街の農薬汚染・住宅地通知にもどる
n02204#広島県へのクロルピクリン被害防止・住宅地通知の実施についての要望第四弾#20-01
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広島県に対して、クロルピクリン被害防止と住宅地通知の遵守及び化学物質過敏症に関する質問と要望を、いままで、4回行ってきました。また、前号の記事n02101では、農薬の受動被曝をへらすために、都道府県の条例等に農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令や住宅地通知に関する遵守事項を組み込むことを提案しました。
ここでは、広島県への昨年12月15日の第四回目の要望とその回答()の概要を紹介します。
【1,農薬販売店について】
<質問1-1>劇毒法による農業用毒劇物の販売者に関して、『農薬販売店舗 広島県内で1742店、農業用毒劇物販売者16、
「農薬取締法権限委譲市町(12市5町)を除き」とあったが。どのような条件があれば権限委譲になるのか。
〔回答〕広島県の事務を市町が処理する特例を定める条例により移譲している。
〔コメント〕当該条例の第二条の表をみると、(九の五の二)に毒物及劇物取締法関連の
事務が40項目あることがわかる。これらは、厚労省所管の保健所設置市にあたる広島市、呉市及び
福山市が業務を行うようになっている。
別に、農薬は、表(四の二)にある農薬取締法関連の事務10項目の業務が12市5町に委譲されている。
委譲された市町は県に報告を義務付けているのか。県は、業務委譲した市町から情報をきちんと
把握しているのか。農業用毒劇物販売者が県内に16しかないのかなど、確認する必要がある。
<質問1-2>権限を委譲した12市5町名は?
〔回答〕広島市,呉市,三原市,尾道市,福山市,府中市,三次市,大竹市,
東広島市,廿日市市,安芸高田市,江田島市,安芸太田町,北広島町,大崎上島町,
世羅町及び神石高原町です。
〔コメント〕委譲された市町がその権限をどう使用したかも明らかにすべきである。
何もしてないという事もあり得るのではないか。
また、条例にある農取法関連の17市町の業務は、販売者に関する事項が多く、農薬使用者への
立入検査、指導業務は、殆ど委譲されていない。たとえば、法第二十七条(農薬の使用に関する理解等)、
法第二十八条(農林水産大臣、環境大臣及び都道府県知事の援助)、法第二十九条(報告及び検査)など
について、委譲先の市町が、具体的になどのような業務をしているのかわからない。
<質問1-3>農薬販売店舗の所在地は公表していないとのことだが、その理由は何?
〔回答〕農薬取締法において,農薬販売店舗の所在地を公表する規定はないためです。
〔コメント〕農薬取締法に明確に書かれていないことは一切行わないという姿勢は
信じられない。農取法の目的に住民や生活環境を守れとあるではないか。
県民からの求めがあれば、率先して、公表すべきである。
仮に、公表してはならないとする法令条文があれば示してほしい。
<質問1-4>農薬取締法では、農薬販売店に適正に実施されているか指導をすることになってるが、
広島県の場合は、年間、何件調査に入っているか。どの部署が担当しており、その方法はどういうものか。
直近の調査結果を示せ。
〔回答〕農薬取締法に基づく立入検査の権限は,17市町には移譲されており,
県が検査する地域は,2市4町となっています。平成30年度の広島県の立入検査実績は,
販売者21件,使用者11件です。立入検査は,農林水産局農業技術課が担当し各販売者,
使用者の所在地を訪問して,帳簿,保管状況等の現地検査を実施しております。
〔コメント〕広島県には41の市町があり、県が委譲した市町は圧倒的多数の人が
住んでいる。委譲市町が適切に業務を果たしているか、その報告を県は把握していないのか。
権限委譲した市町村が適切に指導や調査を行っているかどうかを確認し、報告すべきである。
【2,クロルピクリンについて】
クロルピクリンの使用状況についての質問には、以下の回答でした。
「2017年における,クロルピクリンの使用状況について,広島県では,把握していません。」
<質問2-1>国立環境研究所のDB(Webkis-Plus)によると広島県では2017年度に7688.67kgの
出荷が確認されている。クロルピクリンは毒性が強く、事故も多く、農水省が原因農薬名を
公表している唯一の農薬である。現に、県内で被害を訴える人がいるのに、広島県は、
どの地域で、どんな作物にクロルピクリンが適用されているかを、なぜ調査しないのか、
その理由を明らかにされたい。
〔回答〕関係法令を守って民間の経済活動において流通,使用されているものであり,
行政権限によって, 使用地域・作物を調査することとなっていないためです。
