街の農薬汚染・住宅地通知にもどる

n01802#農薬危害防止と無登録除草剤〜農水省の業界への通知はまやかし?#19-09
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【参考サイト】農水省;「2019年度 農薬危害防止運動」の実施について通知全文と実施要綱ポスター
             通知「農薬として使用することができない除草剤の販売等について」
     農業技術通信社
 全国で展開されていた本年度の農薬危害防止運動は、概ね8月で終わりましたが、運動の実施要綱には、都道府県知事などに、通知「農薬として使用することができない除草剤の販売等について」(3月28日付30消安第6268号。以下、除草剤販売通知という)を十分指導することが求められていました。この通知は、農水省、環境省、厚労省、経済産業省の担当課長や室長らの連名で,15の販売会社や業界団体宛てになっており、市販されている除草剤のうち、農薬登録のない製品を、農作物や樹木、花卉などの植栽用に使うなという2003年に改定された農薬取締法にある条文違反が、15年以上たった現在も、守られていない実態への行政からの警鐘でした。(記事n01301)  わたしたちは、同じ成分である除草剤を登録があろうが、なかろうが、身の回りでの使用を同等に規制すべきだとの立場ですが、なにはともあれ、前記通知を受けた販売者らがどう対応しているかを調べるため、100円ショップ4社と9団体に、特に無登録除草剤の中で一番出回っているグリホサ−ト系製品(登録農薬では商品名ラウンドアップとして知られている。記事n01604参照)を対象とした質問状を送りました。そのうち3社6団体から回答を得たので、その概要を示します。

★無登録除草剤についての4社9団体への問い合わせ
 100円ショップ用と関連団体用とで、若干、文言をかえましたが、前文の概要は下記のようです。なお、通知にある宛て先のうち、ホームページから問い合わせができない全国スーパーマーケット協会と全国化学工業薬品団体連合会は除きました。
 【問い合わせの前文】
  除草剤販売通知は、農薬取締法第二十二条( 除草剤を農薬として使用することができない旨の
  表示)の第2項に基づくもので、旧法第十条の二で、2003年から、販売者に対し、登録農薬と
  区別する表示をすることが、義務づけられてきました。

  農水省は、販売店に立入検査をしていますが、最近の結果は以下のようでした。

      販売所に点検箇所 農薬登録のない  陳列棚に農作物に
               除草剤販売箇所  使用不可の表示なし
  2016年度:4,350箇所     2,785箇所     423箇所(15.2%)
  2017年度:3,883箇所     2,319箇所     361箇所(15.6%)、

  さらに、昨年、沖縄県であった事例に関して、公園などの公共施設で、農水省・環境省両局長通知
  「住宅地等における農薬使用について」(以下、住宅地通知という)を遵守しなかったり、
  登録の無い除草剤を使用したことについて、農水省から回答を得ています。
  (下記参照:当グループHP掲載のてんとう(ロゴ印)情報記事n01405です。)

  これらを踏まえ、特に、グリホサートを含む除草剤について、以下のお尋ねをしますので、ご回答ください。

  なお、このお願いは、貴団体傘下の企業、団体、販売店の担当部署にも転送お願いします。
 質問は、下段の囲みのように、【1】農薬取締法と除草剤の販売について、【2】除草剤販売通知について、【3】グリホサート系除草剤の使用・販売についてにわけています。  グリホサート系については、記事n01405の『登録の有無に関係なく。住宅地等で使うな』の節を参照してください。

