クロルピクリンにもどる
      クロルピクリン資料:毒ガス兵器そのものが農薬として使用されている。被害は周辺住民に多い

n02801#農水省がクロルピクリンの使用状況や指導状況を調査した〜被覆なしや不十分な個所もあるがどこか不明#20-07
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【参考サイト】農水省:クロルピクリン剤等の土壌くん蒸剤の適正使用について(2006/11/30、18消安第8846号)
          「被覆を要する土壌くん蒸剤の適正な取り扱いの徹底について」(2020/3/11、元消安第5645号)
          被覆を要する土壌くん蒸剤の使用実態等に基づく適正な取扱いの徹底について(2020/07/15のニュースリリース)
          被覆を要する土壌くん蒸剤の使用実態等に基づく適正な取扱いの徹底について(2020/07/15、2消安第1758号)

 反農薬東京グループは、土壌くん蒸用の農薬クロルピクリンの規制を求めて、運動してきました。同剤は、刺激性が強く、第一次世界大戦では毒ガス兵器として使用され、日本でも化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律(化学兵器禁止法)で第二種指定物質とされ、その製造が管理されています。さらに、毒劇法では、劇物指定され、購入・譲渡・保管・廃棄等に規制がかけられているものの、農薬として使用する場合は、申請・承認なしで、自由に使用できます。使用者や周辺住民の健康被害がたえないため、多くの国で使用禁止や免許制度が取り入れられているのに、日本では未だに代替剤がないとして、根菜類、野菜類、花卉、たばこなど多くの作物の植え付け前の圃場で、病害虫の予防対策として土壌に処理されているのが現状です。
 農薬取締法の遵守省令(2003年農林水産省・環境省令第5号。最終改正2020年4月1日)で「被覆を要する農薬」に指定され、第8条で、使用後、直ちに被覆材をかけなければならないことになっていますが、現在、複合剤を含め17製剤が登録され、その原体生産+輸入量は2018年で5500トンで、殺虫剤の中で一番多く使用されているという実態があります。クロルピクリンは、戦後間もなく国内で生産された合成化学農薬の第一号ですが、いまなお、用途開発が行われ、2016年4月にも、ミニトマトでのコナジラミ類の蔓延防止を目的に、16製剤の事項変更登録による使用拡大がはかられています。
 農水省の農薬事故報告書で、原因農薬として唯一名前を明らかにしている農薬でもあり、使用者よりも周辺住民に深刻な被害が目立ちます(2018年のヒトの被害は4件14人)。こうした中で、私たちの禁止を求める要望に触発されたのか、ようやく農水省は重い腰を上げて、とりあえず、調査に乗り出しました。

