街の農薬汚染・住宅地通知にもどる

n01602#住宅地通知の遵守をめぐって〜広島と岐阜から#19-07
【関連記事】記事n00803記事n01405

 昨年の農薬取締法の改定に伴い、農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令が強化され、今年の農薬危害防止運動では、通知「住宅地等における農薬使用について」(以下、住宅地通知という)の遵守やあらたな通知「農薬として使用することができない除草剤の販売等について」(以下、除草剤販売通知という。通知本文)の指導もなされています。

同運動のポスターには『農薬を知る。理解する。適正に使う』が目立ちますが、イラストいりで「住宅地周辺で散布する時は事前に周知し、飛散防止を徹底」「土壌くん蒸は必ず被覆し、周囲への拡散防止」という標語が記載されてもいます。
 このポスターは農薬使用現場、農薬販売店、農薬防除業者・農業者・使用者などに十分に浸透しているとはいえず、公共施設ほかの一般の人が、だれでも目につく場所に数多く貼る必要があります。

 *:左図は、農水省の2019年度農薬危害防止運動のポスターの一部




 農薬の販売業者は、農薬取締法では店舗ごとの届出が必要であり、農水省は、除草剤販売通知では、農薬でない除草剤の販売について、店舗の配列棚に加えレジでも、「植物栽培に使用出来ない旨の表示」を求めています。
 しかし、2003年の旧法時代に2万2763人いた農薬防除業者については、それまでの届出制度が廃止されたため、農業者や一般人と同等の農薬使用者の扱いになり、農薬の研修会などへの参加の呼びかけもままならなくなっています。唯一、兵庫県だけが、兵庫県防除業者に関する指導要綱で、知事への届けが求められ、防除業者の皆様へ(農薬の適正な使用について )を、2019年1月18日に発出していることをみても、地方自治体が、国よりも厳しい指導をすることもできることがわかります。

 防除業者や販売店(ネット販売も含む)は、危害防止運動のポスターとともに、住宅地通知を来店者に知らせることも必要です。なぜなら、農薬取締法では、農水省、環境省、都道府県知事は、農薬使用者に指導、助言をすることになっており、農薬使用者は、農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令を守らねばならないからです(記事n01405の囲み記事参照)。
 
★岐阜市へ「住宅地通知」の周知徹底を求める要望
 岐阜市の市民団体「子どもの環境を考える会」は、5月27日、岐阜市に、下記の要望を提出し、回答を得ました。


 要望にある岐阜県版のリーフレットは、農水省・環境省のリーフレットを再編し、「空き地」「道端」での使用を加え、<農薬で健康被害を受けている方がいます>とし、かつ、やむを得ず農薬を使用する場合・・・と文言と上図のようなイラストも加え、さらに、あらたに、「農薬により健康被害を受けることがあります」の項で、中毒症状らがしめされています。これらは、地元の運動によって記載されたものです。

 市の回答について、考える会は、次ぎのように述べています。
  『国の農薬対策室は、「住宅地通知に罰則はない。だからといって自分勝手に農薬を撒いていい
   ということではない。農薬を使用する前に、さまざまな手立てを取りなさいと繰り返し伝え
   求めなければいけない。マニュアルでも示しています。」と言っています。
   農薬など環境化学物質は「予防原則」で考えるべきです。行政担当者は、通知のエッセンスを
   しっかりとくみ取って勉強し、市民の健康と安全を守る防人の気概を持ってほしいものです。 』
 また、要望2に関していえば、県の実施する講習会は、受動被曝による農薬弱者の健康被害の苦しみを知らせることなく、ただ、農薬を使用する側の論理にもとづくお話に終始していることも問題にし、市民側は以下のような指摘をしています。

