改定農薬取締法にもどる
 改定農薬取締法;反農薬東京グループ作成版農水省のHPにある全文
n00702#改定農薬取締法関連の政令・省令についてのパブコメ募集の動き (その2)省令関係〜農薬使用者の遵守省令強化などを提案#18-10
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【参考サイト】農水省パブコメ:農薬取締法の一部を改正する法律の施行に伴う農林水産省関係省令の整備及び経過措置に関する省令案等に関する意見・情報の募集について(11/13締切)

     反農薬東京グループ:パブコメ意見

★関連省令の改定案
 改定農薬取締法の関連省令等に関するパブコメの概要では、@農林水産省関係省令の整備及び経過措置に関する省令、A農林水産省・環境省関係省令の整備に関する省令、B特定試験成績及びその信頼性を確保するための基準に関する省令などが含まれています。
 ここでは、@の農水省関連の施行規則と、Aの農水省・環境省関連の[農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令]の改定を取り上げます。なお、水質汚濁性農薬指定については、記事n00701をごらんください。  また、環境省農薬小委員会と農水省農薬分科会の配布資料より改定法に関連するものを囲み記事にリンクしておきますので、参考にしてください。

★農水省関連の施行規則の改定
 前記の概要で、農薬取締法改定に伴う施行規則の改定には、以下の【1】〜【8】の項目があがっています。以下は、当グループの主に、情報公開に関するコメントです。
【1】農薬の登録申請に当たり提出しなければならない資料として、農薬及び農薬原体の組成、物理的化学的性状、
   薬効・薬害、代謝、毒性、農作物等への残留、土壌や環境への影響に関する試験成績等を定める。
  ⇒現在、メーカーが提出した試験成績等は、農水省から農薬抄録として、また、審査報告書として一部、
   公開されているだけです。ほかに、食品安全委員会の農薬評価書がありますが、これは、
   食品を通じての健康影響を評価する資料にすぎず、食品以外から農薬を受動被爆する場合の
   健康被害防止につながりません。
   農薬の毒性・残留性データなどは、メーカーの企業秘密保護でなく、農薬使用者や家族、
   一般生活者の健康被害防止や環境・生態系への影響防止を第一とし、きちんと公開すべきです。

【2】農薬原体の成分及び毒性の強さが同等なもの(ジェネリック農薬)について、登録申請時に提出を
   省略することができる資料は、毒性、農作物への残留等の試験成績とする(ただし、先発農薬
   (登録から15 年経過)の相当する資料が提出から 15 年経過しており、かつ、当該資料が申請された
   農薬の審査を行うに足りるものと認められる場合に限る。)。
  ⇒毒性試験などの提出を省略して、登録する場合は、いままでの試験データがすべて開示されていることが
   必須の条件です。

【3】再評価を行う期間は、概ね 15 年ごととする。
  ⇒15年ごとの評価は長すぎる。新登録については、期限を短く限って、メーカーに使用者等の健康調査、
   流通食品での残留や一般環境汚染の実態の報告を義務付け、再評価に役立てるべきである。
   また、毎年、行政が調べたり、メーカーが入手した毒性等の新たな知見や報告を国民の前に明らかにし、
   再評価についての意見を聞くべきである。

【4】農薬の表示の方法として、農薬の容器に表示が困難な場合、一部の表示事項について記載した文書を
   容器に添付することに代えることができるものとする。
  ⇒容器には、QRコードなどをつけ、インターネットやスマホで確認できるようにし、
   使用者には、使用上の注意事項等の確認と。使用履歴の帳簿への記載を義務付けるべきである。
   販売食品に、どんな農薬が使用されたかを表示するのにも役立つ。

【5】収穫サイクルごとに農薬の総使用回数をカウントする農作物等は、「多年生の植物」ではなく
  「複数回収穫される」農作物等とする。

【6】インターネット販売等、販売所で直接農薬を販売しない場合には、販売者の「事務所その他これに準ずる場所」を
   販売所として届け出るものとする。
  ⇒誰でも容易にできるネットオークションや携帯での販売は禁止すべきである。

