街の農薬汚染・住宅地通知にもどる

n01803#広島県へのクロルピクリン被害防止・住宅地通知の実施についての要望第三弾#19-09
【関連記事】記事n01602
   反農薬東京グループ;第一回要望と回答第二回要望と回答

 広島県での住宅地通知違反やクロルピクリンによる健康被害防止について。県への要望をいままで2度おこなってきました。それぞれの回答を含めた概要は記事n01602で紹介したとおりです。

★第三弾の要望〜県に独自の条例・要綱・要領の制定を求める
 先の県からの回答では、危害防止運動の講習会の参加者数は 下表のようでした。 また、広島県植栽管理業務委託共通仕様書(平成 28 年版が、示されました。
   表 広島県農薬危害防止講習会の過去5年間の参加数

   業種等    2018年 2017年 2016年 2015年 2014年 
   JA       121   149    140   181   176
   卸商組合      43      46       48      48      46
   共済組合           6      6        5       9       7
   ホームセンター    17      26       25      38      61
   森林組合          15      16       15      10      12
   その他販売業      50      54       68      57      56
   防除業            49      35       34      42      38
   使用者           114      78       95      98      64 
   ゴルフ場          51      42       41      40      46
   その他※          48      38       36      26      40
    計             505     490      497     549     546

     ※ 業種別(地方公務員)は、区分していません。
 しかし、全体的には、依然として曖昧な内容で、本当に住宅地通知を理解し、県民に広く知らせようとしているのか、私たちにはわかりませんでした。そこで、緊急を要するクロルピクリン規制に関する要望と化学物質過敏症患者への支援、また、これ以上患者を増やさないための方策などについて、第三回目の質問と要望を行いました。
 その中の【1】クロルピクリンと住宅地通知についての個所を紹介します。前文と【2】化学物質過敏症患者への支援と化学物質過敏症患者を増やさない対策については、 こちらをごらんください。
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住宅地等における農薬使用についての要望と質問その3 
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【1】クロルピクリンの規制及び住宅地通知等について

 既に、何度も指摘していますが、土壌くん蒸剤クロルピクリンは、化学兵器禁止条約で
 表3A剤であり、日本の化学兵器禁止法では、トリクロロニトロメタンとして第二種指定物質の
 毒性物質です。
 平和都市を標榜する広島で、化学兵器の成分と同じものを一般人が農薬として使用していることに
 ついて、広島を訪れる諸外国の人はどのように思うでしょうか。

 要望に対する二回目の回答では、農薬危害防止運動についての講習会案内を、関係する25団体に、
 3万枚送付され、参加者は約500名となっています。しかし、同運動のポスターにある
 住宅地周辺への周知や、くん蒸剤の周囲への拡散防止は、依然として守られていません。    
 さらに、わたしたちが一番驚いたのは、クロルピクリンに関して、広島県はどこで、何に、
 どのくらい使われているか一切知らないと回答されていることです。
  この件の回答は以下の通りです。
  <県の回答>
   「2017年における,クロルピクリンの使用状況(どのような作物に,いつ,
   どこで)について 大変申し訳ありませんが,広島県では,把握していません。」
   どのように指導しているのかという質問に対しては
   「クロルピクリンの使用方法やガス抜きに関する指導状況について農薬使用者に対し,
   農薬販売業者等を通じて,クロルピクリンの農薬使用基準の遵守の徹底を指導して
  います。」でした。

 使用実態を知らないで、漫然と使用基準を守れと言っても、違反したことすら把握できない
 ではありませんか。
 
 このような実態を改善するために、私たちは以下の提案と質問、要望をします。
 
<質問1> 広島県内における農薬販売業について、お尋ねします。
 県内の農薬販売店舗は、いくつありますか。そのうち、毒劇法による農業用毒劇物の販売者は
 いくつですか。後者については、届出のある販売店舗の所在地を教えてください。

  
<要望1>クロルピクリンで、使用者の個別指導ができる体制を作ること。そのためには、
 県内のどこで、何に、どれくらい使っているか調べることが重要不可欠です。

 (1)県内のクロルピクリンの使用状況を調べて教えてください。
  地域ごとに、何の用途で、どの程度(使用面積、使用量。使用者数など)使用されているか
  教えてください。
  クロルピクリンは劇物に指定されていますから、農業上必要な毒物又は劇物のみを取り扱う
  販売業者の登録が必要で、都道府県は販売業者を指導する立場にあります。立入検査も
  できます。適正な使用をしない購入者へ販売させないよう指導することもできます。
  現在、毒劇物の 製造者、販売者は、毒劇法の第四条(営業の登録),第十条(届出)により
  登録・届出が必要です。