★大手100円ショップからの回答〜農薬でなく、日用雑貨部類として販売とも     (ショップ用問合せはこちら)
 もともと、無登録除草剤は、同じ成分で同等の作用がある登録農薬にくらべ、価格が安く、農業者や防除業者が植栽管理に転用することが、問題であり、これを禁止すべく、農薬取締法条文が制定されています。
 100円で売られる除草剤は、一般家庭向けの少量の無登録製品で、農業者向けではありません。違法使用されるのは、ホームセンターや園芸店やインターネットで販売される製品です。農水省は、植栽に使用しない除草剤は、農薬でないとして、住宅地通知も適用しないのですから、家庭用に特化した100円ショップを通知で指導する意味がよくわかりません。
 私たちの質問に対して、大創社は『[グリホサート含有除草剤」につきましては、販売終了の商品でございます。』の一行のみの回答で、いつから、どんな理由で止めたかも返事がなく、誠意がみられません。
 セリア社とワッツ社は、質問項目に沿って答えてくれましたので、以下に示します。  前者は、販売届は無く、登録除草剤は販売していないが、『グリホ7』を「日用雑貨」として売っており、後者は、届出はしているが、グリホ系無登録除草剤をうっていないという立場の違いが明らかになりました。いずれにせよ、100円ショップでは、グリホ系登録農薬も、無登録農薬も販売しないことを明確にしてもらいたいものです。
   質問                     セリア回答                 ワッツ回答          
【1】農薬取締法と除草剤の販売について
 (1-1)農薬登録のない除草剤を販売しているか    農薬の部類ではなく日用雑貨部類となる    2015年9月に取り扱いを終了。

 (1-2)販売者の届出をしているか          農薬の部類ではないため、届出はなし         しております

 (1-3)販売について、農薬不使用が表示されていたか 商品内箱に、陳列の際にわかるよう      しておりました
                                                非農耕地用本品は農薬として使用できない旨記載
【2】除草剤販売通知について
 (2-1)除草剤販売通知の販売店への周知はどうか   登録農薬の部類はないが、商品「グリホ7」   現在取り扱いがなく、通知していない
                          についての事例提示あり

 (2-2)購入者への説明はどうか、具体的に      商品の箱に上述のように記載している     同上

 (2-3)レジで、個々の購入者に直接説明するか    実施なし。問合せがあれば、対応する     同上

【3】グリホサート系除草剤の使用・販売について
 (3-1)グリホサート含除草剤の使用をどう考えるか  食安委専門委員会の報告で安全性に問題が   今後、仕入先様より当該商品の提案があれば、
                          ないと判断しているが、法を遵守し取り扱う  今回頂いた情報を考慮し商品選定を行いたい
                          義務は守らなねばならない      
 (3-2)同系で農薬登録のない除草剤販売はどうか   合法的に販売を継続し。違法ではあれば
                             直ちに販売を中止しなければいけないとも考える
                                               現在製造元と協議し、グリホサート不使用の除草剤
                                                   を企画しており、変更していく予定

 (3-3)登録のない同系除草剤の販売の際、      日用雑貨部類での範囲で掲示などで対応中
   レジでも、個別に伝えるべきだと思うか      農業に使う農薬などに関して危険ですので個別に
                          伝えることは必要ではないかと考えております。
 なお、回答のなかったキャンドゥ社の店舗には登録除草剤はなく、棚の表示に『本品は農薬ではありません。樹木などのまわりには、使用できません。』との表示の下、食塩系除草剤がありました。

★7つの関連団体からの回答〜団体傘下の企業の実態不明  (団体用の問合せはこちら)
 質問を送付した9団体のうち、日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会、日本チェーンストア協会、全国商店街振興組合連合会からは返事がありませんでした。
 以下に、回答の概略を示しますが、無登録除草剤は販売していないから、関係ないよという団体や、農水省通知をそのまま、傘下の企業に転送するだけでの団体もあります。【3】グリホサート系除草剤の使用についての考え方の質問には、法令遵守というありきたりの返答がめだちます。

【日本化学品輸出入協会】農水省から周知依頼のあった「除草剤販売通知」は会員企業に伝達しているが、特定業種について、会員企業への調査や事業団体としての考えの取りまとめは行っていない。

【全国農業協同組合中央会】中央会では農薬の販売を担当していないため、答えられない。

【全国農業協同組合連合会(JA全農)】農水省通知は直ちに文書で知らせたが、農薬登録の無い除草剤を販売していないため、販売先における状況について、答える立場にはない。