〔コメント〕被害実態関係法令を守っているとどうして言えるのか。クロルピクリンの使用時に
きちんと被覆しているかすら明らかでない。
行政権限がないとの言い訳をせず、県が責任を持って調査すべき。
<質問2-2>都道府県は劇物販売業者を指導する立場にあり、立ち入り検査もでき、
適正な使用をしない購入者へ販売させないよう指導することもできる。
このような権限を有している県が、使用状況について知ろうともせず、
「広島県では把握していません」としている理由がわからない。
何故、把握しないのか。把握するのにどのような障害があるのか。
今後、把握するつもりはないのか。
〔回答〕クロルピクリンを含む農薬等の販売については,
「爆発性を有する劇物,シアン化合物等の適正な取扱いについて により,
使用場所,使用目的を聞き取り,安全な取扱いに不安もしくは使用目的に
不審な点がある場合には 交付しないこととされています。
このため,取扱いのある販売業者に対して,使用目的の確認等について徹底するよう
指導しているところです。
なお,毒物劇物の使用状況については,クロルピクリンに限らず,法律上,使用者から
都道府県への報告義務はなく、県内の使用状況を把握することは困難な状況です。
引き続き,毒物劇物の適正な取扱いが図られるよう取扱者に対する監視指導及び周知の
徹底を行ってまいります。
〔コメント〕販売ではなく、購入者が使用時に適切に法令を守っているかどうかが問題である。
クロルピクリンは使用時に被覆することが求められている。それが守られているかどうかの
確認は、薬務課の仕事ではなく農業技術課の仕事ではないのか。
一方、周辺住民から県へ通報があったり、市町村や県の調査で、被覆を守らない、事前通知を
しないなど、安全な取り扱いをしていないことが判明している。このような使用者には、
クロピク使用をやめさせ、販売者には、クロピクを売らないよう 指導すべきではないのか。
不適切な扱いをしている使用者がいても、対応が困難というのは、責任を放棄したことになる。
使用目的の確認だけではなく、安全な取り扱いをしていないことが明らかになっている
当該使用者を名指しして、販売者にクロピクを販売しないよう指導すべきである。
【3,化学物質過敏症への対応について】
前回の回答では、『尾道市の化学物質過敏症患者様への対応につきましては,尾道市の農取法担当課
に対し、耕作者への講習会開催、講習会を活用しての農薬使用事前周知の徹底、市・JAの広報誌を
活用しての注意喚起を働きかけております。また、事前周知方法につきましても、立て看板の設置や
回覧板などを提案しております。』とありました。
<質問3-1>尾道市の講習会は開催されたようだが、誰に参加を呼びかけ、何人参加したか。
〔回答〕講習会の主催者である尾道市農林水産課にお尋ねいただきたいと考えます。
〔コメント〕県農業技術課も講習会に参加しており事前準備の段階から尾道市農林水産課と
共同して準備を進めている講習会であるのに、県が回答しないのは、おかしいのではないか。
指導する立場にある県が尾道市農林水産課から聞き取りを行ってきちんと回答すべきである。
<質問3-2>尾道市のクロルピクリンの使用者2戸に事前通知を求めているとのことだが、
その方法はどういうものか。また、平成29年の尾道市農林水産課のアンケートでは尾道市の
因北小学校と因北中学校に囲まれる畑地帯の油屋新開地域だけでも4軒クロルピクリンを
使用している農家があることが判明している。クロルピクリンを使用している農家が2戸だけ
というのは、どういう方法で調査したか。
なぜ、既に判明している他の2軒に事前通知を求めないのか
〔回答〕尾道市農林水産課にお尋ねいただきたいと考えます。
〔コメント〕以前の回答では、尾道市の対応について、県が回答している。今頃になって
尾道市に聞けとは、県は指導を放棄しているのか。
この件に関して、尾道市の化学物質過敏症患者は市農林水産課に問い合わせても、返答が
貰えないということで、困って何度も県農業技術課に相談しており、同課は事情を詳細に
把握している。市農林水産課が責任を果たさず情報開示もしない以上、指導する立場にある
県が市に聞き取りを行い、質問に回答すべきである。
<質問3-3>化学物質過敏症患者はクロルピクリンのみに反応するのではなく、他の日常的に
使用されている殺虫剤や除草剤などからも被害を受ける。事前通知は当然のことだが、
できるだけ、農薬を使用しない農業を進めることが大事だ。どのような方策を考えているか。
〔回答〕農作物を生産する経済活動において,農薬使用は生産者にとっても,経済的にも,
農薬被ばくリスクからも,なるべく避けたい生産活動であると考えます。
効率的,効果的な農作物の栽培指導を実施していく必要があると考えております。
〔コメント〕効率的、効果的な農作物栽培指導というのは、クロピク使用をいうのか。具体的には
