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n00605#本の紹介『香りブームに異議あり』(緑風出版)  フリーライター 鶴田由紀 #18-09

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  香害。日本で生まれたこの言葉は、まだまだ市民権を得るまでに至っていません。でも『てんとう虫情報』の読者の方なら、もちろんご存知でしょう。ここ数年、合成洗剤、柔軟仕上げ剤、芳香剤、制汗剤などなど、家庭用品の香り(もしくは臭(にお)い)が恐ろしく強烈になってきたことで、多くの人が迷惑を被り、人によってはアレルギーやぜんそくや化学物質過敏症を発症・悪化させるという現象です。
 私自身、2016年夏から突然、周囲の強い合成香料の匂いが耐えられなくなりました。どうして良いか途方に暮れて、インターネットで情報を検索している時、偶然この本に出会い、運よく翻訳をさせて頂くことになりました。
 オーストラリアを代表する作家ケイト・グレンヴィルによって2017年に発表されたこの本は、香水で頭痛を起こす著者が、自分はなぜフレグランス製品(合成香料を含む化粧品・家庭用品)で頭痛を起こすのかという素朴な疑問を持つことから始まります。著者は専門家のアドバイスを受けながら学術論文や各国政府の報告書など、さまざまな資料を読み解き、合成香料のダークな面を次々と明らかにしていきます。
 扱われているのはきわめて専門性の高い情報ばかりですが、ときにユーモラスな語り口で、わかりやすくフレグランスの驚くべき事実が解説されています。そのすべては、私たちの健康に関わる重大な問題です。意図的に隠され、私たち一般の消費者の目には触れることのないこれらの事実を知り、私同様、皆さんも心の底から恐ろしいとお感じになるでしょう。
この本は多くの方に読んで頂きたいと思います。どうぞお近くの図書館でお手に取ってみてください。そして皆さんの周囲の香りに苦しむ人、そして香りを楽しむ人に、ぜひ教えてあげてください。

 出版案内 & もくじ 



 香りブームに異議あり ケイト・グレンヴィル著 鶴田由紀訳
   四六判上製/204頁/2200円  発行:2018-09 緑風出版


 香水などのフレグランス製品で頭痛が起きる著者(オース
トラリアを代表する作家)が専門家の力をかり、医学論文や
様々な文献にあたり、問題の大きさと根深さを明らかにしてゆく。
 平易な文章で、語りかけるように解説しているが、香りを取り
巻く恐ろしい事実を余すところなく知ることができる。
 香りで体調をくずす人は全世界に大勢おり、放置すれば
ひどいアレルギー症状や化学物質過敏症などを引き起こす
重大な問題だ。
 【目次】
  第一章 プラネット・フレグランス   第八章 研究所ではわからないこと
  第二章 被害者はどれくらい?          第九章 ヒゲ剃りあとにつけるのは?
  第三章 ボトルの中には何が?          第十章 分解不能
  第四章 鼻は知っている                第十一章 意外な結果
  第五章 ラベルに隠されたものは        第十二章 空気はみんなのもの
  第六章 誰がテストしているの?        第十三章 フレグランスなんかいらない
  第七章 フレグランスを守るため        原注  謝辞  訳者あとがきe


2018-09-29