街の農薬汚染・住宅地通知にもどる 通知「住宅地等における農薬使用について」
n03002#住宅地での農薬散布問題〜沖縄と岐阜からの続報#20-09
前号記事に続いて、住宅地通知に関する各地からの投稿を紹介します。
★沖縄県の場合公民館の言い分
【関連記事】記事n02404
先に、沖縄県の除草剤散布に反対する住民の会からの『自治体による除草剤の使用禁止の要望書』を紹介しましたが、同県本部町での除草剤散布の実態について、投稿をいただきました。
【町道の事例】これは、2019年12月、20年2月と7月についてですが、住宅街、老人ホーム、養護学校からスーパーなど生活圏にアクセスするための重要な町道で、3回にわたり約200mほどに除草剤散布されました。3回とも告知看板はなく、昨年12月の散布時には、グリホエースのボトルがススキにぶら下がっていました。その後の経緯は以下のようです。
・3月に町役場に聞いてみたが、役場はやっていない。町道は住民の皆様で管理してもらっているので、
公民館に行ってみては?と言われる。
・公民館に行ったが、当該区では散布はしていない。恐らく町道沿いの住人だと思うと言われた。
職員に農薬の危険性など熱心に聞いもらい、沖縄県の「除草剤安全使用マニュアル」を守って欲しいと伝えた。
・4月「除草剤散布中」という看板が立てられていた。現在も看板があるので、いつ撒いても良いように
設置したのか。
・7月 3回目の散布。
・8月再度、町役場に確認をしたところ、散布はしていない。
建設課に「町道なのだから役場の管理責任はないのか?」と聞いたが、除草剤散布は今まで、他の町道などで
ずっとやってきていて、事故も苦情もなかった。責任をとる部署がわからない。
公民館の総会で問題提起してみては?と言われた。
・いままでの経験から、地元の人たちにに農薬の話をしてもまず聞いてもらえないことはほぼ確定で、
このことは、町役場もよくわかっているはず。
公民館はハードルが高いので、以前、高圧散布の件でアドバイスをもらった県の相談窓口 沖縄県農林水産部営農支援課に除草剤散布について苦情の電話して、立ち入り検査と講習会参加を要求してみたそうですか、対応はとても丁寧で、「町役場と現場視察をして苦情の件を伝えます、進捗があったら連絡します。」とのこと。しかし、1か月待っても連絡がないので、尋ねたところ、コロナの影響でまだ現場には行っていないとの返事があり、本部町役場に電話はしてくれたようです。
「住宅地通知」に該当するはずだと説明すると「その通りです」と言います。丁寧なのですがノラリクラリと歯切れの悪い対応でした。
営農支援課の職員に、除草剤散布の規制を厳しくしてほしいbとリクエストしておきましたが、とても無力な気分です。
【県道の事例】これは、県北部の県道の住宅地通知違反についてで、2020年7月と8月、どちらの件も散布前に違反看板に気づくことができ、散布中止にすることができました。
<7月の県道244号線>歩道部分の除草剤散布予定の看板は、使用農薬不明で、
「広く周知」されるべき散布範囲も不明。
県の道路管理では、除草剤安全使用マニュアルを遵守することになっているので、
散布前の高刈りや枯死した植物の刈り払いはできるのか。
それでコスト削減になるのか。北部土木事務所と受注業者の連携がとれているのか。
受注業者と「住宅地通知」と「除草剤安全使用マニュアル」をしっかり
読みあわせて確認して欲しいと伝えたら、翌日に看板は撤去され散布はなくなった。
<8月の県道115号線>歩道部分除草剤散布予定の看板は、前回と同じであったので、
再び北部土木事務所に同じことを指摘した。2,3日後に看板は撤去されたが、
前回の指摘にもかかわらず、バレなければいつでも撒いてやろうという姿勢は、
とても不誠実である。
ちなみに、看板にある 作業実施者豊饒会は社会福祉法人で、北部土木事務所としては
障がい者福祉のひとつで除草の仕事を優先的に回しているとのこと。
また、「住宅地通知」には、「定期的に農薬を散布することをやめ ー中略ー、
機械除草等の物理的防除により対応するよう最大限努めること。」とあるものの、
年1回の草刈り、2回の除草剤散布を定期的に行うことにしている。
投稿文書の終わりは、以下のように締めくくられていました。
『これらの県道管理について、農林水産部営農支援課に聞いたところ、「土木事務所も
予算がないので」と言われましたが、コスト削減のために違反前提で入札させるのは
やめてほしいと伝えました。北部土木事務所といい農林水産部営農支援課といい、
全く期待ができない沖縄県です。
今後また同じようなことをする可能性はかなり高いので、気を付けていきたいと思います。