★農水省が3月11日に発出したクロピク実態調査の通知は
 2020年3月11日、農水省は消費安全局長名で地方農政局長などに宛て「被覆を要する土壌くん蒸剤の適正な取り扱いの徹底について」(元消安第5645号)という通知文書を出し、局管下都道府県に対し、
 ・施用直後に被覆を完全に行うこと/(施設栽培では)臭気が残っている期間は施設内に人が
  立ち入らないようにすること
 ・住宅地等に近接する場所においては、 クロルピクリン剤の使用以外の防除方法を検討すること
 ・適正な材質及び厚さの資材を用いて被覆を完全に行うなど最大限注意するとともに、
    事前に周辺住民に対して十分な時間的余裕をもって幅広く周知すること
 など指導強化を求めると同時に「別紙様式により調査を行うこととするので、管下の各地域の実態を総点検して、結果を基に改めて指導を徹底するとともに、調査結果の報告を依頼するようお願いする」として、使用実態等に関する調査実施要領を示しました。
 その内容は 下記のように2分野わけられ、それぞれ、調査すべき事項が事例とともに記載されていました。
 @都道府県における使用実態及び指導状況について(様式1)        A都道府県における使用・指導に係る課題について(様式2)
  ・使用実態 (注1)                                                        ・現状
     農家戸数/主な作物名/クロルピクリン剤の主な使用時期                都道府県として現在行っている指導の内容
  ・被覆の実施・指導状況 (注2)                                             ・課題
     被覆の実施状況(完全実施。一部実施。あまり実施していない、          適正な取扱いの指導を進めるに 当たっての課題/課題の背景
                      殆ど実施していないの4択)/    ・今後の取組
     実施していない場合の主な理由/                                      今後の指導・取扱いの改善に向けた取組方針/国への意見・要望
     被覆の実施が 不十分である場合の改善指導                           ・その他特記事項
  ・周辺環境
     住宅地等に隣接しているほ場の有無(有り、一部有り、無しの3択)/  本様式は各地域の単位農協や部会の防除暦、主要な法人の栽培体系等
     有り、一部有りの場合に現在行っている指導の内容/          各都道府県が把握し得る営農に関する情報に基づき、
     今後の指導の改善に向けた取組方針                  クロルピクリン剤の使用が見込まれる地域ごとに記載してください
  ・その他特記事項                              (1つの地域に複数の主な作物がある場合は分けても可)
 さらに、「使用実態(注1)」について、農家戸数は、クロルピクリン剤の使用の有無を問わず、当該産地の農家戸数を記載した上で、当該産地の使用農家戸数やクロルピクリン剤取扱量の概数が分かる場合は、併記してください。主な作物名は、施設栽培の場合は、作物名の後に「(施設)」 と記載してください。「被覆の実施・指導状況(注2)」について、被覆の実施状況は、 「完全に実施(10割)」「一部で実施していない(8〜9割が実施)」 「あまり実施していない(4〜7割が実施)」及び「ほとんど実施していない(3割以下が実施)」 とし、 「完全に実施」以外の場合には、 所定の各欄に当該地域で被覆を実施していない主な理由及び当該地域で行う改善指導の内容(手法、規模、頻度等)を記載してください。不明な部分がある場合には、 理由を含む詳細な事情を記載してください。』との記入要領もついています。
 これだけ、詳しい調査をするなら、地域ごとクロピクの使用状況が明白になり、使用規制につながるだろうと期待が高まりましたが、最後に「共通事項」とあった下記の追記が気になりました。
  『様式1及び様式2は、個人、法人、産地及び都道府県の特定につながる情報を除き、
   各都道府県の指導の強化に活用いただくため、 農林水産省で整理した情報を各都道府県
   担当者に共有します。なお、個人、法人、産地及び都道府県の特定につながる情報は
   不開示情報とし、調査の個票を含め、公表しません。
★農水省の新通知〜クロピクは被覆に注意して使えばいいのか
 農水省は、7月15日、被覆を要する土壌くん蒸剤の使用実態等に基づく適正な取扱いの徹底についてなるニュースリリースを公表しました。被覆対策の基本を示す資料「クロルピクリンは被覆が必要です!とともに、各地方農政局消費・安全部長ほか宛ての通知被覆を要する土壌くん蒸剤の使用実態等に基づく適正な取扱いの徹底について(2消安第1758号)がリンクされていました。
 この通知では、『ほとんどの産地でクロルピクリン剤の使用時の被覆は完全に実施されているが、一部の産地(住宅地等に隣接しているほ場がある産地を含む。)においては、一部の農家で被覆が実施されていないことがあった。また、各都道府県からは、被覆の徹底や住宅地等周辺での被害防止対策について、地域において様々な取組が行われていることも報告された。』と総括した上、下記2項の指導内容が示されました、
  1 住宅地等周辺でのクロルピクリン剤の使用時には、周辺住民に被害が生じないようにするため、
   特に被覆の実施を改めて徹底するとともに、周辺住民への説明や事前周知等、被害防止対策を
   行うよう指導すること。
  2 住宅地等周辺に限らず、クロルピクリン剤を使用する全ての産地に対して、クロルピクリン剤の
   使用時には被覆が必要であることを改めて周知徹底すること。
 さらに、わたしたちが、最も知りたい3月の調査結果まとめが、別紙使用実態等に関する調査結果概要(以下、調査結果概要という)として添付されていました。

★多岐にわたるクロピク被曝防止対策が指摘されたが、使用削減の方向性はみえない
 調査結果概要は上述の調査事項@とAに沿って、地方局からの多く情報がまとめられています。その中から、現在のクロピク対策で不十分だとの指摘を中心にピックアップしてみました(文中に*をつけた)。

@ 土壌くん蒸剤(クロルピクリン剤)の各都道府県における使用実態及び指導状況について(様式1)

