街の農薬汚染・住宅地通知にもどる        通知「住宅地等における農薬使用について」(略称:住宅地通知)

n03802#東広島市:住宅地での農薬散布について〜道路に除草剤を散布#21-05
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 住宅地での農薬散布について、昨年本誌でとりあげた広島県でのその後の経緯に関して、東広島市の在住の方から。『今年2021年5月24日現在、高美が丘及び周辺での農薬散布予告チラシは見ていません。この状態が続くことを願うばかりです。』として、投稿をいただきました。以下に紹介します。
 なお、JA尾道市に出した要望と質問への回答を記事n03702に追加しました。

★昨年度(2020年)の農薬散布状況 −光家周二

 私が住んでいる広島県東広島市高見が丘(団地:住民約6800人)の街路樹では、8月に予定されていた害虫発生予防のためのスミチオン乳剤(有機リン系殺虫剤=神経系阻害剤)散布が「予防散布はしてはいけない(農水省・環境省通知)」ことになっている旨を指摘し、「今回は中止する」ということになりました。
 しかし除草剤は、私がチラシで確認しているだけで4月、5月、7月、9月、12月と5回散布されました。昨年度は上記以外の殺虫剤散布予告のチラシは確認していませんが、全く無通知の「夜間散布」をしているかも知れません。過去に複数の住民が目撃しています。
 上記、12月の散布は14日〜16日間で、散布区域は西高屋駅(JR)前の広島銀行支店前から高美が丘入口前を通って、北西に国道375号線に至る県道194号線沿いの歩道です。私は12月12日(土)散布予定区域を歩いて回りました。全体的には歩道沿いの川の斜面が草刈りをされていない所は雑草が歩道側にはみ出して繁茂している。時期は12月半ばです。歩道の雑草は90パーセント以上がすでに枯れています。
 東広島市の担当者に電話で、「農水省・環境省が『農薬以外の物理的防除を優先して行おう』と言っており、除草剤散布はやめて機械除草(刈り払い機使用)をするよう」に要請しました。担当者は「除草剤を散布して雑草の根まで枯らす必要がある」と言う返事でした。
 しかしグリホサート剤(商品名:サンフーロン等)はその成分を葉と茎から吸収して根まで枯らす農薬です。雑草の根が生きていたとしても、地上部が枯れていれば除草剤の成分を吸収できない。グリホサート剤は根から吸収されません。従って根は枯れません。 散布予定日から約1週間後に散布区域を見て回りましたが、除草剤を散布したのか、しなかったのか、判然としませんでした。
 物理的防除=機械除草をしていないことは確かでした。いつの除草剤散布でも市担当者・散布受託業者は除草剤散布を「沿道景観向上」のためと主張します。しかし除草剤散布した歩道を見れば分かるように、雑草を「枯らす」だけです。「沿道景観向上」などしません。本当に「沿道景観向上」をさせるのであれば、「物理的除草」をするほかありません。

    ー 報告されている農薬等の健康への影響 ー
 なぜ地方自治体は市民の健康にとって、全く悪いことだけの農薬散布を公共の場所で強行するのか理解できません。
 下記のような報告があり、農薬(化学合成物質)の毒性が人の健康に及ぼす危害は私たちの生活環境のなかに広く、深く及んでいます。無関心は危険です!

  *46人の科学者・医療関係者が参加した「平成16年(2004年)度厚生労働科学研究補助金     健康科学総合研究事業」における「微量化学物質によるシックハウス症候群の病態解明、 診断、治療対策に関する研究」、主任研究者 石川哲 北里大学教授の「〜国民、とくに    脳機能の発達段階にある幼児、子供、思春期男女の将来を考えると化学物質、とくに有機リン    及びカルバメート系農薬、殺虫剤などは、使用をやめる方向での検討が緊急に必要である」との報告。   *2012年11月 米国の小児科学を代表する米国小児科学会の政策声明では    「脳の発達障害や脳腫瘍など、農薬による子どもの健康被害」の警告を公表しています。    2015年 国際産婦人科連合が「農薬、大気汚染、環境ホルモンなど有害な環境化学物質の     暴露が流産、死産、胎児の発達異常、がんや自閉症などの発達障害を増加させている」     との公式見解を出しています。   * 農地単位面積当たりの農薬使用量は韓国と日本がほぼ同じで1位・2位、3位イギリスや4位    米国に比べて断然多く、これと発達障害(自閉症等)の有病率の順位がこの4カ国で一致しています。   * 化学合成された農薬は人に対して、とくに胎児や乳幼児、子供などに強い毒性を及ぼしています。    文部科学省が公表した「通級による指導をうけている児童数の推移」では、平成18年(2006年)度から    10年後の平成28年(2016年)度の間に発達障害児童(注意欠陥多動性障害・学習障害・自閉症・    情緒障害)数が6倍に急増しています。   * 同じく、文部科学省が公表している「特別支援教育の現状 (平成28年5月1日現在)」によると    特別支援学級に在籍する発達障害児童(自閉症・情緒障害)数も平成18年度から10年間に3倍に    増加しています。


作成:2021-05-26