室内汚染・シロアリ駆除剤にもどる
t04703#ホルムデヒドの室内汚染・健康被害で、東京都と話し合い#96-03
 2月16日、東京都庁で、生活者ネットワ−クを中心とする都議会議員有志の呼びかけによる第二回市民と行政の協議会「生活の中の有害化学物質−ホルムアルデヒドの規制をめぐって」が開催されました。
 反農薬東京グループでは、シロアリ駆除剤の危険性を訴える運動を続けてきました。また、パンフ「住宅が体をむしばむ」発行以来、多くの健康被害が寄せられたため、行政に対して有害化学物質の規制、基準づくり、相談窓口等の被害者救済のシステムづくり等を求めてきました。
 ビニ−ルクロスの壁紙から、発ガンの恐れのあるTCEPが室内空気を汚染していることがわかったり(てんとう虫27号、30号)、都営住宅仕様の防虫畳から室内に農薬の空中散布時の3.5倍の農薬(フェンチオン)が検出された件(てんとう虫情報36号、37号)などから、住宅局や都に対して何度も申し入れや交渉を行ってきた関係から(てんとう虫情報43号)この協議会にも積極的に参加しました。
<70人余が参加>
 今回の協議会は、室内汚染の原因物質のうち、合板や接着剤などたくさんの所で使われ発ガン性のはっきりしているホルムアルデヒドを中心にしながら進めることにしました。 当日までの事前の打ち合わせでは、衛生局が策定した「健康・快適居住環境の指針」のうち、ホルムアルデヒドについての指針が、衣類や家具からの発生や、皮膚や目を刺激することへの注意呼びかけ程度のものだったため、室内汚染の基準や発ガン性の認識が欠けている点、指針の冊子に載っている「ホルムアルデヒド濃度と人間の知覚状況」の値が高すぎることが焦点になって、激しいやりとりになったこともありました。
 協議会の当日は、小雪まじりの寒い日でしたが、被害者、業界、都議会議員をはじめ京都や茨城など遠方からの人も含め70人を越す参加者が集まり、穏やかな雰囲気のもとに進められました。
 全員の自己紹介の後、衛生局環境指導課の本間課長から「健康・快適居住環境の指針」について、環境保全局計画担当課の細野課長から「有害化学物質対策基本方針」について、それぞれ報告を受けました。
<住まい手の参考に指針作り・・と衛生局>
 「健康・快適居住環境の指針」について衛生局からは、「東京都衛生局では全国に先き駆け93年から住まいの衛生に取り組み始めた。保健所に寄せられる多数の住居のダニ、カビ、換気などの相談を受けて健康・快適居住環境検討委員会、専門家会議を発足させ、95年6月に指針が完成。指針は、室内空気環境からアレルギ−、超高層住宅まで16分野、38指針、74チェックポイントで構成されていて、指針は住まい手自身やメンテナンス業者、住宅の設計施工業者にも参考となるものである。
 これをもとに現在、八王子市ではパイロット事業として住まいの快適度診断(温度、湿度、二酸化炭素、浮遊粉塵、ダニ、照度、水まわり)を行っている。この快適度診断は、来年度からは全保健所で行う予定。ホルムアルデヒドや他の揮発性有機化学物質(VOC)については先行調査を行っている。」等の報告がありました。
 続いて「有害化学物質対策基本方針」について環境保全局からは、「一般環境を対象にしている(室内環境については環境保全局の担当ではない)。直接、人体に影響を与えるおそれのある有害化学物質について、公害防止条例、大気汚染防止法、化審法等の関係法例を対系化するために91年度から有害化学物質対策の検討会をつくった。要管理物質は毒性、使用量等から131物質を選定した。要管理物質は5年間でモニタリングを行う。ホルムアルデヒドが要管理物質になったのはIARC(国際がん研究機関)の発ガンリストやいろいろな文献の毒性評価や使用量が多いこと等が根拠である」等の報告がありました。
<深刻な被害の実態報告>−略−
<活発な意見交換>−略−
<行政との確認事項>
 これを受けて、後日、行政と確認された内容は以下の通りです。 1、相談窓口について96年度作成予定の、環境衛生指導員の診断マニュアルに、ホルムアルデヒドの最新の知見などもいれて相談者に適切な指導ができるよう目指す。 2、97年4月から都の全保健所で実施予定の住まいの健康・快適度診断を実施する予定であるが、今後ホルムアルデヒドや他のVOCについても、測定法の開発も含んだ先行調査の結果を踏まえ、診断項目に入れることを検討する。 3、健康・快適居住環境の指針について   先行調査の結果・厚生省の動き・専門家の意見、最新の知見を総合して検討し、指針を改定していく。 4、環境汚染要管理物質131物質中、5年間かけておこなっているモニタリング調査を行う約70物質のうちホルムアルデヒドのモニタリングを本年度行う。 ことが約束されました。  事前打ち合わせでは、指針改定はおろかホルムアルデヒドの発ガン性についてさえも認めようとしなかった衛生局ですが、出席者の深刻な被害の報告や切実な声に前向きの姿勢がみえます。これからも確認事項がどのように果たされているかのチェックや、このような話し合いの場が必要です。(文責 三島佳子)

購読希望の方は、〒番号/住所/氏名/電話番号/○月発行○号からと購読希望とかいて、 注文メールをください。
年間購読会費3000円は、最初のてんとう虫情報に同封された振替用紙でお支払いください。
作成:1998-04-01