ps 除草剤について少しでも多くの方に考えていただきたく
「除草剤ご遠慮ください」というブログを立ち上げました( 2020/09/28投稿参照)、
お暇ございましたら覗いてみてください。至らぬことばかりのブログですので、
ご指摘ございましたら是非ひとつ教育してやってください。』
★岐阜県百年公園では、除草剤散布
岐阜県では「県有施設における病害虫等防除に関する基本方針について」に、『県有施設が率先して病害虫等防除時に、できる限り薬剤を使用しない方法を推進することにより、環境への負荷の低減を図り、人の健康と安全を確保する』と書かれていますが、
実態はそうでもないようです。
岐阜県関市にある、岐阜県百年公園は、『家族でピクニックに行きたくなる緑と憩いの場』として宣伝している敷地面積100haの公園ですが、『四季折々に咲く花木が、訪れる人々の目を楽しませてくれます。』とのキャッチフレーズとは裏腹に、子どもの遊具に隣接する芝生広場に除草剤が撒布されたとの報告が「子どもの環境を考える会」から届きました。撒布翌日には、隣接する遊具で親子連れが多数遊んでいたとのことです。
以下、投稿内容です。
健康保持のため、園内を散歩していて、ロープに下がった「農薬散布中」の表示に気づき、
撒布日時、使用薬剤名の表示がなかったので県の都市公園課に、指定監理者(民間業者)に
対する指導を求めました。農水省・環境省の通知「住宅地等における農薬使用について」と
「岐阜県版リーフレット」を踏まえて指導をして欲しい・・・と。
ところが、都市公園課の担当者は、指定管理者の言を鵜呑みにして、公園での除草剤散布に
何の疑問もなさそうです。通知は承知していると言いつつも、「住宅地通知」の主旨が
きちんと認識されておらず、「自然と県民を守る」より「業者の便宜」に加担する高圧的な
態度で、困ったものだと感じました。
その後、芝に面した道の立て看板に、『使用薬:除草剤MCPP液剤*1とアージラン液剤*2、
撒布日:9月4日』と、掲示がありました。また、今後の散布は見直すよう求めたので、
以後の散布はないものと思っていましたが、9月15日に現場に行きましたら、更に広範囲な
芝生全面にロープが張られ、『9月23日除草剤散布の予定』と公告されており、15日も、
芝公園の傍を流れる小川の上流である山中の支流沿いには、イトトンボの生息が多数
確認されましたが、芝公園付近の道沿い(小川沿い)に出ると、トンボはぱったり
姿を消していました。
芝公園の北隣接地では、子どもの遊具設置の工事をしています。門扉あたりでは、
幼い子どもを連れた若い親子連れが、虫取りたもを持ってうろうろしていましたが、
彼らの姿を痛ましく思いました。
人の健康と安全、そして自然の生態系を損なわない里山を生かした自然公園の管理で
ありたいのですが、指定管理者には、その理念が認識されていないようで、残念です。
県議を通して、散布をやめるよう岐阜県に求めています。
【事務局からの注】:
注1:商品名アージラン液剤:有効成分アシュラム37.0%
★メーカーによるチラシ、製品安全データシート
★反農薬東京グループの毒性解説:アシュラム
注2:商品名MCPP液剤(有効成分メコプロップ=MCPPプロピオン酸カリウム塩50.0%)
★メーカーによるチラシ、製品安全データシート
★反農薬東京グループの毒性解説: MCPP(メコプロップ)
なお、以下は、ネオニコチノイド中心ですが、農薬によるトンボへの影響に関する
てんとう虫情報記事や研究報告をリンクしておきますので、参考にしてください。
**** トンボへの影響 ***
【関連記事】記事t28802、記事t28905、記事t30003、記事t30103、記事t30204、記事t30403、
t31102.htm、記事t31202、記事n00805、記事n02605
★近畿大學
除草剤がイトトンボ幼虫の個体数を減少させることを実証
.〜農薬リスクを高精度に予測し、より良い使用法が選択可能に(2019年7月)
★環境省
実験水田を用いた農薬の生物多様性への影響評価〜浸透移行性殺虫剤がもたらすトンボへの影響(2016年3月)
我が国における農薬がトンボ類及び野生ハナバチ類に与える影響について(2017年11月)
★国立環境研究所
農薬によるトンボ類生態影響実態の科学的解明および対策(2018年)
農薬によるトンボ類生態影響実態の科学的解明および対策
★アクト・ビヨンド・トラスト
日本トンボ学会主催シンポジウム「沈黙の春再来! 深刻化するネオニコチノイド系農薬の環境影響」
〜トンボやゲンゴロウの減少に「とどめを刺す」ネオニコチノイド汚染
作成:2020-09-30