  『岐阜市議会では、市長以下各部長答弁が「農薬の適正使用に務めます」であった。
   岐阜県は6月末、各市町の担当者を対象に「住宅地等における農薬使用について」
   研修会を主催し、58枚のスライドで構成された資料と農水省・環境省作成の管理
   マニュアル優良事例集等3点を資料として配布した。その内容に眼を通して驚いた。
   県の依頼で、東海農政局の担当者が「総合防除」を念頭におき、資料を作成した
   ようだが、農薬を環境中に放出すること自体が、深刻な健康影響を招くという認識が
   希薄である。「住民とのトラブルを避けるよう注意して、農薬を適正に使用せよ」
   に終始している印象である。これでは、受講者に、農薬の健康被害の深刻さを知らせる
   ことはできない。
   講習会では、専門医による農薬の健康影響、環境省の化学物質環境実態モニタリング
   調査、日本人における農薬をはじめとする有害な環境化学物質の人体汚染状況
   などを受講者にきちんと伝えなければ、農薬の殺傷行為に手を貸してしまうことになる。
   
   現状のままでは、由々しき問題で、この国の全ての生命に明るい未来はない。』
 以下は岐阜市へのの要望書全文で、回答は、要望事項のあとにいれました。
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通知「住宅地等における農薬使用について」の周知徹底を求める要望書
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  貴職の日頃の岐阜市政へのご尽力に感謝を申し上げます。
 さて、OECD報告によれば農耕地における単位面積当たりの農薬使用量は、日本は
 長年世界一位でしたが、2003年に通知「住宅地等における農薬使用について」(以下、
 住宅地通知)が農水省・環境省から発出されて少しずつ減少し、韓国に次いで2番目に
 なりました。
 昨年秋、岐阜市内では農薬危害事故が発生しました。市民に、「住宅地通知」や「農薬
 危害防止運動」の周知を怠ってきたところから、このような事故が生じたものと思われます。
  それを受けて貴市では、チラシ「ちょっと待って!住宅地での農薬散布」を作成され、
 市内全域の広報会を通じて班回覧をされる予定と聞いております。また県もこれを重く
 受け止め、岐阜市内全域で住宅地通知周知徹底のために、リーフレット「このような
 ところで、周囲を気にせず農薬を散布していませんか?」を、急遽用意されました。
 保健所生活衛生課では、これを前者と併せて6月に班回覧の段取りをとっておられると
 聞いております。貴市と県の住宅地通知周知のための迅速な対応に感謝を申し上げます。

  例年農林水産省は、6月から8月にかけて、厚生労働省、環境省と共同で、農薬の
 使用に伴う事故・被害を防止するため「農薬危害防止運動」を実施しています。
  しかしながら、貴市では、少なくとも過去3年にわたって、各担当課が住宅地通知の
 庁内周知を怠ってきた経緯があります。(平成30年12月市議会議事録参照)
  また、住宅地通知は、平成25年に3度目の改訂版が出されておりますが、改訂前の
 内容のまま周知をしてきた経緯もあります。

  あらたな農薬危害事故の発生と神経系が未発達で脆弱な子どもたちへの影響を未然に
 防ぐため、またこれまでの市民への周知の空白と不徹底を埋めるべく以下の要望を致します。

 

 1.チラシ「ちょっと待って!住宅地での農薬散布」とリーフレット「このようなところで、
  周囲を気にせず農薬を散布していませんか?」を、6月に1回班回覧をして廃棄処分をする
  のではなく、「農薬危害防止運動」月間である6月から8月の3カ月間は、
  毎月一回班回覧をして、チラシとリーフレットを有効活用し市民への啓発を図って下さい。
 (岐阜市の回答)
   自治会への班回覧あたっては、事前に自治会連絡協議会にお諮りし、
   了承のもとお願いしております。
   自治会へは、平素から多くの配布物、回覧をお願いしておりますので、同一の
   チラシ等を毎月班回覧して頂くことは、自治会の皆様へのご負担ともなりかねません。
   自治会に対しましては、広報ぎふ6月1日号の各戸配布に併せた班回覧をお願いして
   おりますので、ご理解のほどよろしくお願いします。
   なお、自治会に加入されている方のみならず、より多くの市民の皆様に目を通して
   いただけるよう、リーフレットを市有施設に配置します。


