街の農薬汚染にもどる
t02502#地域から農薬使用中止を求めよう−除草剤シマジン水質汚濁性農薬指定#94-05
 前号で触れましたが、4月14日、環境庁は農薬取締法の施行令を改定し、除草剤シマジンを水質汚濁性農薬に指定すると発表し、4月20日、政令改正を公布しました。なお、施行は7月1日になっています。シマジンは主に芝生の除草に使用され、ゴルフ場、団地、河川敷などで多く使われ、市民から批判を浴びていたものです。
 水質汚濁性農薬というのは、農薬取締法第12条に定められているもので、水産動植物に著しい被害を及ぼす恐れのある農薬、又は公共用水域の水質汚濁が原因となって人畜に被害を生じる恐れがある農薬を、国は政令により水質汚濁性農薬に指定し、当該農薬について知事が使用地域を定め、許可性にすることができるというものです。
 この制度は1971年の農薬取締法改正時にできたものですが、環境庁は今まで、水産動植物に関するものとしてテロドリン、エンドリン、PCP、ベンゾエピン、ロテノンの5種類の農薬を指定しただけでした。現在、登録のあるのはベンゾエピン、ロテノンだけです。
★基準を超えれば人畜に被害のおそれ
 今回、初めて人畜に被害を生じる恐れがあるとしてシマジンを水質汚濁性農薬に指定したわけですが、何故、シマジンだけが水質汚濁性農薬になったのかと疑問に思い、質問してみました。環境庁水質保全局土壌農薬課の回答によると、シマジンの毒性を考慮して決めたものではなく、昨年決められた水質環境基準をオーバーして検出されたので、水質汚濁性農薬に指定したとのことです。
 水質環境基準は、厚生省の定めた水道水質基準と同じ農薬が同じ濃度で決められています。農薬に関していえば、シマジン、D−D、チウラム、チオベンカルブの4種類だけしか決まっていません。シマジンの基準は0.003mg/lですが、環境庁によると、シマジンだけが環境基準を超えているそうです。どこが、いつどこで測ったのか、どのくらいの検出量だったのかというような質問には一切公表できないとのことでした。
 ただ、ゴルフ場の排水に関しては、ゴルフ場使用農薬に係る暫定指導指針値が決められており、この基準は0.03mg/lで、水質環境基準の10倍です。平成4年度に11万検体が調べられ、そのうち、7検体が基準を超えていたとのことです。
 環境庁の説明によると、基準を超えているということが、すなわち人畜に被害を生 じる恐れがあるということなのだそうです。
 では、水質汚濁性農薬に指定されるとどうなるのでしょうか。都道府県知事がシマジンの使用規制地域を設定し、その地域でシマジンを使用する場合には、都道府県知事の許可が必要になります。ですから都道府県知事がどこを使用規制地域に設定するかが問題になってきます。通達では「年間平均値で環境基準項目の基準値を超過するおそれがある場合に」とあります。また、「公共用水域の水質に影響を及ぼしていると認められ、かつ、シマジンがまとまって使用されている地域」に限定しろとあります。また、検出状況が相当程度改善され、使用規制の必要がなくなったと認められる場合には規制を解除することとなっており、簡単に地域指定はできないかもしれません。
 このような条項が入ったのは、農業資材審議会農薬部会の答申によるものです。この農薬部会には農薬工業会会長、全国農薬協同組合理事長、残留農薬研究所理事長などの農薬メーカーや推進派が入っており、学識経験者も農薬は安全と主張しているような人たちが多くなっています。こうした審議会に利害関係者が入っているのは問題です。もし、どうしてもこういう人たちを入れたいというのなら、反農薬東京グループなどの農薬の危険性を訴えている市民グループも入れるべきです。
 というようなことで、都道府県知事にすべての地域を指定するよう要求していかなければ、一ヶ所も指定されないで終わってしまう可能性すらあります。また、シマジンはゴルフ場で使用されるだけでなく、団地、畑、河川敷などでも使用されています。
シマジンが水質汚濁性農薬に指定されたのを気に、これらの地域での使用を中止するよう求めていく必要があります。

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作成:1998-04-01