室内汚染・シロアリ駆除剤にもどる
t03601#やっぱり畳から農薬が出てきた−東京都の調査で判明#95-04
 反農薬東京グループが、昨年発行した反農薬シリーズJ「住宅が体をむしばむ」の中で触れてありますが、畳にはフェンチオン(MPP:バイジット)やフェニトロチオン(MEP:スミチオン)などの農薬を含ませた防虫加工紙が使用されています。これらの農薬がどのくらい揮発してくるのかというデータはありませんでした。
 そこで当グループは東京都の消費生活条例第8条にもとづいて、都へ調査をするよう申出をしました。都はこれを受理して、昨年、調査を行ないました。今年になってようやく調査結果を知らせてきましたので、ご紹介します。
 結論を先に言えば、私たちが予想していた以上の高濃度で農薬が室内に揮発してくることがわかりました。特に、フェンチオンという有機リン系の農薬は最高7μg/m3が検出されています。
 都が委託した実験では、ほかにフェニトロチオンも調査していますが、こちらは最高0.0624μg/m3となっています。フェンチオンもフェニトロチオンも蒸気圧は同じくらいなので、何故、フェニトロチオンが少ないのか原因がわかりません。
 この実験方法については、本当に室内のフェニトロチオンが全部つかまえられたのか疑問があります。この点について植村振作さんの解説をお読みください。
 しかし、防虫加工紙を使用した畳から、揮発した農薬が、実際に、室内大気中で検出されたことは初めてであり、その点では画期的な調査と言えるでしょう。今後、この調査を踏まえて、防虫加工紙の使用をやめ、安全なダニ対策を取るよう行政に要求していくことが必要です。
 まずは、東京都からの通知(なぜ通知なんでしょうね)の概要部分をそのまま紹介します。
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6生文消計第728号
平成7年3月27日
東京都消費生活条例第8条に基づく申出「畳に使用される殺虫剤の調査」について(通知)
 平成6年6月27日付けで申出のあった標記の件について、下記のとおり調査結果をお知らせします。なお、詳細については、別添えの調査結果−略−を参照ください。
記

1、調査事項
 (1)防虫加工紙を使用した畳の普及状況
 (2)防虫加工紙に含まれている殺虫剤の揮散量
 (3)防虫加工紙以外のダニ発生防止対策

2、調査方法
 (1)防虫加工紙を使用した畳の普及状況、防虫加工紙以外のダニ発生防止対策に
        ついては文献により調査を実施した。
 (2)防虫加工紙に含まれている殺虫剤の揮散量については、平成6年9月から10
        月に測定を行なった。
 まず、予備調査により測定条件を設定し、本調査により人工気候室に畳を敷いて殺
  虫剤の揮散濃度を測定した。さらに、殺虫剤の揮散の原因を確認するために、追加
  調査を実施した。
 本調査の測定条件は次のとおりである。
ア、調査対象の畳
 都営住宅仕様の畳4.5畳分を2種類(畳A、畳B)
イ、測定を行なった殺虫剤の成分
 フェンチオン、フェニトロチオン
ウ、測定条件
 室内温度:おおむね20度C 及び30度C
 サンプリング一:畳上10cm 及び150cm
 サンプリング時間:1回のサンプリング時間は4時間ごとに6回採取
 換気:換気なし(無風状態)

3、調査結果
 (1)防虫加工紙を使用した畳の普及状況
 官公庁の建築工事では、ほとんどのところが仕様書で防虫加工紙の使用又は誘電処理
  を定めているが、実際には、防虫加工紙による処理が行われている。
  また、防虫処理は日本工業規格に規定されているため、民間においても防虫加工紙が
  使用されていることが十分考えられるが、使用状況についての資料はなく、明らかで
  ない。
 (2)防虫加工紙に含まれている殺虫剤の揮散量
 ア、フェンチオン及びフェニトロチオンの揮散は、2種類の畳それぞれから認められ
      たが、量的にはフェンチオンの方が多かった。
 イ、室温と揮散量の関連をみると、フェンチオンの場合、畳Aでは10cm、150cm位
      置ともに明らかに30度Cの条件で揮散が多かったが、畳Bでは10cm位置は
      温度による差がほとんどなく、150cmでは30度Cの値が高かった。また、
      フェニトロチオンは20度Cでは畳A、畳Bともに検出されず、30度Cで両畳
      とも微量検出された。
 ウ、フェンチオン濃度は、30度Cの場合、10cm位置で畳Aでは15時間後に最
      大7μg/m3、畳Bでは15時間後に最大5μg/m3に達し、その後濃度は減
      少傾向となった。フェニトロチオンの濃度も15時間後に最大(畳Aでは0.06μg
      /m3、畳Bでは0.004μg/m3)であった。

 (3)防虫加工紙以外のダニ発生防止対策
 畳からダニの発生を防止する方法には、防虫加工紙使用する方法の他に、日光干し、
  加熱乾燥(布団乾燥車)の利用、除湿機の使用等の方法がある。

4、都の対応
 調査結果については、都民、国、関連業界等に情報提供を行う。

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作成:1998-04-01