クロルピクリンにもどる

n02004#厚労省提案のクロルピクリンの残留基準はすべて0.01ppm〜残留試験では0.005ppmを超えないのに#19-11
【関連記事】記事n00804(食品安全委員会野パブコメ)、記事n01901

 食品安全委員会のクロルピクリンの健康影響評価に関するパブコメ意見募集が2018年10月に実施され、ADI0.001mg/kg体重/日。ARfD0.5mg/kg体重が提案されました。反農薬東京グループは両評価値に反対の意見を述べましたが、委員会は同年12月に意見に対する見解と原案どおり決定した評価書を公表しています。
 これを踏まえ、厚労省は、10月07日から11月05日まで、残留基準案を提示しました。

★厚労省の残留基準についての反対意見
【関連記事】記事n01803(広島県へのクロピク被害防止の要望)
【参考サイト】厚労省:食品中の農薬等(クロルピクリン等6品目)の残留基準設定に関する御意見の募集について資料

 反農薬東京グループは、9月に広島県への要望で、同県内のクロルピクリン被害住民の訴えをもとに、早急な対策を求めましたが(記事n01803)、「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」や6月から実施された2019年度農薬危害防止運動の実施要綱による指導は、なかなか、実現されません。そんな中で、厚労省が行ったパブコメ意見募集は、コメなど70農作物のクロルピクリン残留基準を、すべて0.01ppmとするという提案でした。
 わたしたちは、パブコメ意見で、提案に反対し。以下のような意見をのべました。記事n01901の食品安全委員会の「残留農薬に関する食品健康影響評価指針」で、同委員会が、リスク管理機関である厚労省に丸投げした後の提案だけに、どのような見解が示されるか、注目しています。

【意見1】わたしたちは、食品安全委員会が提案したADI0.001mg/kg体重/日。ARfD0.5mg/kg体重に対し、
  下記のような意見を述べて、反対したが。原案通り決定された。
  同委員会の回答は。吸入暴露試験はあるが、経口投与量への換算ができないとし、評価の対象から、
  はずすとともに、食品以外からの評価は、厚労省らに伝えるとなっている。
  また、試験動物にみられる嘔吐は、刺激によるもので、ARfDに関するエンドポイントとは
  しないとも主張している。

  今回のクロルピクリンの残留基準設定にあたって、厚労省へは、経気暴露について、どのように
  情報が伝えられたか、また、厚労省は食品以外からの摂取をどのように評価したかを教えてほしい。
    −以下略−


【意見2】上述の食安委のパブコメで提案された農薬評価書においても、残留試験は  55 作物 67 品目で 
  193 件(うち社内試験 94 件)で、クロルピクリンはいずれも検出限界以下、多くは<0.005 ppm であった。
   わたしたちは、『クロルピクリンの残留はないとされているが、同剤の組成の 64.7%は塩素であり、
    処理土壌で栽培した作物に塩素成分が、どのような化合物として、どの程度残留しているかを示されたい。』
    との意見を述べたが、同委員会の回答は、『リスク管理機関から提出された作物残留試験成績では、
    塩素を含む化合物が含まれる土壌で栽培した作物へのクロルピクリン以外の化合物に関する残留について、
    記載されていませんでした。
   いただいた残留基準に係る御意見の内容については、リスク管理に関するものと考えられることから、
    厚生労働省に伝えます。』 で、あった。

   厚労省は、どのような塩素系化合物の残留データを検討したか。また、どのように評価にしたかを、
   明らかにされたい。

 [理由]EUのEFSAは、塩化物の摂取量を検討しており、『生後7-11ヶ月乳児に0.3mg/日』との記載がみられる、


【意見3】今回提案された70食品すべての残留基準について、0.01ppmとすることに反対である。
残留基準を設定せず、一律基準を0.005ppmよりも低い値にすべきである。さらに、処理によって生成する
塩化物の基準を決めるべきである。
 [理由]1.コメなど殆どの農作物の残留試験最大残留値<0.005ppmである。
  2、きゅうり、ふきのとうの残留試験はそれぞれ2事例で、最大残留値<0.01ppmであり、
ふきの葉柄は<0.05ppmである。
  3、クロルピクリンは、マウスの発がん性試験で、雌雄に肺の細気管支肺胞腺腫及び癌並びに
ハーダー腺腺腫、雌で前胃の扁平上皮乳頭腫及び癌の発生頻度増加が認められたが、腫瘍発生は
非遺伝毒性メカニズムと考えらているが、このような農薬はその摂取を出来るだけ減らすべきである。
そのためには、残留基準を低値に設定することが肝要である。


【意見4】貴省は、クロルピクリンの健康影響を評価するのに、大気汚染や水汚染をどの程度と評価しているか。
 化学物質過敏症のヒトへの健康影響をどう考えるか。わたしたちは、処理地域周辺住民の疫学調査を
もとめているが、どう考えるか。

 [理由]1、水道水の監視項目として、クロルピクリンの目標値は決められていないが、要検討農薬の
ひとつである。
  2、下記のように、水道水や井戸水に検出され、人が健康被害を受ける事例がある。
    ・94年3月、宮崎県串間市簡易水道にクロルピクリンが混入し、人の被害が明らかになった。
    ・03年3月、栃木県大田市で農薬クロルピクリンが井戸水を汚染し、人の被害が明らかになった。
    ・08年1月、秋田県潟上市で農薬クロルピクリンが井戸水を汚染し、人の被害が明らかになった。
    ・08年3月、新潟市で農薬クロルピクリンが井戸水を汚染し人の被害が明らかになった。
  3.水源に含有される恐れのあるフミン酸の塩素処理でクロルピクリンが生成する。
  4.意見5の [理由]とも関連するが、大気汚染による住民の健康被害があとをたたない。
   また、化学物質過敏症患者への影響や住民の慢性的な健康への影響についての調査も実施されていない。


【意見5】農薬を所管する農水省や環境省に対し、貴省は、クロルピクリンの使用をやめるよう働きかけるべきである。

 [理由]1、クロルピクリンは、揮発性の刺激物質で、土壌処理後被覆しても、大気中に揮散したり、
水系を汚染する。作業者は、防具をつけるよう求められているが、処理地域の住民や生活者は防具を
つけるどころか、処理時期やガス抜き時期すら周知されないこともあり。2018年にも青森県で住民の受動被曝に
よる中毒が発生し、広島県でも住民の被害の訴えがある。
  2、農薬取締法、農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令、通知「住宅地等における
農薬使用について」、「農薬危害防止運動実施要綱」などによる行政指導も遵守されず、クロルピクリン事故が絶えない。
  3、EUでは登録が削除され、カナダやオーストラリアなどでは、使用者に免許制度が採用されている

作成:2019-11-30