 各項目への回答があった3団体からの返事の概要は以下のようでした。
   質問                   日本化学工業協会回答       全国農薬協同組合回答      日本チェーンドラッグ
                                                        ストア協会回答    
【1】農薬取締法と除草剤の販売について
 (1-1)農薬登録のない除草剤を販売しているか    1社が販売ありと回答             農薬登録のない除草剤販売なし   会員企業の販売状況把握せず

 (1-2)販売者の届出をしているか          届出済み                届出している                      同上

 (1-3)販売について、農薬不使用が表示されていたか 陳列場所の見易い所に「農薬と     販売ないので、該当しない      同上
                        して、使用できない」旨を掲示販売

【2】除草剤販売通知について
 (2-1)除草剤販売通知の販売店への周知はどうか                                     会員に文書/メール/情報誌で連絡   協会報4に掲載、会員企業へ周知

 (2-2)購入者への説明はどうか、具体的に      製品ラベルに「農薬として使用     除草剤を扱っていないので、    法令遵守した販売をお願いしている
                         できない」など表示。販売店にも   該当しない
                         周知し、協力依頼

 (2-3)レジで、個々の購入者に直接説明するか      レジでの説明は確認していない    同上                法令遵守した販売をお願いしている
                         消費者の問いには、その都度対応

【3】グリホサート系除草剤の使用・販売について
 (3-1)グリホサート含除草剤の使用をどう考えるか  法令順守を徹底するため、官庁の  登録農薬は安全性が確保され、    各種法令や通知を遵守した営業活動、
                         通知、通達も協会の関係者へ周知  注意事項を守り、適正使用す     会員企業へ周知、遵守の依頼を行う
                         等を行う。            れば問題ないと判断している

 (3-2)同系で農薬登録のない除草剤販売はどうか                     対面販売が基本で。登録農薬     各企業の経営判断に基づく
                                          を注意事項を守り、適正使用     内容になるかと思いますので
                                           するよう指導している       回答は控える。

 (3-3)登録のない同系除草剤の販売の際、                        登録のない紛らわしい除草剤     同上
   レジでも、個別に伝えるべきだと思うか                      は規制すべき考える。
★除草剤の身近での使用をやめさせるには、住宅地通知の義務化が必要
 農水省の除草剤販売通知は、単に、農取法にもとづき、無登録除草剤等の植栽への使用を規制するだけです。逆に。同法は、かって、登録農薬を衛生害虫駆除使用するのを防げなかったように。植栽以外に登録農薬使用することは、日常茶飯事で、道路、鉄道や空き地、運動場でも、農薬登録のある除草剤が使われていることを忘れてはなりません。
 登録除草剤と無登録除草剤の違いは、ひとつには、登録農薬は届出をした販売店でしか売れないことであり、もうひとつは、使用に際して、農薬には、遵守省令や住宅地通知が適用されるが、非植栽地専用の無登録除草剤には法規制や指導の網がかからないことです。
 わたしたちは、以前から、景観維持への農薬使用をやめるよう主張してきました。しかし、なかなか実現しないため、農水省らとの行政交渉で、住宅地通知を発出させました。とはいうものの、努力規定である通知は遵守されず、植栽地でも、非植栽地でも、農薬や除草剤使用は止むことはありません。一般家庭や公園で、園芸に使う種子や球根、苗類で農薬処理をしていないものを購入することすら困難な状況であることにも住宅地通知は無力です。

 グリホサートについては、記事n01604で述べたように、2015年3月、IARCが発がん分類を2Aランクにあげたことを契機とした一連の運動。たとえば、記事t30503にあるグリーンピース・ジャパンによる人の尿中の分析調査、記事n01301にある小樽・子どもの環境を考える親の会の署名運動やデトックス・プロジェクト・ジャパンの毛髪汚染調査。農民連食品分析センターによる小麦製品やビール中のグリホサート残留分析調査など、それぞれの得意分野での さまざまな運動が行われています。

 農水省の目指すスマート農業では、農家の老齢化対策を視野にいれ、農業者の労力を減らすことに重点がおかれ、農薬使用を減らすという方向性がみえません。地上散布にかわるドローン散布は、より効率的に散布することであって、農薬散布量をへらすことにはつながっていません。住宅地近くの農耕地では、住民への周知もあやしいものです。