どのような方法を指導するつもりなのか明らかにすべきだ。特に土壌消毒については、
病害虫の発生がなくても慣習的に漫然とクロルピクリンなどの危険な農薬が使われている。
農薬を使用をしないように指導すること、温熱消毒や発酵消毒など健康被害の少ない
土壌消毒方法を県が主体となって指導し、もっと広めていくべきではないか。
また、住宅地近郊の除草は、除草剤ではなく草刈り機や防草シートなどで対処すべきである。、
農家は高齢者が多いので、新しい情報をネット検索でアップデートするようなことは出来ず、
古いやり方のまま不要な農薬をずっと使っているところも多いかもしれない。
希釈の計算間違いがあったり、混合してはいけない農薬を現地混合したり、残液を側溝や
排水溝に捨てたり、不適切な事をしている可能性もあるので、県や市町村は頻繁に巡回指導を
行うべきである。
【4,住宅地通知の徹底について】
何度も、住宅地通知の徹底をお願いしています。広島県で、この通知を知っている人は本当に少ないです。
まず、県内各市町にしつこいくらいに住宅地通知の内容を知らせ、通知を遵守するよう指導して下さい。
<質問4-1>街路樹、公園など行政が管轄する樹木などに殺虫剤や除草剤など農薬散布をしているケースがある。
広島県内の市町や公共団体の実態調査をしたことがあるか。
〔回答〕広島県では,道路や公園の植栽管理における薬剤の散布につきまして,
各市町や公共団体に対して実態調査を 行った実績はありません。
〔コメント〕実態調査を行うべきだ。まず、県有施設について早急に調査した上で、
不適切な使用方法があれば、市町に指導すべき。
名古屋市のように毎年調査し、公表しているところもあるのだから、広島県でもHPに載せて公表し、
市民の声を仰ぐべき。また、公園については市町村が管理を地元の自治会などに丸投げしている
ケースもあり、農薬使用実態はブラックボックスとなっている。子供たちが利用する公園や
病院、学校など公共性の強い場所について、農薬や除草剤使用状況の実態調査を行うべきである。
<質問4-2>農薬の定期的散布をしている自治体があるか。
〔回答〕定期散布をしている自治体についても,実態調査を行っていないため把握しておりません。
〔コメント〕国の指針を守らずに農薬の定期散布を行っている自治体があるかどうか
実態調査すべきである。
住宅地通知や公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアルには物理的防除を前提とすることや
惰性の定期散布はやめることが、明記されており、県みずからが、定期薬剤散布を行っている
自治体には指導を行うべきである。
<質問4-3>バラなどの農薬の多用をせざるを得ない植栽はできる限りやめて、害虫がつかない
植栽にするべきと思うが、どう考えているか。たとえば、西東京市はチャドクガがつき
やすい椿やサザンカをやめ、金木犀にした。こうした対応をどう考えるか。
〔回答〕道路の植栽については, 「道路緑化技術基準・同解説」((社)日本道路協会)に基づき,
場所や気候の特性に応じて個別に選定しております。
なお,「道路緑化技術基準・同解説」では,草花の選定の際は,病害虫に弱いなどの
欠点の少ないものを選定することとされています。
また,公園の植栽については,場所や気候の特性や,維持管理コスト等から総合的に判断して,
それぞれの施設管理者が選定しております 。
〔コメント〕まず、県が管理する施設での実態調査をすべき。
バラのような、病気に弱く頻回の散布が必要となる植物は、植えるべきでない。バラを植えている
場所を実態調査のうえ、植え替えを順次指導していくべきである。
基本的に頻回の農薬散布が行われてしまう花を植える事は植栽には不適切である。県が指導して、
代替の植物として、病害虫に強く農薬散布が不要か、物理的手法で管理可能な植物にするか、
各自治体の気候にあった植物リストを作成するなどして、県が指導すべき。
【5,広島県植栽管理業務委託共通仕様書(平成28年版)」について】
8月9日の二回目の回答で、「広島県植栽管理業務委託共通仕様書(平成28年版)」が示されました。
当該仕様書の表記などについて、以下の質問をします。
<質問5-1><仕様書>の第2節 材料に「2-3 薬剤」と書かれ「薬剤は農薬取締法に基づくもので
なければならない」とされている。農薬取締法に基づくものであれば、農薬であり、
なぜ、「薬剤」とするのか、理由を教えられたい。
〔回答〕今後,共通仕様書の改定を行う際に,参考とさせていただきます。
<質問5-2>「病害虫駆除、防除」では、(5)で「定期的に農薬を散布することはせず」とあり、
それ以降は、すべて「農薬」となっている。薬剤と農薬が同じ文書に両方書かれており、
なぜ、このような書き方になったのか、教えられたい。
