松枯れ・空中散布にもどる
n00601#2018年度の有人ヘリコプターによる農薬空中散布計画〜水田は前年減の約3万1700ha、松枯れは前年増の約1万4300ha#18-09
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2018年度 松枯れ対策等の農薬空中散布予定
【参考サイト】農水省:農林水産航空事業の実施計画についての頁にある
2018年有人ヘリコプター空中散布予定(全国と都道府県別散布面積)
農水省消費・安全局植物防疫課防除班がまとめた今年の有人ヘリコプターによる空散実施計画は、殆どの散布が終わった8月30日に公表されました。実施計画の段階の資料ですので、もっと早くに知らせるべきです。ともあれ、その内容を紹介します。分野別の散布延べ面積は表1のようです。
農薬散布については、水稲が前年に比べ2206ha減の3万1664ha、松枯れ用が556ha増の1万4301haでした。ミバエ類対策(農薬散布液でなく、ダイアジノンをしみこませたテックス板=ユーゲサイドDや不妊化したミバエを投下する)は、今年は鹿児島県の予定はなく、沖縄県だけで、前年増2万11992ha増の約251万3448haです。また、北海道では、森林の野ねずみ駆除にリン化亜鉛粒剤が5万7365ha散布されています。
表1 2018年分野別空中散布計画(単位ha)
分 野 防除延べ面積 前年増減
水稲防除 31664 -2206 *北海道の秋まき小麦雪腐病殺菌剤1240ha
農 水稲以外* 18899 10833 沖縄のさとうきびの野ねずみ駆除8071haと
その他(播種/施肥等) 2065 2065 かんしょのイモゾウムシ不妊虫9588ha
業 農業 計 52628 10692
ミバエ類対策** 2513448 21199 **沖縄でウリミバエ不妊虫やテックス板
松くい虫防除 14301 556
林 野ねずみ駆除 57365 1031
業 その他(播種/施肥等) 29 - 3
林業 計 71695 1584
合 計 2637771 33475
★水稲殺虫剤空散面積,トップは茨城9892ha
表2に、水稲用殺虫剤の農薬別、県別の防除予定面積を示しましたが、7県で、7月下旬から8月末にかけて、実施されることになっています。
県別では、トップが茨城で、前年44ha減の9892haでした。ついで、128ha増の山形5782ha、160ha増の秋田5230haが続きます。北海道では。新たに秋まき小麦の雪腐病対策に11月半ばに殺菌剤を散布予定です。
殺虫剤の種類別散布面積は、スタークル(ジノテフラン)、ダントツ(クロチアニジン)、トレボン(エトフェンプロックス)、キラップ(エチプロール)、アプロード(ブプロフェジン)のいずれもが減少しました。全体の77.4%を占めるスタークル系は7県で使用され、24521haどトップにあることはかわりありません。青森でのみで散布されるキラップ系は1405haでした。鹿児島県では、アプロードが、スタークルやトレボンと併用されるケースが1064haでした。千葉県野田市では、水稲の植物活力剤として、玄米黒酢720haが予定されています。
表2 2018年度、県別水稲用殺虫剤散布予定面積(単位:ha、( )は2017年度)
県名 散布 前年 殺虫剤の種類
面積 増減 スタークル系 ダントツ系 トレボン系 キラップ系 アプロード系
青森 3435 -46 990 415 45 1405
秋田 5230 160 5230
山形 5782 128 3061 2721
茨城 9892 -44 9892
千葉* 2758 -1651 1755 1003 * 別に玄米黒酢散布720haあり
宮崎 200 0 200
鹿児島 4367 -753 3393 160 814 1064**
**スタークル又はとレボンと併用
合計 31664 -2206 24521(25233) 575(704) 4583(4894) 1405(1474) 1064(1206)
★松枯れ空散面積は鳥取、静岡、兵庫がトップ3
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松枯れ防除は、表3に示したように、25県で実施され、散布面積は前年556ha増で1万4301haとなりました。とくに、空中散布時期は、マツノマダラカミキリ成虫が羽化する5月中頃から7月中頃が主です。
県別散布面積で一番多いのは、鳥取で、164ha減ったものの2185ha、ついで、静岡県が529ha増で1193ha、兵庫県が257ha増で1173ha、 そのほか500haを超えたのは、宮崎926、岡山860、鹿児島851、石川737、新潟618各haでした。
県別以外に国有林(新潟村上署、福島磐城署と棚倉署、福岡福岡署、佐賀佐賀署、宮崎宮崎署、鹿児島大隈署と鹿児島署の森林管理部署)での散布が2438haあります。
殺虫剤の種類別では、ネオニコチノイド系のエコワン3フロアブル(チアクロプリド) 5555ha、有機リン系のスミパイン系(フェニトロチオン)のMC剤5903haと乳剤2843haの順で、ネオニコ系のエコワン3の比率は、前年とほぼ同じの38.8%でした。
表3 2018年度、県別松くい虫用殺虫剤散布予定面積(単位:ha、( )は2017年度)
県名 散布 前年 殺虫剤の種類別 エコワン3
面積 増減 スミパインMC スミパイン乳剤 フロアブル
岩手 27 0 27
宮城 376 0 376
秋田 90 0 90
福島 418 5 418
茨城 148 0 148
栃木 45 0 45
長野 213 0 213
静岡 1193 529 462 206 525
新潟 618 -85 573 45
石川 737 29 737
福井 473 -100 473
愛知 160 0 160
三重 314 87 130 184
兵庫 1173 257 115 120 938
和歌山 116 0 116
鳥取 2185 -164 1416 769
島根 60 0 60
岡山 860 0 611 249
愛媛 93 0 93
福岡 200 3 104 96
佐賀 24 0 24
長崎 405 17.5 226 179
熊本 158 0 158
宮崎 926 0 926
鹿児島 851 -30 851
国有林 2438 7 308 2130
合計 14301 556 5903(5562.45) 2843(2893) 5555(5290.3)
作成:2018-09-30