 住宅地通知を義務化し、これをてこに、グリホサート系除草剤の使用をやめる必要があります。
 日本消費者連盟の消費者レポート1625号(2019年9月20日発行)や木村ー黒田純子さんの毒性問題の総説岩波 科学10月号も参考にして、グリホサート追放をめざしましょう。


通知「農薬として使用することができない除草剤の販売等について」に関する質問 (関連団体宛て))***
 【1】農薬取締法と除草剤の販売について
  (1-1)貴団体では、傘下の企業・団体及び販売店において、農薬登録のない除草剤を販売しておられますか。

  (1-2)貴団体傘下の企業・団体及び販売店は、すべて、農薬取締法第十七条(販売者の届出)にもとづき、
   届出をしておられますか。

  (1-3)いままで、貴団体傘下の企業・団体及び販売店で、農薬取締法で義務づけられているように
   『公衆の見やすい場所に、除草剤を農薬として使用することができない旨の表示』をされて販売されていましたか。


 【2】除草剤販売通知について   (2-1)貴団体に送られた農水省の除草剤販売通知は、傘下の企業、団体や販売店に、いつ、どのようなかたちで、    お知らせになりましたか。   (2-2)除草剤販売通知には『農薬に該当しない除草剤を農作物や樹木・芝・花き等の植物の栽培・管理に    使用しないよう購入者に説明』とありますが、貴団体傘下の企業、団体や販売店では、どのような方法で、    購入者に説明されていますか。お調べになった上で、具体的にお答えください。   (2-3)傘下の企業、団体や販売店では、購入時に、レジで、個々の購入者に直接説明しているかどうかを    確認されていますか。不明の場合は、お調べの上、教えてください。
 【3】グリホサート系除草剤の使用・販売について    農水省発出の「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」(以下、遵守省令という)の    第六条(住宅地等における農薬の使用)には『 農薬使用者は、住宅、学校、保育所、病院、    公園その他の人が居住し、滞在し、又は頻繁に訪れる施設の敷地及びこれらに近接する土地に    おいて農薬を使用するときは、農薬が飛散することを防止するために必要な措置を講じるよう    努めなければならない。』とあり、これに基づく、住宅地通知では、住宅地等やその近くでは、    出来るだけ、農薬を使用しない方法をとることが求められ、万一、使用する場合は、周辺への    周知をすることが指導されています。    一方、わたしたちの身の回りでは、グリホサートを含む除草剤が、植栽及び非植栽地域で、    多用されています。この成分は、2015年3月、国際機関IARCがグリホサートの発がんリスクを    2A:ヒトに対して恐らく発がん性が有ると評価して以後、フランスなどのEU諸国やベトナム。    インドでは、同剤の使用禁止や規制が行われ、アメリカでは、がん患者の訴訟で、賠償判決も    でています。      参照:グリホサートの毒性については、環境脳神経科学情報センターのHPにある解説:       https://environmental-neuroscience.info/pesticides/herbicides/entry47.html    そこで、以下に貴団体としてのお考えをお尋ねします。  (3-1)遵守省令や住宅地通知は、グリホサートを含む除草剤の使用も該当します。    わたしたちのもとには、除草剤散布後、体調を崩したとの訴えがきています。    このような有害な物質を身の回りで使うことに対し、農薬登録の有無にかかわらず、出来るだけ    使用しないよう、遵守省令や住宅地通知を守るべきと思いますが、いかかお考えですか。  (3-2)貴団体傘下の企業や団体、小売販売店あるいはインターネット販売で、グリホサート系の    農薬登録のない除草剤の販売は、やめるべきと思いますが、いかがお考えですか。  (3-3)万一、登録のないグリホサート系除草剤を販売されるときは、レジで、購入者に、『植物の栽培・    管理に使用しないこと』だけでなく、空き地や道路などの非植栽地域でも、登録農薬と同じく、    『住宅地等での使用に際して、生活者や住民に散布を周知をすること』も、個別に伝えるべきだと    思いますが、いかがお考えですか。

作成:2019-09-30