 2.例年、農家やゴルフ場に対しては、農水省・環境省からの通知文書やリーフレット等を
  渡して「住宅地等における農薬使用について」の周知がなされています。
  それと同じように、農薬を多用する造園業者と不動産業者に対しても、リーフレットを
  渡し講習会等を実施して周知を図って下さい。
 (岐阜市の回答)
   造園業者及び不動産業者への周知は各業界団体を所管する国・県の行政機関が
   実施しますが、本市においても関係のある団体に対してリーフレットの配布・説明を
   行うことで周知に努めます。
   また、市役所窓口に来庁される事業者に対してリーフレットを案内するとともに、
   市民等に対して岐阜市の広報ぎふやホームページで周知を図ります。
★広島からの訴え
 広島県でも、団地での農薬使用やクロルピクリン被害で、住民の方から、住宅地通知遵守に関する声があがり、反農薬東京グループから、県に対して、6月9日付け要望と、その回答を踏まえた、7月14日付け再要望をだしています。以下に要望と質問を示します。6月9日の要望は前文のみ、その回答を踏まえた7月14日の要望は全文(添付文書は、東広島の一部)を転載しました。
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6月9日の要望にある前文
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  広島県知事  湯崎 英彦  様
    農林水産局農業技術課 御中

 私たちは、農薬をはじめとする化学物質による環境汚染・健康被害を出来るだけ減らそうと
 運動している市民団体「反農薬東京グループ」です(下記ホームページ参照)。

 知事は農薬による健康被害で苦しんでいる人がいることをご存じでしょうか。
 特に、化学物質過敏症という病気の人たちは、ほんの僅かな農薬でも吸入すると、非常に
 激しい症状を呈し、農薬散布の場所から避難せざるを得ません。しかも、実際はそのような
 避難準備もできないまま突如散布がなされるため、命に危険が及ぶ症状が出現し、入院したり。
 過敏度が悪化し著しく生活が困難になったりしています。さらに、乳幼児等農薬弱者への悪影響も
 懸念されています。

 貴県のHPには、「化学物質過敏症とは」の頁があり、化学物質過敏症に関するパンフが
 紹介され、さらに香料使用に配慮するためのポスター化学物質全般に配慮するためのポスター
 も掲載されています。
 
 貴県の平成31年度広島県病害虫・雑草防除基準の頁では、農薬の使用に当たってとして、
 通知「住宅地等における農薬使用について」(以下、住宅地通知という)を遵守するよう
 注意喚起がなされています。しかし、これらの情報はほとんど知られていません。

 住宅地通知は、最初、2003年9月に農水省から発出され、その後、2度の改定をかさね、
 2013年から農水省、環境省両局長通知となり、現在にいたっています。化学物質過敏症を
 初めとする農薬弱者・一般市民(住民)に危害を与えないようしっかり書かれています。

 さらに、昨年改定された農薬取締法の国会採決時の付帯決議では、都道府県知事の役割が
 明確になり、関連する「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」も、それまでの
 食用作物に加え、非食用作物の栽培にも適用されることになりました。
 衆議院付帯決議では「農薬使用の際に、農薬使用者及び農薬散布地の近隣住民に被害
が出ないようにするため、農林水産大臣及び都道府県知事は農薬使用者(参議院は防除
業者追加)に対して十分な指導及び助言を行うこと。」となっています。
 
 国は、毎年6月から「農薬危害防止月間」を定め、農薬による危害を防ぐよう注意を
喚起しており、貴県でも、6月1日から8月31日まで「広島県農薬危害防止運動」を
実施するとのお知らせがありました。
 しかし、貴県HP上の、農薬は正しく使いましょうとのポスターでは、
 農家向けが主な内容で(もちろん、それも重要ですが)、農家以外で農薬を使用する防除業者や
 一般人の農薬使用については、ふれられていません。市町村は住宅地通知を遵守すれば街路樹等
 に農薬の一斉大量散布は出来ないはずです。

 広島県の化学物質過敏症患者は、主に住宅地周辺で散布される農薬の被害が大きいと
訴えています。住宅地周辺、人通りの多い地域、団地・マンション、学校、鉄道の駅周
辺などですが、一番大きな問題は、市町村が住宅地通知を遵守せず、街路樹、公園の樹
木、街路等に平気で一斉農薬散布(なお、農薬には除草剤も含まれます)が行われている
ことです。
 率先して通知などを守らなければならない行政が住宅地通知を知らないということは
大きな問題だと思います。