【7】農薬製造者等の帳簿は、最終の記載の日から3年間保存しなければならないものとする
  (法律で定めていた保存期間を省令で規定)
  ⇒農薬使用者の使用履歴の記帳も義務付け、保存期間を決めるべきである。

【8】農薬製造者等が、毎年、農林水産大臣に報告しなければならない事項として、人畜等への被害の発生に
   関する情報や研究報告、外国における登録の変更・取消しに関する情報等を追加する。
   また、年次(1月から 12 月まで)ごとに求めていた臭化メチルの製造数量等の報告は廃止することとする。
  ⇒農薬メーカーや販売者が報告した人畜被害、環境被害らの情報や研究報告、外国での登録情報は、
   速やかに開示すべきである。

★農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令の改定
【参考サイト】農水省・環境省:農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令(以下、遵守省令という)

 環境省の農薬小委員会第64回(7月18日)と第65回(9月6日)及び農水省の第18回農業資材審議会農薬分科会(9月14日)などでは、改定法で新設された生活環境動植物のほか、遵守省令に関して、一部規制を強化する案が検討されましたが、環境省農薬小委員会での【1】から 【7】項は、パブコメで提案された【パブ1】〜【パブ6】とは、記載内容が異なっていることにご注意ください。
 この節も囲み記事にあるリンク先を参照してください。。
【1】農薬使用者の責務(現行省令第1条)
  法律の用語と平仄を合わせるための改正を行う。例えば、本条第5号の「水産動植物の被害が発生し、かつ、
  その被害が著しいものとならないようにする」との規定について、改正後の法第4条の規定にならい、
  「水産動植物」を「生活環境動植物」と改める。
  ⇒ 遵守省令 第一条(農薬使用者の責務)は、
   一 農作物等に害を及ぼさないようにすること。
   二 人畜に危険を及ぼさないようにすること。
   三 農作物等の汚染が生じ、かつ、その汚染に係る農作物等の利用が原因となって人畜に被害
     が生じないようにすること。
   四 農地等の土壌の汚染が生じ、かつ、その汚染により汚染される農作物等の利用が原因となって
     人畜に被害が生じないようにすること。
   五 水産動植物の被害が発生し、かつ、その被害が著しいものとならないようにすること。
   六 公共用水域水質の汚濁が生じ、かつ、その汚濁に係る水(その汚濁により汚染される水産動植物を
     含む。)の利用が原因となって人畜に被害が生じないようにすること

   となっている。『人畜』の『畜』には、家畜・養蜂ミツバチも含まれる。
   『水産動植物』を『生活環境動植物』にあらためるというが、なにを対象とするかは、まだ不明である。
   野生のポリネーター、トンボ、ミミズ、両生類、野鳥、その他の生物種について、国民の意見を聞くべきである。

【2】表示事項の遵守(現行省令第2条第2項)
  芝、樹木等の非食用農作物に農薬を使用するときも、農薬の表示事項に従って安全かつ適正に
  使用することを努力義務として明記する。
  【パブ1】最終有効年月に加え、使用上の注意事項等の表示事項についても遵守に努めることを明確化する。
  ⇒ 省令第二条は、農薬容器に表示されている適用作物や適用方法(散布方法、希釈倍率、使用時期、使用回数など)を
   守らないと、改定農取法第24条、25条(2003年法では第11条、第12条)違反となり、作物が食用か非食用かに拘わらず、
   三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金を科せられる。
   『等』というあいまい表記はやめ、花卉、樹木、芝、タバコほかもはいることを明確にするのは当然である。
   第2項の最終有効年月の遵守にについては、努力規定のままであり、再評価されるまで、使えることになりかねないので、
   義務化すべきである。
   なお、隣接の非対象作物がドリフト汚染しても、罰則が適用されないように、対象作物と非対象作物の両方に
   適用がある成分の農薬を使用するようとの行政指導がなされている現状をやめるべきである。

