3月に佐久で開催された全国有機農業大会で、毎年全国大会に顔を見せる農水省の農
業環境対策課で有機農業推進を担当している人と立ち話をする機会がありました。
「日本の農薬行政はネオニコの規制緩和もそうですけど、国際的にひどく立ち遅れてい
ますね。もっとまともな農薬規制はできないものでしょうか。」とぶつけ、「私は農薬
使用を減らすには、食品添加物同様、使用農薬を表示したらよいと思うんです。使用し
た農薬を表示することになれば、消費者はいままで知らないで買っていた作物に沢山の
農薬が使用されている事実にぎょっとして表示農薬の少ないものを選ぶ流れができます。
農家には農薬使用を減らす積極的な動機づけになり、農薬使用を止めて有機に転換する
人も増えるんじゃないかと。使用農薬の表示、できませんか?」と聞きました。
返ってきた返事は、「できません」。なぜ? と理由を問うと、「使用した物質すべて
が、検査で検出されない限り、使用表示はできないことになっています」。つまり、使
用した農薬のうち、一部が雨風で落ちたりして検出限界以下になっていたら、表示は正
しくないことになるという理屈。そうなのかあと一旦引きさがった私でしたが、待てよ、
残留表示ではなく、使用表示であり、何を使用したかという情報は検出の問題ではなく、
使用の実態、事実を明らかにすることなんだ、それは守られるべき消費者の選択の権利、
知る権利じゃないかと思いました。
特別栽培農産物と言う制度があります。その農産物が生産された地域の慣行レベルに
比べて、節減対象農薬の使用回数が50%以下、化学肥料の窒素成分量が50%以下、で栽
培された農産物と定義され、「特別栽培農産物」表示とともに、殺虫剤○回、殺菌剤○
回、除草剤○回、土壌消毒剤○回、種子消毒○回といった具合に表示されます。
私は以前、「特別栽培農産物」表示の生姜を手にしたとき、半分に減らした農薬の使
用回数が殺菌剤で十数回と記載されていて、だとすると普通の生姜はこの倍使用されて
いるのか!と愕然としたのでした。
国産、輸入どちらも使用した農薬はすべて表示されるべきだ! と、みなさま、思い
ませんか?
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