 知事は「農薬使用者に対して十分な指導および助言を行うこと」という農薬取締法に
ある使命を是非強力に実施してください。

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住宅地等における農薬使用についての再要望と質問 
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 6月9日に、湯崎知事と農林水産局農業技術課 宛に「住宅地等における農薬使用についての要望」を
 提出した反農薬東京グループです。6月27日に広島県総務局広報課を通て農業技術課等からの回答を
 いただきました。ありがとうございます。
 湯崎知事は読んでいただけたでしょうか。

 回答を拝見して、私たちの要望の意図が全く理解されておらず、内容が通り一遍の行政側の弁明に
 すぎないことがわかり、非常に残念です。以下、回答を踏まえて再質問をさせていただきます。

 まず、回答全体を通じてですが、私たちは「住宅地等における農薬使用について」という農水省・
 環境省の局長通知(前回の前文に詳述)に関する質問と要望をしているのに、貴県は、農業者の
 農薬散布に矮小化しています。広島県内では農業者の農薬散布についても指導が行き届いておらず、
 散布時の事前通知が守られておらず。近隣住民に健康被害が生じている状況です。私たちが、特に
 問題にしたのは公共施設の植栽に対する安易な農薬散布で、これに対する回答は一切ありませんでした。
 他県では、県、市町村での農薬散布を詳しく調査し、植栽管理に農薬をできるだけ使用しないよう  啓発しているところがあります。  特に名古屋市は毎年詳細な調査をしてホームページ等で公表しています。名古屋市の施設等に  おける農薬・殺虫剤等薬剤の使用状況調査結果は、下記でみられます。   (まとめ屋外詳細屋内詳細)  沖縄県浦添市では無通知で公園に除草剤が散布された事が新聞記事にもなり、公園に除草剤を  散布した行為は不適切であったとして市長が謝罪もし、今後、公共施設全般にわたり、除草作業に  おける薬剤を使用する場合は、その取り扱いについて研修を実施し、全庁的に周知徹底する  とともに再発防止に向けて取り組むとしました。(浦添市のHP参照。てんとう記事n00803に詳しい)  また、私たちの調査では学校なども含めて植栽管理に農薬を一切使用しない市町村もあります。  環境省も優良事例を集めた冊子(vol.1vol.2)を発行しています。
 さらに、昨年の農薬取締法改定や「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」改定にともない、  住宅地等での農薬使用についても、条文等が強化されています。  農薬は農家だけが使用するものという固定観念を打破し、直接生産に関係のない、しかも、  人々の暮らしにより近い住宅地等の農薬散布(学校、公園、街路樹、駅、公共施設、店舗、民家の庭など)に  目を向け、不必要な農薬散布をやめるよう、指導の強化をお願いいたします。  以下、要望ごとに再質問をさせていただきます。要望については省略した部分もあります。 【前回要望1】   農薬危害防止月間に住宅地通知をわかりやすくしたパンフレットを作ってホームページ、   チラシなどで広く周知してください。  <貴県回答>    広島県では,6/1〜8/31まで広島県農薬危害防止運動を実施しており,県内5か所     (対象:農薬販売者,農薬使用者,JA関係者,市町)で,農薬危害防止講習会を開催し,    その中で,環境省等が作成したリーフレットを活用して,広く周知をしております。    国が作成したリーフレットは,記載事項や図がわかりやすく記載されているため,    国のリーフレットを活用しております。 【再質問と要望1】   @国はこの件に関して複数のリーフレットを出しています。県が活用しているというリーフレットとは   具体的にどれですか。見本をお示しください。前回要望で紹介した岐阜県パンフを    ごらんになりましたか。周知や健康被害が強調されています。参考にしてください。    また、活用しているとのことですが、どのように活用しているのですか。国から出された    リーフレットを増す刷りして配布しているのですか。その場合、何部印刷してどこへ    何部配布したのですか。