空中散布・松枯れにもどる
t04201#安全対策なしに急増する無人ヘリによる農薬空中散布#95-10
 無人ヘリコプター(無人ヘリ)は、有人ヘリコプターでは空中散布が難しい地区の補完防除の方法として、1980年から補助金を受け、農薬空中散布の推進母体である(社)農林水産航空協会によって開発されてきました。87年に完成し、88年から散布実験、89年に農林水産省が「暫定実施基準」を通達、その年、30道県、330ヘクタールで実施されました。
 90年には、27道県で約26,000ヘクタールが実施され、91年になって農水省は「無人ヘリコプター利用技術指導指針」を出し、本格的な無人ヘリの推進を始めました。94年度は実に71,058ヘクタール、機体も395機と急増しています。都道府県別散布実績は(表1−略−)の通りです。
 指針によると、無人ヘリとは、総重量100キログラム未満の遠隔誘導式小型回転翼機で、現在R−50とKG−135の2機種が使用されています。無人ヘリの特徴として、@小規模の面積での利用が容易で、かつきめ細かな作業が可能。A小型軽量で持ち運びが容易。B低空飛行ができるため薬剤の飛散など周辺への影響が少ない。C水稲では1機一日当たり3〜4人の作業員で10〜15ヘクタールの散布作業が可能。としています。
 無人ヘリによる散布は地上散布で、何の規制もないという自治体もありますが、農水省は、新しく「空中散布等」という言葉を作って、無人ヘリを用いて行う空中からの農薬、肥料、種子等の散布及び調査等を定義し、有人ヘリによる空中散布に準ずるような指針になっています。
 しかし、高度が若干低くなったとはいえ、空から農薬を撒くことにはかわりありません。水田での高度は中型の有人で大体10〜12メートル、小型だと4〜8メートルとされています。無人は3〜4メートルで、飛散が少ないといっていますが、その根拠となるデータは明らかにされていません。むしろ、市民グループの測定では有人ヘリと大差ない結果が出ています。
 無人ヘリは、単に有人ヘリの補完だけではなく、ミカン園など新たな用途での使用が国によって推奨されており、今後も増えると思われます。しかし、空中散布であることは変わりがなく、安全性に関する十分な検討もなしに進められていることは非常に問題だと思われます。今号では、無人ヘリの問題点と、反対運動の様子をそれぞれ書いていただきました。

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作成:1998-04-01