空中散布・松枯れにもどる
t04502#岐阜市芥見地区でのラジコンヘリ農薬空中散布中止−緻密な反対運動の成果#96-01
前文−略−
<8月30日> 飛散調査実施
<9月4日> 横浜国大から分析結果がファックスで届く。それを基に飛散調査地図と環境影響調査報告書作成の作業に入る。水田地帯を歩き、ハツシモとコシヒカリ、菜園等を区画毎に字絵図に書き入れた後、農協で散布水田地図を見せてもらって間違いがないかどうかを最終的にチェックして、地図に写しとった。
 また、行政関係者用に当地域が混住地であるこをと示すカラー地図を用意した。散布水田を緑、その他の水田を黄、菜園をピンク、人の住居空間を赤で塗り、教育施設、医療施設を特に示したものである。より正確な資料を作りたいと考え、不慣れも手伝って以上の作業に1ヶ月近くを要してしまった。
<10月4日> JA岐阜芥見支社において農業団体の長に空散地図と環境影響調査報告を手渡し、私たちの要望を伝えながら、短時間ではあったが話し合う。
 その後、岐阜市長宛に要望書を提出。要望内容は、今後はラジコンヘリによる空中散布を中止されたい、混住地においては環境保全型農業を推進されたいの2項目。資料として飛散地図、カラー地図、環境影響調査報告を添付した。市会議員1名の立ち会いのもと農林部と話し合う。「直接の指導権限は県にあり、市にはない。国や県と協議して回答したい」ということであった。この後、記者会見をし、翌日は地方紙にも飛散が大きく取りあげられた。
<10月6日> 県知事、農政部長宛に市と同様の要望書、資料を提出。県会議員2名の立ち会いのもと、農政部と話し合う。もっぱら、訴えを聞き置くという感じであった。
<10月25日> 県会議員立ち会いのもと、県の衛生環境部と話し合う。次長発言の中で、「年に一度の空中散布で1日くらいADI値を超えたからといってどうということはない」ととれる内容の発言があった。
 私たちは、ADI値設定の問題点を含め、事故死を除けば子供の死因の1位が先天異常であり、2位がガンであること、除草剤CNPと胆嚢ガンとの因果関係の証明に10年の歳月が費やされていること等々を訴え、先進諸国の中で、単位当たりの農薬消費量が日本は2番目であり、それは米国の8.5倍であるという現実の中で、飛散結果を座視することはできない。即刻対処してほしいと訴えた。
 課長からは「このような地域ではやるべきではないと思う」の発言があり、次長からは「農政部に言っておきます」との約束を得ることができた。
<10月23日> 環境影響調査報告と飛散地図の両面印刷のチラシを4500部作り、新聞4紙におり込み、水田周辺家屋に配布する。
<10月29日> 「みどり病院健康まつり」にパネル展示をして、多くの参加者に見てもらうことができた。カンパもいただいた。参加者のひとりからコンクリート3面張りの農業用水ではオタマジャクシからカエルになったとき、肺呼吸ができず、カエルの生息を妨げていることを教えられる。(害虫を食べてくれない→農薬に依存)
<初めて中止の意向が>
<11月16日> 岐阜市農林部が要望書の回答を当地域に持ってこられ、大洞紅葉ケ丘公民館において市会議員立ち会いのもとで受ける。「先触れ」との前置きがあり、「農業団体の長が今後はラジコンヘリではやらないという強い決意で地元の説得調整にあたっておられる。1月に自治会連合会長を通じて農業者の意向が皆さんに伝えられる」とのことであった。
<11月28日> 自治会連合会長に今までの経過を説明し、理解を求める。
<11月30日> 県の農林部から県会議員2名の立ち会いのもと回答を受ける。「次年度以降、当地域においてラジコンヘリによる農薬散布はしない。それについて農業者が1月に自治会を通じて皆さんに説明の機会を設ける。また、環境保全型農業については手がかかる。収量が落ちる。見た目が悪いということで難しい」ということであった。
<12月2日> 自治会連合会長に県の回答を伝える。
<12月6日> 岐阜市議会一般質問で、社会党議員の質問に対し、農林部長が「飛散調査結果については一定の評価をしている」「実施団体と協議して今後はほかの防除方法について検討していきたい」と答弁する。
 農業者の意向がまもなく私たちに届いた段階で結果報告の便りを、関心を持って支援していただいた地域の皆さまに届けたいと思っている。
 農協は、根回しをして策を弄したり、面子にこだわったりの前時代的感覚から脱却して素直に市民の声に耳を傾け、誠実な態度で臨むことが輸入農産物との競合という厳しい時代に対応していくためにも必要ではないだろうか。
 この間、コピー、電話、印刷代など活動に相当の出費を要した。そこで、活動資金として低農薬、有機質肥料の産直みかんを扱ったところ、味も価格も好評な上、支援者の協力もあって二ヶ月で230箱がでた。
<役にたった資料>
 ここまで漕ぎつけるにあたって、科学関係者、行政関係者、農業者他多くの方にお世話になった。人脈を通した協力とその過程で得られた多くの資料や情報が力となった。次に特筆すべき資料を紹介します。
 ○農業における環境保全対策に関する行政監察結果報告書(平成6年12月)−総務庁行政監察局
 ○農業における環境保全対策に関する行政監察結果に基づく勧告(平成6年12月)−総務庁
 ○無人ヘリコプター利用技術指導指針(平成3年4月22日 3農蚕第1974号)
 ○病害虫、雑草防除対策における農薬の適正使用の徹底について(平成2年12月25日 第7657号)
 ○石川県における水田への農薬の空中散布のあり方について(農薬空中散布検討委員会)
 ○農薬空中散布の環境および健康への影響調査(公衆衛生第54巻第5号 1990年5月15日発行)医学書院?
 ○岐阜県環境基本条例(議第22号)
 ○公共用水域における農薬の水質評価指針について(平成6年4月14日環境庁水質保全局土壌農薬課)
 ○農薬便覧
 ○農薬毒性の事典(三省堂)
 ○農薬の新残留基準批判(反農薬東京グループ)
 ○WTO成立と食品衛生法改定(反農薬東京グループ)

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作成:1998-04-01