広く周知したという内容を明らかにしてください。ホームページに    掲載したというだけでは、全く不十分です。   A農薬危害防止講習会への参加者はどのように選定されたのでしょうか? 具体的に示して    ください。農家にチラシを配っただけですか。    また、講習参加者に関して広島県内で植栽管理に係る役務についている地方公務員は    強制的に参加しなければならないというような制度にはなっていないのでしょうか?    さらに、過去5年間の参加者数を 年度ごとに、行政関係者、防除業者、農業者、一般住民に    分けて、教えてください。 【前回要望2】   貴県内の市町村長、担当部署にたいして住宅地通知を遵守しているか否かを調査し、その結果を   公表して下さい。遵守していない市町村を強く指導して下さい。(略)   なお、本メール全文を市町村あてに、転送されることを希望します。  <貴県回答>    上記の1農薬危害防止講習会や,市町の担当者を対象とした研修会において「住宅地等における    農薬使用について(25消安第175号)」の遵守や除草剤の取扱いについて,周知徹底を    行っています。なお,現在,住宅地通知の遵守を行っているか否かの調査の実施予定は    ありませんが,引続き周知徹底を行います。 【再質問と要望2】   周知徹底の中身をお知らせください。今年度は何月何日にどこへ、どのような方法で   知らせたのですか。周知徹底するためには実態を明らかにしないと効果がありません。   今回は公共施設での農薬使用が問題になっているわけですから、県として、きちんと   調査すべきと思います。最低、県有施設での農薬散布状況を調査すべきと思います。   幼稚園、学校での農薬散布状況も調査してください。   引き続き周知徹底を行いますとありますが、広島県の中枢都市の広島市の植栽管理を行う   公務員ですら「住宅地等における農薬使用について」の文書を知らなかった事実があります。   周知徹底の努力を行っているとはとても思えません。 【前回要望3】   無農薬で植栽管理をしているところを調べ、優良事例として紹介してください。  <貴県回答>    広島県では,無農薬で植栽管理している農業者等は把握しておりませんが,    「安心!広島ブランド」認証制度(特別栽培農産物)とエコファーマー認定制度に    認定した農業者の優良事例を県HPで紹介しております。 【再質問と要望3】   農薬使用者というと農業者しか頭に浮かばないという姿勢が問題です。公共施設等への   農薬散布は防除業者が行っています。防除業者への指導について具体的にお知らせください。   事例を一つ記します。東広島市の団地で農薬散布作業中の散布業者(3人)の内、2人に   「〜周囲を気にせず農薬を散布していませんか?」を渡して「これを見たことがありますか?」   と聞いたとろ、2人は「知らない」と答えました。1人は口頭で「住宅地等における農薬使用に   ついて」という農水省・環境省の通知を知っているか?と聞きましたが、「知らない」   ということでした。   上記2人は散布現場の「作業責任者」で、もう一人もそうだと思います。これら3人は   「通知」そのものを「知らない」と言ったのだろうと思います。   講習会等で配布した資料をお示しください。その際、農薬メーカーの宣伝チラシなども   配布したか どうかもお示しください。   また、県の施設で、植栽管理を行う際の防除業者への仕様書の事例をお示しください。 【前回要望4】   化学物質過敏症に関する情報を、市町村レベルでも、広く知らせてください。  <貴県回答>    化学物質過敏症に関する情報は,必要に応じて,市町に情報提供を行い,広く周知    を図ることとしています。≪広島県健康福祉局薬務課≫ 【再質問と要望4】   薬務課からの回答ですが、住宅地通知が発出された一番の理由は、化学物質過敏症患者の   訴えからです。農水省がその被害を認識し、それを防ぐためにこの通知が出されました。   広島県農業技術課が保健福祉局薬務課に回答を丸投げしたことは、無責任と言わざるを得ません。   農薬使用を管轄する部署としては化学物質過敏症について学習し、他部署にできるだけ   農薬使用を抑えるよう指導すべきです。   広島県在住の化学物質過敏症患者からの訴えを添付します。その苦しみをご理解いただき、早急に   対策をとってください。   