 (2)クロルピクリンの使用者にも、県への届出を求めてください。
  県の条例・要綱・要領などの正式文書を制定し、届けを提出させ、住宅地ちかくでの使用規制など
  厳格に管理することも、指導することもできるはずです。
  クロルピクリンの事故が多いことは、農水省も認めています(農薬事故報告で唯一成分名を
  公表している)。
  しかし、現行の農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令(以下、遵守省令という)では、
  第六条(住宅地等における農薬の使用)及び第八条(被覆を要する農薬の使用)は努力規定に
  すぎません。クロルピクリンによる農薬被害者を出さないために、(1)(2)を早急に検討してください。

 (3)県は、国に、劇物農薬使用者の届出、遵守省令、住宅地通知の内容を義務づけるよう、
  求めてください。


<要望2>上記要項等ができるまでの間、幼稚園、小学校などや住宅地の近くでは
 クロルピクリンの使用をやめるよう強く指導してください。クロルピクリンは非常に毒性が
 強く、吸入すると。様々な症状がでます。使用中はもちろん、被覆後も大気への揮散はつづき、
 被覆をはがす時には再度揮散し、また、井戸水などの水系汚染でも人の被害がおこります。
 最近では、低濃度で長年吸入しているとぜんそくなどの慢性毒性もあることがわかってきました。
 使用している農家の人も既に被害を受けている可能性もあります。
 住宅地通知では、
 「(7)農薬の散布に当たっては、事前に周辺住民に対して、農薬使用の目的、
 散布日時、使用農薬の種類及び農薬使用者等の連絡先を十分な時間的余裕をもって 幅広く
 周知すること。その際、過去の相談等により、近辺に化学物質に敏感な人が居住していることを
 把握している場合には、十分配慮すること。また、農薬散布区域の近隣に学校、通学路等が
 ある場合には、万が一にも子どもが農薬を浴びることのないよう散布の時間帯に最大限配慮する
 とともに、当該学校や子どもの保護者等への周知を図ること」とはっきり書かれています。


<要望3>クロルピクリン販売者には、購入・譲渡者に、レジなどで、使用上の注意事項、
 被覆の必要性、周辺への周知を行い、上記指導を聞かない不適格者には販売しないよう、厳格に
 指導してください。

  <農薬危害防止運動についての実施要綱>には下記の記載があります。
  『4 農薬の適正販売についての指導等
   (1)農薬販売者に対する指導
   (2)農薬販売者への立入検査等による指導
 
   農薬販売者を対象として、関係法令に基づく立入検査等を実施し、無登録農薬の販売の取締り
   及び適正な農薬の販売に関する指導を行ってください。特に毒劇物たる農薬の販売業者に
   対しては、別記3「毒劇物たる農薬の適正販売強化対策」を周知徹底してください。』


<要望4> 下記の関連事項の実施を求めます。
 (1)遵守省令、住宅地通知について、広報誌やHPで知らせるだけでなく、自治体が管理する
  施設に。文書をおいたり、自治会の回覧で、だれでも入手できるようにしてください。

 (2)貴県や県内自治体が管理する学校、その他の公共施設、水田や圃場周辺の通学路、
  散布個所に近い住宅地等には、農薬使用計画を表示するための立て看板を設置し、
  農薬使用者に掲示するよう指導してください。

 (3)農薬危害防止運動についてのポスターを農業関係の施設だけでなく、学校、公共施設、
  農薬販売所、鉄道駅、自治体掲示板などに、掲示してください。

 (4)除草剤も、遵守省令や住宅地通知の対象になることを、県民に周知させてください。

 (5)登録農薬と同じ成分で登録のない、市販の除草剤については、住宅地通知や遵守省令は
  適用されず、わたしたちは、農薬除草剤と同等な取り扱いを求めていますが、農水省は、
  問い合わせがあれば、助言するという姿勢です。貴県はどのようにお考えですか。
   現状のままでいい/農水省と同じく助言する/農薬除草剤と同等の指導をする/
   国に、当該除草剤を農薬と同等に取り扱うよう申し入れる/
   県の要領等を制定して、強く指導する。のいずれでしょうか。

 (6)県及び自治体が、所管する施設での植栽管理、道路管理において、業者と結ぶ契約の
  仕様書には、「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」及び通知「住宅地等に
  おける農薬使用について」の遵守を必ず明記してください。また、委託された業者の
  実施状況の実地点検もしっかり、行ってください。

作成:2019-09-30