〔調査結果全体の概要〕     *回答のあった産地の約 92%において、クロルピクリン剤の使用時の被覆は完全に実施されているが、      一部の産地においては、一部の農家で、近くに住宅がない、栽培面積が広い、コストがかかる等の      理由により、被覆が実施されていないことがあった     *クロルピクリンを使用している産地のうち、住宅地等に隣接しているほ場が有る又は一部有ると      回答した産地は、約 50%であった。なお、一部の農家で被覆が実施されていない産地で、かつ、      住宅地等に隣接しているほ場が有る又は一部有ると回答した産地は、全体の約3%であった。 〔根菜類〕    (1)被覆の実施・指導状況     *報告のあった 75 産地のうち、60 産地で、被覆が完全に実施されていた。     *周辺に作物や住宅がないため、被覆が不要であると認識している。     *作付面積が広い等の理由で、被覆に労力やコスト、時間をかけられない。     *被覆していない農家が特定できる場合は、直接指導     *薬剤を販売する際に啓発、指導    (2)周辺環境     *住宅地等に隣接しているほ場の有無の回答は、有り:4産地/一部有り:49 産地/無し:22 産地     *一部の農家で被覆が実施されていない産地で、かつ、住宅地等に隣接しているほ場が有る      又は一部有ると回答した産地は 10 産地あった。     *高温が予想される場合は、クロルピクリン剤の使用農家にFAX等で注意喚起     *薬剤を販売する際に啓発、指導     *周辺住民への説明や事前周知、被覆の徹底、厚さ 0.03 mm 以上又は難透過性の被覆資材の使用、      近隣に揮散しないよう丁寧な被覆、マルチ同時施用機の使用、適度な土壌水分、地温に応じた      被覆期間の確保、住宅地等が風下となる時間帯を回避、ガス抜き確認の徹底     *代替剤の使用、作付け品目の検討、緑肥や野菜などとの輪作、代替農薬実証試験ほ場の設置     *<そのたの取組> ガス検知管によるガス濃度の測定 〔その他の野菜〕    (1)被覆の実施・指導状況     *ハウスで密閉されるため、被覆が不要であると認識している。     * 住宅地から離れていること等を理由に、被覆は不要と考える農家がいる。     *土壌鎮圧や、潅水、降雨による水封を実施することで十分と考える農家がいる。     *被覆資材が近隣へ飛び、迷惑をかけることを懸念し、被覆をしない農家がいる。     *個別農家に対する適正使用指導     *薬剤を販売する際に啓発、指導    (2)周辺環境     *住宅地等に隣接しているほ場の有無の回答は、有り:20産地/一部有り:88 産地/無し:130 産地     *一部の農家で被覆が実施されていない産地で、かつ、住宅地等に隣接しているほ場が有る      又は一部有ると回答した産地は4産地あった。    (2)周辺環境     *薬剤を販売する際に啓発、指導     *周辺住民への説明や事前周知、被覆の徹底、厚さ 0.03 mm 以上又は難透過性の被覆資材の使用、      近隣に揮散しないよう丁寧な被覆、マルチ同時施用機の使用、適度な土壌水分、ハウスの完全密閉、      使用中の表示、住宅地等が風下となる時間帯を回避、ガス抜き確認の徹底、病害発生時のみ使用     *隣接する生産農家等に事前周知     *代替剤の使用、熱水土壌消毒、太陽熱消毒、土壌還元消毒等の代替技術の導入、      作付け品目の検討等により、住宅地等が隣接しているほ場や市街化区域では使用しない 〔花き類・観葉植物〕    (1)被覆の実施・指導状況     *報告のあった 71 産地のうち、70 産地で、被覆が完全に実施されていた。       (1産地については不明)    (2)周辺環境     *住宅地等に隣接しているほ場の有無の回答は、有り:4産地/一部有り:22 産地/無し:45 産地     *一部の農家で被覆が実施されていない産地で、かつ、住宅地等に隣接しているほ場が有る      又は一部有ると回答した産地はなかった。     *周辺住民への説明や事前周知、被覆の徹底、厚さ 0.03 mm 以上又は難透過性の被覆資材の使用、      ハウスの完全密閉、使用中の表示、被覆資材を除去する時の風向きを注意、防除効果や      人への安全面など被覆の重要性を周知     *代替剤の使用、熱水土壌消毒、土壌還元消毒等の代替技術の導入 〔たばこ〕    (1)被覆の実施・指導状況     *報告のあった 17 産地のうち、16 産地で、被覆が完全に実施されていた、または、      被覆の実施が必須ではない深層土壌くん蒸処理を行っていた。     *周辺に宅地がない畑作地帯で拡散の恐れが少ないと思われるほ場では危険性の意識が低い。     *被覆コストや労力がかかる。    (2)周辺環境     *住宅地等に隣接しているほ場の有無の回答は、 有り:0産地/一部有り:9産地/無し:8産地     *一部の農家で被覆が実施されていない産地(被覆の実施が必須ではない深層土壌くん蒸処理を      行っている産地を除く)で、かつ、住宅地等に隣接しているほ場が有る又は一部有ると      回答した産地は1産地あった。     *代替材の使用等により、住宅地が隣接しているほ場では使用しない

A土壌くん蒸剤(クロルピクリン剤)の各都道府県における使用・指導に係る課題について(様式2)