また、実際に広く周知がなされているとは思えません。尾道市の相談者が先日尾道市農林水産課の   職員に言われた言葉ですが、「使える農薬と使えない農薬を分けるために農薬を皮膚に貼って   パッチテストをするように」指示されたそうです。農薬の添付文書には「皮膚に付着しないように   注意すること。皮膚に付着した場合には水でよく洗い医療機関を受診すること」等の記載が   通常されています。農薬には皮膚刺激性があるものが殆どで経皮吸収やパッチからの揮発物   を吸入することでの中毒症状が健常者でも起こり得る危険な行為です。それを、極度に   薬剤代謝能力の低い化学物質過敏症患者に行えと言うのは「死ね」というのと同じことです。   もし化学物質過敏症に関する情報が広く周知されていれば、農薬を扱うプロである農業技術課の   職員がこのような発言をするはずがありません。このような人権を無視した発言を自治体   公務員がすることがないように、情報を周知徹底する努力をお願いします。 【前回要望5】   貴県内では、土壌くん蒸剤のクロルピクリンが使用され、被害者がでています。クロルピクリンは   農水省が毎年公表する農薬事故、被害例の中で唯一原因農薬として名前が挙げられている   農薬であり、 第一次世界大戦で毒ガス兵器として使用されたものです。  (現在、化学兵器禁止法では第二種指定物質)。詳しくは、添付資料を参照してください。   このような毒性の強い農薬を住宅地周辺で使用しないよう県の条例で禁止してください。  <貴県回答>    農薬危害防止講習会や,市町の担当者を対象とした研修会において,クロルピクリン使用時の    揮散防止について,周知徹底を行っています。今後も,引続き,国が定めた「農薬を    使用する者が遵守すべき基準を定める省令)」「住宅地等における農薬使用について」    に基づき,周知徹底を行います。 【再質問と要望5】   広島県では、クロルピクリンを2017年に7,688.67キロリットル使用しています。   どのような作物に、いつ、どこで使用しているのか教えてください。使用者は、周辺住民に   クロルピクリン使用日時、ガス抜きの日時など周知していません。使用方法やガス抜きに   関してどのような指導をしているのか具体的にお示しください。   毒ガス兵器そのものであるクロルピクリンの毒性を考えると使用しないという指導をすべきです。   広島県でクロルピクリンによる被害者がでていることを把握していますか。その苦しみを   理解して早急に対策をとってください。言うまでもないことですが、化学物質過敏症患者が   反応するのはクロルピクリンだけではありません。あらゆる大気中の化学物質に反応します。   患者自身が様々な対策を取って化学物質を遠ざけていますが、家の外で使用される農薬などに   関しては個人で対策がとれません。そのために住宅地通知が発出されたことを肝に銘じてください。 【前回要望6】   今年、県が発表した「農薬は正しく使いましょう」というチラシの中の「飛散防止の徹底を」   という項目に「基準を超える農薬が残留する食品の販売等は原則禁止されています」とありますが、   残留基準違反の農産物は、食品衛生法により。原則禁止でなく発見されたら即販売禁止です。   訂正して正しい情報を伝えてください。  <貴県回答>    御意見をありがとうございます。    御指摘の箇所の,「食品」とは,農産物だけでなく,畜・水産物やその加工食品など,食品全般を    指しています。加工食品の場合は,基準値を超える農薬を検出しても,使用している原材料が    それぞれ残留農薬基準に適合していれば,その加工食品も基準に適合するものとされています。    このため,チラシでは「原則禁止」と表記していますが,このチラシは主に農産物の生産者に    対して使用されることから,誤解を与えない表現を担当部局と検討したいと考えています。    今後とも,本県の食品衛生行政への御理解と御協力をお願いします。    ≪広島県健康福祉局食品生活衛生課≫ 【再質問と要望6】   早急に訂正してください。  【添付ファイル】@防除業者の住宅地通知に関する東広島市の事例    A広島県の化学物質過敏症患者からの訴え―省略―
   @については、以下のような主張です。
  防除業者の住宅地通知に関する東広島市の事例

