室内汚染・シロアリ駆除剤にもどる
t04302#新築都営住宅の室内化学物質調査、入居予定の自治体ら、都へ要望書提出#95-11
 11月16日、東京都に都営住宅の室内化学物質汚染の調査を要求して、東京都東久留米市柴崎住宅自治会連絡会、みどりを守ろう会、反農薬東京グル−プは、坂口都議同席のもと都の住宅局と話し合いをしました。
 94年に、東京都保谷市内の都営住宅階下の公民館で、TCEPが検出されたことや(てんとう虫情報27号参照)、都営住宅仕様の防虫畳から室内の空気に農薬が高濃度で汚染していることが(同36号参照)わかって以来、反農薬東京グル−プでも、何度も住宅局に対して、申し入れや交渉を行ってきました。
 化学物質による室内汚染や、代替方法の研究や関心のが高まりにもかかわらず、都住宅局の対応は、TCEP入りの壁紙は業界の自主規制でこれから建設する住宅には使用しないことになったものの、「TCEPに発ガン性はない。国の基準もない。」とTCEPを使用した住宅のチェックも空気の測定もしようとしないかたくなさ。畳についても「ダニ対策としてやむを得ず使っている。公共住宅ではみんな使っている」と1年前と全く同じものでした。
 今年9月に、東京都保谷市で行われた村松学さんのホルムアルデヒドの室内汚染に関 する学習会に出席した芝崎住宅自治会連絡会会長の篠原さんは、この12月に東久留米 市の新築都営住宅に戻り入居する予定。学習会に出席して化学物質による室内汚染の実 態を知り、入居後の健康被害を心配していました。
 みどりを守ろう会の杉本さんは、2年前に建て替えた都営住宅に入居中ですが、先日 室内のホルムアルデヒドを自費で測定したところ0.05mg/m3検出されました。新築時 はこの何倍もの数値だったと考えられます。ホルムアルデヒドは欧州基準で30分値短 期暴露0.1mg/m3以下がガイドラインとされています。
 戻り入居予定の芝崎住宅自治会では、反農薬東京グル−プを招いての勉強会をした結果、新住宅の室内の空気を測定してほしい旨の要望書を上記2団体とともに都に提出することとなりました。
 要望書は、昨年のTCEPの新聞報道以来安心して生活できなくなった。これに対し住宅局係員の説明では「居住者の住む部屋の壁紙ではそれはない。」との答弁があった。
ところが独自に居住者の部屋を測定したところTCEPが検出されていた。また都の調査によって都営住宅の畳から殺虫剤が室内に揮発していることもわかっている。この12月に入居の住宅や2年前に建て替えた前沢住宅はどうなのかはどうなのか不安である。
また、最近は住宅内での化学物質による室内汚染のことが取り上げられ、住居者への健康被害のことが懸念されている。
 ついては下記項目について早急に測定の上、項目別に具体的な回答を要望すると言う内容で 要望した調査項目は
 1.殺虫剤類(フェニトロチオン、フェンチオン、ダイアジノン、ペルメトリン、クロルピリホス、P−ジクロルベンゼン、S−421等)
 2.ホルムアルデヒド
 3.可塑剤(DOP,TBP,TCP,TCEP,DBP等)
 4.溶剤類(アセトン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、ジクロルメタン、  トリクロルエチレン、テトラクロルエチレン、n−ブタノ−ル、酢酸メチル、酢酸ブチル等)
 5.その他(スチレン等)
 6.住宅内の換気量測定(例・・一時間あたりの換気回数)
 これらの物質は新築住宅で高濃度で検出される恐れがあり、シックビル症候群や新築病にの原因ではないかとされている物質です。
 要望書提出後、11月16日都での住宅局の話し合いは、芝崎住宅自治会、東久留米みどりを守ろう会、反農薬東京グル−プ、住宅局からは那須管理部長、野沢管理部管理課長、三浦技術開発課課長、他3名の出席で始まりました。
 坂口都議から「昨年の都議会での池田議員の質問以来、住宅局も努力してきたが厚生省の基準がない等の問題もある。先日の要望書に対しての局がどう整理しているかうかがいたい。」と持ち出したが、那須部長は「現在までに25万5千戸の都営住宅を供給してきた。このような要望書をいただいて正直なところ面くらっている。なぜこのような要望書を出すにいたったのか話を受けたまわる場にしたい。」とのべ、要望書についての検討はまだされていないことを明らかにしました。
 TCEPや畳の問題も、「都の住宅はJISやJASで定められた材料を使っている。発ガン物質は使っていない。TCEPについては新聞報道以来使っていない。」とTCEPへの見解も昨年の7月から同じ調子。積極的に有害物質の調査を行おうとする態度はみえません。
 畳の農薬にしても「イエダニの発生対策のために、やむを得ず一定量の農薬をぬった紙を使っている。」と何の対策もしていませんでした。「代替えがあれば有害の恐れのあるものはやめたい。」といいながら「国の補助をもらっているのでできるだけ安くしなければならない。」と翻す。住宅局は畳からの農薬が室内の空気に揮発し、非常に緩いといわれている農薬の空中散布時の指針値の3.5倍のフェンチオンが検出されているという事実をどう受け止めているのでしょうか。
−以下略−
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作成:1998-04-01