〔現在の指導内容〕 ○被覆の徹底に向けた指導 ○住宅地等の周辺での使用に関する指導 ○その他     *風向きに注意すること、適正な材質・厚さの被覆資材を用いて被覆を行うこと、      土壌くん蒸中である旨の立て看板を設置すること等を指導。また、施用後のハウス密閉及び      ガス漏れ対策を現場で指導。     *農薬販売者や農薬管理指導士、農薬適正使用アドバイザーに対する講習会を実施し、      販売者等を通じて農業者へ指導。     *メーカーが説明会や実地講習会を開催。     *住宅密集地や住宅に隣接するほ場では使用しないことを指導。     *住宅地周辺(人家及び畜舎が 100 m 以上離れていない場所)において他剤の使用、      熱水土壌消毒、土壌還元消毒等の代替技術の導入を促進するよう指導。     *問合せがあった場合は、住宅隣接の農地では使用自粛の協力を依頼。     *土壌消毒剤にできるだけ頼らない栽培技術の導入。     *代替剤の実証ほ場を設置し、農家へ推進を図る。 〔課題〕○被覆の徹底 ○住宅地等の周辺での使用 ○その他     *被覆不要のたばこ深層土壌くん蒸処理があるため、鎮圧すれば被覆しなくてもよいと誤認。     *大規模産地において被覆作業が間に合わない、強風で被覆作業が難しい。     *被覆が必須であることが分かりにくく、使用者が理解していない。     *注意して使用すれば大丈夫との過信があり、使用者の危険意識が希薄。     *講習会への参加が徹底しないこと、農薬の購入ルートや農産物の出荷先により啓発・指導の機会が      少ない場合があることから、指導内容が行き届きにくい農業者がいる。     *コストの観点から被覆資材の導入が難しい場合がある。     *被覆が努力義務に留まっているため、指導が進まない。     *厚さ 0.03 mm 以上や難透過性の被覆資材は、高価で重量もあり、作業性が悪い。      また、これら被覆資材の揮散防止効果等に係る具体的な根拠がない。     *農地が住宅等から離れていることを理由に被覆を行わない。     *使用ほ場が住宅地内に点在しており、ほ場周辺の住民から苦情が多い。     *ほ場周辺に新たに住宅が建設される事例があり、周辺住民への説明が難しい。     *使用時に被覆しても風向きにより臭気が住宅に流れ、苦情が出る場合がある。     *県の指導で住宅近接地での使用を避けているが、具体的にどのぐらい間隔を空ければ良いかの      基準を設けることが困難であり、指導が難しい。     *代替剤がないか、少ない。 〔都道府県が検討している今後の取組〕○被覆の徹底に向けた指導 ○住宅地等の周辺での使用に関する指導 ○その他     *使用の多い地域において地域別に関係機関・団体を参集した会議を開催し、      情報共有、意識統一を図る。     *今後使用が増えると見込まれる品目で積極的に講習会等を実施。     *有望な代替技術の現地試験の実施や土壌還元消毒への転換指導など、      土壌消毒剤にできるだけ頼らない栽培技術の導入を検討。     *代替剤の実証ほ場を設置。代替剤への変更を農家へ指導。     *薬剤使用と栽培期間との間隔を空けるための栽培ローテーションの検討 〔国への意見・要望〕○被覆の徹底 ○住宅地等の周辺での使用 ○その他     *販売店を通じた周知やインターネット、広報誌の活用により、系統外出荷者に講習会等への参加を促進。     *農家の出荷先の青果市場や直売所、産直市、農業機械販売店等を活用し、系統外出荷者にも指導を強化。     *流通・販売状況を入手し、それらに応じた指導を実施。     *メーカーが講習会を開催。販売者等を通じても農業者へ指導。     *使用の多い地域において地域別に関係機関・団体を参集した会議を開催し、情報共有、意識統一を図る。     *周辺住民への説明や事前周知をするよう指導。     *住宅近くのほ場では、できるだけ太陽熱消毒等を実施するよう指導。     *問合せがあった場合は、住宅隣接の農地では使用自粛の協力を依頼。      *有望な代替技術の現地試験の実施や土壌還元消毒への転換指導など、土壌消毒剤に      できるだけ頼らない栽培技術の導入を検討。     *代替剤の実証ほ場を設置。代替剤への変更を農家へ指導。     *薬剤使用と栽培期間との間隔を空けるための栽培ローテーションの検討。