【3】航空機による農薬使用計画書の提出対象の拡大(現行省令第4条)
  農薬使用計画書の提出については、これまで、航空機(有人ヘリコプター)のみを対象としていたが、
   今般、無人航空機の利用が拡大したことから、無人航空機(無人ヘリコプターやドローン等)も対象とする。
  【パブ2】ドローンを含む無人航空機を用いて農薬を使用しようとする場合には、農薬使用計画書*を
  提出しなければならないこととする。
  ⇒ 現行省令下で、提出が義務づけられている有人ヘリの散布計画は、どこで、いつ、どのような農薬が
   散布されるかなどの情報が農水省により開示されているのに、無人航空機の散布計画の詳細な情報は開示されない。
   「農林水産航空事業実施ガイドライン」通知「空中散布等における無人航空機利用技術指導指針」にある
   散布実施の事前周知の努力規定を義務化すべきである。
   また、散布地周辺の住民の健康への影響や有機農産物へのドリフトが懸念される場合の散布禁止も必要である。

【4】ゴルフ場における農薬流出防止のための措置(現行省令第5条)
  ゴルフ場における農薬使用については、従前より環境省も技術的助言を行ってきたことから、
  農薬使用計画書*を、農林水産大臣に加えて環境大臣にも提出するよう改める。
  加えて、ゴルフ場外への農薬の流出防止措置について、努力義務として明記する。
  【パブ3】ゴルフ場における農薬の使用計画書の提出先に環境大臣を追加する。また、農薬使用者は、
  ゴルフ場において農薬を使用しようとするときは、農薬のゴルフ場の外への流出防止措置を講じるよう
  努めるものとする。
  ⇒ 提出された使用計画とともに、流出農薬の分析実施とその開示を義務化すべきである。

【5】住宅地等の定義の明確化(現行省令第6条)
  農薬の飛散防止措置を講ずるべき住宅地等について、住宅地の他、学校や保育所、病院、公園等が含まれることを
    明確化する。
   【パブ4】農薬の飛散防止措置を講じるべき住宅地等について、住宅地のほか学校、保育所、病院等が含まれることを
    明確化する。
  ⇒ 通知「住宅地等における農薬使用について」にある事前周知ほかの努力規定は、義務化すべきである。
   また、空き地や駐車場などの非農耕地で散布される除草剤が農薬と同じ組成の製剤であるにもかかわらず、
   自由に製造・販売され、事前通知がなくても、勝手に散布できる状況にある。登録農薬と同等に対処すべきである。

【6】水田における農薬使用時の止水の実施(現行省令第7条)
  従前より、水田で農薬を使用する際は、全ての農薬について、水田における流出防止措置を講じるよう
  指導を行ってきたことから、対象となる農薬を個別に規定することを廃止する。
  【パブ5】水田において農薬を使用するときは、全ての農薬について、水田における流出防止措置を
  講じるよう指導を行ってきたことから、対象となる農薬を個別に規定することを廃止する。
   ⇒ 現行省令では、67の農薬成分が該当している。すべての水田使用農薬について、適用するのはよいが、
   水田からの地下水汚染を含め水系の分析調査を実施し、公表すべきである。
   また、農薬使用者は、飲料水源となる場合は、水道供給事業体への通知を怠ってはならない。

【7】被覆を要する農薬の見直し(現行省令第8条)
  臭化メチルについて、オゾン層保護に関するモントリオール議定書に基づき、国内における臭化メチルの
  土壌くん蒸用途が全廃され(2012 年)、現在は、検疫用途のみの使用方法となっていることから、被覆を
  要する農薬の対象から削除する。
  【パブ6】臭化メチルについて、現在は、検疫用途のみの使用方法となっていることから、被覆を要する農薬の
  対象から除外する。
   ⇒ この結果、クロルピクリンだけが被覆すべき農薬となるが、散布地周辺の
   住民の受動被曝による被害が最も多い有毒な農薬であり、EUではすでに、禁止されている。日本も見習うべきである。
   土壌処理剤であるD−Dやメチルチオイソシアネートを揮散する農薬の多用による環境汚染も懸念される。

