街の農薬汚染・住宅地通知にもどる        通知「住宅地等における農薬使用について」(略称:住宅地通知)

n03904#植栽管理に農薬を使用しない自治体はどこ?#21-06
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 広島県では、地元住民が、住宅地通知の遵守を求めて運動をしており、当グループも行政に対して、要望や質問を行ってきましたが(記事n03104)、このほど、県内で、住宅地での農薬散布をやめるよう求めているAさんが、全国の地方自治体8個所についての調査結果をまとめて報告されましたので、以下に紹介します。

1)大阪府吹田市  @経緯   平成15年ころに大阪府と国から、薬剤をなるべく使わないようにとの通達があり、   その頃から薬剤をなるべく使わない管理をするようになった  A現在の管理方法   <殺虫剤>サクラに行っていた定期散布を中止した。    ただし、チャドクガなど人体に影響のある虫が大量発生した時はやむを得ないので    薬剤を適宜使用することがある。   <除草剤>除草剤は一切使用していない。    年2回、6−7月と10月頃に草刈り機を使用。    芝生はそもそも市内にほとんどない。    芝生は管理が大変なので、新規に公共の施設や公園をつくる時も市としては芝生は    設置しないように要望を出している。    現在ある芝生については業者に管理を任せているが、特殊な草刈り機でかって貰っている。    今はいい芝生があるようで、年4回くらい刈り込みが出来るのでそれで対応できている。    (吹田市 土木部 公園みどり室 維持グループより 電話で問い合わせ) 2)名古屋市  @経緯   ずっとこの状態なのでいつからどういう経緯でこうなったのかわからない  A現在の管理方法   <殺虫剤>殺虫剤は一切使用していない。    害虫が発生したと市民から通報があればその都度、市の職員が行って物理的に捕殺している。    新たに部署を設けたわけではなくそれまで緑地を管理していた各区の土木課の中に    捕殺班があるので、捕殺を担当している。    業者ではなく、市の職員が通報があれば出動して対処している。   <除草剤>除草剤は使用していない。    業者に委託して草刈り機でかっている。    芝生も業者に委託して草刈り機でかっている。    (名古屋市 緑政土木局緑地部緑地維持課 電話で問い合わせ) 3)広島市南区  @経緯   一般の方からの問い合わせにより2019年ころから  A現在の管理方法   <殺虫剤、除草剤>本市では、公園や街路樹の維持管理にあたっては、日常的な観    測によって病害虫被害や雑草の発生を早期に発見し、被害を受けた部分のせん定や    機械除草等による物理的対応をとるよう努めておりますが、これによりがたい場合には、    農薬を使用することもあります。なお、その場合は、樹幹注入等の散布以外の方法で対応する    こととし、やむを得ず散布する場合には、気候や周辺状況を確認した上で最小限の範囲に    散布するなど、近隣への影響を小さくするよう配慮しております。    (広島市都市整備局緑化推進部 公園整備課 よりメール) 4)広島市中区  @経緯   2019年頃に薬剤散布についての問い合わせを受けて試験的にいくつかの場所で   薬剤使用を中止し、目立った害はなかったため2020年ころから特定の場所(バラ園など)を   除いた中区管理の植栽については原則として薬剤を使用しない方針とした。  A現在の管理方法   <殺虫剤>捕殺など   <除草剤>草刈り機など    (中区役所建設部維持管理課第二維持係より電話にて) 5)岡山市  @経緯   農水省、環境省のマニュアルに基づいた見直しを 庭園都市推進課が行ったため。   2021年度から実施。  A現在の管理方法   <殺虫剤>病害虫の発生枝を剪定するよう、業者へ指示   <除草剤>草刈機や手作業    (岡山市北区役所 地域整備課) 6)大阪市  @経緯   元々シックハウス症候群など薬剤に過敏な方が住んでおられる地区はセルコートアグリなど   人体に影響の少ない薬剤で対処していたが、農薬に対する世論の意識の高まりや、   農水省や環境省の公示もあったため7−8年前から原則的に薬剤を使わない方針とした。   ただし、バラ園や中之島公園など見せる事を目的としている場所だけは薬剤を使用することがある。   ※横浜アグリ社のセルコートアグリ:    セルロースの薄い膜で植物表面をコーティングすることで害虫や病気による被害を防ぐ薬剤。    医薬品や食品添加物にも使用されているフィルム成分で安全性が高い。  A現在の管理方法   <殺虫剤>薬剤は使用しない。    害虫が発生したとの報告があった場合は市の職員が現地を確認して、枝の剪定や補殺を行う。    範囲が広い場合は業者に依頼して枝の剪定や補殺を行う。    人体に影響のない虫だった場合は、住民の方に説明して薬剤を使わない事や駆除の    必要がない事に対する理解を求める。    カイガラムシに対する駆除を目的とした薬剤使用や補殺は行っていないが、それにより    樹木へ悪影響は出ていない。    物理的捕殺の対象となるのはチャドクガや毛虫など人体に影響のある害虫のみ。    害虫が発生した際には、やむを得ず薬剤を使用することがあるが、広範囲の使用はせず    ピンポイントで場所を絞って行うのと、実際は物理的な捕殺や剪定や、住民への害虫ではない    事の説明で事足りているので薬剤を使う事はほぼない。    ほとんどないが使用する際は、事前に周辺住民に対して、農薬使用の目的、散布時期、    使用農薬の種類及び農薬使用者等の連絡先を十分な時間的余裕をもって幅広く周知した上で、    実施している。    病虫害の発生リスクを抑える管理手法につきましては、    「公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアル(環境省)」に掲載されており    それを参考にしている。   <除草剤>薬剤は使用しない。芝生も芝刈り機で対応している。    (大阪市建設局 公園緑化部 緑化課 よりメールと電話) 7)西東京市  @経緯 不明  A現在の管理方法   <殺虫剤>   ・捕殺(けむしがついた葉・枝を剪定し、切断した枝葉をビニール袋等で収集)しております。   ・虫がついている箇所に注意喚起看板を設置して立ち入り禁止としています。    (西東京市みどり環境部みどり公園課よりメール) 8)沖縄県浦添市  @経緯   3年前に公園の草が不自然に枯れている事から市民が問い合わせした事で除草剤を業者が   使用した事が判明し、公園に除草剤が使用されたという事で新聞やネットでニュースになり、   市長が公園に除草剤を使用したことを公に謝罪する事態となった。   これを機に、市で植栽管理のマニュアルを見直し、原則として除草剤や農薬を使用しない方針とした。   ただし、急斜面の法面など草刈り機が難しい場所ではやむを得ず除草剤を使用したり、害虫が発生した際は殺虫剤を使用することがある。  A現在の管理方法   <殺虫剤>原則的には使用しない。    害虫が発生した際はやむを得ず使用することがあるがその際は市のマニュアルに従って    適切に使用する。   <除草剤>原則的には使用せず草刈り機で対応。    ただし、急斜面の法面など草刈り機が難しい場所ではやむを得ず除草剤を使用することがある。    (浦添市 美らまち推進課より電話にて) 【参考:2018年11月の沖縄県に関する新聞報道より】   @沖縄タイムズプラスの 2018年11月1日の記事<子ども達も遊ぶ公園に除草剤 浦添市長が謝罪「不適切だった」>で、下記の報道がありました。

   浦添市のANA SPORTS PARK浦添(浦添運動公園)内の    遊具広場に除草剤がまかれた問題で、松本哲治市長は15日午前、浦添市役所で会見し、    「多くの市民や公園利用者に多大なる心配とご迷惑を掛けたことおわび申し上げる。    市民が利用する公園での薬剤散布は不適切だったと深く反省している」と謝罪した。   A琉球新報の<薬剤散布全面禁止へ 浦添市運動公園 松本哲治市長「誠に申し訳ない」>の報道でも、   『今後は運動公園内の除草作業で薬剤散布を全面的に禁止するという。松本市長は   「子どもも利用する公園で除草剤の散布はあってはならない」と強調し、市内107カ所の   公園全てで除草剤の散布がなかったか調査する方針を明らかにした。』   『会見では浦添運動公園を所管する浦添市教育委員会文化スポーツ振興課の玉城尚課長が   1日午後に浦添運動公園の土壌と公園内の水路の水を採取し、複数の専門機関に分析を依頼する   ことを発表した。』『安全性が確認されるまで立ち入り禁止にするとしている。』とありました。



作成:2021-06-30