中止をめざし、CHange.orgにの署名サイトで、下記の二次募集キャンーン運動を開始しました。また、住民監査請求が棄却されたことに対しては、訴訟の動きもでています(公金支出等差止請求訴訟)。
 電子署名松本市長!こども達の未来のために、松本市の農薬空中散布をやめてください!


作成:2018-07-29、