 注*:農水省の農薬使用計画書の提出について
  遵守省令に基づき、農薬を使用する者は、毎年度、当該農薬を使用しようとする最初の日までに、農水大臣に
  以下の様式の計画書を提出しなければならないとされている。計画の変更も同じである。
   くん蒸又は空中散布の農薬使用計画書の様式ゴルフ場での農薬使用計画書の様式

★もっと法規制の強化を
 今回の遵守省令の改定方針をまとめると、下記のようです。
 【罰則のある義務規定】
  1 食用作物,飼料作物、非食用作物に農薬を使用する場合は,農薬登録の時に定められた次の基準を遵守すること。
     @ 適用作物,A使用量,希釈倍数,B使用時期,C使用総回数
  2 食用作物への適用がない農薬を,食用作物に使用してはならない。
  3 施設くん蒸を行う者はその使用計画を農水大臣に報告すること。
  4 航空機又は無人航空機を利用して農薬を使用する者はその使用計画を農水大臣に報告すること。
  5 ゴルフ場において農薬を使用する者はその使用計画を農水大臣と環境大臣に報告すること。

 【罰則のない努力規定】
  1 有効期限を超えて農薬を使用しない。
  2 航空防除の際には,区域外への飛散を防ぐ。
  3 住宅混在地では,飛散を防ぐ。
  4 農薬を使用した年月日,場所,農作物,農薬の種類や量を記帳する。
  5 水田からの流出を抑える。
  6 クロルピクリン被覆を必要とする農薬を使用するときは,揮散防止に努める
 わたしたちはいままで、2003年農取法に基づく省令や関連通知などに挙げられた遵守項目にある努力規定を義務化し、使用者罰則を強化することを求めてきました。
 しかし、行政サイドは、今回の改定法においても、あいかわらず、農薬メーカーや使用者の経済的利益を優先させ、使用現場で、農薬を受動被曝する農村や一般生活者の健康への影響を軽視する姿勢をあらためません。そのことは、上で紹介した改定案からもよくわかります。
    改定法では、出来るだけ、努力規定を義務化するよう求めていかねばなりません。

★環境省が、生活環境動植物基準の第一次取りまとめ案についてのパブコメ意見を募集中です。11月16日から12月15日まで)

*** 囲み記事:環境省農薬小委員会と農水省農薬分科会の配布資料より *** 

      環境省中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会
         第64回議事要旨(7/18)、議事次第・資料議事録
          ・生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定方法の検討について
         第65回議事要旨(9/06)、議事次第・資料議事録
          (1)水質汚濁性農薬の指定の変更及び使用の規制をすることができる 地域の変更について(案)
          (2)農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令の改正について
          (3)農薬取締法改正に伴う農薬登録保留基準の改正について
          (4)生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定における藻類、水草の取扱いについて
          (5)生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定における鳥類の取扱いについて

         第66回議事要旨(11/06)。議事次第・資料
          (1)生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定における鳥類の取扱いについて(案
           (2)生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定における藻類、水草等の取扱いについて(案)

         第67回議事要旨(11/09)。議事次第・資料
          (1)生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定について(第一次とりまとめ)(案)
          (2)参考資料

        農水省農業資材審議会農薬分科会第18回配布資料(9/14)
          ・農薬取締法の一部を改正する法律の概要
          ・水質汚濁性農薬の指定の見直し
          ・農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令の改正
          ・農薬取締法第3条第1項第4号から第7号までに掲げる場合に該当するかどうかの基準を定める等の件の改正
          ・農薬の優先審査について優先審査基準



作成:2018-10-29、更新:2018-11-15