B調査結果を踏まえた今後の対応

 (1)住宅地等の周辺でのクロルピクリン剤使用時の被害防止対策    (1−1)クロルピクリン剤使用時の周辺住民への説明や事前周知の徹底    (1−2)住宅地等の周辺でのクロルピクリン剤使用時の被覆の徹底    (1−3)住宅地等の周辺でのクロルピクリン剤使用による被害の防止対策     *周辺住民への影響が生じないよう個別に指導する。     *代替手法がある場合には、地域の病害虫の状況を踏まえ、その利用が可能か検討する。  (2)クロルピクリン剤使用時の被覆の再徹底    (2−1)生産者の意識向上のための指導強化     *使用農家、特に、被覆等の適切な対策が採れていない農家に対して改めて指導を徹底する。     *全てのクロルピクリン剤使用農家に対して、分かりやすく意識の向上に役立つ啓発資料      (例えば、注意事項をチェックシート式に記載したチラシ)を作成し、販売店経由をはじめ      多様なルートで配布する。     *クロルピクリン剤を適正に使用している地域の優良事例を共有する。     *使用農家への指導等に際しては、産地の状況を把握している生産者団体等と連携を図る。    (2−2)販売店を活用した指導及び製造者による指導の強化     *薬剤の販売時の農家への指導や啓発資料等を通じた指導を行う。      また、販売店での情報提供を通じて、クロルピクリン剤使用農家の講習会や研修への参加を促進する。     *製造者及び製造者団体による被覆の必要性の周知徹底及び講習会や現場巡回等による指導を強化する。
★使用者目線の調査では、住民被害はおさまらない
 いくつか該当する産地などの件数があがっていますか、調査は、使用者側の目線でなされ、クロピクの受動被曝で、健康被害をうける周辺住民の姿はイメージできません。その上、農水省の「不開示方針」のため、どこの産地で、どのように調査したかは、一切不明なため、それぞれの産地で、どのようにして、クロピクの使用削減につなげようとするのかのその方向性がみられません。ともかく。クロピク代替よりも、注意して使いましょうといういままでの域を出ないこの調査結果に対し、今後は、その疑問点を糾し、クロピク削減・禁止をもとめる声を農水省に突きつけねばなりません。とりあえず、農水省報告についての疑問や要望につなげるべく、コメントを示しておきます。
 【調査結果について】
   ・調査の回答は47都道府県全てからあったのか。
   ・産地の定義は何か。基準は生産量か。面積か。どういう条件だと「産地」になるのか具体的に
    教えてほしい。
   ・「根菜類」「その他の野菜」などという言い方ではなく、「ナガイモ」「ニンジン」などのように
    作物名で公表されたい。
   ・調査について「個人、法人、産地および都道府県の特定につながる情報を除き」公表すると
    あったが、何故、そういう情報を公開しないか。
    最低、都道府県くらいは公表すべきだと思う。
   ・一番多くクロルピクリンを使用している県はどこで、どういう作物にどのくらい使用されているか
    使用量と面積を教えてほしい。
   ・被覆をしない理由として回答のまとめでは、鎮圧すれば被覆しなくてもいいと誤認。
    被害防止対策等の理解不足。大規模産地で、被覆作業が間に合わない。強風で難しい。
    使用者が理解していない。使用者の危険意識が希薄。指導内容が届きにくい農業者がいる。
    新規使用希望者は情報の入手が難しい。コスト。被覆資材や方法の変更が容易でない。
    被覆が努力義務にとどまっているため指導がすすまない。代替資材は高価で作業能率も悪い。
     被覆資材の揮散防止効果に具体的な根拠がない。とあるが、それぞれ、どこの、何の産地か。
   ・いままでのクロピクによるヒトや作物、環境生物の被害実態をまとめて、報告すべきではないか。

 【削減の要望について】
  ・クロルピクリンは禁止されたい。被覆の必要性ばかりを力説してもあまり意味はない。
  ・クロルピクリン毒性や被害者の声を使用者や行政にきっちり知らせるべきある。
  ・既に多くの国で使用が禁止されており、農水省も代替方法を勧めているではないか。
  ・直ちに禁止出来ない場合は、禁止するまでの間、以下の対策を実施することを求める。
   1、住宅地周辺でのクロルピクリンの使用禁止、代替法の義務付
   2、クロルピクリン使用ほ場周辺住民の健康調査
   3、10a以上のほ場でクロルピクリン処理を実施している地区での環境調査
   4、現在努力規定である被覆を義務規定にする
   5、使用者に免許制度
   6、残液や廃容器の回収、処理システム構築。
   7、クロルピクリンなど劇物農薬は、使用免許制度の導入、
   8、使用者に、使用計画を出させ、周辺への通知を義務づける。
   9、クロピクを使用しない代替法優良事例の紹介

作成:2020-07-31