〔回答〕今後,共通仕様書の改定を行う際に,参考とさせていただきます。
<質問5-3>「薬剤」を「農薬」に書き換えるべきと思うが、どう考えるか。
〔回答〕今後,共通仕様書の改定を行う際に,参考とさせていただきます。
〔コメント〕<5-1><5-2><5-3>で指摘された不備は、改定するときに、参考にするではなく、
早急にあらためるべきである。
<質問5-4>「5 病害虫駆除、防除」の記述にある(1)〜(3)は、農薬の使用に関する注意であり、
「農薬を使用しておこなう」ことを前提にしている。
住宅地通知・公園マニュアルの根幹は、「農薬を使用しない管理」であり、「学校、保育所、
公園。病院 街路樹、近隣農地、家庭菜園、森林のような所で、『周囲を気にせず農薬を
散布していませんか?』((環境省・農水省発行リーフレットp-1))として、安易な農薬散布の
自粛を求め、p-2で『農薬以外の物理的防除の優先』実施するとなっている。なぜ、国の通知と
異なることを書いたのか。
〔回答〕(1)〜(3)に関しては,薬剤を使用する際のことについて記載しておりますが,
実際には(5)に記載のとおり,樹木の状況等を踏まえ,監督員と協議し,極力せん定や捕殺を
行うように努めています。
〔コメント〕このような自治体は少数派と思われる。実態調査の上、方針にそぐわない
植栽管理をしているところは「努める」でなく、県は、「遵守義務」として指導すべきである。
少なくとも尾道市維持管理課は物理的防除は全く想定しておらず、農薬優先の管理である。
<質問5-5>県共通仕様書「5−1 液状薬剤の散布」の「(2)散布は、噴霧器等を十分圧力をかけて用い〜」
と記述されている。これは前掲リーフレットp-3の「動力噴霧器の圧力を上げ過ぎない」との
記述と明らかに相反している。なぜ、このような書き方をしたのか。
〔回答〕記載の噴霧器は手動噴霧器を想定しており,必要な圧力を確保することを意図して記載して
おります。
<質問5-6>これらは単に表記語句の問題ではなく、真に農薬散布被害から県民の健康を守る立場に立ち、
住宅地通知・公園マニュアルを遵守したものに改定する予定はあるか。
〔回答〕今後,共通仕様書の改定を行う際に,参考とさせていただきます
〔コメント〕指摘された不備は、改定するときに参考にするとはあまりにも無責任。
早急にあらためるべきである。
国の指針を遵守しない業者には、植栽管理事業を委託してはならない。
<質問5-7>この共通仕様書に違反した場合、罰則があるか。あったら教えてほしい。
罰則がない場合、どのように対処するのか。
〔回答〕作業責任者に指導を行い,違反が続くようであれば,
業務委託契約約款第35条に基づき,契約を解除する場合 もあります。
〔コメント〕尾道市では、委託業者が物理的防除を行わず農薬ありきの管理を行っているが、
契約解除されない。
<質問5-8>植栽管理には使用できない無登録の除草剤が市販されており、沖縄県では、
公園などの植栽管理に使用された例があった。貴県では、このようなことのないよう、
植栽管理業務委託者に対して、どのようなチェックをしているか。
参照:てんとう(ロゴ印)情報n008号記事n00803
〔回答〕植栽管理業者には業務着手前に作業計画書を提出させており,
作業計画書の中で使用する薬剤について、 管理を行っております。
〔コメント〕誰が作業計画書を点検するのか。それが守られているかどうかは、誰が判断するのか。
「住宅地通知」では、地方公共団体の担当者らに対し、定期的に、通知に関する研修会に
参加するよう求めているが、農薬や化学物質過敏症などの知識を含めた筆記試験を行い、
点検資格をあたえる制度を確立すべきである。
【6,その他】
<質問6-1>湯崎知事はこれらの問題についてどのように考えているか。
担当課はきちんと知事に報告をしているか。
〔回答〕報告が必要な事項について,適切に対応してまいります。
〔コメント〕「適切に対応して参ります」ということは、今まで報告してなかった
ということか。又、知事に報告するかどうかは誰が決めるのか。
今までもやり取りを全て知事に報告してほしい。
<質問6-2>県が計画している「ひろしまはなのわ2020」ではどのように
農薬削減を表現する予定か。
〔回答〕ひろしまはなのわ 2020」では,花や緑の大切さを分かち合い,より一層の豊かな
地域づくりの実現につなげていくよう,取り組んでまいります。
〔コメント〕農薬漬けの花や緑では「豊かな地域作りの実現」にならないことを十分に認識すべき
である。これでは、回答になっていない。どのように農薬削減をするのかときいているのに、
具体的な方策が示されていない。せめて街中に展示する花には展示期間中だけでも農薬を
使用しないとか、オーガニックフラワーを積極的に活用するなど行うべき。
作成:2020-01-30