   これまで数年間、農薬散布のチラシを見つける度に東広島市へ散布しないよう、抗議の
   電話を掛けていました。東広島市建設部維持課は「この時期に街路樹・植栽などで、一匹でも
   害虫を見つければ、すべての街路樹・植栽に殺虫剤(有機リン系殺虫剤)を自動噴霧器で一斉散布するのが
   最も効果的で、安上がりな害虫対策だ」と主張し続けてきました。
   この主張は明らかに環境省「公園マニュアル(平成30年3月改訂)」、農水省・環境省の
   「住宅地等における農薬使用について」の通知(以後、「住宅地通知」と表記する)に違反する行為です。

   「公園マニュアル」、「住宅地通知」では、初めに「農薬を使用しない管理」次に
   「農薬以外の物理的防除の優先」そして、止むを得ず「農薬を散布せざるを得ない場合は、
   飛散しない農薬」を使用する、です。それでも万が一「飛散する液状の農薬を自動噴霧器等で
   散布せざるを得ないときは」
    1、公園など、散布地近辺に遊具などがある場合は、遊具の移動、遊具の移動が
     できない場合はシートを被せる。(私は地元で、これらが実施されているのを見たことがない。)
    2、散布する際は樹木・植栽全体への散布は可能な限り避け、病害虫の発生部位等への
     スポット散布に留める。(東広島市が実施している、街路樹・植栽全体、つまり、
     散布受託業者の受け持ち区域、長い場所で数キロ、短い場所で数百メートル全域の
     街路樹・植栽に、公園等に一斉散布するのは「公園マニュアル」、「住宅地通知」が
     想定していない、論外の行為です。)
    3、散布区域に人が立ち入らないように対策を講じる。公園等では立看板・コーン・ロープ等
     で散布区域を区分けして、散布区域に人が気づかずに立ち入ることがないように配慮する。
     (散布受託業者の受け持ち区域の数キロから数百メートルを、また公園を全面的立ち入り
     禁止措置するのは不可能です。)
     しかも、この万が一「飛散する液状の農薬を散布する」ことに「公園マニュアル」、
     「住宅地通知」が言及しているのはその対象を「住宅地に近接する農地」をも含めている
     からです。
   上記の1,2,3、からも「学校 保育所 公園 病院 街路樹このような所で、大量に
   飛散する農薬の一斉散布はできないはずです。

   団地の調整池に面した桜並木(20〜30m)は付近の住民からの防除要請(散布受託業者の話)は、
   発生害虫が人畜無害なモンクロシャチホコ(東広島市では9〜10月初旬頃発生)であり、
   人への健康被害は全くない事をよく説明して理解を求める。私の観察ではモンクロシャチホコは
   桜の葉を食害するだけで、来春の開花には全く影響はない。

   街路等の雑草対策も殺虫剤散布と同様で、「農薬以外の物理的防除の優先」をして実施する。
   事実、街路等の植込み区画(ブロックで囲われている部分)は人手による除草が実施されている。
   主に街路の両端部分に除草剤を自動噴霧器で散布している。この部分は人手・機械除草が
   最も行いやすい場所です。

  <提言>

  「学校 保育所 公園 病院 街路樹このような所で、」農薬の一斉散布はしなくても樹木・
  植栽管理はできます。
  以前、私は東広島市へ抗議電話のなかで、「殺虫剤散布をしてから剪定をするのではなく、
  先に街路や公園の樹木・植栽の剪定を5月下旬か6月上旬に行えば殺虫剤散布はまったく
  必要ないのではないですか」と提案しました。害虫の発生している(または、発生するかも
  しれない)葉を先に刈り取るのです。丁度この時期は剪定の時期でもあるのです。
  チャドクガ・イラガその他の害虫発生を予防出来るのも、剪定の方法にかかっています。
  チャドクガ・イラガ発生の予防を優先するのであれば、3月下旬から4月上旬にツツジ系
  以外の樹木・植栽の剪定をおこない、6月上旬からツツジ系の剪定を実施する。
  また、東広島市の農薬散布受託業者の話では、「月に一度、樹木点検をおこなっている」
  とのことです。これを、害虫の発生がほとんどない冬期はやめて、4月から9・10月迄を
  月に2度、樹木点検をおこなう。そうすれば、害虫や雑草発生の早期発見・早期対応・農薬を
  使用しない物理的防除にも役立ちます。また冬季(1月〜3月)に街路の植え込み区画を
  人手除草しているのを見かけるが、これを雑草の繁茂する8月・9月に振り替える。これらは
  東広島市への提案です。

  市民の健康被害防止のために、街路・公園など公共の場所で農薬の散布は止めて下さい。
 
  【団地での散布状況概略】 −省略−
 次号では、鉄道除草剤等の農薬使用についてJR各社への、非植栽用グリホサート系除草剤についての販売会社や関連団体への要望とその回答を紹介します。

作成:2019-07-30、